「コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)」の版間の差分

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:4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている<ref>[https://www.nifs.go.kr/contents/actionContentsCons0148.do 금어기·금지체장 소개] 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧</ref>。
 
:4~6月頃に卵を持ったメスが西海岸の各漁港に水揚げされ、この時期をいちばんの旬と考えることが多い。卵にこだわらなければ秋のほうが身が詰まって美味しいと評価され、9~10月にはオスのワタリガニが、10~12月にはメスのワタリガニが旬を迎える。6月下旬~8月下旬は禁漁期となっている<ref>[https://www.nifs.go.kr/contents/actionContentsCons0148.do 금어기·금지체장 소개] 、国立水産科学院ウェブサイト、2025年3月3日閲覧</ref>。
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== 種類 ==
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=== ケグッチ(ワタリガニのキムチ鍋/게국지) ===
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:ケグッチ([[게국지]])は、ワタリガニのキムチ鍋。ケックッチ([[겟국지]]、[[겟국지]])とも呼ばれる。ケグッチのケ([[게]])はカニ、グッ(=クッ、[[국]])は汁、チ([[지]])はキムチを意味する。[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン(カニの醤油漬け/간장게장)]]の汁を用いて漬けたキムチを意味するが、そのままでは塩辛く、生ぐささが残るため、チゲ(鍋、[[찌개]])のように煮込んで食べることが多い。もともとは[[忠清南道の料理|忠清南道]]の[[泰安郡の料理|泰安郡]]や[[瑞山市の料理|瑞山市]]の家庭で作る素朴な郷土料理であったが、近年は飲食店での提供が増えてレシピが多様化し、ワタリガニ([[꽃게]])などの魚介をふんだんに入れて豪華に作ることが多い。本辞典での日本語訳は「ワタリガニのキムチ鍋」としたが、伝統的な調理法においては必ずしもワタリガニ([[꽃게]])に限らず、多様なカニが用いられる。
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*伝統的な調理法
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:海岸部の地域では、ワタリガニ、イシガニ([[민꽃게]]、[[돌게]]、[[박하지]])、ヤマトオサガニ([[칠게]]、[[능쟁이]])、シオマネキ([[논게]]、[[황발이]])などを[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン]]にして保存食とした。秋にキムジャン(キムチ漬け、[[김장]])を行った際、余った白菜や大根などの野菜に[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン]]の汁と、殻のまま細かく刻んだカニを入れて漬けたものがケグッチである。すなわち本来の用語としてはキムチの一種と言える。ただし、そのまま食べるよりも水を加えて塩分を調節し、白菜、カボチャなどの野菜を足して煮込むことが多いため、鍋料理の名称としても用いられる。カニのダシが効いた[[キムチチゲ(キムチ鍋/김치찌개)]]と考えても間違いではない。
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*近年の調理法
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:もともとのケグッチは保存食の一種だが、飲食店では熟成期間を置かず、[[コッチョリ(浅漬けキムチ/겉절이)]]のように即席で野菜と[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン]]の汁を和えて作ることが多い。具材もより豪華になって、生のワタリガニをぶつ切りにして入れたり、エビや牡蠣などの魚介を加えたりして作るのが主流である。ワタリガニ料理のひとつとして、コッケタンや[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)|カンジャンケジャン]]と並んでメニューに並ぶため、近年はキムチ入りのコッケタンとして認識されることがほとんどだ。調理法によっては、単にムグンジ(古漬けのキムチ、[[묵은지]])とワタリガニを一緒に煮込んで作ることもある。
  
 
== 地域 ==
 
== 地域 ==
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