「ユッケジャン(牛肉の辛いスープ/육개장)」の版間の差分

12行目: 12行目:
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
 
=== 文献上の記録 ===
 
=== 文献上の記録 ===
ユッケジャンに関する文献上の記録は19世紀末から見られる。20世紀に入ると詳細な調理法が紹介されるようになり、現在のユッケジャンがほぼ牛のモモ肉やスネ肉を使用するのに対し、当時は内臓肉など多様な部位を使用していたことがわかる。ユッケジャンの原型となったケジャンについてはもっと古い史料もあるが、ここでは割愛する。
+
ユッケジャンに関する文献上の記録は19世紀末から見られる。20世紀に入ると詳細な調理法が紹介されるようになり、現在のユッケジャンがほぼ牛のモモ肉やスネ肉を使用するのに対し、当時は内臓肉など多様な部位を使用していたことがわかる。ユッケジャンの原型となった[[ポシンタン(犬肉の鍋/보신탕)|ケジャン(犬肉の鍋/개장)]]についてはもっと古い史料もあるが、ここでは割愛する。
  
 
;『閨壼要覧』(1896年)の記述
 
;『閨壼要覧』(1896年)の記述
:延世大学が所蔵する『閨壼要覧(규곤요람)』にユッケジャンの調理法が書かれている。後述の『是議全書』の発刊年代は1800年代末と推定されているが明確ではなく、年代のはっきりした文献としてはこれがユッケジャンの初出である。本書ではその調理法について、「肉を薄く切り醤油とともに水を多く注いで煮込み、薄切りの肉が煮えてとろとろになったら野菜を入れて火を通しコショウを入れる。これはお客様への料理にもよく、また昼食にごはんを炊いてスープと混ぜても食べる」(原文1)と紹介している。
+
:延世大学が所蔵する『閨壼要覧([[규곤요람]])』にユッケジャンの調理法が書かれている。後述の『是議全書([[시의전서]])』の発刊年代は1800年代末と推定されているが明確ではなく、年代のはっきりした文献としてはこれがユッケジャンの初出である。本書ではその調理法について、「肉を薄く切り醤油とともに水を多く注いで煮込み、薄切りの肉が煮えてとろとろになったら野菜を入れて火を通しコショウを入れる。これはお客様への料理にもよく、また昼食にごはんを炊いてスープと混ぜても食べる」【原文1】と紹介している。
  
 
::【原文1(現代語訳)】「고기를 얇게 썰어 간장과 함께 물을 많이 붓고 끓이되 썰어 놓은 고기가 푹 익어 고기 점이 풀어지도록 끓인 후 야채를 넣어 익히고 후춧가루를 넣는다. 이것을 하면 손님 밥상에도 떠 놓고 또 점심에도 밥을 잘 지어 국에 말아 먹는다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=104901 육개장, 규곤요람(1896)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
 
::【原文1(現代語訳)】「고기를 얇게 썰어 간장과 함께 물을 많이 붓고 끓이되 썰어 놓은 고기가 푹 익어 고기 점이 풀어지도록 끓인 후 야채를 넣어 익히고 후춧가루를 넣는다. 이것을 하면 손님 밥상에도 떠 놓고 또 점심에도 밥을 잘 지어 국에 말아 먹는다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=104901 육개장, 규곤요람(1896)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
  
 
;『是議全書』(1800年代末)の記述
 
;『是議全書』(1800年代末)の記述
:1800年代末に書かれたと推測される『是議全書([[시의전서]])』(原著者不詳)の湯部という項目にはユッケジャンの調理法が紹介されている。「牛肉、頬肉、熱湯でゆがいた肺、腸、ミノ(第1胃)、アワビ、ナマコを入れ、水を多めに注いで柔らかく煮て取り出す。肉は裂き、ほかはすべて短冊に切り、長ネギとセリはさっとゆがいて切っておく。薬味ダレを入れ、油と醤油で味付けをして煮込む。肉団子も入れ、卵も薄焼きにしてひし型に切って上に載せる。コンユッケジャンにカラシを添えても酒の肴によい」(原文2)と記述されている。なお、最後のコンユッケジャン(건육개장)がどのようなものか不明であるが、コンが「乾」であるならば、汁なしで具だけのユッケジャンではないかと推測できる。
+
:1800年代末に書かれたと推測される『是議全書([[시의전서]])』(原著者不詳)の湯部という項目にはユッケジャンの調理法が紹介されている。「牛肉、頬肉、熱湯でゆがいた肺、腸、ミノ(第1胃)、アワビ、ナマコを入れ、水を多めに注いで柔らかく煮て取り出す。肉は裂き、ほかはすべて短冊に切り、長ネギとセリはさっとゆがいて切っておく。薬味ダレを入れ、油と醤油で味付けをして煮込む。肉団子も入れ、卵も薄焼きにしてひし型に切って上に載せる。コンユッケジャンにカラシを添えても酒の肴によい」【原文2】と記述されている。なお、最後のコンユッケジャン([[건육개장]])がどのようなものか不明であるが、コンが「乾」であるならば、汁なしで具だけのユッケジャンではないかと推測できる。
  
