「ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)」の版間の差分

 
(同じ利用者による、間の8版が非表示)
15行目: 15行目:
 
[[ファイル:23021801.JPG|300px|thumb|定食形式のナクチボックム。ナムルやサンチュ、海苔などの入った器にナクチボックムとごはんを入れて混ぜて味わう]]
 
[[ファイル:23021801.JPG|300px|thumb|定食形式のナクチボックム。ナムルやサンチュ、海苔などの入った器にナクチボックムとごはんを入れて混ぜて味わう]]
 
[[ファイル:23021802.JPG|300px|thumb|ごはんと混ぜたナクチボックム]]
 
[[ファイル:23021802.JPG|300px|thumb|ごはんと混ぜたナクチボックム]]
ぶつ切りにしたテナガダコをタマネギ、長ネギ、青唐辛子などの野菜とともに、粉唐辛子、コチュジャン、醤油などを混ぜ合わせた薬味ダレで炒める。居酒屋などで酒肴として提供されるほか、専門店では焼肉のように鉄板で炒めながら食べることも多い。茹でた素麺を添え、混ぜ合わせて食べることもある。また、ナクチボックムをごはんに載せたものをナクチトッパプ(テナガダコ炒め載せごはん、[[낙지덮밥]])と呼ぶ。
+
ぶつ切りにしたテナガダコをタマネギ、長ネギ、青唐辛子などの野菜とともに、粉唐辛子、コチュジャン、醤油などを混ぜ合わせた薬味ダレで炒める。居酒屋などで酒肴として提供されるほか、専門店では焼肉のように鉄板で炒めながら食べることも多い。茹でた素麺を添え、混ぜ合わせて食べることもある。また、ナクチボックムをごはんに載せたものをナクチトッパプ(テナガダコ炒め載せごはん、[[낙지덮밥]])と呼び、専門店ではナクチボックムとごはんを混ぜて食べるように定食として提供するところもある。
テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。類似の料理としては、スルメイカを同様に炒めた[[オジンオボックム(イカ炒め/오징어볶음)]]、イイダコを用いた[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]がある。
+
 
 +
テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチスッケ(茹でテナガダコ、[[낙지숙회]])、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチチョムチム(テナガダコの酢和え、[[낙지초무침]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。類似の料理としては、スルメイカを同様に炒めた[[オジンオボックム(イカ炒め/오징어볶음)]]、イイダコを用いた[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]がある。
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
24行目: 25行目:
  
 
;『茲山魚譜』(1814年)の記述
 
;『茲山魚譜』(1814年)の記述
:丁若銓の書いた 魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』には、テナガダコについての記述があり、名称を「石距(석거)」、俗称を「낙제어(絡蹄魚)」と紹介している。
+
:丁若銓の書いた魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』には、テナガダコについての記述があり、名称を「石距(석거)」、俗称を「낙제어(絡蹄魚)」と紹介している。その項目内では、テナガダコについて「色は白く甘味があり、刺身やチゲ、干物によく、人に元気を与える」(原文1)とあり、また「疲れた牛にテナガダコを4~5匹食べさせるとすこぶる健康になる」(原文2)とも書かれている<ref>[https://library.korea.ac.kr/detail/?cid=CAT000000733434&ctype=o 玆山魚譜 / 筆寫本(P60-62)] 、高麗大学校図書館、2023年2月20日閲覧</ref>。
 +
 
 +
:【原文1】色白甘美宣鱠及羹腊人元気
 +
:【原文2】牛之疲憊者飼石距四五首則頗健也
  
 
=== 1950年代 ===
 
=== 1950年代 ===
 
;明洞ハルメナクチの創業
 
;明洞ハルメナクチの創業
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区明洞2街(チュング ミョンドンイガ、중구 명동2가)にあった「明洞ハルメナクチ(명동할매낙지)」は1950年に創業した。現在は閉店。
+
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区明洞2街(チュング ミョンドンイガ、중구 명동2가)にあった「明洞ハルメナクチ(명동할매낙지)」は1950年に創業した。創業以前に10年ほど営業をしていた店を引き継いでおり、そこから考えると1940年頃には明洞でナクチボックムが提供されていたと推測できる<ref>(재)한식재단, 2012, 『한국인이 사랑하는 오래된 한식당』, 한국외식정보(주), P114-115</ref>。現在は閉店。
  
