「平昌郡の料理」の版間の差分

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=== オサムプルコギ(スルメイカと豚バラ肉の炒め物/오삼불고기) ===
 
=== オサムプルコギ(スルメイカと豚バラ肉の炒め物/오삼불고기) ===
:南尚州インターチェンジ近くには飲食店が集まっており、カルグクス(韓国式の手打ちうどん、칼국수)が名物として知られる。カルグクスとともにテジヤンニョムソクセグイ(豚肉の味付け網焼き、돼지양념석쇠구이)を提供する「元祖チチョン食堂(원조지천식당)」と、テジスユク(茹で豚、돼지수육)を提供する「新チチョン食堂(새지천식당)」の2軒が有名。
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:オサムプルコギはスルメイカと豚バラ肉を甘辛く炒めた料理。オサム(오삼)はスルメイカを表すオジンオ([[오징어]])と、豚バラ肉を表すサムギョプサル([[삼겹살]])の頭文字を取ったもの。プルコギは肉や魚介などをタレに漬け込んで焼いた料理を指す(「[[プルコギ(牛焼肉/불고기)]]」の項目も参照)。食べやすい大きさに切ったスルメイカと豚バラ肉を、白菜、長ネギなどの野菜とともに、コチュジャンベースの甘辛いタレに絡めて炒める。平昌郡の東側に位置する横渓(フェンゲ、횡계)地区の郷土料理であり、1970年代から専門店の増えた一画は、横渓オサムプルコギ通り(횡계오삼불고기거리)と呼ばれる。元祖格とされる古株店に、「横渓食堂(횡계식당)」、「ナプチャク食堂(납작식당)」、「トアム食堂(도암식당)」などがある。横渓地区は平昌郡の中でも東海岸に近い東部に位置し、新鮮なスルメイカを入手しやすかったため、山間部にあってこうした魚介料理が発達したとされる。
  
 
=== ソンオフェ(マスの刺身/송어회) ===
 
=== ソンオフェ(マスの刺身/송어회) ===

2017年3月25日 (土) 21:32時点における版

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平昌郡(ピョンチャングン、평창군)は江原道に位置する地域。本ページでは平昌郡の料理、特産品について解説する。

擎天台から眺める洛東江

地域概要

平昌郡は慶尚北道の中南部に位置し、洪川郡、江陵市、旌善郡、寧越郡、横城郡と接する。人口は4万3177人(2017年3月)[1]。郡のほぼ全体を太白山脈が貫く山あいの地域で、同じ江原道の麟蹄郡、洪川郡に次いで全国第3位の山林面積を誇る(総面積は第4位、山林率は81.57%で全国第13位)[2]。五台山(1563m)、桂芳山(1577m)といった名峰は登山客にも人気が高く、これら一帯は五台山国立公園にも指定されている。北東部の蓬坪(ポンピョン、봉평)地区はそばの名産地として知られており、またこの地域出身の小説家、李考石の代表作『そばの花咲く頃(메밀꽃 필 무렵)』の舞台としても有名である。ソウル(高速ターミナル、または東ソウル総合ターミナル)から平昌バスターミナルまでは高速バスで約2時間~2時間20分の距離。ただし、平昌郡は広いので目的地によっては、大和、長坪、横渓、珍富などの各ターミナルを利用するほうが便利なことも多い。

食文化の背景

平昌郡は山間部にあって地域全体の標高が高いことから、「HAPPY700」というキャッチフレーズを掲げている。平昌郡では「海抜700m地点がもっとも幸せな高度」であるとし、「人体にもっとも適合する気圧状態で生態リズムにもっともよい」、「人間の生活とすべての動植物の生育に最適な条件を備えた場所」だ説明している[3]。食文化においてもこうした環境が活かされており、高冷地農業や、韓牛(한우)を中心とした畜産業が盛んである。また、山間部にありながらも大関嶺と呼ばれる峠を越えると東海岸までの距離は意外に近く、ファンテ(황태)と呼ばれるスケトウダラの干物が名産であったり、スルメイカと豚肉を炒めたオジンオプルコギ(오징어불고기)が郷土料理として親しまれるなど、海産物とも馴染みの深い地域である。また、川魚としては五台川(오대천)でとれるマス(송어)が名物として知られる。