 
::【原文2(現代語訳)】「쇠고기, 흘떼기, 뜨거운 물에 데친 부아, 창자, 양, 전복, 해삼을 넣고 물을 많이 부어 무르게 삶아 건진다. 고기는 찢고 다른 것은 모두 골패처럼 썰고 파와 미나리는 살짝 데쳐 잘라 넣는다. 갖은 양념을 넣고 기름장으로 간을 맞추어 끓인다. 완자도 넣고 달걀도 얇게 부쳐 비스듬한 네모 모양으로 썰어 위에 얹는다. 건육개장에 겨자를 곁들이면 술안주로 좋다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=107237 육개장, 시의전서(1800년대말)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
 
::【原文2(現代語訳)】「쇠고기, 흘떼기, 뜨거운 물에 데친 부아, 창자, 양, 전복, 해삼을 넣고 물을 많이 부어 무르게 삶아 건진다. 고기는 찢고 다른 것은 모두 골패처럼 썰고 파와 미나리는 살짝 데쳐 잘라 넣는다. 갖은 양념을 넣고 기름장으로 간을 맞추어 끓인다. 완자도 넣고 달걀도 얇게 부쳐 비스듬한 네모 모양으로 썰어 위에 얹는다. 건육개장에 겨자를 곁들이면 술안주로 좋다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=107237 육개장, 시의전서(1800년대말)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
  
 
;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
 
;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
:方信栄(방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはユッケジャンの項目があり、食材や調理法が詳細に書かれている。1921年の版では「ユッケジャンはコムクッ(牛スープ)と同じである。まず長ネギをゆがいて水で新い、よく絞ってから1寸の長さに切り、器に盛って、牛肉とミノ(第1胃)、直腸、小腸、肺、この5種類を釜に入れて真水でじっくり煮て、火が通った後にすべて取り出し、肉は手で細くちぎる。長ネギと一緒に盛った後、醤油と油、すりゴマ、コショウで味を整え、よく揉み込んだうえで肉を茹でた水にもう1度入れてひとしきり煮て食べる」(原文3)と紹介されている。
+
:方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法([[조선요리제법]])』にはユッケジャンの項目があり、食材や調理法が詳細に書かれている。1921年の版では「ユッケジャンはコムクッ(牛スープ)と同じである。まず長ネギをゆがいて水で新い、よく絞ってから1寸の長さに切り、器に盛って、牛肉とミノ(第1胃)、直腸、小腸、肺、この5種類を釜に入れて真水でじっくり煮て、火が通った後にすべて取り出し、肉は手で細くちぎる。長ネギと一緒に盛った後、醤油と油、すりゴマ、コショウで味を整え、よく揉み込んだうえで肉を茹でた水にもう1度入れてひとしきり煮て食べる」【原文3】と紹介されている。
  
 
::【原文3(現代語訳)】「육개장은 곰국과 같다. 먼저 파를 물에 데쳐서 물에 빨아 꼭 짜가지고 한 치 길이씩 썰어 그릇에 담아 놓고 쇠고기와 양과 곤자손이, 창자, 허파 이 다섯 가지를 솥에 넣고 맹물에 한참 삶아서 다 익은 후에 다 건져 놓고 고기는 손으로 잘게 뜯는다. 파와 함께 담은 후, 간장과 기름, 깨소금, 후춧가루를 간 맞추어 치고 한참 주물어 섞어서 고기 삶은 물에 다시 넣고 한참을 끓여서 먹는다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=106403 육개장, 조선요리제법(1921)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
 
