「安東市の料理」の版間の差分

 
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== 地域概要 ==
 
== 地域概要 ==
 
[[ファイル:18112904.JPG|thumb|300px|慶尚北道庁]]
 
[[ファイル:18112904.JPG|thumb|300px|慶尚北道庁]]
安東市は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の道庁所在地。道の中央部に位置し、市の北部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[栄州市の料理|栄州市]]と[[奉化郡の料理|奉化郡]]、東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[英陽郡の料理|英陽郡]]、南東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[青松郡の料理|青松郡]]、南部から南西部にかけては[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[義城郡の料理|義城郡]]、西部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[醴泉郡の料理|醴泉郡]]と接する。人口は15万2902人(2025年1月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 행정동별 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2025年2月11日閲覧</ref>。市の面積は1522.1平方キロ(2021年)と[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]ではもっとも大きく、全国の基礎自治団体(市郡)としても[[江原道の料理|江原道]]の[[洪川郡の料理|洪川郡]]、[[麟蹄郡の料理|麟蹄郡]]に次いで3番目に大きい<ref>[https://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=116&tblId=DT_MLTM_2300&conn_path=I2 행정구역별・지목별 국토이용현황_시군구] 、KOSIS(国家統計ポータル)、2023年1月26日閲覧</ref>。
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安東市は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の道庁所在地。道の中央部に位置し、市の北部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[栄州市の料理|栄州市]]と[[奉化郡の料理|奉化郡]]、東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[英陽郡の料理|英陽郡]]、南東部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[青松郡の料理|青松郡]]、南部から南西部にかけては[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[義城郡の料理|義城郡]]、西部は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の[[醴泉郡の料理|醴泉郡]]と接する。人口は15万2902人(2025年1月)<ref>[https://jumin.mois.go.kr/ 행정동별 주민등록 인구 및 세대현황] 、行政安全部ウェブサイト、2025年2月11日閲覧</ref>。市の面積は1522.3平方キロ(2024年)と[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]ではもっとも大きく、全国の基礎自治団体(市郡)としても[[江原道の料理|江原道]]の[[洪川郡の料理|洪川郡]]、[[麟蹄郡の料理|麟蹄郡]]に次いで3番目に大きい<ref>[https://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=116&tblId=DT_MLTM_2300&conn_path=I2 행정구역별・지목별 국토이용현황_시군구] 、KOSIS(国家統計ポータル)、2026年2月23日閲覧</ref>。
  
 
市の北側、東側は太白山脈の支脈が伸びて比較的高く、南西部に向けて緩やかに下っている地形をしている。北東部から西部にかけては洛東江(ナクトンガン、낙동강)が流れ、これに東部から流れる半辺川(パンビョンチョン、반변천)が市内で合流する。合流地点の周囲は豊山平野(プンサンピョンヤ、풍산평야)と呼ばれる平野部となっている。市の中東部には洛東江、半辺川を利用したダム湖が作られており、それぞれ安東湖(アンドンホ、안동호)、臨河湖(イマホ、임하호)と呼ぶ。
 
市の北側、東側は太白山脈の支脈が伸びて比較的高く、南西部に向けて緩やかに下っている地形をしている。北東部から西部にかけては洛東江(ナクトンガン、낙동강)が流れ、これに東部から流れる半辺川(パンビョンチョン、반변천)が市内で合流する。合流地点の周囲は豊山平野(プンサンピョンヤ、풍산평야)と呼ばれる平野部となっている。市の中東部には洛東江、半辺川を利用したダム湖が作られており、それぞれ安東湖(アンドンホ、안동호)、臨河湖(イマホ、임하호)と呼ぶ。
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洛東江の蛇行する豊川面河回里(プンチョンミョン ハフェリ、풍천면 하회리)には豊山柳氏(プンサンリュシ、풍산류씨)の一族が住む河回村(ハフェマウル、하회마을)があり、朝鮮時代の伝統家屋が残るほか、民俗芸能のタルチュム(仮面劇、탈줌)が継承されているなど、昔ながらの文化を伝える民俗村としてユネスコの世界文化遺産にも登録されている。そのほか朝鮮時代の私塾である陶山書院(トサンソウォン、도산서원)や、屏山書院(ピョンサンソウォン、병산서원)、韓国最古の木造建築とされる極楽殿(国宝第15号)を有する鳳停寺(ポンジョンサ、봉정사)など歴史的な見どころを豊富に有する。
 
