テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)

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テジコプチャン돼지곱창)は、豚ホルモン焼き。

テジコプチャン

概要

テジ(돼지)は豚。コプチャン(곱창)は小腸を指す。実際の発音は「テジゴプチャン」「トゥェジゴプチャン」がより近い。焼き物を総称するグイ(=クイ、구이)をつけて、テジコプチャングイ(돼지곱창구이)、コプチャングイ(곱창구이)とも呼ぶ。丁寧に下処理をした豚の小腸を鉄板や網などで焼いて作る。味付けは塩焼きにする場合と、辛い薬味ダレに絡めて下味をつける場合があり、ヨムトン(心臓、염통)など他の内臓部位や野菜、キノコなどの具を足すこともある。ゴマ油と粗塩を混ぜたキルムジャン(기름장)というタレにつけて味わうほか、醤油ダレ、味噌ダレなどを用意して食べることも多い。サンチュ(상추)やエゴマの葉などで包んで食べてもよい。豚焼肉店、ホルモン焼き店のメニューに並ぶほか、専門店も数多い。釜山市南区(부산시 남구)の門峴洞(ムニョンドン、문현동)には、テジコプチャン専門店の集まる一画がある。類似の料理として、豚の直腸を焼いて食べるテジマクチャン(豚の直腸焼き/돼지막창)がある。

地域

 
京畿道九里市のヤチェコプチャン
  • 京畿道九里市
京畿道九里市の水沢洞(ステクドン、수택동)には、野菜と一緒にテジコプチャンを炒めたヤチェコプチャン(野菜入り豚ホルモン炒め、야채곱창)の専門店が集まる。ヤチェ(야채)は野菜を意味し、実際の発音は「ヤチェゴプチャン」がより近い。水沢洞には「九里伝統市場(クリチョントンシジャン、구리전통시장)」があり、1980年代の後半頃から市場内の屋台料理としてヤチェコプチャンが発達したとされる。同市場は「トルダリ(돌다리、石橋の意)市場」とも呼ばれることから、一角を「トルダリコプチャン通り(돌다리 곱창골목)」の名前でも呼ぶ。古株店として、「ユバクサコプチャン(유박사곱창)」「ポベコプチャン(보배곱창)」「イモネコプチャン(이모네곱창)」が有名である。
  • 忠清南道礼山郡
忠清南道礼山郡の挿橋邑(サプキョウプ、삽교읍)は、コプチャングイ(豚ホルモン焼き、곱창구이)が名物となっている。ただし、コプチャン(小腸、곱창)とは言いつつも、実際はマクチャン(直腸、막창)やセッキボ(子袋새끼보)を使用するため、テジマクチャン(豚の直腸焼き/돼지막창)の一種と言える。鉄板で焼き、味噌ダレをつけて味わうのが特徴で、一緒にコプチャンチゲ(豚ホルモン鍋、곱창찌개)を頼み、残った煮汁でポックムパプ(チャーハン/볶음밥)を作って食べるのも定番である。1960年代頃から提供が始まったとされ、当時から牛ホルモンを用いたコプチャングイ(牛ホルモン焼き/곱창구이)はあったものの、豚のホルモンを使用するのは珍しく、大衆的な価格を実現したのが画期的であった。
  • 釜山市
釜山市の南区門峴洞(ナムグ ムニョンドン、남구 문현동)一帯に専門店が集まっており、「門峴洞コプチャン通り(문현동곱창골목)」と呼ばれる。もともとこの地域にはと畜場や、畜産市場があったことからテジコプチャンの店が増えていったとされる。各店では豚のコプチャン、テチャン(大腸、대창)、エギボ(子宮=コブクロ、애기보)、ヨムトン(心臓=ハツ、염통)といった部位をコチュジャン、水飴、ゴマ油などを混ぜ合わせたタレに絡め、鉄板焼きにして提供する。韓国で2001年3月に公開された映画『友へ チング(친구)』では、門峴洞コプチャン通りの「七星食堂(칠성식당)」がロケ地のひとつとして使用された。劇中では主人公のジュンソクとサンテクが焼酎を飲みながらテジコプチャンを食べている。

脚注


外部リンク

制作者関連サイト

関連項目