「釜山市の料理」の版間の差分

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*チャガルチ市場
 
*チャガルチ市場
:チャガルチ市場(チャガルチシジャン、자갈치시장)は中区チャガルチ海岸路52(중구 자갈치해안로 52)に位置する水産市場。狭義には2006年に建てられた地上7階、地下2階のビル内にある店舗群を指すが、周辺に広がる無数の露店、刺身店などを含めてチャガルチ市場と称することが多い。建物内は1階が鮮魚店、2階に刺身店と乾物店が集まっており、上階にはゲストハウスやシーフードビュッフェなども入っている<ref>[http://jagalchimarket.bisco.or.kr/facil/facil01/index.asp 상가안내] 、チャガルチ市場ウェブサイト、2017年9月13日閲覧</ref>。この地域に市場が形成されたのは1876年の釜山港開港以降で、1889年に日本人が設立した釜山水産株式会社や、1922年に設立された釜山漁業組合(現在の釜山市水産協同組合)を通じての取引が母体となった<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TMC/TE_JA_7_1_1.jsp?cid=2358273 자갈치 시장] 、韓国観光公社ウェブサイト、2017年9月13日閲覧</ref><ref>[http://busan.grandculture.net/Contents?local=busan&dataType=99&contents_id=GC04215071 자갈치 시장] 、釜山歴史文化大典、2017年9月13日閲覧</ref>。正式にチャガルチ市場として開場したのは1970年であり、1972年2月に市場登録された<ref>[http://busan.grandculture.net/Contents?local=busan&dataType=99&contents_id=GC04215071 자갈치 시장] 、釜山歴史文化大典、2017年9月13日閲覧</ref>。なお、チャガルチ市場という名称の由来ははっきりしていないが、砂利石(チャガル、자갈)の多い浜辺であったことから、それに魚を意味する「チ(치)」を付け加えたとの説がよく語られている。
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:チャガルチ市場(チャガルチシジャン、자갈치시장)は中区チャガルチ海岸路52(중구 자갈치해안로 52)に位置する水産市場。狭義には2006年に建てられた地上7階、地下2階のビル内にある店舗群を指すが、周辺に広がる無数の露店、刺身店などを含めてチャガルチ市場と称することが多い。建物内は1階が鮮魚店、2階に刺身店と乾物店が集まっており、上階にはゲストハウスやシーフードビュッフェなども入っている<ref>[http://jagalchimarket.bisco.or.kr/facil/facil01/index.asp 상가안내] 、チャガルチ市場ウェブサイト、2017年9月13日閲覧</ref>。この地域に市場が形成されたのは1876年の釜山港開港以降で、1889年に日本人が設立した釜山水産株式会社や、1922年に設立された釜山漁業組合(現在の釜山市水産協同組合)を通じての取引が母体となった<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TMC/TE_JA_7_1_1.jsp?cid=2358273 자갈치 시장] 、韓国観光公社ウェブサイト、2017年9月13日閲覧</ref><ref name="jagalchimarket">[http://busan.grandculture.net/Contents?local=busan&dataType=99&contents_id=GC04215071 자갈치 시장] 、釜山歴史文化大典、2017年9月13日閲覧</ref>。正式にチャガルチ市場として開場したのは1970年であり、1972年2月に市場登録された<ref name="jagalchimarket" />。なお、チャガルチ市場という名称の由来ははっきりしていないが、砂利石(チャガル、자갈)の多い浜辺であったことから、それに魚を意味する「チ(치)」を付け加えたとの説がよく語られている。
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==

2017年9月13日 (水) 00:25時点における版

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この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