洛東江の蛇行する豊川面河回里(プンチョンミョン ハフェリ、풍천면 하회리)には豊山柳氏(プンサンリュシ、풍산류씨)の一族が住む河回村(ハフェマウル、하회마을)があり、朝鮮時代の伝統家屋が残るほか、民俗芸能のタルチュム(仮面劇、탈줌)が継承されているなど、昔ながらの文化を伝える民俗村としてユネスコの世界文化遺産にも登録されている。そのほか朝鮮時代の私塾である陶山書院(トサンソウォン、도산서원)や、屏山書院(ピョンサンソウォン、병산서원)、韓国最古の木造建築とされる極楽殿(国宝第15号)を有する鳳停寺(ポンジョンサ、봉정사)など歴史的な見どころを豊富に有する。
  
[[ソウル市の料理|ソウル市]]から安東市までは、ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナルから安東バスターミナルまで高速バスで約2時間40分~3時間の距離。また清涼里駅から安東駅までムグンファ号で約3時間30分の距離である。
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[[ソウル市の料理|ソウル市]]から安東市までは、ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナルから安東バスターミナルまで高速バスで約2時間40分の距離。また清涼里駅から安東駅まで高速鉄道で約1時間50分の距離である。
  
 
*慶尚北道庁の移転
 
*慶尚北道庁の移転
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[[ファイル:25021202.JPG|thumb|300px|河回村]]
 
[[ファイル:25021202.JPG|thumb|300px|河回村]]
 
民俗村の河回村(ハフェマウル、하회마을)が昔ながらの暮らしを継承するように、朝鮮時代から続く両班の儒教文化が色濃く残る地域である。食文化においても、祭祀料理を模した[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]や、祭祀膳にあげられた[[コドゥンオグイ(サバ焼き/고등어구이)|カンコドゥンオ(塩サバ焼き/간고등어)]]など、両班の暮らしと結びついた郷土料理がある。特産品としては、韓牛([[한우]])、リンゴ([[사과]])、山芋([[마]])があるほか、地酒の[[ソジュ(焼酎/소주)|アンドンソジュ(安東焼酎/안동소주)]]は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の無形文化財第12号に指定されている。
 
民俗村の河回村(ハフェマウル、하회마을)が昔ながらの暮らしを継承するように、朝鮮時代から続く両班の儒教文化が色濃く残る地域である。食文化においても、祭祀料理を模した[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]や、祭祀膳にあげられた[[コドゥンオグイ(サバ焼き/고등어구이)|カンコドゥンオ(塩サバ焼き/간고등어)]]など、両班の暮らしと結びついた郷土料理がある。特産品としては、韓牛([[한우]])、リンゴ([[사과]])、山芋([[마]])があるほか、地酒の[[ソジュ(焼酎/소주)|アンドンソジュ(安東焼酎/안동소주)]]は[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]の無形文化財第12号に指定されている。
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*慶尚北道3大料理書
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:[[慶尚北道の料理|慶尚北道]]では、旧家に伝わる料理書として、安東市の『需雲雑方(スウンジャプパン、[[수운잡방]])』、[[英陽郡の料理|英陽郡]]の『[[英陽郡の料理#ウムシクティミバン(飲食知味方/음식디미방)|飲食知味方(ウムシクティミバン/음식디미방)]]』、[[尚州市の料理|尚州市]]の『是議全書(シウィジョンソ、[[시의전서]])』が発見された。いずれも韓国料理の歴史をひも解くには欠かせないもので、3冊を総称して慶尚北道3大料理書と呼ぶ。
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
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=== アンドングクシ(安東式のうどん/안동국시) ===
 
=== アンドングクシ(安東式のうどん/안동국시) ===
 
[[ファイル:25021204.JPG|thumb|300px|アンドングクシ]]
 
