「サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)」の版間の差分

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2000年代に入るとサムギョプサルは劇的な進化を遂げる。それまでの庶民的な安い焼肉というイメージから脱却し、店ごとに工夫を凝らした高級志向のサムギョプサルがどんどん登場した。その端緒は2000年頃からブームとして火が付いた[[ワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)]]の成功にあり、この流れからハーブやチーズと組み合わせたサムギョプサルなど、さまざまなアレンジが生まれていった。背景にはアジア通貨危機からの経済的な回復と、2002年のFIFAワールドカップ(日本と韓国で共催)を目前に海外からの食文化が多く流入したことで、フュージョン料理の人気が高まっていたことなどがあげられる。2000年代の前半にさまざまなサムギョプサルが登場してブームとなったことで、当時韓流の訪れによって韓国への関心が高まっていた日本へも波及し、日本でもサムギョプサルが最先端の韓国料理として人気を集めるに至った([[サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)#日本における定着|日本における定着]]参照)。
 
2000年代に入るとサムギョプサルは劇的な進化を遂げる。それまでの庶民的な安い焼肉というイメージから脱却し、店ごとに工夫を凝らした高級志向のサムギョプサルがどんどん登場した。その端緒は2000年頃からブームとして火が付いた[[ワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)]]の成功にあり、この流れからハーブやチーズと組み合わせたサムギョプサルなど、さまざまなアレンジが生まれていった。背景にはアジア通貨危機からの経済的な回復と、2002年のFIFAワールドカップ(日本と韓国で共催)を目前に海外からの食文化が多く流入したことで、フュージョン料理の人気が高まっていたことなどがあげられる。2000年代の前半にさまざまなサムギョプサルが登場してブームとなったことで、当時韓流の訪れによって韓国への関心が高まっていた日本へも波及し、日本でもサムギョプサルが最先端の韓国料理として人気を集めるに至った([[サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)#日本における定着|日本における定着]]参照)。
  
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=== 2010年代 ===
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2008年に牛焼肉のブームが起こり、高級な韓牛([[한우]])の等級にこだわったり、希少部位を専門に提供する焼肉店が増加した。2010年に入ってそれが豚焼肉にも波及し、[[カルメギサル(豚ハラミ(焼肉)/갈매기살)]]、[[モクサル(豚の首肉(焼肉)/목살)]]、[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]といった部位が台頭し、サムギョプサルと肩を並べるに至った。サムギョプサルも済州産の黒豚や、[[オギョプサル(皮付き豚バラ肉の焼肉/오겹살)]]にこだわる店など、食べ方よりも肉の品質にこだわる店が増えていった。2015年には世界的な熟成肉のブームから、乾燥熟成(ドライエイジング)させた豚焼肉も登場し話題を集めた。
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==

2017年8月17日 (木) 23:06時点における版

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サムギョプサル삼겹살)は、豚バラ肉の焼肉。もともとサムギョプサルとは豚バラ肉を表す部位名だが、それを焼いて食べる料理としてもサムギョプサルと呼ぶ。韓国ではもっともポピュラーな豚焼肉のひとつである。

名称

サムギョプサルは豚バラ肉の焼肉。サムギョプサルとは豚バラ肉のことで、サム(삼)は数字の3、ギョプ(겹)は層、サル(살)は肉を表す。直訳をすると「三層の肉」という意味である。赤身と脂身と層状になった豚バラ肉の見た目に由来する。日本語においては「サムギョッサル」「サンギョッサル」「サンギョプサル」「サムギョップサル」など多様な表記が使われている。また日本語で豚バラ肉のことを「三枚肉」「三枚バラ」とも称することから、「三段バラ」「三段バラ肉」との表記も散見される。本辞典ではサムギョプサルと表記する。発音表記は[삼겹쌀]。

概要

サムギョプサルは豚バラ肉を鉄板や網などで焼いて調理をする。焼けた豚バラ肉はサンチュ(상추)、エゴマの葉(깻잎)などの葉野菜で包み、サムジャン(쌈장)と呼ばれる合わせ味噌や、パジョリ(파절이、白髪ネギの和え物)、スライスしたニンニク、刻んだ青唐辛子などを薬味として加えて味わう。キルムジャン(기름장)と呼ばれるゴマ油と塩を混ぜたタレにつけてもよい。豚焼肉店のメニューに並ぶほか、サムギョプサル専門の店も数多く存在し、店ごとに食べ方、焼き方、肉の切り方などに個性が見られ、そのバリエーションもたいへん豊富である(種類参照)。