釜山市(プサンシ、부산시)は韓国の南東部に位置する地域。本ページでは釜山市の料理、特産品について解説する。

地域概要

釜山市(プサンシ、부산시)は韓国の南東部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。北部は蔚山市、また北部から西部にかけて慶尚南道と接し、東部と南部は海に面する。人口は348万4183人(2017年8月)で、韓国の都市としてはソウル市に次いで2番目に多い[1]。かつては慶尚南道に属したが、1963年に直轄市(その後、1995年に広域市)として独立している。韓国第2の都市であるとともに韓国最大の港湾都市であり、海外からの渡航客が多く訪れる一方、貿易、流通の拠点としても栄えている。主要な観光地には、韓国最大の水産市場であるチャガルチ市場(자갈치시장)や、海外からの文物が集まって成長した国際市場(국제시장)、南浦洞(남포동)地区のシンボルである釜山タワー(부산타워)などがある。海雲台(해운대)地区、広安里(광안리)地区のビーチにはリゾートエリアが広がり、ホテル、飲食店、カフェなどが集まっている。近年では山肌の斜面に建てられた家並みを壁画などのアートで覆った甘川洞文化村(감천동문화마을)の人気も高い。ソウルから釜山市までのアクセスは、ソウル駅、または龍山駅から高速鉄道のKTXなどで釜山駅まで2時間3~40分前後。ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナルから高速バスで釜山総合バスターミナルまで4時間15分程度。釜山西部バスターミナルまで4時間20分程度。日本から釜山へ直接向かうには、金海国際空港(김해국제공항)まで成田、関西、中部、福岡、札幌などの各空港から直行便が出ているほか、博多、下関、大阪から船で行くこともできる。

  • チャガルチ市場
チャガルチ市場(チャガルチシジャン、자갈치시장)は中区チャガルチ海岸路52(중구 자갈치해안로 52)に位置する水産市場。狭義には2006年に建てられた地上7階、地下2階のビル内にある店舗群を指すが、周辺に広がる無数の露店、刺身店などを含めてチャガルチ市場と称することが多い。建物内は1階が鮮魚店、2階に刺身店と乾物店が集まっており、上階にはゲストハウスやシーフードビュッフェなども入っている[2]。この地域に市場が形成されたのは1876年の釜山港開港以降で、1889年に日本人が設立した釜山水産株式会社や、1922年に設立された釜山漁業組合(現在の釜山市水産協同組合)を通じての取引が母体となった[3][4]。正式にチャガルチ市場として開場したのは1970年であり、1972年2月に市場登録された[4]。なお、チャガルチ市場という名称の由来ははっきりしていないが、砂利石(チャガル、자갈)の多い浜辺であったことから、それに魚を意味する「チ(치)」を付け加えたとの説がよく語られている。

食文化の背景

海に面した港湾都市として発展し、韓国最大の水産市場であるチャガルチ市場を有するように、新鮮な刺身()をはじめとした魚介料理が発達している。チャガルチ市場の近辺や、海雲台、広安里などのビーチ沿いには多くの刺身店が並んでいる。また、1950~53年の朝鮮戦争では北部からの避難民が釜山へと多く移り住んだことから、テジクッパプ(豚のスープごはん/돼지국밥)や、ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)など、北部地域由来の料理が郷土料理として発展したのも大きな特徴である。貿易港であるため外国料理の流入も多く、日本から伝わったオデン(おでん/오뎅)が深く食文化に根付いたほか、釜山駅前には中華料理、ロシア料理を提供する店が多く集まっている。

  • 朝鮮戦争の影響
1950年に始まった朝鮮戦争の影響により、一時釜山は陥落したソウルにかわって大韓民国の臨時首都となった。このとき各地域からの避難民が多く釜山へと押し寄せたが、この中には平安道、咸鏡道、黄海道といった北部地域の出身者も多かった。その後、南北が分断されたことによって故郷に戻るすべを失った人々は、そのまま釜山に定住し、現在に至っている。彼らが故郷の味を懐かしんで作った料理のいくつかは、釜山の郷土料理として定着するに至った。テジクッパプ(豚のスープごはん/돼지국밥)や、ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)といった料理がその象徴的な存在である。
  • 日本の影響
釜山は日本との距離も近く、古くから倭館を通して交流があった。日本統治時代以降は定住する日本人も増えたことで、たくさんの日本料理も根付くに至った。中でもオデン(おでん/오뎅)は1920年代から広まっており、釜山は韓国における本場として扱われている。また、釜山ではワンタン(완당)も有名だが、ルーツは中華料理にありながらも、日本を経由して広まったためた日本料理として扱われている。

