「ヤックァ(蜜入りの揚げ菓子/약과)」の版間の差分

 
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:;『芝峰類説』(1614年)の記述
 
:;『芝峰類説』(1614年)の記述
::朝鮮時代中期の学者、李睟光(イ・スグァン、이수광)が1614年に編纂した『芝峰類説([[지봉유설]])』にはヤックァについての記述があり、「蜜果のことを薬果と呼ぶ。麦は四季の精力を受けて育ち、蜂蜜は百薬の長、油は虫を殺すことができる」【原文1】とその薬効を紹介している。
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::朝鮮時代中期の学者、李睟光(イ・スグァン、이수광)が1614年に編纂した『芝峰類説([[지봉유설]])』にはヤックァについての記述があり、「蜜果のことを薬果と呼ぶ。麦は四季の精力を受けて育ち、蜂蜜は百薬の長、油は虫を殺すことができる」<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/945664/1/148 朝鮮古書刊行会編, 1915, 『朝鮮群書大系 續々第22輯 芝峰類説 下』, 朝鮮古書刊行会, P285] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号148/171)、2026年4月6日閲覧</ref>【原文1】とその薬効を紹介している。
  
 
::【原文1】蜜果謂之藥果者 麥爲四時之精 蜜是百藥之長 油能殺蟲故也
 
::【原文1】蜜果謂之藥果者 麥爲四時之精 蜜是百藥之長 油能殺蟲故也
  
 
:;『雅言覚非』(1819年)の記述
 
:;『雅言覚非』(1819年)の記述
::朝鮮時代後期の学者、丁若銓(チョン・ヤクチョン、정약전)が1819年に書いた語源研究書『雅言覚非(아언각비)』にはヤックァについての記述があり、「我が国の言葉では蜜を薬と呼ぶ。ゆえに蜜酒を薬酒、蜜飯を薬飯、蜜果を薬果と呼ぶ」【原文2】と説明している。
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::朝鮮時代後期の学者、丁若銓(チョン・ヤクチョン、정약전)が1819年に書いた語源研究書『雅言覚非(아언각비)』にはヤックァについての記述があり、「我が国の言葉では蜜を薬と呼ぶ。ゆえに蜜酒を薬酒、蜜飯を薬飯、蜜果を薬果と呼ぶ」<ref>[http://db.itkc.or.kr/inLink?DCI=ITKC_MO_0597A_0240_040_0430_2004_A281_XML 雅言覺非 / 卷三/ 藥果] 、韓国古典総合DB、2026年4月6日閲覧</ref>【原文2】と説明している。
  
 
::【原文2】按東語蜜謂之藥 故蜜酒曰藥酒 蜜飯曰藥飯 蜜果曰藥果
 
::【原文2】按東語蜜謂之藥 故蜜酒曰藥酒 蜜飯曰藥飯 蜜果曰藥果
  
 
==== 果(과)の語源 ====
 
==== 果(과)の語源 ====
:ヤックァは後述する「[[ヤックァ(蜜入りの揚げ菓子/약과)#歴史|歴史]]」の項目でも触れるように、三国時代から高麗時代にかけて仏教とのかかわりの中で普及が進んだ。茶菓子や仏教行事の宴会食として用いられたほか、祖先を祀る祭祀膳にも捧げられたが、仏教では殺生を禁じるため、魚肉の代わりとして油蜜菓(蜜を絡めた揚げ菓子、[[유밀과]])が用いられた。朝鮮時代前期の学者、成俔(ソン・ヒョン、성현)が1525年に刊行した『慵斎叢話(용재총화)』には、「蜜果(=油蜜菓)はすべて鳥や動物の形に作って用いる」【原文3】と書かれており、単なる代替ではなく形状を模して作っていたことがわかる。同様に祭祀用の果物を模して作ることもあり、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)は著書『星湖僿説(성호사설)』の中で、果物の「果」がヤックァの名称として残ったと説明している(下記参照)。現代でも祭祀膳([[제사상]])の5列目には、一般に「棗栗梨柿(ナツメ、クリ、ナシ、カキ、[[조율이시]])」と総称される果物と並んでヤックァなどの韓菓([[한과]])が配置される。
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:ヤックァは後述する「[[ヤックァ(蜜入りの揚げ菓子/약과)#歴史|歴史]]」の項目でも触れるように、三国時代から高麗時代にかけて仏教とのかかわりの中で普及が進んだ。茶菓子や仏教行事の宴会食として用いられたほか、祖先を祀る祭祀膳にも捧げられたが、仏教では殺生を禁じるため、魚肉の代わりとして油蜜菓(蜜を絡めた揚げ菓子、[[유밀과]])が用いられた。朝鮮時代前期の学者、成俔(ソン・ヒョン、성현)が1525年に刊行した『慵斎叢話(용재총화)』には、「蜜果(=油蜜菓)はすべて鳥や動物の形に作って用いる」<ref>[http://db.itkc.or.kr/inLink?DCI=ITKC_GO_1306A_0010_000_0010_2004_001_XML 慵齋叢話 / 卷之一] 、韓国古典総合DB、2026年4月6日閲覧</ref>【原文3】と書かれており、単なる代替ではなく形状を模して作っていたことがわかる。同様に祭祀用の果物を模して作ることもあり、朝鮮時代後期の学者、李瀷(イ・イク、이익)は著書『星湖僿説(성호사설)』の中で、果物の「果」がヤックァの名称として残ったと説明している(下記参照)。現代でも祭祀膳([[제사상]])の5列目には、一般に「棗栗梨柿(ナツメ、クリ、ナシ、カキ、[[조율이시]])」と総称される果物と並んでヤックァなどの韓菓([[한과]])が配置される。
  