代表的な料理

平昌の蓬坪地区は全国的に有名なそばの名産地であり、そば粉を利用した名物料理が多い。また、東海岸の特産品であるスルメイカを豚バラ肉と炒めたオサムプルコギや、川魚のマスを刺身にしたソンオフェといった料理が有名である。なお、スケトウダラを野外で自然乾燥させたファンテや、大関嶺地区で飼育される韓牛については後述の代表的な特産品にて扱う。

マッククス(冷やしそば/막국수)

名実尚柿韓牛のロースピョンチェ
マッククスはそば粉で作った冷たい麺料理(料理の詳細は「マッククス(冷やしそば/막국수)」の項目を参照)。郡内の蓬坪地区は全国的に有名なそばの名産地である。生産量では済州島などが上回るものの、韓国を代表する小説家、李孝石(イ・ヒョソク、이효석)が蓬坪を舞台に書いた短編小説『そばの花咲く頃(메밀꽃 필 무렵)』の名声による印象が大きい。蓬坪では毎年そばの白い花が咲く9月に「孝石文化祭(효석문화제)」を開催[4]。蓬坪におけるそばを利用した料理の代表格がマッククスであり、蓬坪伝統市場の周辺に専門店が多く集まる。
  • その他のそば料理
蓬坪のマッククス専門店では、それ以外にもそば粉を用いた郷土料理を提供する。代表的なものにメミルブチム(そばのチヂミ、메밀부침)、メミルチョンビョン(キムチのそばクレープ巻き、메밀전병)、メミルムクムチム(そば寒天の和え物、메밀묵무침)などがある。また、蓬坪ではそば粉を利用した新しい料理も創作されており、チンパン(あんまん/찐빵)タッカンジョン(鶏の蜜唐揚げ/닭강정)チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)などを提供する店がある。

オサムプルコギ(スルメイカと豚バラ肉の炒め物/오삼불고기)

オサムプルコギはスルメイカと豚バラ肉を甘辛く炒めた料理。オサム(오삼)はスルメイカを表すオジンオ(오징어)と、豚バラ肉を表すサムギョプサル(삼겹살)の頭文字を取ったもの。プルコギは肉や魚介などをタレに漬け込んで焼いた料理を指す(「プルコギ(牛焼肉/불고기)」の項目も参照)。食べやすい大きさに切ったスルメイカと豚バラ肉を、白菜、長ネギなどの野菜とともに、コチュジャンベースの甘辛いタレに絡めて炒める。平昌郡の東側に位置する横渓(フェンゲ、횡계)地区の郷土料理であり、1970年代から専門店の増えた一画は、横渓オサムプルコギ通り(횡계오삼불고기거리)と呼ばれる。元祖格とされる古株店に、「横渓食堂(횡계식당)」、「ナプチャク食堂(납작식당)」、「トアム食堂(도암식당)」などがある。横渓地区は平昌郡の中でも東海岸に近い東部に位置し、新鮮なスルメイカを入手しやすかったため、山間部にあってこうした魚介料理が発達したとされる。

ソンオフェ(マスの刺身/송어회)

2018特選メニュー(2018특선메뉴)

代表的な特産品

洛東江流域で生産される米や、全国の6割以上を生産する干し柿、またリンゴ、ブドウなどの果物を多く生産する。

ファンテ(乾燥スケトウダラ/황태)

干し柿の生産風景

尚州は干し柿の名産地であり、現在は全国の6割以上を生産する[5]。その歴史は朝鮮時代までさかのぼり、『睿宗実録』の1468年11月13日の項目には、文官である尹孝孫(윤효손)の上疏文に「今也乾柿之貢分於尙州(今は干し柿の貢物を尚州に分けると決めた)」との記録が残る[6]。また、1530年に編纂された地理志『新増東国輿地勝覧』の第28巻「慶尚道 尚州牧」の項目にも名産(土産)として柿が記されている[7]

