「プルコギ(牛焼肉/불고기)」の版間の差分

 
(同じ利用者による、間の13版が非表示)
4行目: 4行目:
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
プル([[불]])は火、コギ([[고기]])は肉を表す。広義には焼肉全体を指すが、単にプルコギと呼んだ場合は、薄切りの牛肉に味付けをして焼いたものを指すことが多い。薄切りの牛肉に、醤油、砂糖、清酒、ゴマ油、刻みネギ、みじん切りニンニクなどを混ぜ合わせた薬味ダレで下味をつけ、タマネギ、春菊、タンミョン(春雨、[[당면]])などとともに網や鉄板などで焼いて食べる。ナシやリンゴなどの果物の果汁を下味に用いる場合もあり、全体的に甘い味付けになっている。主に焼肉店で食べるメニューであるが、家庭でもご馳走料理として作られることが多い。また、[[トゥッペギプルコギ(1人前の土鍋プルコギ/뚝배기불고기)]]の場合は一般の食堂で定食としてメニューに並ぶ。
+
プル([[불]])は火、コギ([[고기]])は肉を表す。実際の発音は'''プルゴギ'''がより近い。広義には焼肉全体を指すが、単にプルコギと呼んだ場合は、薄切りの牛肉に味付けをして焼いたものを指すことが多い。醤油、砂糖、清酒、ゴマ油、刻みネギ、みじん切りニンニクなどを混ぜ合わせた薬味ダレで下味をつけ、タマネギ、春菊、タンミョン(春雨、[[당면]])などとともに網や鉄板などで焼いて食べる。少量の煮汁で煮るように炒めることもある。ナシやリンゴなどの果物の果汁を下味に用いる場合もあり、全体的に甘い味付けになっている。韓国には専門店があり、焼肉店のメニューにも並ぶほか、家庭料理としても作られる。[[トゥッペギプルコギ(1人前の土鍋プルコギ/뚝배기불고기)]]の場合は、定食店、フードコートなどでもメニューに並ぶ。
  
 
=== プルコギとノビアニ ===
 
=== プルコギとノビアニ ===
16行目: 16行目:
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
 
[[ファイル:24121804.JPG|thumb|300px|オニャンプルコギ]]
 
[[ファイル:24121804.JPG|thumb|300px|オニャンプルコギ]]
[[ファイル:23041213.JPG|thumb|300px|クァンヤンプルコギ]]
 
 
専門店のプルコギは、中央の盛り上がった鉄板でユクス(ダシ汁、[[육수]])と絡めながら焼くユクスプルコギ([[육수불고기]])と、網焼きにした[[ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)]]に大別される。前者は[[ソウル市の料理|ソウル市]]で普及したことから[[ソウル市の料理#ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기)|ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기)]]とも呼び、後者は[[蔚山市の料理|蔚山市]][[蔚州郡の料理|蔚州郡]]の[[蔚山市の料理#オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기)|オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기)]]や、[[全羅南道の料理|全羅南道]][[光陽市の料理|光陽市]]の[[光陽市の料理#クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기)|クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기)]]が代表的である。
 
専門店のプルコギは、中央の盛り上がった鉄板でユクス(ダシ汁、[[육수]])と絡めながら焼くユクスプルコギ([[육수불고기]])と、網焼きにした[[ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)]]に大別される。前者は[[ソウル市の料理|ソウル市]]で普及したことから[[ソウル市の料理#ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기)|ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기)]]とも呼び、後者は[[蔚山市の料理|蔚山市]][[蔚州郡の料理|蔚州郡]]の[[蔚山市の料理#オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기)|オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기)]]や、[[全羅南道の料理|全羅南道]][[光陽市の料理|光陽市]]の[[光陽市の料理#クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기)|クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기)]]が代表的である。
 
 
  
 
*韓国3大プルコギ
 
*韓国3大プルコギ
25行目: 22行目:
  
 
=== ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기) ===
 
=== ソウルプルコギ(ソウル式の牛焼肉/서울불고기) ===
:ソウルプルコギ([[서울불고기]])は、ソウル式の牛焼肉(「[[プルコギ(牛焼肉/불고기)]]」の項目も参照)。中央の盛り上がった鉄板でユクス(ダシ汁、[[육수]])と絡めながら焼くのが特徴で、ユクスプルコギ([[육수불고기]])とも呼ばれる。
+
:ソウルプルコギ([[서울불고기]])は、[[ソウル市の料理|ソウル]]式の牛焼肉。中央の盛り上がった鉄板でユクス(ダシ汁、[[육수]])と絡めながら焼くのが特徴で、ユクスプルコギ([[육수불고기]])とも呼ばれる。
  
