「カクトゥギ(大根の角切りキムチ/깍두기)」の版間の差分

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== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
 
[[ファイル:17112605.JPG|thumb|300px|春香伝の舞台となった南原の広寒楼]]
 
[[ファイル:17112605.JPG|thumb|300px|春香伝の舞台となった南原の広寒楼]]
カクトゥギのもっとも古い記録は、18世紀中ごろに成立したとされる韓国の代表的な説話『春香伝(춘향전)』に登場する。詳しい調理法は19世紀末に書かれた『是議全書(시의전서)』に見ることができ、20世紀に入るとさまざまな種類のカクトゥギが料理書に掲載され始める。なお、カクトゥギの歴史について日本語で読める資料としては、佐々木道雄著『キムチの文化史』(福村出版)に詳しい<ref>佐々木道雄, 2009, 『キムチの文化史』, 福村出版, P139-142</ref>。
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カクトゥギのもっとも古い記録は、18世紀中ごろに成立したとされる韓国の代表的な説話『春香伝(チュニャンジョン、춘향전)』に登場する。詳しい調理法は19世紀末に書かれた『是議全書([[시의전서]])』に見ることができ、20世紀に入るとさまざまな種類のカクトゥギが料理書に掲載され始める。カクトゥギの歴史について日本語で読める資料としては、佐々木道雄著『キムチの文化史』(福村出版)に詳しい<ref>佐々木道雄, 2009, 『キムチの文化史』, 福村出版, P139-142</ref>。
  
 
=== 文献上の記録 ===
 
=== 文献上の記録 ===
 
;『春香伝』(18世紀中ごろ?)の記述
 
;『春香伝』(18世紀中ごろ?)の記述
:韓国の代表的な説話『春香伝(춘향전)』にカクトゥギが登場している<ref>[http://www.davincimap.co.kr/davBase/Source/davSource.jsp?Job=Body&SourID=SOUR001003&Lang=%EF%BF%BD%D1%B1%EF%BF%BD&Page=2 열녀춘향수절가(烈女春香守節歌) 하] 、DAVINCI 지식지도、2017年11月24日閲覧</ref>。『春香伝』の成立時期は定かでないが、18世紀中ごろから後半にかけてと推測されている。
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:韓国の代表的な説話『春香伝(チュニャンジョン、춘향전)』にカクトゥギが登場している<ref>[http://www.davincimap.co.kr/davBase/Source/davSource.jsp?Job=Body&SourID=SOUR001003&Lang=%EF%BF%BD%D1%B1%EF%BF%BD&Page=2 열녀춘향수절가(烈女春香守節歌) 하] 、DAVINCI 지식지도、2017年11月24日閲覧</ref>。『春香伝』の成立時期は定かでないが、18世紀中ごろから後半にかけてと推測されている。
  
 
;『是議全書』(19世紀末)の記述
 
;『是議全書』(19世紀末)の記述
:19世紀末に書かれた『是議全書([[시의전서]])』(原著者不詳)のキムチ([[김치]])という項目には、チョンム([[젓무]])という大根を用いたキムチの調理法が紹介されている。チョン(チョッ、[[젓]])は塩辛、ム([[무]])は大根を意味し、直訳をすれば大根の塩辛漬けになるが、材料に粉唐辛子や長ネギ、ニンニクが用いられており、大根を「真四角に切って(네모반듯하게 썰어)」との表現もあることから、カクトゥギの原型であるとされる。また、冒頭にはキュウリを使ったウェジョンム([[외젓무]])の作り方も付記されており、こちらはオイカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、[[오이깍두기]])の原型と考えられる。該当の記述は以下の通りである。
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:19世紀末に書かれた『是議全書([[시의전서]])』(原著者不詳)のキムチ([[김치]])という項目には、チョンム([[젓무]])という大根を用いたキムチの調理法が紹介されている。チョン(チョッ、[[젓]])は塩辛、ム([[무]])は大根を意味し、直訳をすれば大根の塩辛漬けになるが、材料に粉唐辛子や長ネギ、ニンニクが用いられており、大根を「真四角に切って(네모반듯하게 썰어)」との表現もあることから、カクトゥギの原型であるとされる。冒頭にはキュウリを使ったウェジョンム([[외젓무]])の作り方も付記されており、こちらはオイカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、[[오이깍두기]])の原型と考えられる。該当の記述は以下の通りである。
  