::【原文3(現代語訳)】「육개장은 곰국과 같다. 먼저 파를 물에 데쳐서 물에 빨아 꼭 짜가지고 한 치 길이씩 썰어 그릇에 담아 놓고 쇠고기와 양과 곤자손이, 창자, 허파 이 다섯 가지를 솥에 넣고 맹물에 한참 삶아서 다 익은 후에 다 건져 놓고 고기는 손으로 잘게 뜯는다. 파와 함께 담은 후, 간장과 기름, 깨소금, 후춧가루를 간 맞추어 치고 한참 주물어 섞어서 고기 삶은 물에 다시 넣고 한참을 끓여서 먹는다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=106403 육개장, 조선요리제법(1921)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
  
 
;『朝鮮無双新式料理製法』(1930年)の記述
 
;『朝鮮無双新式料理製法』(1930年)の記述
:李用基(이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはユッケジャンの項目がある。「まず長ネギをゆがいて水で洗い、しっかり絞って1寸ずつの長さに切っておく。頬肉、センマイについた肉、膝軟骨と周辺の肉、モモ肉、バラ肉、大腸、小腸、ミノ(第1胃)、直腸、膵臓、脾臓、肺など、いろいろな肉をきれいに洗い、真水で茹でた後、串で刺してみて柔らかくなっていたらすべて引き上げる。内臓以外の肉は手でちいさくちぎっておき、残りは切って長ネギと一緒に混ぜる。醤油、油、すりゴマ、コショウを入れて揉み込んだ後、肉を茹でた水にもう1度入れてひとしきり煮て食べる。辛いコチュジャンを一緒に混ぜてスープの釜に入れてひと煮たちさせてもよい」(原文4)とあり、肉の部位が内臓を含めてより多様になったこと、そして味付けにコチュジャンを使ってもよいとの表現が加わったことが特徴的である<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P61</ref>。
+
:李用基(이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法([[조선무쌍신식요리제법]])』にはユッケジャンの項目がある。「まず長ネギをゆがいて水で洗い、しっかり絞って1寸ずつの長さに切っておく。頬肉、センマイについた肉、膝軟骨と周辺の肉、モモ肉、バラ肉、大腸、小腸、ミノ(第1胃)、直腸、膵臓、脾臓、肺など、いろいろな肉をきれいに洗い、真水で茹でた後、串で刺してみて柔らかくなっていたらすべて引き上げる。内臓以外の肉は手でちいさくちぎっておき、残りは切って長ネギと一緒に混ぜる。醤油、油、すりゴマ、コショウを入れて揉み込んだ後、肉を茹でた水にもう1度入れてひとしきり煮て食べる。辛いコチュジャンを一緒に混ぜてスープの釜に入れてひと煮たちさせてもよい」【原文4】とあり、肉の部位が内臓を含めてより多様になったこと、そして味付けにコチュジャンを使ってもよいとの表現が加わったことが特徴的である<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P61</ref>。
  
 
::【原文4(現代語訳)】「먼저 파를 데쳐 물에 빨아 꼭 짜서 1치 길이씩 썰어 놓는다. 흘떼기, 광대머리, 무릎도가니, 사태, 쐬약 갈비(소 약갈비), 대창, 곱창, 양, 곤자소니, 이자, 만하, 부아 등 갖은 고기를 깨끗하게 씻고 맹물에 삶은 다음 꼬챙이로 찔러 보아 물렀으면 모두 건져낸다. 살코기는 손으로 잘게 뜯어 놓고 나머지는 썰어서 파와 함께 섞는다. 장, 기름, 깨소금, 후춧가루를 넣고 함께 주물러 섞은 다음 고기 삶은 물에 다시 넣고 한참을 끓여 먹는다. 매운 고추장을 함께 버무려 국물 솥에 넣고 한소끔 끓여 쓰는 것도 좋다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=105018 육개장, 조선무쌍신식요리제법(1936)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
 
::【原文4(現代語訳)】「먼저 파를 데쳐 물에 빨아 꼭 짜서 1치 길이씩 썰어 놓는다. 흘떼기, 광대머리, 무릎도가니, 사태, 쐬약 갈비(소 약갈비), 대창, 곱창, 양, 곤자소니, 이자, 만하, 부아 등 갖은 고기를 깨끗하게 씻고 맹물에 삶은 다음 꼬챙이로 찔러 보아 물렀으면 모두 건져낸다. 살코기는 손으로 잘게 뜯어 놓고 나머지는 썰어서 파와 함께 섞는다. 장, 기름, 깨소금, 후춧가루를 넣고 함께 주물러 섞은 다음 고기 삶은 물에 다시 넣고 한참을 끓여 먹는다. 매운 고추장을 함께 버무려 국물 솥에 넣고 한소끔 끓여 쓰는 것도 좋다.」<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=105018 육개장, 조선무쌍신식요리제법(1936)] 、韓国伝統知識ポータル、2017年7月5日閲覧</ref>
36行目: 36行目:
 