 
=== オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기) ===
 
=== オニャンプルコギ(彦陽式の牛焼肉/언양불고기) ===
[[ファイル:24121804.JPG|300px|thumb|オニャンプルコギ]]
+
:オニャンプルコギ([[언양불고기]])は、[[蔚山市の料理|蔚山市]][[蔚州郡の料理|蔚州郡]]彦陽邑(オニャンウプ、언양읍)式の牛焼肉。薄切りの牛肉に醤油、ゴマ油、砂糖などで下味をつけ、両面焼き用の網で挟み、炭火の上で何度もひっくり返しながら焼く。いわゆる、[[ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)]]の一種である。彦陽邑は古くからセリの名産地であり、サンチュなどの葉野菜に包む際、一緒に加えてシャキシャキとした瑞々しさを楽しむ。彦陽市外バスターミナルの近くに焼肉店が集まっている。
:オニャンプルコギ([[언양불고기]])は、[[蔚州郡の料理|蔚州郡]]彦陽邑(オニャンウプ、언양읍)式の牛焼肉(「[[プルコギ(牛焼肉/불고기)]]」の項目も参照)。薄切りの牛肉に醤油、ゴマ油、砂糖などで下味をつけ、両面焼き用の網で挟み、炭火の上で何度もひっくり返しながら焼く。いわゆる、[[ソクセプルコギ(牛肉の網焼き/석쇠불고기)]]の一種である。彦陽邑は古くからセリの名産地であり、サンチュなどの葉野菜に包む際、一緒に加えてシャキシャキとした瑞々しさを楽しむ。彦陽市外バスターミナルの近くに焼肉店が集まっている。
 
  
 
*歴史
 
*歴史
37行目: 33行目:
  
 
=== クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기) ===
 
=== クァンヤンプルコギ(光陽式の牛焼肉/광양불고기) ===
:クァンヤンプルコギ([[광양불고기]])は、光陽式の牛焼肉。薄切りにした牛肉を、漬け置くことなく提供直前に醤油、塩、砂糖、ゴマ油、ニンニクなどで味付けをし、熱伝導率のよい銅製の網を用いて炭火で焼く。近隣の白雲山(ペグンサン、백은산)は炭の名産地である。炭火の香りをまとわせるのがよいとされ、店によっては肉を広げずにうず高く載せ、肉の隙間に煙がこもるように焼く。市南西部の光陽邑七星里(クァンヤンウプ チルソンニ、광양읍 칠성리)に専門店が集まっており、一帯を「光陽プルコギ特化通り(광양불고기 특화거리)」と呼ぶ。毎年秋には「光陽伝統炭火焼き祭り(광양전통숯불구이축제)」が開催される。
+
[[ファイル:23041213.JPG|300px|thumb|クァンヤンプルコギ]]
 +
:クァンヤンプルコギ([[광양불고기]])は、[[全羅南道の料理|全羅南道]][[光陽市の料理|光陽市]]式の牛焼肉。薄切りにした牛肉を、漬け置くことなく提供直前に醤油、塩、砂糖、ゴマ油、ニンニクなどで味付けをし、熱伝導率のよい銅製の網を用いて炭火で焼く。近隣の白雲山(ペグンサン、백은산)は炭の名産地である。炭火の香りをまとわせるのがよいとされ、店によっては肉を広げずにうず高く載せ、肉の隙間に煙がこもるように焼く。市南西部の光陽邑七星里(クァンヤンウプ チルソンニ、광양읍 칠성리)に専門店が集まっており、一帯を「光陽プルコギ特化通り(광양불고기 특화거리)」と呼ぶ。毎年秋には「光陽伝統炭火焼き祭り(광양전통숯불구이축제)」が開催される。
 +
 
 +
*天下一味 馬老火炙
 +
:朝鮮時代にあるソンビ(儒学者、[[선비]])が流刑に処されて光陽に来た。地域の子どもたちに学問を教えたところ、感謝をした親がソンビにプルコギをご馳走した。これがたいへん美味しかったため、ソンビは罪を許されて中央に戻ったあとも折に触れて思い出した。のちにその見事な味を「天下一味 馬老火炙(천하일미 마로화적)」と評して伝えた。馬老は光陽の旧称であり、光陽の火炙(プルコギ)は天下一の味を意味する。それが現代にまで伝わって、クァンヤンプルコギを称える決まり文句として広まっている。
 +
 