[[ファイル:25021204.JPG|thumb|300px|アンドングクシ]]
:アンドングクシ([[안동국시]])は、安東式のうどん。グクシ(=ククシ)はククス(麺、[[국수]])の方言を指す。標準語を用いてアンドングクス([[안동국수]])と表現したり、地域内においては地名をつけず、単にククシ([[국시]])とも呼ぶ。下記の[[安東市の料理#コンジングクス(冷やし麺/건진국수)]]を含め、安東式の麺料理を総称する言葉としても用いられるが、狭義には冷たいスープで味わうコンジングクスに対し、温かいスープの麺料理を指してアンドングクシと呼ぶことが多い。温かいスープのアンドングクシは、ヌルムグクシ([[누름국시]])、ヌルングクス([[누른국수]])との呼び名もあり、こちらでコンジングクスと区別をすることも多い。
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:アンドングクシ([[안동국시]])は、安東式のうどん(「[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]」の項目も参照)。グクシ(=ククシ)はククス(麺、[[국수]])の方言を指す。標準語を用いてアンドングクス([[안동국수]])と表現したり、地域内においては地名をつけず、単にククシ([[국시]])とも呼ぶ。下記の[[安東市の料理#コンジングクス(冷やし麺/건진국수)|コンジングクス(冷やし麺/건진국수)]]を含め、安東式の麺料理を総称する言葉としても用いられるが、狭義には冷たいスープで味わうコンジングクスに対し、温かいスープの麺料理を指してアンドングクシと呼ぶことが多い。温かいスープのアンドングクシは、ヌルムグクシ([[누름국시]])、ヌルングクス([[누른국수]])との呼び名もあり、こちらでコンジングクスと区別をすることも多い。
  
 
:小麦粉に大豆粉([[콩가루]])を混ぜて麺を作るのをひとつの特徴とし、伝統的には干したアユ([[은어]])をダシにスープを作ったが、近年は鶏肉や煮干し、昆布などを用いることが多い。スープは醤油をベースとして味付けをし、具には千切りのエホバク(韓国カボチャ、[[애호박]])や白菜を加える。牛肉やキノコを足すこともある。麺はスープに直接入れて茹でることから、全体にとろみがかった仕上がりになる。家庭料理として作られるほか、市内の専門店で味わうことができる。安東市以外の地域でもアンドングクシを専門とする店がある。
 
:小麦粉に大豆粉([[콩가루]])を混ぜて麺を作るのをひとつの特徴とし、伝統的には干したアユ([[은어]])をダシにスープを作ったが、近年は鶏肉や煮干し、昆布などを用いることが多い。スープは醤油をベースとして味付けをし、具には千切りのエホバク(韓国カボチャ、[[애호박]])や白菜を加える。牛肉やキノコを足すこともある。麺はスープに直接入れて茹でることから、全体にとろみがかった仕上がりになる。家庭料理として作られるほか、市内の専門店で味わうことができる。安東市以外の地域でもアンドングクシを専門とする店がある。
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:コンジングクス([[건진국수]])は、冷やし麺。直訳すると「引き上げた麺」という意味で、コンジン(건진)が「コンジダ(引き上げる、[[건지다]])」の過去連体形、グクス(=ククス、[[국수]])は麺を意味する。茹でた麺を鍋から引き上げて冷水にさらすことから名前がついたとされる。方言を用いてコンジングクシ([[건진국시]])とも呼ぶほか、安東式の麺という意味でアンドングクシ([[안동국시]])、アンドングクス([[안동국수]])とも総称される。
 
:コンジングクス([[건진국수]])は、冷やし麺。直訳すると「引き上げた麺」という意味で、コンジン(건진)が「コンジダ(引き上げる、[[건지다]])」の過去連体形、グクス(=ククス、[[국수]])は麺を意味する。茹でた麺を鍋から引き上げて冷水にさらすことから名前がついたとされる。方言を用いてコンジングクシ([[건진국시]])とも呼ぶほか、安東式の麺という意味でアンドングクシ([[안동국시]])、アンドングクス([[안동국수]])とも総称される。
  
:スープや具は上記の[[安東市の料理#アンドングクシ(安東式のうどん/안동국시)]]とほぼ共通するが、麺はやや細めに作ることが多い。家庭料理として作られるほか、市内の専門店で主に夏の季節料理として提供される。
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:スープや具は上記の[[安東市の料理#アンドングクシ(安東式のうどん/안동국시)|アンドングクシ(安東式のうどん/안동국시)]]とほぼ共通するが、麺はやや細めに作ることが多い。家庭料理として作られるほか、市内の専門店で主に夏の季節料理として提供される。
  
 
*横城式のコンジングクス
 
*横城式のコンジングクス
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*[[チムタク(鶏と野菜の醤油煮/찜닭)]]
 
*[[チムタク(鶏と野菜の醤油煮/찜닭)]]
 
*[[チキン(韓国チキン/치킨)]]
 
*[[チキン(韓国チキン/치킨)]]
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*[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]
 
*[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]
 
*[[トンダク(丸鶏揚げ/통닭)]]
 
*[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]
 
*[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:慶尚北道・大邱市の料理]]
 
[[Category:慶尚北道・大邱市の料理]]
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