「ホットク(蜜入りのお焼き/호떡)」の版間の差分

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※この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。
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{{Notice}}
 
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[[ファイル:22041201.JPG|thumb|400px|ホットク]]
 
'''ホットク'''([[호떡]])は、蜜入りのお焼き。
 
'''ホットク'''([[호떡]])は、蜜入りのお焼き。
  
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== 概要 ==
 
== 概要 ==
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[[ファイル:22041202.JPG|thumb|300px|ホットクを焼いているところ]]
 
ホットクは小麦粉の生地に黒砂糖の蜜を入れて焼いた料理。シナモンの香りを効かせることが多い。鉄板に油やマーガリンをひき、表面を揚げ焼くようにして作る。主に冬季の屋台料理として軽食、間食用に販売されるが、店によっては通年で販売しているところもある。近年は生地や具、トッピングなどが多様化し、さまざまな種類のホットクが作られるようになっている。スーパーなどでは家庭用としてホットクミックス(ホットクの素)も販売されている。
 
ホットクは小麦粉の生地に黒砂糖の蜜を入れて焼いた料理。シナモンの香りを効かせることが多い。鉄板に油やマーガリンをひき、表面を揚げ焼くようにして作る。主に冬季の屋台料理として軽食、間食用に販売されるが、店によっては通年で販売しているところもある。近年は生地や具、トッピングなどが多様化し、さまざまな種類のホットクが作られるようになっている。スーパーなどでは家庭用としてホットクミックス(ホットクの素)も販売されている。
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
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[[ファイル:22041104.JPG|thumb|300px|イェンナルホットク]]
 
=== 開化期から日本統治時代 ===
 
=== 開化期から日本統治時代 ===
:19世紀末に中国(清)から渡った人たちが伝えたというのが定説。20世紀初頭には全国へと広まり、間食として人気を集めた。当時のホットクは現在のものとは異なり、油を使わずに焼く方式が主流だった。このスタイルは現在の韓国にも残り、[[イェンナルホットク(昔風ホットク/옛날호떡)]]と呼ばれている。
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19世紀末に中国(清)から渡った人たちが伝えたというのが定説。20世紀初頭には全国へと広まり、間食として人気を集めた。当時のホットクは現在のものとは異なり、油を使わずに焼く方式が主流だった。このスタイルは現在の韓国にも残り、[[イェンナルホットク(昔風ホットク/옛날호떡)]]と呼ばれている。
 
*韓福眞の報告
 
*韓福眞の報告
 
:当時ソウルに伝わったホットク店の様子は韓福眞著『私たちの生活100年・飲食(우리 생활 100년-음식)』 に詳しい。以下に引用する。「1900年代初頭、ソウルの太平路2街・明洞・鍾路5街、西小門・小公洞などにあったホットク店の看板は黒く塗った厚い板に金粉で店名を書き、両側に赤い布を房のように垂らしたものを入口にかけ、小さなガラスの陳列台にホットクを置いて売った。店内には机のような座席がいくつかと松の板に足をつけた長椅子があった」「ホットクを焼く窯があり、まず鉄板の上に置いて焼き、次に鉄板の下の窯に入れてひっくり返しながら膨らむ時まで焼く。1930年代には1個5銭で大きさは普通直径16cmほどとひとつ食べても腹がふくれ、学生たちが多く通った」(原文1)。
 
:当時ソウルに伝わったホットク店の様子は韓福眞著『私たちの生活100年・飲食(우리 생활 100년-음식)』 に詳しい。以下に引用する。「1900年代初頭、ソウルの太平路2街・明洞・鍾路5街、西小門・小公洞などにあったホットク店の看板は黒く塗った厚い板に金粉で店名を書き、両側に赤い布を房のように垂らしたものを入口にかけ、小さなガラスの陳列台にホットクを置いて売った。店内には机のような座席がいくつかと松の板に足をつけた長椅子があった」「ホットクを焼く窯があり、まず鉄板の上に置いて焼き、次に鉄板の下の窯に入れてひっくり返しながら膨らむ時まで焼く。1930年代には1個5銭で大きさは普通直径16cmほどとひとつ食べても腹がふくれ、学生たちが多く通った」(原文1)。
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=== 1970~80年代 ===
 
=== 1970~80年代 ===
 
*キム・チャンビョルの報告
 
*キム・チャンビョルの報告
:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中で自身の経験から、「窯で焼くホットクが油の上で揚げ焼くホットクに変わったのは、70年代後半から80年代初めぐらいのことであるようだ」(原文1)と述べている。
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:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中で自身の経験から、「窯で焼くホットクが油の上で揚げ焼くホットクに変わったのは、70年代後半から80年代初めぐらいのことであるようだ」(原文3)と述べている。
  
:【原文1】「화덕에서 굽는 호떡이 기름 위에서 지지는 호떡으로 바뀐 것은 70년대 후반에서 80년대 초반 정도의 일인 것 같다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
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:【原文3】「화덕에서 굽는 호떡이 기름 위에서 지지는 호떡으로 바뀐 것은 70년대 후반에서 80년대 초반 정도의 일인 것 같다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
  
