「サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)」の版間の差分

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== 名称 ==
 
== 名称 ==
[[ファイル:23022101.JPG|thumb|400px|テナガダコ。サイズの小さなものはセバルナクチ([[세발낙지]])と呼ばれる]]
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[[ファイル:23022101.JPG|thumb|300px|テナガダコ。サイズの小さなものはセバルナクチ([[세발낙지]])と呼ばれる]]
 
サンナクチのサン([[산]])は、動詞「サルダ(生きる、살다)」の過去連体形で「生きている、生きた」を意味し、ナクチ([[낙지]])はテナガダコを表す。分かち書きはせず、ひと単語と考えて「[[산낙지]]」と表記される。日本ではサンナッチとの表記も見られるが、本辞典では「サンナクチ」を使用する。発音表記は〔산낙찌〕。
 
サンナクチのサン([[산]])は、動詞「サルダ(生きる、살다)」の過去連体形で「生きている、生きた」を意味し、ナクチ([[낙지]])はテナガダコを表す。分かち書きはせず、ひと単語と考えて「[[산낙지]]」と表記される。日本ではサンナッチとの表記も見られるが、本辞典では「サンナクチ」を使用する。発音表記は〔산낙찌〕。
  
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== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[ファイル:23022102.JPG|thumb|400px|テナガダコを割り箸に巻き付けているところ]]
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[[ファイル:23022102.JPG|thumb|300px|テナガダコを割り箸に巻き付けているところ]]
 
生きたテナガダコの足をぶつ切りにし、ゴマ油、ゴマ、粗塩をかけて食べる。ぶつ切りにした後も皿の上でうねうねと動くところに人気があり、精がつくと考えられている。また、生きたテナガダコをそのまま丸ごと食べたり、割り箸にぐるぐると巻き付け、チョゴチュジャン(唐辛子酢味噌、[[초고추장]])や、キルムジャン(塩ゴマ油、[[기름장]])につけてかぶりつく食べ方もある。その場合は、あまり大きすぎると食べにくいため、セバルナクチ([[세발낙지]])と呼ばれる小さなテナガダコを用いることが多い。主に刺身店や、海鮮料理店で味わう料理であり、主産地である[[全羅南道の料理|全羅南道]]の郷土料理としても知られる。
 
生きたテナガダコの足をぶつ切りにし、ゴマ油、ゴマ、粗塩をかけて食べる。ぶつ切りにした後も皿の上でうねうねと動くところに人気があり、精がつくと考えられている。また、生きたテナガダコをそのまま丸ごと食べたり、割り箸にぐるぐると巻き付け、チョゴチュジャン(唐辛子酢味噌、[[초고추장]])や、キルムジャン(塩ゴマ油、[[기름장]])につけてかぶりつく食べ方もある。その場合は、あまり大きすぎると食べにくいため、セバルナクチ([[세발낙지]])と呼ばれる小さなテナガダコを用いることが多い。主に刺身店や、海鮮料理店で味わう料理であり、主産地である[[全羅南道の料理|全羅南道]]の郷土料理としても知られる。
  
テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチスッケ(茹でテナガダコ、[[낙지숙회]])ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。
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テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチスッケ(茹でテナガダコ、[[낙지숙회]])、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチチョムチム(テナガダコの酢和え、[[낙지초무침]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。
  
 
=== 食べ方 ===
 
=== 食べ方 ===
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=== 文献上の記録 ===
 
=== 文献上の記録 ===
 
;『茲山魚譜』(1814年)の記述
 
;『茲山魚譜』(1814年)の記述
:丁若銓の書いた 魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』には、テナガダコについての記述があり、名称を「石距(석거)」、俗称を「낙제어(絡蹄魚)」と紹介している。その項目内では、テナガダコについて「色は白く甘味があり、刺身やチゲ、干物によく、人に元気を与える」(原文1)とあり、また「疲れた牛にテナガダコを4~5匹食べさせるとすこぶる健康になる」(原文2)とも書かれている<ref>[https://library.korea.ac.kr/detail/?cid=CAT000000733434&ctype=o 玆山魚譜 / 筆寫本(P60-62)] 、高麗大学校図書館、2023年2月20日閲覧</ref>。
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:丁若銓の書いた魚類学書『茲山魚譜(자산어보)』には、テナガダコについての記述があり、名称を「石距(석거)」、俗称を「낙제어(絡蹄魚)」と紹介している。その項目内では、テナガダコについて「色は白く甘味があり、刺身やチゲ、干物によく、人に元気を与える」(原文1)とあり、また「疲れた牛にテナガダコを4~5匹食べさせるとすこぶる健康になる」(原文2)とも書かれている<ref>[https://library.korea.ac.kr/detail/?cid=CAT000000733434&ctype=o 玆山魚譜 / 筆寫本(P60-62)] 、高麗大学校図書館、2023年2月20日閲覧</ref>。
  
【原文1】色白甘美宣鱠及羹腊人元気
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:【原文1】色白甘美宣鱠及羹腊人元気
【原文2】牛之疲憊者飼石距四五首則頗健也
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:【原文2】牛之疲憊者飼石距四五首則頗健也
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
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[[ファイル:23102403.JPG|thumb|300px|セバルナクチ]]
 
足をぶつ切りにして食べる場合と、丸ごとのまま食べる場合がある。
 
足をぶつ切りにして食べる場合と、丸ごとのまま食べる場合がある。
  
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== 日本における定着 ==
 
== 日本における定着 ==
[[ファイル:23022103.JPG|thumb|400px|サンナクチをより活発に動かすためのレモンエキス]]
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[[ファイル:23022103.JPG|thumb|300px|サンナクチをより活発に動かすためのレモンエキス]]
 
韓国式刺身店や、海鮮料理を専門とする店においては、サンナクチを提供しているところがある。近年は動画映えするとの理由から、YouTuberらが取り上げる事例もある。
 
韓国式刺身店や、海鮮料理を専門とする店においては、サンナクチを提供しているところがある。近年は動画映えするとの理由から、YouTuberらが取り上げる事例もある。
  
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*[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]
 
*[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]
 
*[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]
 
*[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]
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*[[ユッケ(牛刺身/육회)]]
 
*[[全羅南道の料理]]
 
*[[全羅南道の料理]]
 
*[[木浦市の料理]]
 
*[[木浦市の料理]]
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[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:魚介料理の一覧]]
 
[[Category:魚介料理の一覧]]
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[[Category:全羅南道・光州市の料理]]
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