 +
*歴史
 +
:上記の伝承を史実とするならば、朝鮮時代からクァンヤンプルコギが親しまれていたことになる。実質的には20世紀に入ってからと見られ、元祖店として知られる「三代光陽プルコギチプ(삼대광양불고기집)」は、1930年に「イルン食堂(일흥식당)」として創業した。初代のイ・ソウン(이소은)がクァンヤンプルコギを初めて提供し、2代目のイ・ヨンジョ(이영조)が正式にメニュー化するとともに、1954年には屋号を「光陽プルコギ食堂(광양불고기식당)」と改めた<ref>(재)한식재단, 2012, 『한국인이 사랑하는 오래된 한식당』, 한국외식정보, P44-45</ref>。
  
:*天下一味 馬老火炙
+
*パルガンクッ
::朝鮮時代にあるソンビ(儒学者、[[선비]])が流刑に処されて光陽に来た。地域の子どもたちに学問を教えたところ、感謝をした親がソンビにプルコギをご馳走した。これがたいへん美味しかったため、ソンビは罪を許されて中央に戻ったあとも折に触れて思い出した。のちにその見事な味を「天下一味 馬老火炙(천하일미 마로화적)」と評して伝えた。馬老は光陽の旧称であり、光陽の火炙(プルコギ)は天下一の味を意味する。それが現代にまで伝わって、クァンヤンプルコギを称える決まり文句として広まっている。
+
:パルガンクッ([[빨간국]])は、キムチのスープ。直訳は「赤いスープ」で、牛ダシのスープにキムチを入れて煮込んだスープを指す。クァンヤンプルコギのシメとして定番になっており、店によってはキムチクッ(キムチのスープ、[[김치국]])とも呼ぶ。好みで焼肉の残りや、パジョリ(白髪ネギの和え物、[[파절이]])、副菜の残りなどを足して味わう。
  
:*歴史
+
=== スナンプルコギ(順安式の牛焼肉/순안불고기) ===
::上記の伝承を史実とするならば、朝鮮時代からクァンヤンプルコギが親しまれていたことになる。実質的には20世紀に入ってからと見られ、元祖店として知られる「三代光陽プルコギチプ(삼대광양불고기집)」は、1930年に「イルン食堂(일흥식당)」として創業した。初代のイ・ソウン(이소은)がクァンヤンプルコギを初めて提供し、2代目のイ・ヨンジョ(이영조)が正式にメニュー化するとともに、1954年には屋号を「光陽プルコギ食堂(광양불고기식당)」と改めた<ref>(재)한식재단, 2012, 『한국인이 사랑하는 오래된 한식당』, 한국외식정보, P44-45</ref>
+
:スナンプルコギ([[순안불고기]])は、順安式の牛焼肉。平壌市順安(スナン、순안)区域式の牛焼肉。ピョンヤンプルコギ([[평양불고기]])とも呼ぶ。韓国では多くの場合、薄切りの牛肉に下味をつけず、そのまま焼いてタレにつけると紹介される。ただし、[[北朝鮮の料理|朝鮮民主主義人民共和国]]で発刊された書籍『私たちの民族料理(우리 민족료리)』では、「スナンプルコギは牛肉を薄く切り、みじん切りのネギとニンニク、すりゴマ、梨の汁、砂糖、コショウ、ゴマ油、醤油、牛肉ダシを混ぜて作った薬味ダレを塗り、網の上で焼いて作る」【原文1】と紹介されている。<ref>지명희, 김익천 , 2008, 『우리 민족료리』, 근로단체출판사, P35</ref>と紹介されている。
  
:*パルガンクッ
+
:【原文1】「순안불고기는 소고기를 얇게 저민 다음 다진 파와 마늘, 참깨가루, 배즙, 사탕가루, 후추가루, 참기름, 간장, 고기국물을 섞어 만든 양념장을 발라 적쇠우에서 구워 만든다」
::パルガンクッ([[빨간국]])は、キムチのスープ。直訳は「赤いスープ」で、牛ダシのスープにキムチを入れて煮込んだスープを指す。クァンヤンプルコギのシメとして定番になっており、店によってはキムチクッ(キムチのスープ、[[김치국]])とも呼ぶ。好みで焼肉の残りや、パジョリ(白髪ネギの和え物、[[파절이]])、副菜の残りなどを足して味わう。
 
  
 
=== 牛肉以外のプルコギ ===
 
=== 牛肉以外のプルコギ ===
33,092

回編集