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== 概要 == | == 概要 == | ||
| + | [[ファイル:23010247.JPG|300px|thumb|ノクチャピンス]] | ||
乾燥させた茶葉にお湯を注いで飲用とする。家庭で親しまれるほか、カフェや伝統茶店で提供されることもある。ペットボトル飲料や、ティーバッグ状の市販品も広く市販されている。ノクチャは[[全羅南道の料理|全羅南道]][[宝城郡の料理|宝城郡]]や、[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[河東郡の料理|河東郡]]、[[済州道の料理|済州道]]の特産品として知られる。飲用として用いられるほか、料理や菓子などの味付け、香り付けにも使用され、ノクチャネンミョン(緑茶冷麺、[[녹차냉면]])、[[ノクチャピンス(緑茶カキ氷/녹차빙수)]]、ノクチャホットク(緑茶お焼き、[[녹차호떡]])といった利用がある。 | 乾燥させた茶葉にお湯を注いで飲用とする。家庭で親しまれるほか、カフェや伝統茶店で提供されることもある。ペットボトル飲料や、ティーバッグ状の市販品も広く市販されている。ノクチャは[[全羅南道の料理|全羅南道]][[宝城郡の料理|宝城郡]]や、[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[河東郡の料理|河東郡]]、[[済州道の料理|済州道]]の特産品として知られる。飲用として用いられるほか、料理や菓子などの味付け、香り付けにも使用され、ノクチャネンミョン(緑茶冷麺、[[녹차냉면]])、[[ノクチャピンス(緑茶カキ氷/녹차빙수)]]、ノクチャホットク(緑茶お焼き、[[녹차호떡]])といった利用がある。 | ||
*栽培面積と生産量 | *栽培面積と生産量 | ||
| − | : | + | :農林畜産食品部の統計資料「特用作物生産実績(2024年)」<ref>[https://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=114&tblId=DT_114_2012_S0095 특용작물생산현황] 、KOSIS(国家統計ポータル)、2026年6月15日閲覧</ref>によれば、チャ(茶、[[차]])の栽培面積は[[全羅南道の料理|全羅南道]]が1,114haで全国の43.7%を占め、[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]が827haで32.4%、[[済州道の料理|済州道]]が535haで21.0%と続き、この3地域で全国(2,551ha)の97.1%を占める。生産量は[[全羅南道の料理|全羅南道]]が1,466トンで全国の39.8%を占め、[[慶尚南道の料理|慶尚南道]]が1,290トンで35.0%、[[済州道の料理|済州道]]が867トンで23.5%と続き、この3地域で全国(3,685トン)の98.3%を占める。 |
== 利用 == | == 利用 == | ||
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[[ファイル:24120801.jpg|300px|thumb|ノクチャアイスクリーム]] | [[ファイル:24120801.jpg|300px|thumb|ノクチャアイスクリーム]] | ||
:ノクチャアイスクリーム([[녹차아이스크림]])は、緑茶アイスクリーム。発音は「ノクチャアイスクリム」が近い。ノクチャをフレーバーに用いたアイスクリーム([[아이스크림]])で、産地のカフェなどで提供される。 | :ノクチャアイスクリーム([[녹차아이스크림]])は、緑茶アイスクリーム。発音は「ノクチャアイスクリム」が近い。ノクチャをフレーバーに用いたアイスクリーム([[아이스크림]])で、産地のカフェなどで提供される。 | ||
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| + | *ノクチャピンス(녹차빙수) | ||
| + | :ノクチャピンス([[녹차빙수]])は、緑茶カキ氷(「[[ノクチャピンス(緑茶カキ氷/녹차빙수)]]」の項目も参照)。水、または牛乳に粉末緑茶を混ぜて凍らせたものを、カキ氷にして作る場合が多い。 | ||
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| + | *ノクチャホットク(녹차호떡) | ||
| + | :ノクチャホットク([[녹차호떡]])は、緑茶味の蜜入りお焼き(「[[ホットク(蜜入りのお焼き/호떡)]]」の項目も参照)。小麦粉の生地に粉末緑茶を練り込んで作る。 | ||
*ポリグルビ(보리굴비) | *ポリグルビ(보리굴비) | ||
:ポリグルビ([[보리굴비]])は、麦イシモチの干物。ポリ([[보리]])は大麦、グルビ(=クルビ、[[굴비]])はイシモチの干物を指す。大麦を入れた甕の中でイシモチの干物を熟成させたもので、適度に水分が抜けて味に深みが出るのに加え、大麦の香りをまとって生ぐささを消すと評価される。ほぐした身をごはんに載せ、冷たいノクチャをかけて、お茶漬け風に味わうのが定番。[[全羅南道の料理|全羅南道]][[霊光郡の料理|霊光郡]]の名産品として知られる。 | :ポリグルビ([[보리굴비]])は、麦イシモチの干物。ポリ([[보리]])は大麦、グルビ(=クルビ、[[굴비]])はイシモチの干物を指す。大麦を入れた甕の中でイシモチの干物を熟成させたもので、適度に水分が抜けて味に深みが出るのに加え、大麦の香りをまとって生ぐささを消すと評価される。ほぐした身をごはんに載せ、冷たいノクチャをかけて、お茶漬け風に味わうのが定番。[[全羅南道の料理|全羅南道]][[霊光郡の料理|霊光郡]]の名産品として知られる。 | ||
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| + | <gallery> | ||
| + | ファイル:26062301.JPG|[[クルビグイ(イシモチの干物/굴비구이)|ポリグルビ]]。ごはんの右隣が冷たいノクチャ | ||
| + | ファイル:26062302.JPG|ノクチャにごはんを入れる | ||
| + | ファイル:26062303.JPG|ポリグルビにコチュジャンをつけノクチャに浸したごはんと味わう | ||
| + | </gallery> | ||
