「ナクチボックム(テナガダコ炒め/낙지볶음)」の版間の差分

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== 概要 ==
 
== 概要 ==
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[[ファイル:23021801.JPG|300px|thumb|定食形式のナクチボックム。ナムルやサンチュ、海苔などの入った器にナクチボックムとごはんを入れて混ぜて味わう]]
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[[ファイル:23021802.JPG|300px|thumb|ごはんと混ぜたナクチボックム]]
 
ぶつ切りにしたテナガダコをタマネギ、長ネギ、青唐辛子などの野菜とともに、粉唐辛子、コチュジャン、醤油などを混ぜ合わせた薬味ダレで炒める。居酒屋などで酒肴として提供されるほか、専門店では焼肉のように鉄板で炒めながら食べることも多い。茹でた素麺を添え、混ぜ合わせて食べることもある。また、ナクチボックムをごはんに載せたものをナクチトッパプ(テナガダコ炒め載せごはん、[[낙지덮밥]])と呼ぶ。
 
ぶつ切りにしたテナガダコをタマネギ、長ネギ、青唐辛子などの野菜とともに、粉唐辛子、コチュジャン、醤油などを混ぜ合わせた薬味ダレで炒める。居酒屋などで酒肴として提供されるほか、専門店では焼肉のように鉄板で炒めながら食べることも多い。茹でた素麺を添え、混ぜ合わせて食べることもある。また、ナクチボックムをごはんに載せたものをナクチトッパプ(テナガダコ炒め載せごはん、[[낙지덮밥]])と呼ぶ。
 
テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。類似の料理としては、スルメイカを同様に炒めた[[オジンオボックム(イカ炒め/오징어볶음)]]、イイダコを用いた[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]がある。
 
テナガダコを用いた料理としては、ほかに[[サンナクチ(テナガダコの踊り食い/산낙지)]]、[[ヨンポタン(テナガダコのスープ/연포탕)]]、[[カルラクタン(牛カルビとテナガダコのスープ/갈낙탕)]]、[[プルラクジョンゴル(牛肉とテナガダコの鍋/불낙전골)]]、ナクチチム(テナガダコの蒸し煮、[[낙지찜]])、ナクチホロン(テナガダコの串巻き焼き、[[낙지호롱]])などがある。類似の料理としては、スルメイカを同様に炒めた[[オジンオボックム(イカ炒め/오징어볶음)]]、イイダコを用いた[[チュクミボックム(イイダコ炒め/주꾸미볶음)]]がある。
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=== 1960年代 ===
 
=== 1960年代 ===
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[[ファイル:23021803.JPG|300px|thumb|武橋洞・瑞林洞ナクチコルモクの一角を成した老舗店「ソリンナクチ(서린낙지)」のナクチボックム]]
 
;武橋洞・瑞麟洞ナクチ通り
 
;武橋洞・瑞麟洞ナクチ通り
 
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区武橋洞(チュング ムギョドン、중구 무교동)と隣接する鍾路区瑞麟洞(チョンノグ ソリンドン、종로구 서린동)一帯では、1960年代にナクチボックムの専門店が増え、ナクチコルモク(テナガダコ通り、낙지골목)と呼ばれるようになった。この地域は繁華街として、それ以前からシルビチプ([[실비집]])と呼ばれる安価な居酒屋が多かったが、料理の中からナクチボックムが人気を集め、専門店街として発展していった。1968年7月2日付の東亜日報(동아일보)記事には、ある建設会社の社員が「数日前にソウル、武橋洞の裏路地にある居酒屋でナクチボックムを肴に同僚3人とマッコリを飲んだ」<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1968070200209206001&editNo=2&printCount=1&publishDate=1968-07-02&officeId=00020&pageNo=6&printNo=14375&publishType=00020 無知(무지)속에 파고든 빛좋은『亡國品(망국품)』] 、NAVERニュースライブラリー、2023年2月16日閲覧</ref>との記述があり、1969年8月31日付の朝鮮日報(조선일보)記事には「4、5年前から起こり始めた瑞麟洞のナクチコルモク」<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1969083100239104001&editNo=1&printCount=1&publishDate=1969-08-31&officeId=00023&pageNo=4&printNo=14886&publishType=00010 原料(원료)는 밀가루‥‥날림醸造(양조) 많아] 、NAVERニュースライブラリー、2023年2月16日閲覧</ref>と書かれていることから、1960年代の前半から半ばにかけて地域に根付いたとみられる。だがその後、1970~90年代に地域の再開発が進められたことで、人気店でも移転を余儀なくされることが多く、現在は近隣地域などに老舗が散らばっている。また、ナクチコルモクのイメージから、武橋洞、瑞麟洞の名前を屋号に掲げる店は現在も多い。
 