 
=== 2000年代以降 ===
 
=== 2000年代以降 ===
:2000年代以降、ホットクのバリエーションはどんどん増加し、生地、具、トッピングなどの要素において店ごとのオリジナリティがアピールされている。ホットクにフルーツやアイスクリームなどをトッピングし、レストランでのデザートとして活用する例も出てきている。
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2000年代以降、ホットクのバリエーションはどんどん増加し、生地、具、トッピングなどの要素において店ごとのオリジナリティがアピールされている。ホットクにフルーツやアイスクリームなどをトッピングし、レストランでのデザートとして活用する例も出てきている。
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
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[[ファイル:22041203.JPG|thumb|300px|ヤチェホットク]]
 
ホットクには次のような種類がある。
 
ホットクには次のような種類がある。
  
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=== 具のバリエーション ===
 
=== 具のバリエーション ===
*ヤチェホットク(야채호떡)
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*[[ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)]]
 
:具に[[チャプチェ(春雨炒め/잡채)]]を入れたホットク。醤油ダレを塗って味わう。ソウルの南大門市場名物として有名。直訳では「野菜ホットク」という意味になる。
 
:具に[[チャプチェ(春雨炒め/잡채)]]を入れたホットク。醤油ダレを塗って味わう。ソウルの南大門市場名物として有名。直訳では「野菜ホットク」という意味になる。
 
*チーズホットク(치즈호떡)
 
*チーズホットク(치즈호떡)
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=== トッピングのバリエーション ===
 
=== トッピングのバリエーション ===
*シアッホットク(씨앗호떡)
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[[ファイル:22041206.JPG|thumb|300px|シアッホットク]]
:トッピングとしてナッツをまぶしたホットク。具にもナッツを混ぜることがある。釜山の名物として有名。直訳では「種ホットク」という意味になる。
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*[[シアッホットク(ナッツ入りのお焼き/씨앗호떡)]]
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:トッピングとしてナッツをまぶしたホットク。具にもナッツを混ぜることがある。釜山の名物として有名。直訳では「種ホットク」という意味になる。詳細は「[[釜山市の料理#釜山のB級グルメ|釜山市の料理/シアッホットク]]」の項目を参照。
  
 
== 日本における定着 ==
 
== 日本における定着 ==
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[[ファイル:22041204.jpg|thumb|300px|あんこ入りのホットク]]
 
1995年に「ジョンノホットク」の社長が東京の新大久保や赤坂に屋台を出し、ホットクを売り出したのが始まりとされる。「ジョンノホットク」では黒砂糖入りのホットクを「はちみつ」としてわかりやすく表記し、また日本人の舌に合わせてあんこ入り、チーズ入りといったバリエーションも加えた。<ref>[http://www.hotok.jp/hotok.html/ ジョンノホットクについて] 、ジョンノホットクウェブサイト、2014年4月24日閲覧</ref> このスタイルは日本におけるホットクの定番となった。韓流以降は新大久保ではコリアンタウンの名物スイーツとして定着し、提供する店が増えるとともに、中に入れる具もバリエーションが増えた。現在は[[チャプチェ(春雨炒め/잡채)]]入り、チョコレート入り、サツマイモ入りなどが登場している。
 
1995年に「ジョンノホットク」の社長が東京の新大久保や赤坂に屋台を出し、ホットクを売り出したのが始まりとされる。「ジョンノホットク」では黒砂糖入りのホットクを「はちみつ」としてわかりやすく表記し、また日本人の舌に合わせてあんこ入り、チーズ入りといったバリエーションも加えた。<ref>[http://www.hotok.jp/hotok.html/ ジョンノホットクについて] 、ジョンノホットクウェブサイト、2014年4月24日閲覧</ref> このスタイルは日本におけるホットクの定番となった。韓流以降は新大久保ではコリアンタウンの名物スイーツとして定着し、提供する店が増えるとともに、中に入れる具もバリエーションが増えた。現在は[[チャプチェ(春雨炒め/잡채)]]入り、チョコレート入り、サツマイモ入りなどが登場している。
  
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== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
[http://zukan.com/koreanfood/internal11926 韓国料理図鑑(ホットク)/ズカンドットコム]
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;制作者関連サイト
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 +
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
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{{DEFAULTSORT:ほつとく}}
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*[[シアッホットク(ナッツ入りのお焼き/씨앗호떡)]]
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*[[ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)]]
 
*[[イェンナルホットク(昔風ホットク/옛날호떡)]]
 
*[[イェンナルホットク(昔風ホットク/옛날호떡)]]
 
+
*[[チャプチェ(春雨炒め/잡채)]]
{{DEFAULTSORT:ほつとく}}
 
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
[[Category:ソウルの料理]]
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[[Category:餅・菓子・甘味・軽食の一覧]]
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[[Category:屋台料理の一覧]]
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[[Category:外国料理の一覧]]
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[[Category:中国料理の一覧]]
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[[Category:ソウル市の料理]]
 
[[Category:京畿道・仁川市の料理]]
 
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[[Category:江原道の料理]]
 
[[Category:江原道の料理]]
 
[[Category:釜山市の料理]]
 
[[Category:釜山市の料理]]
 
[[Category:済州道の料理]]
 
[[Category:済州道の料理]]
[[Category:餅・菓子・甘味・軽食]]
 
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