「晋州市の料理」の版間の差分

 
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== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
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晋州市は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の南西部に位置する地域。市の北部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[宜寧郡の料理|宜寧郡]]、北東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[咸安郡の料理|咸安郡]]、南東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[昌原市の料理|昌原市]]と[[固城郡の料理|固城郡]]、南西部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[泗川市の料理|泗川市]]、西部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[河東郡の料理|河東郡]]、北東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[山清郡の料理|山清郡]]と接する。人口は34万3782人。(2022年12月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2023年1月12日閲覧</ref>。
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晋州市は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の南西部に位置する地域。市の北部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[宜寧郡の料理|宜寧郡]]、北東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[咸安郡の料理|咸安郡]]、南東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[昌原市の料理|昌原市]]と[[固城郡の料理|固城郡]]、南西部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[泗川市の料理|泗川市]]、西部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[河東郡の料理|河東郡]]、北東部は[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]の[[山清郡の料理|山清郡]]と接する。人口は33万4360人。(2026年7月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 행정동별 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2026年8月18日閲覧</ref>。
  
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;アクセス
 
[[ソウル市の料理|ソウル市]]からのアクセスは、ソウル駅から晋州駅まで高速鉄道で3時間20~40分。ソウル南部ターミナルから晋州市外バスターミナルまで市外バスで約4時間15分の距離。[[釜山市の料理|釜山市]]の釜山西部市外バスターミナル(沙上)から、晋州市外バスターミナルまで市外バスで1時間30~40分前後の距離である。
 
[[ソウル市の料理|ソウル市]]からのアクセスは、ソウル駅から晋州駅まで高速鉄道で3時間20~40分。ソウル南部ターミナルから晋州市外バスターミナルまで市外バスで約4時間15分の距離。[[釜山市の料理|釜山市]]の釜山西部市外バスターミナル(沙上)から、晋州市外バスターミナルまで市外バスで1時間30~40分前後の距離である。
  
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:料理の発祥は諸説ある。ひとつは文禄・慶長の役で籠城中に食糧が乏しくなり、城内の牛を食用として利用する中で生まれたとされる。また、別の説では、妓房料理(妓生の接待とともに味わう宴会料理)を発祥と考える。論介のエピソードもあるように、古くから北は平壌(ピョンヤン、평양)、南は晋州の妓生がもっとも評判を取った。
 
:料理の発祥は諸説ある。ひとつは文禄・慶長の役で籠城中に食糧が乏しくなり、城内の牛を食用として利用する中で生まれたとされる。また、別の説では、妓房料理(妓生の接待とともに味わう宴会料理)を発祥と考える。論介のエピソードもあるように、古くから北は平壌(ピョンヤン、평양)、南は晋州の妓生がもっとも評判を取った。
  
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:[[ピビムパプ(ビビンバ/비빔밥)]]の具体的な史料は、19世紀末に書かれた料理書『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)が初出とされる。チンジュピビムパプに限ると、1929年12月1日発行の『別乾坤(第24号)』に「慶尚道名物 晋州ピビムパプ」という短いコラムが掲載されている。当時の価格は10銭で、調理法は現在とほぼ変わらない(下記参照)<ref name="bibongsanin">[https://db.history.go.kr/id/ma_015_0220_0330 別乾坤(第24号) / 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚 / 嶺南珍味 晋州비빔밥 飛鳳山人 ] 、韓国史データベース、2026年7月16日閲覧</ref>。
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:[[ピビムパプ(ビビンバ/비빔밥)]]の具体的な史料は、19世紀末に書かれた料理書『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)が初出とされる。チンジュピビムパプに限ると、1929年12月1日発行の『別乾坤(第24号)』に「慶尚道名物 晋州ピビムパプ」という短いコラムが掲載されている(下記参照)<ref name="bibongsanin">[https://db.history.go.kr/id/ma_015_0220_0330 別乾坤(第24号) / 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚 / 嶺南珍味 晋州비빔밥 飛鳳山人 ] 、韓国史データベース、2026年7月16日閲覧</ref>。
  
 
:飲食店としては1927年創業の「天鳳食堂(천황식당)」が現在も営業中である。もともとは一般の家庭だったが、市場の入口にあって庭が広かったため、薪を売りにきた商人たちが一時保管の場所として立ち寄るようになった。その商人らに初代のカン・ムンスク(강문숙)が食事を提供したところ、評判を得て飲食店を開くようになったと伝わる。そこで名物となったのが、短時間でパッと食べられて栄養価の高いチンジュピビムパプであった<ref>(재)한식재단, 2012, 『한국인이 사랑하는 오래된 한식당』, 한국외식정보, P38-39</ref>。
 