テグァルリョンハヌ(大関嶺韓牛、대관령한우)

代表的な酒類・飲料

平昌郡のマッコリ

銀尺醸造場(은척양조장)のウンジャコルタッペギ(은자골탁배기)や、カラム酒造(가람주조)のプンアク米マッコリ(풍악쌀막걸리)、綾巌醸造場のオルムコル米マッコリ(얼음골쌀막걸리)などがある。

  • ウンジャコルタッペギ(은자골탁배기)
銀尺面鳳中里の「銀尺醸造場(은척양조장)」が製造する銘柄で、尚州産の三白米(삼백미)を原料に自家製の麹(누룩)を用いる。2016年には農林畜産食品部が推進する「訪ねる醸造場(찾아가는 양조장)」にも選定された。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • トアム食堂(도암식당)
住所:江原道平昌郡大関嶺面大関嶺路103、2階(横渓里323-6)
住所:강원도 평창군 대관령면 대관령로 103, 2층(횡계리 323-6)
電話:033-336-5814
料理:オサムプルコギ
  • 蓬坪メミルハーブチンパン(봉평메밀허브찐빵)
住所:江原道平昌郡蓬坪面許生員ジャントキル11(蒼洞里280-1)
住所:강원도 평창군 봉평면 허생원장터길 11(창동리 280-1)
電話:033-336-4946
料理:チンパン
  • ウォリメミルタッカンジョン(월이메밀닭강정)
住所:江原道平昌郡蓬坪面岐豊3キル33(蒼洞里352-6)
住所:강원도 평창군 봉평면 기풍3길 33(창동리 352-6)
電話:033-335-1289
料理:メミルタッカンジョン
  • チョガチプイェッコル(초가집옛골)
住所:江原道平昌郡蓬坪面岐豊1キル5(蒼洞里404-8)
住所:강원도 평창군 봉평면 기풍1길 5(창동리 404-8)
電話:033-336-3360
料理:マッククス、2018特選料理(そばパスタ、韓牛プルコギ)
  • 現代マッククス(현대막국수)
住所:江原道平昌郡蓬坪面トンイジャントキル17(倉洞里384-8)
住所:강원도 평창군 봉평면 동이장터길 17(창동리 384-8)
電話:033-335-0314
料理:マッククス、メミルブチム、メミルチョンビョン
  • ファンテ会館(황태회관)
住所:江原道平昌郡大関嶺面ヌンマウルキル19(横渓里348-5)
住所:강원도 평창군 대관령면 눈마을길 19(횡계리 348-5)
電話:033-335-5795
料理:ファンテヘジャンクッ、ファンテグイ、ファンテチム

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2011年12月19日に初めて平昌郡を訪れた。蓬坪での取材を終えて長坪バスターミナルに向かうタクシーの中で、北朝鮮の金正日総書記が死去したことを知って驚く。横渓までのバスを待つ間、地元住民とともにターミナルに設置されたテレビで、ニュースを見つめたことが印象に強く残っている。

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政自治部ウェブサイト、2017年3月24日閲覧
  2. [산림기본통계 2015 산림기본통계] 、山林庁ウェブサイト、2017年3月24日閲覧
  3. HAPPY700의 정의 、平昌郡ウェブサイト、2017年3月25日閲覧
  4. 평창효석문화제 、孝石文化祭ウェブサイト、2017年3月25日閲覧
  5. 상주의 농특산물 、尚州市ウェブサイト、2016年12月24日閲覧
  6. 상제·학교·공법·사창·정병 유방에 관한 윤효손의 상소문 、国史編纂委員会「朝鮮王朝実録」、2016年12月24日閲覧
  7. 신증동국여지승람 제28권 경상도 상주목 、韓国の知識コンテンツ、2016年12月24日閲覧

外部リンク

関連項目