「スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)」の版間の差分

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=== 1960年代 ===
 
=== 1960年代 ===
 
[[ファイル:15032704.JPG|thumb|300px|チゲではない薬味醤油をかけて食べるスンドゥブ]]
 
[[ファイル:15032704.JPG|thumb|300px|チゲではない薬味醤油をかけて食べるスンドゥブ]]
もともとスンドゥブはチゲとしてでなく、出来たての豆腐そのものに薬味醤油をかけて食べるものであった。現在のようなスンドゥブチゲは1960年前後に、ソウル市庁近くの小公洞(ソゴンドン)、西小門洞(ソソムンドン)あたりで専門店が増えたことから広まったとされる。これらのエリアは有名繁華街の明洞(ミョンドン)からも近いため、発祥と明洞として語るケースもままある。その背景としては、近隣に大きな豆腐工場があったため、そこから仕入れをする形で近隣にスンドゥブチゲの専門店が増えたと説明される。
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もともとスンドゥブはチゲとしてでなく、出来たての豆腐そのものに薬味醤油をかけて食べるものであった。現在のようなスンドゥブチゲは1960年前後に、ソウル市庁近くの小公洞(ソゴンドン)、西小門洞(ソソムンドン)あたりで専門店が増えたことから広まったとされる。これらのエリアは有名繁華街の明洞(ミョンドン)からも近いため、発祥地を明洞として語るケースもままある。その背景としては、近隣に大きな豆腐工場があったため、そこから仕入れをする形で近隣にスンドゥブチゲの専門店が増えたと説明される。
  
 
*「小公洞トゥッペギチプ」の開店
 
*「小公洞トゥッペギチプ」の開店
:「小公洞トゥッペギチプ(소공동 뚝배기집)」は1962年に小公洞で創業し<ref>[http://sgd1962.com/introduce/history 소공동 뚝배기집 역사, 연혁] 、소공동 뚝배기집、2015年3月27日閲覧</ref>、現在の韓国においてはもっとも古いスンドゥブチゲ専門店とされる。2代目のホ・ヨンソク社長は「父が店を始める前に市場などでチゲとして販売するケースはあったようだが、店舗として構えたのは『小公洞トゥッペギチプ』が初めて」(八田靖史の取材記録より、2010年2月)と語っており、それを根拠とすれば1950年代後半から1960年代前半にはスンドゥブチゲが料理として存在していたと推測される。
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:「小公洞トゥッペギチプ(소공동 뚝배기집)」は1962年に小公洞で創業し<ref>[http://sgd1962.com/introduce/history 소공동 뚝배기집 역사, 연혁] 、소공동 뚝배기집、2015年3月27日閲覧</ref>、現在の韓国においてはもっとも古いスンドゥブチゲの専門店とされる。2代目のホ・ヨンソク社長は「父が店を始める前に市場などでチゲとして販売するケースはあったようだが、店舗として構えたのは『小公洞トゥッペギチプ』が初めて」(八田靖史の取材記録より、2010年2月)と語っており、それを根拠とすれば1950年代後半から1960年代前半にはスンドゥブチゲが料理として存在していたと推測される。
  
 
*「チョンウォンスンドゥブ」の開店
 
*「チョンウォンスンドゥブ」の開店
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=== 1980~90年代 ===
 
=== 1980~90年代 ===
1980年代から90年代にかけて、韓国系移民によるスンドゥブチゲ専門店がアメリカで増えていった。代表的な店舗には「ニュージャージー小公洞スンドゥブ(뉴저지 소공동순두부)」(1984年創業)、「ビバリースンドゥブ(베버리 순두부)」(1986年創業)、「BCD TOFU HOUSE(북창동순두부)」(1996年創業)などがある。これらの店はコリアンタウンを中心に店舗を拡大し、やがてアメリカ人からもヘルシーフードとして人気を集める。これが後に日本での定着へと影響していった([[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)#日本における定着|日本における定着]]参照)。
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1980年代から90年代にかけて、韓国系移民によるスンドゥブチゲ専門店がアメリカで増えていった。代表的な店舗には「ニュージャージー小公洞スンドゥブ(뉴저지 소공동순두부)」(1984年創業)、「ビバリースンドゥブ(베버리 순두부)」(1986年創業)、「BCD TOFU HOUSE(북창동순두부)」(1996年創業)などがある。これらの店はコリアンタウンを中心に店舗を拡大し、やがてアメリカ人からもヘルシーフードとして人気を集めるまでに成長した。その背景には日本料理としての豆腐人気も少なからずあり、連動する形で広まったとも言える。また、アメリカでのスンドゥブチゲブームは、後に日本での定着にも影響していった([[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)#日本における定着|日本における定着]]参照)。
  
 
==== アメリカにおける進化 ====
 
==== アメリカにおける進化 ====
アメリカで専門店が増えたことによって、スンドゥブチゲは韓国とはまた違った独自の進化を遂げることとなった。大きくは以下のような特徴があげられる。これらの進化はやがて韓国にも逆輸入されたり、また日本をはじめとしたスンドゥブチゲに馴染みのなかった第三国への普及も促進することになった。
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アメリカで専門店が増えたことによって、スンドゥブチゲは韓国とはまた違った独自の進化を遂げることとなった。それらの多くは外国料理であるスンドゥブチゲをいかに定着させるかを考えた工夫であり、大きくは以下のような例があげられる。こうした進化はやがて韓国にも逆輸入されたり、また日本をはじめとしたスンドゥブチゲに馴染みのなかった第三国への普及も促進することになった。
  
 
*段階的に辛さを選べる(1辛~5辛など)
 
*段階的に辛さを選べる(1辛~5辛など)
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