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*カンテンジャン | *カンテンジャン | ||
:カンテンジャン([[강된장]])は、味噌に牛肉、キノコ、魚介、豆腐などの具を入れてどろどろに濃く煮詰めたもの。汁気の少ないテンジャンチゲのような見た目で、ごはんや麦飯と混ぜて[[テンジャンピビムパプ(味噌ビビンバ/된장비빔밥)]]として食べたり、[[サムパプ(葉野菜の包みごはん/쌈밥)]]の包み味噌として用いる。 | :カンテンジャン([[강된장]])は、味噌に牛肉、キノコ、魚介、豆腐などの具を入れてどろどろに濃く煮詰めたもの。汁気の少ないテンジャンチゲのような見た目で、ごはんや麦飯と混ぜて[[テンジャンピビムパプ(味噌ビビンバ/된장비빔밥)]]として食べたり、[[サムパプ(葉野菜の包みごはん/쌈밥)]]の包み味噌として用いる。 | ||
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| + | == 歴史 == | ||
| + | === 文献上の記録 === | ||
| + | ;『三国史記』(683年)の記述 | ||
| + | :高麗時代の文官、金富軾(キム・ブシク、김부식)がまとめた歴史書『三国史記(삼국사기)』には、新羅の第31代王、神文王(シンムヌァン、신문왕)が神文王3年(683年)2月に王妃を迎える際の礼物として、絹、米、酒などとともに「醤([[장]])」と「豉([[시]])」を贈ったことが記録されている<ref>[https://db.history.go.kr/item/compareViewer.do?levelId=sg_008_0020_0140 三国史記 > 新羅本紀 第八 > 神文王 > 金欽運の娘を夫人として迎えるために結納を取り交わす(김흠운의 딸을 부인으로 맞이하기 위해 납채하다)] 、韓国史データベース、2025年8月25日閲覧</ref>。この時代の「醤」はカンジャン(醤油、[[간장]])とテンジャン(味噌、[[된장]])が分化する前の混ざった状態と見られ、「豉」は「醤」を作るためのメジュ(味噌玉麹、[[메주]])を指すと考えられている。 | ||
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| + | ;『増補山林経済』(1766年)の記述 | ||
| + | :朝鮮時代後期の医官、柳重臨(ユ・ジュンニム、유중림)が1766年に増補編纂した農書『増補山林経済([[증보산림경제]])』には、フユアオイ([[아욱]])の調理法として、「醤([[장]])」を加えた「羹([[갱]])」が紹介されており、これをテンジャンチゲのルーツと考える説がある。同書では「フユアオイは羹(チゲ)として作ることができる。葉がついたままの柔らかな茎を折って皮をむき、醤を入れてよく煮込む。干しエビの粉を加えるとより美味しい」【原文1】<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/2557919/1/36 【(朝鮮) 洪萬選】【著】, (朝鮮) 柳重臨 増補, 1766, 『増補山林経済 巻6』] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号5/72)、2025年8月25日閲覧</ref>と紹介されている。現在もフユアオイを入れたテンジャンチゲは、アウクテンジャンチゲ(フユアオイの味噌鍋、[[아욱된장찌개]])と呼ばれ、主に家庭料理として作られる。 | ||
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| + | :【原文1】 | ||
| + | :「只可作羹 連葉折軟茎 去皮 下醤爛煮 加乾蝦屑 尤美」 | ||
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| + | ;『是議全書』(19世紀末)の記述 | ||
| + | :19世紀末に書かれた料理書『是議全書([[시의전서]])』(原著者不詳)には、チョチ([[조치2|조치]])の名前でさまざまなチゲ([[찌개]])が掲載されている。センソンジョチ(魚の鍋、[[생선조치]])の項目では、チョチに多様な種類があると触れたうえで、「醤油を入れるものは名前をマルグンジョチ(澄んだチョチ)、コチュジャン、テンジャンで味付けをするときは米のとぎ汁を入れてチャンジョチ(醤チョチ)と呼ぶ」【原文2】(丸カッコ内は訳注)と紹介している<ref>이효지 외(엮음), 2004,『시의전서』, 신광출판사, P203</ref>。テンジャンチゲに関する具体的な記録としては、これが初出になると見られる。 | ||
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| + | :【原文2】 | ||
| + | :「지령을 넣는 것은 이름이 맑은 조치이고 고추장・된장으로 간을 할 때는 속뜨물을 넣어 □□□□□(된장・고추장) 장 조치라 한다.」(□部分は原書から読み取り不能) | ||
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| + | ;『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述 | ||
| + | :李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』には、テンジャンチゲの名前で調理法が掲載されている。具材として、マツタケ、シイタケ、豚肉、牛の第1胃(ミノ)などがあげられているほか、「最近は日本の味噌と混ぜるのがいちばんよい」【原文3】とも書かれている<ref>李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P157-158</ref><ref>지은이:이용기, 자문:황혜성, 옮긴이:옛음식연구회, 2001, 『다시 보고 배우는 조선무쌍 신식요리제법』, 도서출판 궁중음식연구원, P198-199</ref>(1930年の再版本で確認)。 | ||
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| + | :【原文3】 | ||
| + | :「요사이는 일본된쟝을석거 넛는것이 뎨일조흐니라」 | ||
== 地域 == | == 地域 == | ||