「インジョルミ(きなこ餅/인절미)」の版間の差分

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:1940年に家政学者の孫貞圭(ソン・ジョンギュ、손정규)が、日本名の伊原圭(いはら・けい)名義で出版した日本語の料理書『朝鮮料理』には、「引切味」の項目名でインジョルミの調理法が紹介されているref>[https://snu.alma.exlibrisgroup.com/view/UniversalViewer/82SNU_INST/12767348480002591?c=&cv=153 伊原圭(孫貞圭)著, 1940, 『朝鮮料理』, 京城書房, P69] 、ソウル大学中央図書館、2026年7月30日閲覧</ref>。餅の搗き方はイラストも載せ、「京城では臼が各家にない為に平たい木の厚い板の上で搗く」と解説している。「内地の餅と全く同じものでありますが拵へる時から衣をつけるのが違ふ」とも比較している。
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:1940年に家政学者の孫貞圭(ソン・ジョンギュ、손정규)が、日本名の伊原圭(いはら・けい)名義で出版した日本語の料理書『朝鮮料理』には、「引切味」の項目名でインジョルミの調理法が紹介されている<ref>[https://snu.alma.exlibrisgroup.com/view/UniversalViewer/82SNU_INST/12767348480002591?c=&cv=153 孫貞圭(伊原圭)著, 1940, 『朝鮮料理』, 京城書房, P69] 、ソウル大学中央図書館、2026年7月30日閲覧</ref>。餅の搗き方はイラストも載せ、「京城では臼が各家にない為に平たい木の厚い板の上で搗く」と解説している。「内地の餅と全く同じものでありますが拵へる時から衣をつけるのが違ふ」とも比較している。
  
 
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2026年7月30日 (木) 02:51時点における版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

インジョルミ인절미)は、きなこ餅。

インジョルミを作っているところ

名称

インジョルミは「引切味」「引切米」などの漢字を当てることが多く、引っ張って長く伸ばし食べやすいように切った餅との意味を表す。かつてはインジョルビョン(引切餅、인절병)とも呼んだ。本辞典ではインジョルミと表記する。発音表記は[인절미]。

概要

インジョルミ(인절미)は、きなこ餅。もち米を蒸してついたものに、きな粉をまぶして作る。少量の砂糖を加えることも多い。韓国ではうるち米を使って作る餅も多いが、もち米を使って作る餅としては代表的な種類のひとつである。伝統餅店、市場などで販売されるほか、伝統茶店でも提供される。近年はインジョルミときな粉をトッピングしたスイーツの人気も高く、中でもデザートカフェ「ソルビン(설빙)」のインジョルミピンス(きな粉餅カキ氷、인절미빙수)は2013年から14年にかけて大ブームとなった。こうしたインジョルミ風のスイーツは定番化しており、インジョルミ味のスナック菓子や、アイスクリームなども登場している。

歴史

インジョルミに関する記録は16世紀頃から見られる。

文献上の記録

『四声通解』(1517年)の記述
朝鮮時代の文人、崔世珍(チェ・セジン、최세진)によって編纂された韻書『四声通解(사성통해)』に記載があり、漢字「𥻓(米へんに咨)」の説明として俗にインジョルミと呼ぶと紹介している[1]
『園幸乙卯整理儀軌』(1795年)の記述
1795年に朝鮮王朝第22代王の正祖(チョンジョ、정조)が京畿道水原市の水原華城(スウォンファソン、수원화성)まで出かけたときの記録『園幸乙卯整理儀軌(원행을묘정리의궤)』には、インジョルミが「各色引切味餅」という名称で記録されている[2]。合わせて使用された食材も「高五寸粘米二斗赤豆大棗石耳各五升実荏子三升実栢子二升乾柿二串清一升」と併記されており、もち米以外に、アズキ、ナツメ、キクラゲ、エゴマ、松の実、干し柿、蜂蜜が使われていたことがわかる。
『飲食知味方』(1670年頃)の記述
1670年頃に張桂香(チャン・ゲヒャン、장계향)が書いた料理書の『飲食知味方』には、「インジョルミの焼き方(인뎔미굽ᄂᆞᆫ법)」という項目があり、「インジョルミの中に1寸ほどの飴を差し入れ、弱火で溶かし焼いて朝食にする」【原文1】と紹介されている[3]
【原文1】「인졀미 소옥애 엿슬 ᄒᆞᆫ 치마곰 고자 녀허 두고 불에 만화로 여시 녹게 구워 아젹으로 먹으라.」
『是議全書』(19世紀末)の記述
19世紀末に書かれた『是議全書(시의전서)』(原著者不詳)には、ナツメ(대추)を用いたテチュインジョルミ(ナツメ入りのきな粉餅、대추인절미)の作り方が紹介されており、「よいもち米をしっかり水に浸した後に引き上げ、1升ぶん作るのであれば、ナツメひと升の種を取り、蒸し器に載せてじっくりと蒸し、一緒につけばよい。アズキ粉やきな粉をまぶす」【原文2】とある。
【原文2(現代語訳)】「좋은 찹쌀을 담가 흠씬 불린 후 건져 1말하려면 대추 1말을 씨를 바르고, 지에 시루 위에 얹어 푹 쪄서 함께 찧으면 좋다. 거피팥고물이나 콩가루를 묻힌다.」[4]