:飲食店としては1927年創業の「天鳳食堂(천황식당)」が現在も営業中である。もともとは一般の家庭だったが、市場の入口にあって庭が広かったため、薪を売りにきた商人たちが一時保管の場所として立ち寄るようになった。その商人らに初代のカン・ムンスク(강문숙)が食事を提供したところ、評判を得て飲食店を開くようになったと伝わる。そこで名物となったのが、短時間でパッと食べられて栄養価の高いチンジュピビムパプであった<ref>(재)한식재단, 2012, 『한국인이 사랑하는 오래된 한식당』, 한국외식정보, P38-39</ref>。
  
 
;『別乾坤』(1929年)の記述
 
;『別乾坤』(1929年)の記述
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:1929年12月1日発行の『別乾坤(第24号)』に全国の名物料理を紹介する「珍品・名品・天下名食八道名食礼賛」という企画があり、晋州市の出身と見られる飛鳳山人なる人物が「慶尚道名物 晋州ピビムパプ」という短いコラムを書いている。飛鳳山(ピボンサン、비봉산)は晋州市の市街地近くにある低山である。文中では以下のように作り方を紹介したうえで、万人受けするのはもちろん、胃袋へのどっしりとした満足感も格別」と述べている。当時の価格は10銭であった。
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:「まず、真っ白いごはんの上に、色合いの調和を考えながら、いろいろな具材をぐるりと配していきます。青々とした野菜の横に[[コサリナムル(ワラビのナムル/고사리나물)|ワラビのナムル]]、その隣には淡い黄色をした[[スクチュナムルムチム(緑豆モヤシのナムル/숙주나물무침)|緑豆モヤシのナムル]]といった具合。次に、肉を細かく叩いて煮込んだ醬油味のスープを少量、食べるときに混ぜやすくなる程度にほどよく注ぎます。その上にガラス片のようなチョンポムク(緑豆寒天、[[청포묵]])と、ファンポムク〈クチナシで色付けした黄色い緑豆寒天〉を三、四個のせて、細かく刻んだ[[ユッケ(牛刺身/육회)|ユッケ]]〈牛刺身〉を添え、後を引く味わいのコチュジャンを少量添えればできあがり」<ref name="bibongsanin"></ref><ref>イ・サン編, 八田靖史訳, 2025, 『書かずにいられない味がある: 100年前の韓食文学』, CUON, P202-203</ref>(丸カッコ内は訳注)
 
:「まず、真っ白いごはんの上に、色合いの調和を考えながら、いろいろな具材をぐるりと配していきます。青々とした野菜の横に[[コサリナムル(ワラビのナムル/고사리나물)|ワラビのナムル]]、その隣には淡い黄色をした[[スクチュナムルムチム(緑豆モヤシのナムル/숙주나물무침)|緑豆モヤシのナムル]]といった具合。次に、肉を細かく叩いて煮込んだ醬油味のスープを少量、食べるときに混ぜやすくなる程度にほどよく注ぎます。その上にガラス片のようなチョンポムク(緑豆寒天、[[청포묵]])と、ファンポムク〈クチナシで色付けした黄色い緑豆寒天〉を三、四個のせて、細かく刻んだ[[ユッケ(牛刺身/육회)|ユッケ]]〈牛刺身〉を添え、後を引く味わいのコチュジャンを少量添えればできあがり」<ref name="bibongsanin"></ref><ref>イ・サン編, 八田靖史訳, 2025, 『書かずにいられない味がある: 100年前の韓食文学』, CUON, P202-203</ref>(丸カッコ内は訳注)
  
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以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
 
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
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*ユジョンチャンオ(유정장어)
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*;ユジョンチャンオ(유정장어)
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:晋州城(チンジュソン、진주성)近くの[[晋州市の料理#チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)|チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)]]専門店。醤油ダレ焼き、薬味ダレ焼きの2種を厨房で焼き、鉄板に合い盛りで載せて提供する。1972年創業。
 
:住所:慶尚南道晋州市晋州城路2(南城洞2-14)
 
:住所:慶尚南道晋州市晋州城路2(南城洞2-14)
 