 
=== 1960年代 ===
 
=== 1960年代 ===
39行目: 43行目:
  
 
:*チョバンナクチのトッピング
 
:*チョバンナクチのトッピング
::チョバンナクチには、コプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セウ(エビ、[[새우]])などのトッピングメニューがあり、ナクチ(テナガダコ、[[낙지]])のトッピング材料の頭文字をとって、コプチャンを加えたものはナッコプ([[낙곱]])、セウを加えたものはナクセ([[낙새]])、コプチャンとセウの両方を加えたものはナッコプセ([[낙곱새]])と呼ばれる(詳細は後述の「[[ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)#ナッコプセ|ナッコプセ]]」を参照)。
+
::チョバンナクチには、コプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セウ(エビ、[[새우]])などのトッピングメニューがあり、ナクチ(テナガダコ、[[낙지]])のトッピング材料の頭文字をとって、コプチャンを加えたものはナッコプ([[낙곱]])、セウを加えたものはナクセ([[낙새]])、コプチャンとセウの両方を加えたものはナッコプセ([[낙곱새]])と呼ばれる(詳細は本項目の「[[ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)#ナッコプセ|ナッコプセ]]」を参照)。
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
49行目: 53行目:
 
*ナクチチョルパンボックム(テナガダコの鉄板炒め、[[낙지철판볶음]])
 
*ナクチチョルパンボックム(テナガダコの鉄板炒め、[[낙지철판볶음]])
  
== ナッコプセ ==
+
=== ナッコプセ ===
 
[[ファイル:23021805.JPG|300px|thumb|調理前のナッコプセ]]
 
[[ファイル:23021805.JPG|300px|thumb|調理前のナッコプセ]]
 
:ナッコプセ([[낙곱새]])は、テナガダコと牛の小腸とエビの炒め鍋。ナッ(낙)はナクチ(テナガダコ、[[낙지]])、コプはコプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セはセウ(エビ、[[새우]])のいずれも頭文字で、チョバンナクチ([[釜山市の料理|釜山]]式ナクチボックム)のバリエーションメニューである。1990年代頃から本格的に普及したと見られ、ほかにもさまざまな具の選択肢がある中で、ナッコプセが飛び抜けて有名になった。近年はチョバンナクチよりも、ナッコプセの名称がより優位になった印象がある。チョバンナクチにトッピングをした類似のメニューとしては以下がある。また、ナッコプセから派生して、テナガダコ以外の主材料に牛の小腸とエビをトッピングするアレンジも見られる。
 
:ナッコプセ([[낙곱새]])は、テナガダコと牛の小腸とエビの炒め鍋。ナッ(낙)はナクチ(テナガダコ、[[낙지]])、コプはコプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セはセウ(エビ、[[새우]])のいずれも頭文字で、チョバンナクチ([[釜山市の料理|釜山]]式ナクチボックム)のバリエーションメニューである。1990年代頃から本格的に普及したと見られ、ほかにもさまざまな具の選択肢がある中で、ナッコプセが飛び抜けて有名になった。近年はチョバンナクチよりも、ナッコプセの名称がより優位になった印象がある。チョバンナクチにトッピングをした類似のメニューとしては以下がある。また、ナッコプセから派生して、テナガダコ以外の主材料に牛の小腸とエビをトッピングするアレンジも見られる。
108行目: 112行目:
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:魚介料理の一覧]]
 
[[Category:魚介料理の一覧]]
 +
[[Category:釜山市の料理]]
 +
[[Category:全羅南道・光州市の料理]]
29,495

回編集