:[[ソウル市の料理|ソウル市]]の中区武橋洞(チュング ムギョドン、중구 무교동)と隣接する鍾路区瑞麟洞(チョンノグ ソリンドン、종로구 서린동)一帯では、1960年代にナクチボックムの専門店が増え、ナクチコルモク(テナガダコ通り、낙지골목)と呼ばれるようになった。この地域は繁華街として、それ以前からシルビチプ([[실비집]])と呼ばれる安価な居酒屋が多かったが、料理の中からナクチボックムが人気を集め、専門店街として発展していった。1968年7月2日付の東亜日報(동아일보)記事には、ある建設会社の社員が「数日前にソウル、武橋洞の裏路地にある居酒屋でナクチボックムを肴に同僚3人とマッコリを飲んだ」<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1968070200209206001&editNo=2&printCount=1&publishDate=1968-07-02&officeId=00020&pageNo=6&printNo=14375&publishType=00020 無知(무지)속에 파고든 빛좋은『亡國品(망국품)』] 、NAVERニュースライブラリー、2023年2月16日閲覧</ref>との記述があり、1969年8月31日付の朝鮮日報(조선일보)記事には「4、5年前から起こり始めた瑞麟洞のナクチコルモク」<ref>[https://newslibrary.naver.com/viewer/index.naver?articleId=1969083100239104001&editNo=1&printCount=1&publishDate=1969-08-31&officeId=00023&pageNo=4&printNo=14886&publishType=00010 原料(원료)는 밀가루‥‥날림醸造(양조) 많아] 、NAVERニュースライブラリー、2023年2月16日閲覧</ref>と書かれていることから、1960年代の前半から半ばにかけて地域に根付いたとみられる。だがその後、1970~90年代に地域の再開発が進められたことで、人気店でも移転を余儀なくされることが多く、現在は近隣地域などに老舗が散らばっている。また、ナクチコルモクのイメージから、武橋洞、瑞麟洞の名前を屋号に掲げる店は現在も多い。
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== 種類 ==
 
== 種類 ==
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[[ファイル:23021804.JPG|300px|thumb|ナクチチョルパンボックム]]
 
ナクチボックムには次のような種類がある。
 
ナクチボックムには次のような種類がある。
  
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== ナッコプセ ==
 
== ナッコプセ ==
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[[ファイル:23021805.JPG|300px|thumb|調理前のナッコプセ]]
 
:ナッコプセ([[낙곱새]])は、テナガダコと牛の小腸とエビの炒め鍋。ナッ(낙)はナクチ(テナガダコ、[[낙지]])、コプはコプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セはセウ(エビ、[[새우]])のいずれも頭文字で、チョバンナクチ([[釜山市の料理|釜山]]式ナクチボックム)のバリエーションメニューである。1990年代頃から本格的に普及したと見られ、ほかにもさまざまな具の選択肢がある中で、ナッコプセが飛び抜けて有名になった。近年はチョバンナクチよりも、ナッコプセの名称がより優位になった印象がある。チョバンナクチにトッピングをした類似のメニューとしては以下がある。また、ナッコプセから派生して、テナガダコ以外の主材料に牛の小腸とエビをトッピングするアレンジも見られる。
 
:ナッコプセ([[낙곱새]])は、テナガダコと牛の小腸とエビの炒め鍋。ナッ(낙)はナクチ(テナガダコ、[[낙지]])、コプはコプチャン(牛の小腸、[[곱창]])、セはセウ(エビ、[[새우]])のいずれも頭文字で、チョバンナクチ([[釜山市の料理|釜山]]式ナクチボックム)のバリエーションメニューである。1990年代頃から本格的に普及したと見られ、ほかにもさまざまな具の選択肢がある中で、ナッコプセが飛び抜けて有名になった。近年はチョバンナクチよりも、ナッコプセの名称がより優位になった印象がある。チョバンナクチにトッピングをした類似のメニューとしては以下がある。また、ナッコプセから派生して、テナガダコ以外の主材料に牛の小腸とエビをトッピングするアレンジも見られる。
  
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== エピソード ==
 
== エピソード ==
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[[ファイル:23021806.JPG|300px|thumb|激辛で知られる[[ソウル市の料理|ソウル市]]鍾路区貫鉄洞「ウジョンナクチ(우정낙지)」のナクチボックム]]
 
韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2005年11月に[[ソウル市の料理|ソウル市]]の武橋洞近くでナクチボックムを食べ、あまりの激辛具合に衝撃を受けた。辛さに対する自身の変化を4段階に分け、「1、身体が固まって動けなくなる」「2、妙なところに汗をかく(アゴからノドにかけて)」「3、耳が聞こえにくくなる」「4、下半身および身体の末端にしびれがくる」とやや過剰なレポートをしている<ref>[https://www.kansyoku-life.com/2000/02/2036.html コリアうめーや!!第113号(タコ炒めで究極の激辛トリップ!!)] 、韓食生活、2023年2月18日閲覧</ref>。
 
韓食ペディアの執筆者である八田靖史は、2005年11月に[[ソウル市の料理|ソウル市]]の武橋洞近くでナクチボックムを食べ、あまりの激辛具合に衝撃を受けた。辛さに対する自身の変化を4段階に分け、「1、身体が固まって動けなくなる」「2、妙なところに汗をかく(アゴからノドにかけて)」「3、耳が聞こえにくくなる」「4、下半身および身体の末端にしびれがくる」とやや過剰なレポートをしている<ref>[https://www.kansyoku-life.com/2000/02/2036.html コリアうめーや!!第113号(タコ炒めで究極の激辛トリップ!!)] 、韓食生活、2023年2月18日閲覧</ref>。
  
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