:住所:경상남도 진주시 진주성로 2(남성동 2-14)
 
:住所:경상남도 진주시 진주성로 2(남성동 2-14)
 
:電話:055-746-9235
 
:電話:055-746-9235
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:料理:[[チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)|チャンオグイ(ウナギ焼き)]]
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:最終訪問日:2008年12月8日
  
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*第一食堂(제일식당)
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*;第一食堂(제일식당)★★
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:住所:慶尚南道晋州市晋陽湖路547番キル10-24(大安洞8-288)
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:中央市場内にある[[晋州市の料理#チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)|チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)]]の専門店。一緒についてくる[[ソンジクッ(牛の血入りスープ/선지국)]]は単品メニューとしても注文可。[[ユッケ(牛刺身/육회)]]、カオリムチム(エイの和え物、[[가오리무침]])も用意。店の歴史は90年以上と掲げる。
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:住所:경상남도 진주시 진양호로547번길 10-24(대안동 8-288)
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:住所:慶尚南道晋州市中央市場キル37-8(大安洞8-49)
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:住所:경상남도 진주시 중앙시장길 37-8(대안동 8-49)
 
:電話:055-741-5591
 
:電話:055-741-5591
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:料理:[[ユッケピビムパプ(牛刺身載せビビンバ/육회비빔밥)|チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ)]]
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:最終訪問日:2013年11月8日
  
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*天鳳食堂(천황식당)
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*;天鳳食堂(천황식당)★
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:晋州市を代表する[[晋州市の料理#チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)|チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)]]の老舗。創業年は諸説あるが、店では1915年を掲げる。[[ユッケ(牛刺身/육회)]]、[[ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)]]、[[ネンミョン(冷麺/냉면)]]などのメニューも用意する。
 
:住所:慶尚南道晋州市矗石路207番キル3(大安洞4-1)
 
:住所:慶尚南道晋州市矗石路207番キル3(大安洞4-1)
 
:住所:경상남도 진주시 촉석로207번길 3(대안동 4-1)
 
:住所:경상남도 진주시 촉석로207번길 3(대안동 4-1)
 
:電話:055-741-2646
 
:電話:055-741-2646
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:料理:[[ユッケピビムパプ(牛刺身載せビビンバ/육회비빔밥)|チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ)]]
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:最終訪問日:2008年12月8日
  
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*ハヨノク(하연옥)
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*;ハヨノク(하연옥)★
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:1945年創業の[[晋州市の料理#チンジュネンミョン(晋州冷麺/진주냉면)|チンジュネンミョン(晋州冷麺/진주냉면)]]専門店。麺は蕎麦粉とサツマイモのでんぷんを混ぜて作り、スープはムール貝、サッパ、煮干し、昆布などの海産物に牛骨を加える。[[ムルネンミョン(冷麺/물냉면)]]、[[ピビムネンミョン(混ぜ冷麺/비빔냉면)]]のほか、[[カルビグイ(牛カルビ焼き/갈비구이)|トルパン ソ チャムガルビ(牛カルビの石板焼き/돌판 소 참갈비)]]、[[ユッチョン(牛肉のチヂミ/육전)]]などのメニューもある。
 
:住所:慶尚南道晋州市晋州大路1317-20(二峴洞1191)
 
:住所:慶尚南道晋州市晋州大路1317-20(二峴洞1191)
 
:住所:경상남도 진주시 진주대로 1317-20(이현동 1191)
 
:住所:경상남도 진주시 진주대로 1317-20(이현동 1191)
 
:電話:055-746-0525
 
:電話:055-746-0525
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:料理:[[ネンミョン(冷麺/냉면)|チンジュネンミョン(晋州冷麺)]]
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:最終訪問日:2008年12月8日
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
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韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2003年5月に初めて晋州市を訪れた。韓国のテレビ局から密着取材の依頼を受け、晋州中央市場を散策したり、[[晋州市の料理#チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)|チンジュピビムパプ(晋州ビビンバ/진주비빔밥)]]の専門店を訪ねて飲食店でインタビューを行ったりした。一連の話は、当時書いていたメールマガジン「コリアうめーや!!第54号(晋州のユッケビビンバに感動落涙!!)」<ref>[https://www.kansyoku-life.com/2000/02/1916.html コリアうめーや!!第54号(晋州のユッケビビンバに感動落涙!!)] 、韓食生活、2026年7月17日閲覧</ref>にまとまっている。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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