代表的な料理

釜山は韓国第2の都市だけあって郷土料理の種類も多い。テジクッパプ(豚のスープごはん/돼지국밥)や、ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)のように釜山地域全体で親しまれているものから、東莱(トンネ、동래)地区で発達したトンネパジョン(東莱式のネギ焼き、동래파전)や、凡一洞(ポミルドン、범일동)を発祥とするチョバンナクチ(テナガダコの炒め物、조방낙지)など、釜山市内の特定地域で名物となっている料理も多く存在する。

フェ(刺身/회)

フェは刺身(「センソンフェ(刺身/생선회)」の項目も参照)。韓国最大の港町である釜山にはたくさんの新鮮な魚介が水揚げされる。市内の至るところに刺身店があり、韓国最大の水産市場であるチャガルチ市場やその周辺、海雲台ビーチ、広安里ビーチといった観光地には、中でも多くの刺身店が集まる。韓国では刺身というと白身魚が中心であり、釜山においてもヒラメ(광어)、マダイ(참돔)、イシダイ(돌돔)、クロダイ(감성돔)、クロソイ(우럭)、スズキ(농어)、マハタ(능성어)といった魚が主流である。
  • 刺身店の密集地域
鮮魚店、刺身店の集まった地域として、中区のチャガルチ市場(자갈치시장)、新東亜水産物総合市場(신동아 수산물종합시장)、水営区の民楽刺身タウン活魚販売市場(민락회타운 활어판매시장)、海雲台区の海雲台シーランド(해운대씨랜드)などがある。また、松島海水浴場、松亭海水浴場といった観光客の多いビーチ沿いにも刺身店は集まる。

テジクッパプ(豚のスープごはん/돼지국밥)

ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)

トンネパジョン(東莱式のネギ焼き/동래파전)

チョバンナクチ(テナガダコの炒め物/조방낙지)

コムジャンオグイ(ヌタウナギ焼き/곰장어구이)

ヤンゴプチャン(ホルモンの薬味ダレ焼き/양곱창)

ネンチェチョッパル(冷製豚足/냉채족발)

フギョムソグイ(黒ヤギの焼肉/흑염소구이)

カルグクス(手打ちウドン/손칼국수)

テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)

釜山のB級グルメ

  • ホットク
  • トースト

釜山の日本料理

  • オデン
  • ワンタン

釜山の外国料理

  • 中華料理
  • ロシア料理

代表的な特産品

サバ(고등어)

煮干し(멸치)

昆布(다시마)