逸話

忠清南道公州市とインジョルミの逸話
忠清南道公州市には、インジョルミの由来について以下のような逸話が伝わっている[5]。1624年に時の王である仁祖(インジョ、인조)は、家臣による反乱事件(李适の乱)が起こった際、公州市まで避難をした。そのとき近所に住む、任(イム、임)という人物が仁祖王にきな粉餅を進上したのだが、仁祖王はこれをことのほか喜び、なんという名前の餅かを尋ねた。ところがその名前を知っている者がいなかったため、仁祖王は「イム氏が作る絶味(ジョルミ=非常に美味しい、절미)の餅)」という意味で、「イムジョルミ(임절미)」と名付けるよう指示をした。これがなまって、後にインジョルミとして定着するに至ったという話である。しかし、実際は1624年以前に書かれた文献にもインジョルミという名前の記述があり、後世に作られたエピソードである可能性も高い。公州市ではこれらの逸話にちなんで、インジョルミを公州餅(コンジュトク、공주떡)と呼ぶとともに、毎年「公州インジョルミ祭り(공주인절미축제)」を開催している。

種類

インジョルミには次のような種類がある。

ヨモギを加えたインジョルミ。
黒ゴマをまぶしたインジョルミ。
アズキ粉をまぶしたインジョルミ。
カステラの粉をまぶしたインジョルミ。

日本における定着

日本の伝統餅店では他の餅と並んで定番のひとつとなっている。

文献上の記録

『朝鮮料理』(1940年)の記述
1940年に家政学者の孫貞圭(ソン・ジョンギュ、손정규)が、日本名の伊原圭(いはら・けい)名義で出版した日本語の料理書『朝鮮料理』には、「引切味」の項目名でインジョルミの調理法が紹介されている[6]。餅の搗き方はイラストも載せ、「京城では臼が各家にない為に平たい木の厚い板の上で搗く」と解説している。「内地の餅と全く同じものでありますが拵へる時から衣をつけるのが違ふ」とも比較している。

2010年代

ソルビンの進出
インジョルミピンス(きなこ餅カキ氷、인절미빙수)を看板メニューとするデザートカフェ「ソルビン(설빙)」が2016年5月東京、原宿に日本1号店を出店した。その後、一時撤退したものの、2022年2月に東京、新大久保へ再進出を果たした。

2020年代

シアッインジョルミ
2022年3月に東京、新大久保でオープンした「BAM BI COFFEE」は、インジョルミにナッツをトッピングし、木の実ソースをかけたシアッインジョルミ(ナッツ載せきな粉餅、씨앗인절미)を看板メニューとして話題となった。インジョルミパンケーキ(きな粉餅パンケーキ、인절미 팬케이크)もメニューにある。

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、留学時代の2000年に初めてインジョルミを食べた。待ち合わせに遅れた友人のひとりが、「これを買っていて遅くなった」と言い訳したのがインジョルミであり、そのエピソードは著書『八田式「イキのいい韓国語あります。」』にも収録されている[7]

地域

インジョルミの名称は公州市から生まれたとの説がある。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

<ソウル>

  • ハプ清潭本店(합 청담본점)
住所:ソウル市江南区狎鴎亭路80キル13地下1階(清潭洞97-11)
住所:서울시 강남구 압구정로80길 13 지하1층(청담동 97-11)
電話:010-9727-8190
備考:インジョルミなどの伝統菓子を専門とするカフェ

脚注

  1. 四聲通解 2卷 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号33/209)、2025年7月13日閲覧
  2. 【PDF】園幸乙卯整理儀軌(巻4饌品/夜茶小盤果十二日、P332、10行目【137/200】) 、デジタル蔵書閣(韓国中央研究院)、2024年8月16日閲覧
  3. 음식디미방 、Wiki文献(위키문헌)、2026年5月29日閲覧
  4. 이효지 외(엮음), 2004,『시의전서』, 신광출판사, P222
  5. 원조 한류스타의 화려한 컴백, 2017 공주 백제문화제 、公州市文化観光、2017年12月23日閲覧
  6. 孫貞圭(伊原圭)著, 1940, 『朝鮮料理』, 京城書房, P69 、ソウル大学中央図書館、2026年7月30日閲覧
  7. 八田靖史, 2003, 『八田式 イキのいい韓国語あります。』, 学習研究社, P215-216

外部リンク

制作者関連サイト

関連項目