「カルメギサル(豚ハラミの焼肉/갈매기살)」の版間の差分

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'''カルメギサル'''([[갈매기살]])は、豚ハラミの焼肉。
 
'''カルメギサル'''([[갈매기살]])は、豚ハラミの焼肉。
  
 
== 名称 ==
 
== 名称 ==
カルメギサルは豚ハラミ(横隔膜)を指す部位名。また、その焼肉料理を意味する。韓国語でカルメギは鳥類のカモメを意味し、カモメの肉と混同される場合もあるが、あくまでも豚肉の一部位であり、もともとは横隔膜を意味するカロマク(가로막)に由来するとの説が有力である。横隔膜に付帯する肉との意味のカロマクサル(가로막살)が、転じてカルメギサルと呼ばれるようになった。また、同様の理屈から、肉と内臓を分かつついたて(칸막이)のような部位との意味からカンマギサル(칸막이살)、さらには肝臓との間を分かつとの意味でカンマギサル(간막이살)から転じたとの説もある。一方で、豚ハラミを広げたときの姿がカモメに似ていることからカルメギサルと呼ばれるようになったとの説もよく語られる。日本ではガルメギサルとの表記も見られるが、本辞典においては「カルメギサル」を使用する。発音表記は[갈매기살]。
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カルメギサルは豚ハラミ(横隔膜)を指す部位名。また、その焼肉料理を意味する。韓国語でカルメギは鳥類のカモメを意味し、カモメの肉と混同される場合もあるが、あくまでも豚肉の一部位であり、もともとは横隔膜を意味するカロマク(가로막)に由来するとの説が有力である。横隔膜に付帯する肉との意味のカロマクサル([[가로막살]])が、転じてカルメギサルと呼ばれるようになった。また、同様の理屈から、肉と内臓を分かつついたて(칸막이)のような部位との意味からカンマギサル(칸막이살)、さらには肝臓との間を分かつとの意味でカンマギサル(간막이살)から転じたとの説もある。一方で、豚ハラミを広げたときの姿がカモメに似ていることからカルメギサルと呼ばれるようになったとの説もよく語られる。日本ではガルメギサルとの表記も見られるが、本辞典においては「カルメギサル」を使用する。発音表記は[갈매기살]。
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
カルメギサルは豚ハラミの焼肉。塩やゴマ油、またはタレなどで下味をつけ、鉄板、網などで焼いて食べる。脂肪が少なく、シコシコとした食感が特徴で、噛み締める中から豊富なうま味を楽しめるのが持ち味である。食べ方は一般的な焼肉料理と同様に、キルムジャン([[기름장]])と呼ばれる塩とゴマ油を混ぜたタレにつけて食べるか、またはサンチュ、エゴマの葉などの葉野菜に包み、スライスニンニク、刻んだ青唐辛子、千切りネギのサラダなどを添え、サムジャン([[쌈장]]、合わせ味噌)を載せて味わう。カルメギサルを専門とする店もあるが、豚焼肉店の一メニューとして提供されることが多い。一般的には特殊部位([[특수부위]]、希少部位)のひとつと認識される。
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カルメギサルは豚ハラミの焼肉。塩やゴマ油、またはタレなどで下味をつけ、鉄板、網などで焼いて食べる。脂肪が少なく、シコシコとした食感が特徴で、噛み締める中から豊富なうま味を楽しめるのが持ち味である。食べ方は一般的な焼肉料理と同様に、キルムジャン([[기름장]]、塩ゴマ油)につけて食べるか、またはサンチュ、エゴマの葉などの葉野菜に包み、スライスニンニク、刻んだ青唐辛子、千切りネギのサラダなどを添え、サムジャン(合わせ味噌、[[쌈장]])を載せて味わう。カルメギサルを専門とする店もあるが、豚焼肉店の一メニューとして提供されることが多い。一般的には特殊部位(希少部位、[[특수부위]])のひとつと認識される。
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
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;京畿道城南市の事例
 
;京畿道城南市の事例
:京畿道城南市中院区麗水洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代から専門店ができ始めたとされる。この一帯はヨスル村(여술마을)とも呼ばれる。
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:[[京畿道の料理|京畿道]][[城南市の料理|城南市]]中院区麗水洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代から専門店ができ始めたとされる。この一帯はヨスル村(여술마을)とも呼ばれる。
  
 
*韓国観光公社の記述
 
*韓国観光公社の記述
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*デジタル城南文化電子大典の記述
 
*デジタル城南文化電子大典の記述
:城南市の郷土文化を紹介する「デジタル城南文化電子大典」では、「麗水洞カルメギサル村」について以下のように説明している。
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:[[京畿道の料理|京畿道]][[城南市の料理|城南市]]の郷土文化を紹介する「デジタル城南文化電子大典」では、「麗水洞カルメギサル村」について以下のように説明している。
  
 
:「盆唐区と中院区の間に位置する麗水洞はカルメギサルを専門的に販売する食堂30余ヶ所が集まる場所である。1960年代からこの近所である野塔洞のチャンミ村には、城南屠畜場があった。もともと屠畜場では豚肉の横隔膜と肝臓の間にある筋肉質のスジである『カロマクサル』を販売できるものと考えてはいなかった。ところがある日、誰かが見向きもされない『カロマクサル』を集めて皮をはがして売り始めた。人々はカルマクサルの、脂肪がなく、肉質が柔らかく、シコシコとした味を喜んだ。すると『カロマクサル』だけを専門的に扱う焼肉店ができ、それが集団を形成し、今日の麗水洞カルメギサル村になった。『アンチャンコギ(ハラミ肉)』とも呼ばれるカロマクサルは速く発音すると、『カルメギサル』と呼ばれるようになる。しかし、その理由について今まで定説はない」(原文1)<ref>[http://seongnam.grandculture.net/Contents?local=seongnam&dataType=01&contents_id=GC00101481 여수동갈매기살촌] 、デジタル城南文化電子大典、2014年10月4日閲覧</ref>
 