代表的な酒類・飲料

マッコリ

  • 金井山城マッコリ

焼酎

老舗

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

各地域の料理

江西区(강서구)
  • インオチム(コイの蒸し煮/잉어찜)
機張郡(기장군)
  • カルチフェ(タチウオの刺身/갈치회)機張邑大辺里
  • コムジャンオグイ(ヌタウナギ焼き/곰장어구이)
  • ミョルチチゲ(カタクチイワシの鍋/멸치찌개)機張邑大辺里
  • ミョルチフェ(カタクチイワシの刺身/멸치회)機張邑大辺里
  • プンジャンオグイ(アナゴ焼き/붕장어구이)機張邑竹城里
  • プンジャンオグイ(アナゴ焼き/붕장어구이)日光面七岩里
  • アンジャングバプ(ウニ丼/앙장구밥)
  • ハヌプルコギ(韓牛の牛焼肉/한우불고기)鉄馬面
金井区(금정구)
  • クムジョンサンソンマッコルリ(金井山城マッコリ/금정산성막걸리)金城洞
  • サムダントストゥ(三段トースト/삼단토스트)長箭洞
  • フギョムソグイ(黒ヤギの焼肉/흑염소구이)金城洞
南区(남구)
  • テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)門峴洞
東区(동구)
  • カンチャジャン(目玉焼き載せ炸醤麺/간자장)草梁洞
  • テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)草梁洞
  • ロシアヨリ(ロシア料理/러시아요리)草梁洞
  • チョバンナクチ(テナガダコの炒め物/조방낙지)凡一洞
  • チュングンヨリ(中国料理/중국요리)草梁洞
  • チョバプ(寿司/초밥)凡一洞
東莱区(동래구)
  • コムジャンオグイ(ヌタウナギ焼き/곰장어구이)温泉洞
  • トンネパジョン(東莱式のネギ焼き/동래파전)福泉洞
  • ソンカルグクス(手打ちウドン/손칼국수)福泉洞
  • ヤンゴプチャン(ホルモンの薬味ダレ焼き/양곱창)温泉洞
  • カルグクス(煮干ダシの手打ちうどん/칼국수)温泉洞
釜山鎮区(부산진구)
  • ミョンテテガリジョン(スケトウダラの頭の衣焼き/명태대가리전)釜田洞
  • ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)伽倻洞
  • シアッホットク(ナッツ入りお焼き/씨앗호떡)釜田洞
  • チャプチェマンドゥ(春雨入り餃子/잡채만두)釜田洞
北区(북구)
沙上区(사상구)
  • チェチョプクッ(シジミスープ/재첩국)三楽洞
沙下区(사하구)
西区(서구)
水営区(수영구)
  • コンナムルヘジャンクッ(大豆モヤシのスープごはん/콩나물해장국)民楽洞
  • フェ(刺身/회)民楽洞
蓮堤区(연제구)
影島区(영도구)
中区(중구)
  • コガルビ(サバの焼き魚/고갈비)南浦洞
  • コドゥンオグイ(サバの焼き魚/고등어구이)南浦洞6街
  • ネンチェチョッパル(冷製豚足/냉채족발)富平洞
  • ピビムタンミョン(春雨の薬味ダレ和え/비빔당면)新昌洞
  • ヤンゴプチャン(ホルモンの薬味ダレ焼き/양곱창)南浦洞
  • ワンダン(ワンタンスープ/완당)南浦洞
  • チュクミグイ(イイダコ焼き/쭈꾸미구이)中央洞
  • チャプサルホットク(もち米生地のお焼き/찹쌀호떡)南浦洞(BIFF広場)
  • チュンムキムパプ(ひと口大の海苔巻き/충무김밥)新昌洞
  • パッピンス(カキ氷/팥빙수)新昌洞
  • パッチュク(アズキ粥/팥죽)新昌洞
  • フェ(刺身/회)南浦洞
海雲台区(해운대구)
  • ウオンキムパプ(ゴボウ海苔巻き/우엉김밥)中洞
  • チャンオグイ(アナゴ焼き/장어구이)中洞
  • チョゲグイ(貝焼き/조개구이)中洞
全域
  • テジクッパプ(豚のスープごはん/돼지국밥)
  • ミルミョン(小麦粉麺の冷麺/밀면)

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は1997年2月に初めて釜山を訪れた。当時は大学2年生であり、これが初めての韓国旅行であった。下関から関釜フェリーに乗って釜山へと向かう中で、釜山に住む韓国人大学生と知り合ったことから、釜山の各地を案内してもらうという縁に恵まれた。一連の話は、八田靖史の著書『八田式 イキのいい韓国語あります。』にも詳しい[5]

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政自治部ウェブサイト、2017年9月9日閲覧
  2. 상가안내 、チャガルチ市場ウェブサイト、2017年9月13日閲覧
  3. 자갈치 시장 、韓国観光公社ウェブサイト、2017年9月13日閲覧
  4. 4.0 4.1 자갈치 시장 、釜山歴史文化大典、2017年9月13日閲覧
  5. 八田靖史, 2003, 『八田式 イキのいい韓国語あります。』, 学習研究社, P34-54

外部リンク

関連項目