「済州道の料理」の版間の差分

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== 概要 ==
 
== 概要 ==
 
済州道(チェジュド、제주도)は韓国の南部に位置する島嶼地域。正式には済州特別自治道という名称であり、韓国で唯一の特別自治道(高度な自治権を保証された地方自治団体)である。朝鮮半島の南に浮かぶ済州島(제주도)を含む9の有人島と、55の無人島で構成される島嶼地域で構成される。人口は64万8497人(2017年6月)であり、広域地方自治団体(特別市、広域市、道、特別自治道、特別自治市)の中では特別自治市の[[世宗市の料理|世宗市]]に次いで2番目に少ない<ref>[http://rcps.egov.go.kr:8081/jsp/stat/ppl_stat_jf.jsp 주민등록 인구통계] 、行政自治部ウェブサイト、2017年7月20日閲覧</ref>。[[済州市の料理|済州市]]と、[[西帰浦市の料理|西帰浦市]]の2市で構成されており、道庁所在地は[[済州市の料理|済州市]]。済州島の中央には標高1950mで韓国最高峰の漢拏山(한라산)がそびえ、かつての火山活動による大小の山々と洞窟郡が周辺に広がる。その独特な景観は「済州火山島と溶岩洞窟群」として2007年にユネスコの世界自然遺産としても登録された<ref>[http://unesco.or.jp/isan/list/asia_2/ 世界遺産一覧 地域別リスト(アジア②)] 、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟ウェブサイト、2017年7月20日閲覧</ref>。主要な観光地にはかつての噴火口跡である城山日出峰(성산일출봉)や、巨大洞窟の万丈窟(만장굴)、済州島3大瀑布と称される正房瀑布(정방폭포)、天地淵瀑布(천지연폭포)、天帝淵瀑布(천제연폭포)など、自然景観を活かしたものが多い。済州道までのアクセスは、済州国際空港への飛行機便が一般的である。
 
済州道(チェジュド、제주도)は韓国の南部に位置する島嶼地域。正式には済州特別自治道という名称であり、韓国で唯一の特別自治道(高度な自治権を保証された地方自治団体)である。朝鮮半島の南に浮かぶ済州島(제주도)を含む9の有人島と、55の無人島で構成される島嶼地域で構成される。人口は64万8497人(2017年6月)であり、広域地方自治団体(特別市、広域市、道、特別自治道、特別自治市)の中では特別自治市の[[世宗市の料理|世宗市]]に次いで2番目に少ない<ref>[http://rcps.egov.go.kr:8081/jsp/stat/ppl_stat_jf.jsp 주민등록 인구통계] 、行政自治部ウェブサイト、2017年7月20日閲覧</ref>。[[済州市の料理|済州市]]と、[[西帰浦市の料理|西帰浦市]]の2市で構成されており、道庁所在地は[[済州市の料理|済州市]]。済州島の中央には標高1950mで韓国最高峰の漢拏山(한라산)がそびえ、かつての火山活動による大小の山々と洞窟郡が周辺に広がる。その独特な景観は「済州火山島と溶岩洞窟群」として2007年にユネスコの世界自然遺産としても登録された<ref>[http://unesco.or.jp/isan/list/asia_2/ 世界遺産一覧 地域別リスト(アジア②)] 、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟ウェブサイト、2017年7月20日閲覧</ref>。主要な観光地にはかつての噴火口跡である城山日出峰(성산일출봉)や、巨大洞窟の万丈窟(만장굴)、済州島3大瀑布と称される正房瀑布(정방폭포)、天地淵瀑布(천지연폭포)、天帝淵瀑布(천제연폭포)など、自然景観を活かしたものが多い。済州道までのアクセスは、済州国際空港への飛行機便が一般的である。
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=== 食文化の背景 ===
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:済州道は島嶼地域であり、周囲に囲まれた海からの恵みが食文化の根幹を担った。アマダイ(옥돔)、サバ(고등어)、タチウオ(갈치)、スズメダイ(자리돔)などの魚に加えて、海女(해녀)たちが採集するアワビ([[전복]])、トコブシ([[오분자기]])、サザエ([[소라]])、ウニ([[성게]])、ナマコ([[해삼]])なども特産品として有名である。これらは刺身や、煮付け、鍋料理などに使用するとともに、塩辛などの保存食にも広く応用されている。一方で島の中央には標高1950mの漢拏山がそびえ、高原地域では牛や馬などの牧畜や、野菜、山菜、キノコなどの栽培も盛んである。漢拏山の南側に当たる[[西帰浦市の料理|西帰浦市]]ではミカン([[감귤]])、デコポン([[한라봉]])などの柑橘栽培が行われている。
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*耽羅
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:済州道はもともと耽羅(탐라)という独立国家であり、本土とは異なる建国神話や独自の文化を多数有する。三国時代以降、百済、統一新羅への朝貢を行い、高麗に入っては半独立という状態であったが、朝鮮時代に入って15世紀初めには完全に併合された。
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*済州道と馬肉食
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:13世紀に元が高麗に進行して服属させると、済州道は一時元の直轄領となった。1276年には元が耽羅牧場(탐라목장)を設置し、馬や牛の大規模な飼育を始めた。韓国では馬肉を食用とする習慣はほぼないものの、こうした歴史的経緯から済州道では古くから馬肉食が発達した。現在の済州道には馬肉料理の専門店が数多くあり、焼肉([[말고기구이]])、ユッケ([[말고기육회]])といった料理が味わえる。
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*済州道と豚肉食
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:済州道の家庭では古くから豚を飼う習慣があり、ハレの日にはその豚で祝いの料理を作った。そのため済州道には、オギョプサル(皮付き豚バラ肉の焼肉/[[오겹살]])、トムベゴギ(済州道式の茹で豚、[[돔베고기]])、コギグクス(豚スープ麺、[[고기국수]])、アガンバル(豚足のつま先部分の煮物、아강발)といった豚肉料理が豊富にある。伝統的な家屋では豚の飼育場所がトイレを兼ねており、人間の排泄物をエサとしたことから、済州道では在来種の黒豚([[흑돼지]])をトンテジ(直訳ではうんこ豚、[[똥돼지]])と呼ぶこともある。現在ではこうした飼育方法は行われていないものの、民俗村では当時の暮らしを再現する意味から伝統家屋のトイレで実際に豚を飼っていたりもする。
  
 
== 西帰浦市(서귀포시) ==
 
== 西帰浦市(서귀포시) ==
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