:「盆唐区と中院区の間に位置する麗水洞はカルメギサルを専門的に販売する食堂30余ヶ所が集まる場所である。1960年代からこの近所である野塔洞のチャンミ村には、城南屠畜場があった。もともと屠畜場では豚肉の横隔膜と肝臓の間にある筋肉質のスジである『カロマクサル』を販売できるものと考えてはいなかった。ところがある日、誰かが見向きもされない『カロマクサル』を集めて皮をはがして売り始めた。人々はカルマクサルの、脂肪がなく、肉質が柔らかく、シコシコとした味を喜んだ。すると『カロマクサル』だけを専門的に扱う焼肉店ができ、それが集団を形成し、今日の麗水洞カルメギサル村になった。『アンチャンコギ(ハラミ肉)』とも呼ばれるカロマクサルは速く発音すると、『カルメギサル』と呼ばれるようになる。しかし、その理由について今まで定説はない」(原文1)<ref>[http://seongnam.grandculture.net/Contents?local=seongnam&dataType=01&contents_id=GC00101481 여수동갈매기살촌] 、デジタル城南文化電子大典、2014年10月4日閲覧</ref>
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;ソウル市麻浦区桃花洞の事例
 
;ソウル市麻浦区桃花洞の事例
:ソウル市麻浦区桃花洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代後半から専門店ができ始めたとされる。「釜山カルメギ(부산갈매기)」が1978年、「元祖カルメギ(원조갈매기)」が1979年創業の看板を掲げており、一帯は「麻浦カルメギサル通り(마포갈매기살골목)」と呼ばれる。
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:[[ソウル市の料理|ソウル市]]麻浦区桃花洞にはカルメギサルの専門店が集まっており、1970年代後半から専門店ができ始めたとされる。「釜山カルメギ(부산갈매기)」が1978年、「元祖カルメギ(원조갈매기)」が1979年創業の看板を掲げており、一帯は「麻浦カルメギサル通り(마포갈매기살골목)」と呼ばれる。
  
 
=== 2010年代 ===
 
=== 2010年代 ===
2010年から11年頃に豚肉の特殊部位を扱う専門店が続々と増えてブームになった。これは2008年頃からの韓牛ブームによって、牛肉の特殊部位を提供する店が増えたことも影響していると考えられる。カルメギサルは[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]、カブリサル([[가브리살]]、バラ肉を包んでいる肉 )、[[コプテギ(豚皮の焼肉/껍데기)]]などとともに代表的な豚肉の特殊部位として定着している。
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2010年から11年頃に豚肉の特殊部位を扱う専門店が続々と増えてブームになった。これは2008年頃からの韓牛ブームによって、牛肉の特殊部位を提供する店が増えたことも影響していると考えられる。カルメギサルは[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]、カブリサル(バラ肉を包んでいる肉、[[가브리살]])、[[コプテギ(豚皮の焼肉/껍데기)]]などとともに代表的な豚肉の特殊部位として定着している。
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
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== 日本における定着 ==
 
== 日本における定着 ==
日本では焼肉店などで豚ハラミとして提供されている。韓国料理のカルメギサルとしては、まだほとんど馴染みがなく、これからの定着が期待される。
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焼肉店などで豚ハラミとして提供されているほか、2010年代半ばからは韓国式の専門店も登場している。
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*東京カルメギのオープン
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:2014年10月15日に東京・牛込神楽坂で「東京カルメギ」がオープンした(現在は閉店)。
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*ソレカルメギの日本進出
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:2015年8月8日に「ソレカルメギ(서래갈매기)」の日本1号店が東京・新大久保にオープンした(現在は閉店)。
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
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== 地域 ==
 
== 地域 ==
*ソウル市麻浦区桃花洞
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*[[ソウル市の料理|ソウル市]]麻浦区桃花洞
 
:孔徳駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、麻浦カルメギサル通りと呼ばれる。
 
:孔徳駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、麻浦カルメギサル通りと呼ばれる。
*ソウル市鍾路区敦義洞
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*[[ソウル市の料理|ソウル市]]鍾路区敦義洞
 
:鍾路3街駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、鍾路3街カルメギサル通り(종로3가 갈매기살골목)と呼ばれる。
 
:鍾路3街駅の近くにカルメギサルの専門店が集まっており、鍾路3街カルメギサル通り(종로3가 갈매기살골목)と呼ばれる。
*京畿道城南市中院区麗水洞
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*[[京畿道の料理|京畿道]][[城南市の料理|城南市]]中院区麗水洞
 
:麗水洞にカルメギサルの専門店が集まっている。
 
:麗水洞にカルメギサルの専門店が集まっている。
  
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*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
 
*[http://www.kansyoku-life.com/profile 八田靖史プロフィール](八田靖史のプロフィール)
*[https://itunes.apple.com/us/app/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E9%A3%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%BE%9E%E5%85%B8/id1220010846?l=ja&ls=1&mt=8 韓国語食の大辞典アプリ版](八田靖史制作の韓国料理専門辞典)
 
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
  
 
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*[[コプテギ(豚皮の焼肉/껍데기)]]
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*[[ハンジョンサル(豚トロの焼肉/항정살)]]
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*[[ソウル市の料理]]
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*[[京畿道の料理]]
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*[[城南市の料理]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:焼肉料理の一覧]]
 
[[Category:焼肉料理の一覧]]
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