歴史

1980年代

豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、サムギョプサルが豚焼肉として広く普及したのは1980年代前半ではないかとの見解が多い。

  • キム・チャンビョルの報告
キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文1)と述べている。
【原文1】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」[1]
  • 『B級グルメが見た韓国』の記述
1989年に発行された文藝春秋編『B級グルメが見た韓国』にはサムギョプサルに関する記述がある。本書ではソウルの忠武路にある「忠武路テジチプ(충무로돼지집)」という豚焼肉店を取材したうえで、テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)とともにサムギョプサルを紹介し、「大衆焼き肉のもうひとつの代表格ともいえる人気メニューとなっている」と述べている。本書のデータは1988年12月現在となっており、当時の価格でテジカルビが1人前3000ウォン、サムギョプサルは1人前2500ウォンであった[2]

1990年代

外食の普及によってサムギョプサルは庶民的な焼肉として定番の座を獲得する。冷凍肉を使った安い焼肉とのイメージも強く、90年代前半にはそれを極薄切りにしたテペサムギョプサル(薄切り豚バラ肉の焼肉/대패삼겹살)が登場する。テペとはかんな(鉋)のことで、かんなで削ったように薄いことから名付けられた。1997年にアジア通貨危機が起こると、韓国では企業の倒産が相次ぎ、IMFの管理下に入って経済支援を受けるに至った。この時期以降、不景気な情勢を象徴するかのように「IMF価格」を掲げた激安のサムギョプサルが台頭した。

2000年代

2000年代に入るとサムギョプサルは劇的な進化を遂げる。それまでの庶民的な安い焼肉というイメージから脱却し、店ごとに工夫を凝らした高級志向のサムギョプサルがどんどん登場した。その端緒は2000年頃からブームとして火が付いたワインサムギョプサル(ワインに漬けた豚バラ肉の焼肉/와인삼겹살)の成功にあり、この流れからハーブやチーズと組み合わせたサムギョプサルなど、さまざまなアレンジが生まれていった。背景にはアジア通貨危機からの経済的な回復と、2002年のFIFAワールドカップ(日本と韓国で共催)を目前に海外からの食文化が多く流入したことで、フュージョン料理の人気が高まっていたことなどがあげられる。2000年代の前半にさまざまなサムギョプサルが登場してブームとなったことで、当時韓流の訪れによって韓国への関心が高まっていた日本へも波及し、日本でもサムギョプサルが最先端の韓国料理として人気を集めるに至った(日本における定着参照)。

2010年代

2008年に牛焼肉のブームが起こり、高級な韓牛(한우)の等級にこだわったり、希少部位を専門に提供する焼肉店が増加した。2010年に入ってそれが豚焼肉にも波及し、カルメギサル(豚ハラミ(焼肉)/갈매기살)モクサル(豚の首肉(焼肉)/목살)ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)といった部位が台頭し、サムギョプサルと肩を並べるに至った。サムギョプサルも済州産の黒豚や、オギョプサル(皮付き豚バラ肉の焼肉/오겹살)にこだわる店など、食べ方よりも肉の品質にこだわる店が増えていった。2015年には世界的な熟成肉のブームから、乾燥熟成(ドライエイジング)させた豚焼肉も登場し話題を集めた。

種類

サムギョプサルには次のような種類がある。

  • キムチサムギョプサル(김치삼겹살):キムチと一緒に焼くサムギョプサル。
  • テペサムギョプサル(대패삼겹살):カンナで削ったように肉を薄切りにしたサムギョプサル。
  • トッサムギョプサル(떡삼겹살):餅で巻いて食べるサムギョプサル
  • ワインサムギョプサル(와인삼겹살):ワインに漬け込んだ豚バラ肉を焼いて味わうサムギョプサル。
  • チーズサムギョプサル(치즈삼겹살):溶かしたチーズにつけて食べるサムギョプサル。
  • カルサムギョプサル(칼삼겹살):肉に包丁目をたくさん入れたサムギョプサル。ポルチプサムギョプサル(벌집삼겹살)とも呼ぶ。
  • ハーブサムギョプサル(허브삼겹살):ハーブで下味をつけたサムギョプサル。

日本における定着

外部リンク

関連項目

  1. 김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87
  2. 文藝春秋編, 1989, 『B級グルメが見た韓国』, 文藝春秋, P158