=== 1920年代(テグタンバンの流行) ===
 
=== 1920年代(テグタンバンの流行) ===
 
[[ファイル:17071003.JPG|thumb|300px|日本の焼肉店で提供されるテグタン]]
 
[[ファイル:17071003.JPG|thumb|300px|日本の焼肉店で提供されるテグタン]]
20世紀初頭には大邱式のユッケジャンがソウルなどで流行した。これをテグタンバン(大邱湯飯、[[대구탕반]])、またはテグタン(大邱湯、[[대구탕]])と称し、それぞれ大邱式の湯飯(スープごはん)、大邱式のスープを意味する。一般的なユッケジャンとはやや異なり、牛肉を裂くのではなくごろんと大きく切り、具もワラビや大豆モヤシ、溶き卵などは用いず、大量の長ネギと、ごく少量の芋茎だけを用いる。唐辛子油([[고추기름]])を使用することなく、牛肉から出る脂だけで仕上げるのも特徴的である。大邱でユッケジャンが発達した理由としては、大邱が盆地地域で夏場は特に暑く、暑さに打ち克つ料理として頻繁に食べられたからと説明されることが多い。現在の韓国では、大邱も含めてテグタンバン、テグタンという名称はほぼ使われておらず、後述するソウルの「朝鮮屋」に残っているぐらいだが、日本の焼肉店、韓国料理店ではテグタンの名で広く定着している。
+
20世紀初頭には[[大邱市の料理|大邱]]式のユッケジャンが[[ソウル市の料理|ソウル]]などで流行した。これをテグタンバン(大邱湯飯、[[대구탕반]])、またはテグタン(大邱湯、[[대구탕]])と称し、それぞれ[[大邱市の料理|大邱]]式の湯飯(スープごはん)、[[大邱市の料理|大邱]]式のスープを意味する。一般的なユッケジャンとはやや異なり、牛肉を裂くのではなくごろんと大きく切り、具もワラビや大豆モヤシ、溶き卵などは用いず、大量の長ネギと、ごく少量の芋茎だけを用いる。唐辛子油([[고추기름]])を使用することなく、牛肉から出る脂だけで仕上げるのも特徴的である。[[大邱市の料理|大邱]]でユッケジャンが発達した理由としては、[[大邱市の料理|大邱]]が盆地地域で夏場は特に暑く、暑さに打ち克つ料理として頻繁に食べられたからと説明されることが多い。現在の韓国では、[[大邱市の料理|大邱]]も含めてテグタンバン、テグタンという名称はほぼ使われておらず、後述する[[ソウル市の料理|ソウル]]の「朝鮮屋」に残っているぐらいだが、日本の焼肉店、韓国料理店ではテグタンの名で広く定着している。
  
 
;『東亜日報』(1926年)の記述
 
;『東亜日報』(1926年)の記述
43行目: 43行目:
 
;『別乾坤』(1927、29年)の記述
 
;『別乾坤』(1927、29年)の記述
 
:1927年7月1日発行の第7号には「雑同散異 臨時大清潔」という飲食店の衛生状況について述べたコラムにテグタンバンの店が出てくるほか<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=0&levelId=ma_015_0070_0140 별건곤 제7호 雜同散異 臨時大淸潔] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>、1929年9月27日発行の第23号には「2日間ソウルをひとしきり観光する法、田舎の友人を案内する路順……」という記事があり、当時ソウルの鍾路にあった「典洞食堂」を紹介しつつ、テグタンバンが20銭であることも記されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=1&levelId=ma_015_0210_0210 별건곤 제23호 2일 동안에 서울 구경 골고로 하는 法, 시골親舊 案內할 路順......] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
 
