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| + | [[ファイル:25112301.jpg|400px|thumb|コグマケイク]] | ||
| + | '''コグマケイク'''([[고구마케이크]])は、サツマイモケーキ。 | ||
| − | + | == 概要 == | |
| + | コグマ([[고구마]])はサツマイモ、ケイク([[케이크]])はケーキ。マッシュしたサツマイモを生クリームと混ぜてサツマイモクリームを作り、スポンジケーキに挟んで作る。表面には粉上にしたスポンジケーキをまぶすことが多い。韓国では定番のケーキとして人気が高く、観光客にとっては韓国らしさを感じさせるスイーツのひとつである。洋菓子店、ベーカリーで販売されるほか、カフェのスイーツメニューとしても提供される。サツマイモを使った料理としては、ほかに[[クンゴグマ(焼き芋/군고구마)]]、コグマティギム(サツマイモの天ぷら、[[고구마튀김]])、[[マッタン(大学イモ/맛탕)]]などがある。 | ||
| + | == 歴史 == | ||
| + | === サツマイモの伝来 === | ||
| + | :朝鮮半島にサツマイモ([[고구마]])が伝来、普及した時期は18世紀後半とみられ、1763年に朝鮮通信使の正使として日本にやってきた趙曮(チョ・オム、조엄)が対馬から持ち帰ったのが栽培の始まりとされる。それ以前にも日本を訪れた際の記録に、サツマイモについてのものがある。 | ||
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| + | ;金麗輝の記録 | ||
| + | :1633年に、慶尚道南海県(現在の[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[南海郡の料理|南海郡]])に住む金麗輝(キム・リョフィ、김려휘)ら28人が、食糧難から[[済州道の料理|済州島]]へと船で向かい、帰路に漂流して奄美大島に漂着した事件があった。このとき一行がサツマイモを食べたと見られる話が後世に伝わっており、初めての記録に当たると考えられている。19世紀前半に李圭景(イ・ギュギョン、이규경)が編纂した百科事典の『五洲衍文長箋散稿(오주연문장전산고)』には、「顯宗4年(1663年)、南海県の金麗輝らが琉球大島に漂着した際、牛尾という野菜に出合った。皮は赤く、身は白く、蒸して食べると味は山芋に似ていた」【原文1】<ref>[https://db.itkc.or.kr/dir/item?itemId=GO#/dir/node?dataId=ITKC_GO_1301A_0200_020_0150 萬物篇○草木類 / 穀種 / 【1184】北藷辨證說(五洲衍文長箋散稿)] 、韓国古典総合DB、2025年8月11日閲覧</ref>とある。同じく19世紀前半に成海応(ソン・ヘウン、성해응)が編纂した『研經齋全集(연경재전집)』には、「琉球に滞在した際、空腹の金麗輝らに島民が牛毛菜を与えた。皮は赤く、身は白く、味は山芋に似ていた」【原文2】<ref>[https://db.itkc.or.kr/dir/item?itemId=MO#/dir/node?dataId=ITKC_MO_0594A_1200_010_0390 硏經齋全集外集卷五十九 / 筆記類○蘭室譚叢] 、韓国古典総合DB、2025年8月11日閲覧</ref>と記されている。 | ||
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| + | :【原文1】「我顯廟四年癸卯。南海縣民金麗輝等。漂至琉球大島。有一菜。名曰牛尾。皮赤肉白。蒸食。味如薯蕷。」 | ||
| + | :【原文2】「泊于琉球國時。麗輝等甚飢。島人與牛毛菜。皮赤肉白。味如薯蕷。」 | ||
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| + | ;『海游録』(1719年)の記述 | ||
| + | :1719年に朝鮮通信使として日本を訪れた申維翰(シン・ユハン)は、道中の記録を『海游録(ヘユロク、해유록)』として残した。同書には京都を訪れた際、ある村落で旅人を相手に「焼芋」を販売する店があったと記している<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/1907631/1/20 海游録 鳳凰琴. 上巻 大東遊記 下巻 (鮮満叢書 ; 第2巻)] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号20/158)、2025年8月11日閲覧</ref>。この「芋」がサツマイモであるかは確実でないが、1717年に松岡恕庵(成章)が書いた『蕃藷録』には、京都ですでに栽培が行われていたことが記述されている<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/2535623/1/13 蕃藷録] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号13/15)、2025年8月11日閲覧</ref>。サツマイモであるなら、クンゴグマについて初めての記録となる。 | ||
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| + | ;『海槎日記』(1763年)の記述 | ||
| + | :1763年に朝鮮通信使の正使として日本を訪れた趙曮は、道中の記録を『海槎日記(ヘサイルギ、해사일기)』として残した。同書には「島には食べられる根菜がある。名を甘藷または孝子麻という。日本では古貴為麻と呼ぶ」【原文3】<ref name="kaikousousai">[https://dl.ndl.go.jp/pid/945655/1/166 朝鮮群書大系 續々第6輯 海行摠載. 4] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号166/250)、2025年8月8日閲覧</ref><ref name="kaisanikki">[https://dl.ndl.go.jp/pid/13207317/1/152 海槎日記 : 江戸時代第十一次(宝暦・明和)朝鮮通信使の記録 日記篇] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号152/169)、2025年8月8日閲覧</ref>との記述があり、この「古貴為麻(コグィウィマ、고귀위마)」が韓国語でサツマイモを意味する「コグマ([[고구마]])」の語源になったとされる。古貴為麻は対馬での呼び名「孝行芋」を記したものと見られ、栽培がたやすく、たびたび飢饉を救ったことから孝行な芋を意味している。『海槎日記』には栽培方法や、食べ方についても記述があり、「生でも焼いても煮てもよく、穀物と混ぜて粥にしたり、蜜に絡めてチョングァ(蜜漬け、[[정과]])にしてもよい。餅を作ったり、飯に混ぜたり、可ならざるものがない」【原文4】<ref name="kaikousousai"></ref><ref name="kaisanikki"></ref>と幅広い用途を示している。 | ||
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| + | :【原文3】「島中有草根可食者 名曰甘藷 或謂孝子麻 倭音古貴為麻」 | ||
| + | :【原文4】「生可食也 炙可食也 烹亦可食也 和穀而作糜粥可也 拌清而為正果可也 或作餅 或和飯 而無不可」 | ||
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | *[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト) | ||
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | *[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール) | ||
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== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
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| + | *[[クンゴグマ(焼き芋/군고구마)]] | ||
*[[マッタン(大学イモ/맛탕)]] | *[[マッタン(大学イモ/맛탕)]] | ||
[[Category:韓食ペディア]] | [[Category:韓食ペディア]] | ||