== 地域 == | == 地域 == | ||
[[ファイル:24022307.jpg|300px|thumb|河東緑茶(始培地茶)を注いでいるところ]] | [[ファイル:24022307.jpg|300px|thumb|河東緑茶(始培地茶)を注いでいるところ]] | ||
| + | *慶尚南道金海市 | ||
| + | :[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[金海市の料理|金海市]]では、将軍茶(チャングンチャ、[[장군차]])が名産となっている。 | ||
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| + | :西暦48年に金官伽耶の初代王、首露王と結婚した許黄玉(ホ・ファンオク、허황옥)は、高麗時代の歴史書『三国遺事(삼국유사)』によれば、インドの阿踰陀国(アヨーディヤー?)出身とされる。このとき茶の種子を持参したとの伝承があり、金海市では茶の伝来地としてアピールしている。直接的な史料は残っていないものの、1918年に歴史学者の李能和(イ・ヌンファ、이능화)が出版した『朝鮮仏教通史(조선불교통사)』が、ひとつの根拠として多く引用される。朝鮮半島の仏教史を膨大な量の文献、碑文、俗伝からまとめたもので、「金海の白月山に竹露茶がある。巷では首露王妃の許氏がインドから持ってきた茶の種子だと伝わる」<ref>[https://dl.ndl.go.jp/pid/943682/1/243 李能和, 1918年『朝鮮仏教通史 下編』, 新文館, P461] 、国立国会図書館デジタルコレクション(コマ番号243/641)、2026年7月15日閲覧</ref>【原文1】と書かれている。 | ||
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| + | :【原文1】「金海白月山 有竹露茶 世傳 首露王妃許氏 自印度持來 之茶種去」 | ||
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| + | :将軍茶の名称は高麗時代の1281年に、第25代の忠烈王(충렬왕)が名付けたとされる。1530年に編纂された地理志『新増東国輿地勝覧』の第32巻「慶尚道 金海都護府」には、「金剛社(寺)に山茶樹があって庭を覆っていたため、高麗の忠烈王が宝輦(輿)を止めて将軍という呼び名を与えたため、地域の古老たちはこれを美談として伝え合ってきた」<ref>[http://db.itkc.or.kr/inLink?DCI=ITKC_BT_B001A_0330_010_0010_2000_004_XML 新増東国輿地勝覧第32巻 / 慶尚道 / 金海都護府] 、韓国古典総合DB、2026年7月15日閲覧</ref>【原文2】との記録が残る。この命名により金剛社のチャノキは将軍樹(장군수)と呼ばれ、地域の名産品として将軍茶が知られるようになった。 | ||
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| + | :【原文2】「社有山茶樹蔭于一庭,前朝忠烈王駐輦于此,賜號將軍,父老相傳以爲美談 | ||
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*慶尚南道河東郡 | *慶尚南道河東郡 | ||
:[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[河東郡の料理|河東郡]]は、ノクチャの名産地であり、地名を冠して河東ノクチャ([[하동녹차]])とも呼ばれる。河東ノクチャは農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第62号に指定されている<ref>[http://kpgi.co.kr/page/?mo_id=specialty&id=181&wr_id=177 지리적표시 등록 현황/하동녹차] 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2024年2月21日閲覧</ref>。 | :[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[河東郡の料理|河東郡]]は、ノクチャの名産地であり、地名を冠して河東ノクチャ([[하동녹차]])とも呼ばれる。河東ノクチャは農林畜産食品部が地域の名産品を認証する地理的表示農産物の第62号に指定されている<ref>[http://kpgi.co.kr/page/?mo_id=specialty&id=181&wr_id=177 지리적표시 등록 현황/하동녹차] 、韓国地理的表示特産品連合会ウェブサイト、2024年2月21日閲覧</ref>。 | ||
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:茶始培地は現在、近隣にある古刹の双渓寺(サンゲサ、쌍계사)が所有しており、その管理は大韓民国大韓名人(第15-448号)であり、茶店「法香茶園(법향다원)」代表のイ・サンヨン(이쌍용)氏が担当している。茶始培地で摘んだ茶葉は名人が9度に分けて釜炒りを行ったのち、双渓寺に納品されるほか、一般にも販売される。これを始培地茶(シベジチャ、[[시배지차]])と呼び、その中でも竹林の下で育った茶の木から摘んだものは竹露茶(チュンノチャ、[[죽로차]])と呼ばれて珍重される。熟成過程を経た発酵茶(パリョチャ、[[발효차]])の生産も行う。 | :茶始培地は現在、近隣にある古刹の双渓寺(サンゲサ、쌍계사)が所有しており、その管理は大韓民国大韓名人(第15-448号)であり、茶店「法香茶園(법향다원)」代表のイ・サンヨン(이쌍용)氏が担当している。茶始培地で摘んだ茶葉は名人が9度に分けて釜炒りを行ったのち、双渓寺に納品されるほか、一般にも販売される。これを始培地茶(シベジチャ、[[시배지차]])と呼び、その中でも竹林の下で育った茶の木から摘んだものは竹露茶(チュンノチャ、[[죽로차]])と呼ばれて珍重される。熟成過程を経た発酵茶(パリョチャ、[[발효차]])の生産も行う。 | ||
| − | : | + | :郡内ではノクチャをパンや菓子、[[マッコリ(韓国式の濁酒/막걸리)|マッコリ]]などに利用するほか、ノクチャネンミョン(緑茶冷麺、[[녹차냉면]])の生産も行われている。 |
*全羅南道宝城郡 | *全羅南道宝城郡 | ||