:1927年7月1日発行の第7号には「雑同散異 臨時大清潔」という飲食店の衛生状況について述べたコラムにテグタンバンの店が出てくるほか<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=0&levelId=ma_015_0070_0140 별건곤 제7호 雜同散異 臨時大淸潔] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>、1929年9月27日発行の第23号には「2日間ソウルをひとしきり観光する法、田舎の友人を案内する路順……」という記事があり、当時ソウルの鍾路にあった「典洞食堂」を紹介しつつ、テグタンバンが20銭であることも記されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=1&levelId=ma_015_0210_0210 별건곤 제23호 2일 동안에 서울 구경 골고로 하는 法, 시골親舊 案內할 路順......] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
:1929年12月1日発行の第24号には「珍品・名品・天下名食八道名食礼賛」という企画があり、全国の名物料理から9種類がそれぞれ独自のコラムとして紹介されている。そのひとつが大邱のテグタンバンであり、執筆者の達城人(大邱の地名である達城郡から取ったと推測される)が「大邱の自慢 大邱の大邱湯飯」というタイトルで、約800字に渡ってテグタンバンの魅力を紹介している。このコラムでは「テグタンバンの本名はユッケジャンである」との記述があって、両者が同じ料理であることや、ユッケジャンのルーツが犬肉料理のケジャンにあるということ、その料理が大邱で発達しソウルまで進出してきたことなど、ユッケジャンにまつわる当時の逸話が詳細に記録されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=2&levelId=ma_015_0220_0360 별건곤 제24호 大邱의 자랑 大邱의 大邱湯飯, 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
+
:1929年12月1日発行の第24号には「珍品・名品・天下名食八道名食礼賛」という企画があり、全国の名物料理から9種類がそれぞれ独自のコラムとして紹介されている。そのひとつが[[大邱市の料理|大邱]]のテグタンバンであり、執筆者の達城人([[大邱市の料理|大邱]]の地名である[[達城郡の料理|達城郡]]から取ったと推測される)が「大邱の自慢 大邱の大邱湯飯」というタイトルで、約800字に渡ってテグタンバンの魅力を紹介している。このコラムでは「テグタンバンの本名はユッケジャンである」との記述があって、両者が同じ料理であることや、ユッケジャンのルーツが犬肉料理のケジャンにあるということ、その料理が[[大邱市の料理|大邱]]で発達し[[ソウル市の料理|ソウル]]まで進出してきたことなど、ユッケジャンにまつわる当時の逸話が詳細に記録されている<ref>[http://db.history.go.kr/item/level.do?setId=3&itemId=ma&synonym=off&chinessChar=on&position=2&levelId=ma_015_0220_0360 별건곤 제24호 大邱의 자랑 大邱의 大邱湯飯, 珍品·名品·天下名食 八道名食物禮讚] 、韓国史データベース、2017年7月5日閲覧</ref>。
  
 
;「朝鮮屋」の事例
 
;「朝鮮屋」の事例
 
[[ファイル:17071004.JPG|thumb|300px|「朝鮮屋」のテグタン]]
 
[[ファイル:17071004.JPG|thumb|300px|「朝鮮屋」のテグタン]]
:ソウル市中区乙支路に位置する「朝鮮屋(조선옥)」は1956年創業の老舗焼肉店であり、現在もテグタンの名称で牛肉を煮込んだスープを提供している。現在の韓国においてテグタンバン、テグタンという料理名はまず見ることがなく、料理名としてメニューに残しているのはほぼ唯一といってよい事例である。
+
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区乙支路3街(チュング ウルチロサムガ、중구 을지로3가)に位置する「朝鮮屋(조선옥)」は1956年創業の老舗焼肉店であり、現在もテグタンの名称で牛肉を煮込んだスープを提供している。現在の韓国においてテグタンバン、テグタンという料理名はまず見ることがなく、料理名としてメニューに残しているのはほぼ唯一といってよい事例である。
  
 
=== 1940年代 ===
 
=== 1940年代 ===
 
;イェッチプ食堂の開店
 
;イェッチプ食堂の開店
:大邱市中区市場北路に位置する「イェッチプ食堂(옛집식당)」は1948年創業で、現存するユッケジャンの専門店としてはもっとも古い。
+
:[[大邱市の料理|大邱市]]の中区市場北路(チュング シジャンブンノ、중구 시장북로)に位置する「イェッチプ食堂(옛집식당)」は1948年創業で、現存するユッケジャンの専門店としてはもっとも古い。
  
 
== 種類 ==
 
== 種類 ==
32,549

回編集