 
::【原文3】蜜果皆用鳥獸之形
 
::【原文3】蜜果皆用鳥獸之形
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[[ファイル:23080903.jpg|thumb|300px|ヤックァマドレーヌ]]
 
[[ファイル:23080903.jpg|thumb|300px|ヤックァマドレーヌ]]
 
==== 2020年代 ====
 
==== 2020年代 ====
:2020年代の前半より、YouTubeなどの動画サイトにおいてヤックァを扱ったモッパン(食事動画、[[먹방]])が流行した。ヤックァの食感を活かしたASMR動画や、アイスクリームや生クリームをトッピングして食べる動画が人気を集め、トレンドのアイテムとして注目されるようになった。中でも、人気YouTuberのヨスオンニ チョン・ヘヨン(여수언니 정혜영)氏が2021年3月15日に投稿した動画<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=85FYgTzALjo&t=5s SUB)먹방 VLOG)엽떡로제떡볶이&허니콤보&노랑고래 차돌떡볶이 인생약과 아귀찜&버터치킨&대왕치즈스틱 디저트파티 빵어디까지먹어봤니 크로플 틈새떡볶이 신상과자들 MUKBANG] 、여수언니 정혜영[Yeosu Unnie]チャンネル、2023年8月9日閲覧</ref>は、[[京畿道の料理|京畿道]][[議政府市の料理|議政府市]]の伝統菓子店「匠人韓菓(장인한과)」のパジヤックァ(形の崩れたヤックァ、[[파지약과]])を全国的な人気商品に押し上げるきっかけとなり、後にオンライン購入の難易度から「ヤッケッティング(ヤックァとチケットを購入することを意味するチケッティングの合成語、[[약켓팅]])」という流行語を生むにも至った。2021年11月24日に放送されたKBS「統合ニュースルームET(통합뉴스룸ET)」では、KB国民カードの売上高データをもとに、2021年に店舗数や売上高の伸びた4料理として、[[マラタン(麻辣湯/마라탕)]]、ロゼソース([[로제소스]])料理、[[マッククス(冷やしそば/막국수)|トゥルギルムマッククス(エゴマ油そば/들기름막국수)]]とともにヤックァを取り上げた<ref>[https://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=5332900 【ET】 ‘마라’부터 ‘약과’까지…올 유행 음식템은?] 、KBSニュース、2023年8月9日閲覧</ref>。
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:2021年11月24日に放送されたKBS「統合ニュースルームET(통합뉴스룸ET)」では、KB国民カードの売上高データをもとに、2021年に店舗数や売上高の伸びた4料理として、[[マラタン(麻辣湯/마라탕)]]、ロゼソース([[로제소스]])料理、[[マッククス(冷やしそば/막국수)|トゥルギルムマッククス(エゴマ油そば/들기름막국수)]]とともにヤックァを取り上げた<ref>[https://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=5332900 【ET】 ‘마라’부터 ‘약과’까지…올 유행 음식템은?] 、KBSニュース、2023年8月9日閲覧</ref>。
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:その後もヤックァのブームは拡大し、2022~23年にはヤックァをアレンジしたスイーツがカフェやコンビニなどに急増したほか、ヤックァをクッキーやマドレーヌなどの焼き菓子と組み合わせたり、ヤックァ味のアイスクリーム、ヤックァをトッピングした[[パッピンス(氷アズキ/팥빙수)|ピンス(かき氷/빙수)]]などさまざまなアレンジが登場した。ヤックァ以外の伝統菓子にもブームは波及し、中でも[[チュアク(揚げ餅/주악)]]が次なるアイテムとして注目された。
 
:その後もヤックァのブームは拡大し、2022~23年にはヤックァをアレンジしたスイーツがカフェやコンビニなどに急増したほか、ヤックァをクッキーやマドレーヌなどの焼き菓子と組み合わせたり、ヤックァ味のアイスクリーム、ヤックァをトッピングした[[パッピンス(氷アズキ/팥빙수)|ピンス(かき氷/빙수)]]などさまざまなアレンジが登場した。ヤックァ以外の伝統菓子にもブームは波及し、中でも[[チュアク(揚げ餅/주악)]]が次なるアイテムとして注目された。
  
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