「ピビムパプ(ビビンバ/비빔밥)」の版間の差分

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ピビムパプには次のような種類がある。
 
ピビムパプには次のような種類がある。
  
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=== チョンジュピビムパプ(全州式のビビンバ/전주비빔밥) ===
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:チョンジュピビムパプ([[전주비빔밥]])は、全州式のビビンバ(「[[全州市の料理]]」の項目も参照)。[[全羅北道の料理|全羅北道]][[全州市の料理|全州市]]の郷土料理として知られる。20種類前後の具を用いて豪華に作るのが特徴であり、60度前後に温めた真鍮器([[놋그릇]])に盛り付けて提供する。[[全州市の料理|全州市]]は朝鮮半島で最大の面積を誇る湖南平野(ホナムピョンヤ、호남평야)の一角を成し、古くから良質の米や野菜のとれる地域として有名であった。チョンジュピビムパプはこうした地の利を活かした料理で、代表的な具材として用いられる大豆モヤシ([[콩나물]])、セリ([[미나리]])、大根([[무]])、エホバク(カボチャの未熟果、[[애호박]])、ファンポムク(クチナシで黄色く染めた緑豆寒天、[[황포묵]])は、いずれも全州10味([[전주십미]])に含まれる。専門店によっては近隣である[[金堤市の料理|金堤市]]のブランド米や、[[淳昌郡の料理|淳昌郡]]のコチュジャンなど、周辺地域の名産品も取り入れている。[[全州市の料理|全州市]]内の有名店に「盛味堂(성미당)」「韓国館(한국관)」「家族会館(가족회관)」「ハングッチプ(한국집)」などがある。
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=== チンジュピビムパプ(晋州式のビビンバ/진주비빔밥) ===
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:チンジュピビムパプ([[진주비빔밥]])は、晋州式のピビムパプ。[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[晋州市の料理|晋州市]]の郷土料理として知られる。[[ユッケ(牛刺身/육회)]]を具の中心とした、いわゆる[[ユッケピビムパプ(牛刺身載せビビンバ/육회비빔밥)]]のことで、見た目の美しさから、ファバン(花飯、[[화반]])、または7つの宝物のような具材を盛り合わせたとしてチルボファバン(七宝花飯、[[칠보화반]])とも呼ばれる。牛肉のほかは、野菜の[[ナムル(ナムル/나물)]]や、ソクテギ(岩海苔、[[속대기]])と呼ばれる海藻を加える。付け合わせには、[[ソンジクッ(牛の血入りスープ/선지국)]]を添えるのが定番である。
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=== ヘジュピビムパプ(海州式のビビンバ/해주비빔밥) ===
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:ヘジュピビムパプ([[해주비빔밥]])は、海州式のビビンバ。[[北朝鮮の料理|黄海南道海州市]]の郷土料理として知られ、ヘジュギョバン(海州交飯、[[해주교반]])とも呼ぶ。海州市北部の首陽山(スヤンサン、수양산)でとれるワラビ([[고사리]])と、西海岸の名産である海苔を載せるのが特徴で、茹でて細く裂いた鶏肉や、セリ([[미나리]])、キキョウの根([[도라지]])、錦糸卵などを加える。ごはんを豚の脂で炒めてから、具を載せる調理法を特徴とする場合もある。海州市のある[[北朝鮮の料理|黄海南道]]には延白平野(ヨンベクピョンヤ、연백평야)、載寧平野(チェリョンピョンヤ、재령평야)といった稲作の盛んな地域があり、朝鮮半島北部における米の名産地として知られる。
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=== アンドンピビムパプ(安東式のビビンバ/안동비빔밥) ===
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:アンドンピビムパプ([[안동비빔밥]])、安東式のビビンバ。[[慶尚北道の料理|慶尚北道]][[安東市の料理|安東市]]の郷土料理として知られる。[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]の名前で呼ばれることが多く、代表的な祭祀料理である[[ナムル(ナムル/나물)]]や、[[チョン(チヂミ/전)]]、魚の干物、スープなどを用意し、ごはんを添えて定食風にする。ごはんを鉢状の大きなものに盛り付け、[[ナムル(ナムル/나물)|ナムル]]を入れてピビムパプとして味わうことから、アンドンピビムパプとも呼ぶ。
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=== トンヨンピビムパプ(統営式のビビンバ/통영비빔밥) ===
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:トンヨンピビムパプ([[통영비빔밥]])は、統営式のビビンバ。[[慶尚南道の料理|慶尚南道]][[統営市の料理|統営市]]の郷土料理として知られる。地元の方言で「ノムル([[너물]])」と呼ばれる各種野菜の[[ナムル(ナムル/나물)]]や、ヒジキ([[톳]])、ワカメ([[미역]])などの海藻、トゥブタンクッ(貝と豆腐のスープ、[[두부탕국]])などを具として、コチュジャンなどの薬味ダレ([[양념]])を用いずに混ぜて食べるのが特徴である。もともとは祖先の祭祀を行った後、祭祀膳に捧げた料理を器にまとめてピビムパプとして食べたのが始まりとされる。その成り立ちは[[慶尚北道の料理|慶尚北道]][[安東市の料理|安東市]]の[[ホッチェサバプ(祭祀風定食/헛제사밥)]]ともよく似る。
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=== ファンドゥンピビムパプ(黄登式のビビンバ/황등비빔밥) ===
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:ファンドゥンピビムパプ(황등비빔밥)は、黄登式のビビンバ。[[全羅北道の料理|全羅北道]][[益山市の料理|益山市]]黄登面(ファンドゥンミョン、황등면)の黄登市場(ファンドゥンシジャン、황등시장)やその周辺の郷土料理として知られる。ごはんに具を盛り付ける前に、スープをかけてこぼすことを繰り返すトリョム([[토렴]])という作業を行い、ごはんを温めるとともに下味を加えることや、そのごはんに薬味ダレを混ぜてから具を盛り付けることを特徴とする。具には各種の[[ナムル(ナムル/나물)]]とともに、[[ユッケ(牛刺身/육회)]]や、チョンポムク(緑豆寒天、[[청포묵]])、またはファンポムク(クチナシで黄色く染めた緑豆寒天、[[황포묵]])などを用いる。
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=== その他の種類 ===
 
*[[ケアルピビムパプ(カニ卵ビビンバ/게알비빔밥)]]
 
*[[ケアルピビムパプ(カニ卵ビビンバ/게알비빔밥)]]
 
*[[トルソッピビムパプ(石焼きビビンバ/돌솥비빔밥)]]
 
*[[トルソッピビムパプ(石焼きビビンバ/돌솥비빔밥)]]
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