 
:「キュウリのチョンム(カクトゥギ)は、[[オイキムチ(キュウリのキムチ/오이김치)]]のように具を入れ、アミの塩辛([[새우젓]])は刻んで粉唐辛子と長ネギ、ニンニクも刻んで合わせ馴染ませる。白菜の内側部分は四等分に切り、大根はザクザクと真四角に切って、オイジ(キュウリ漬け、[[오이지]])も入れる。アミの塩辛は刻んでおき、長ネギとニンニクはすりばちでつぶし、粉唐辛子と混ぜてひとつの混ぜ合わせ、味を調えておく。チョンムは上に覆いをかけてこそよく漬かり味もよい」【原文1】
 
:「キュウリのチョンム(カクトゥギ)は、[[オイキムチ(キュウリのキムチ/오이김치)]]のように具を入れ、アミの塩辛([[새우젓]])は刻んで粉唐辛子と長ネギ、ニンニクも刻んで合わせ馴染ませる。白菜の内側部分は四等分に切り、大根はザクザクと真四角に切って、オイジ(キュウリ漬け、[[오이지]])も入れる。アミの塩辛は刻んでおき、長ネギとニンニクはすりばちでつぶし、粉唐辛子と混ぜてひとつの混ぜ合わせ、味を調えておく。チョンムは上に覆いをかけてこそよく漬かり味もよい」【原文1】
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;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
 
;『朝鮮料理製法』(1921年)の記述
:方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』にはカクトゥギの調理法が紹介されている。カクトゥギという名前で文献に登場するのはこれが初めてである(目次では「깍둑이」、本文では「각뚝이」と表記されている。1921年、1937年の版で確認)<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=106660 깍두기, 조선요리제법(1921)] 、韓国伝統知識ポータル、2018年1月28日閲覧</ref><ref>方信栄, 1937, 『朝鮮料理製法』, 悦話堂, P3, 99-100</ref>。
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:方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法([[조선요리제법]])』にはカクトゥギの調理法が紹介されている。カクトゥギという名前で文献に登場するのはこれが初出とされる(目次では「깍둑이」、本文では「각뚝이」と表記されている。1921年、1937年の版で確認)<ref>[http://www.koreantk.net/ktkp2014/kfood/kfood-view.view?foodCd=106660 깍두기, 조선요리제법(1921)] 、韓国伝統知識ポータル、2018年1月28日閲覧</ref><ref>方信栄, 1937, 『朝鮮料理製法』, 悦話堂, P3, 99-100</ref>。
  
 
;『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述
 
;『朝鮮無双新式料理製法』(1924年)の記述
:李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法(조선무쌍신식요리제법)』にはカクトゥギ(表記は깍뚝이)、ウェカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、表記は외깍뚝이)、クルカクトゥギ(牡蠣を入れた大根の角切りキムチ、表記は굴깍뚝이)、ヘッカクトゥギ(初物の大根を使った角切りキムチ、表記は햇깍뚝이)、チェカクトゥギ(大根の千切りキムチ、表記は채깍뚝이)、スッカクトゥギ(茹でた大根の角切りキムチ、表記は숙깍뚝이)という6種類が掲載されている<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P103-105</ref>(1930年の再版本で確認)。
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:李用基(イ・ヨンギ、이용기)によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法([[조선무쌍신식요리제법]])』にはカクトゥギ(表記は깍뚝이)、ウェカクトゥギ(キュウリの角切りキムチ、表記は외깍뚝이)、クルカクトゥギ(牡蠣を入れた大根の角切りキムチ、表記は굴깍뚝이)、ヘッカクトゥギ(初物の大根を使った角切りキムチ、表記は햇깍뚝이)、チェカクトゥギ(大根の千切りキムチ、表記は채깍뚝이)、スッカクトゥギ(茹でた大根の角切りキムチ、表記は숙깍뚝이)という6種類が掲載されている<ref>李用基, 1930, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P103-105</ref>(1930年の再版本で確認)。
  
 
=== 逸話 ===
 
=== 逸話 ===
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