「サムギョプサル(豚バラ肉の焼肉/삼겹살)」の版間の差分

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== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
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豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、サムギョプサルが豚焼肉として広く普及したのは1980年代前半ではないかとの見解が多い。また、豚バラ肉が部位名として文献に登場するのは1930年代からであり、それがサムギョプサルという名称で確認できるのは1950年代後半である。
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=== 1930年代 ===
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;『朝鮮料理製法』(1917年)の記述
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:方信栄(パン・シニョン、방신영)によって1917年に初めて書かれ、その後も増補を重ねた『朝鮮料理製法(조선요리제법)』には、セギョプサル(세겹살)という名称で豚バラ肉を紹介している。セギョプサルのセは固有数字の3を表し、韓国語の文法としては本来、ギョプ(層)という単位を数えるにはセギョプ(세겹)とするのが正しい。このセギョプサルという単語が、のちにサムギョプサルへと変化したと考えている。本書では冒頭の「料理用語の解釈」という章において、「セギョプサル(腹の肉) 腹にある肉(豚肉の中でもっとも美味しい肉」(原文1)と紹介している。なお、本記述は1937年に出版された増補8版にて確認したが、インターネット上で調べる限り1931年の版から初めて掲載されたとされている(要確認)。
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:【原文1】
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:세겹살(뱃바지) 배에 잇는 고기(돈육중에 제일 맛잇는 고기)<ref>方信栄, 1937, 『朝鮮料理製法』, 悦話堂, P3, 99-100</ref>。
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=== 1980年代 ===
 
=== 1980年代 ===
豚バラ肉を焼いて食べるというシンプルな料理だけに、その発祥は明確になっていない。ただし、かつての韓国では豚バラ肉は人気のある部位ではなく、サムギョプサルが豚焼肉として広く普及したのは1980年代前半ではないかとの見解が多い。
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;キム・チャンビョルの報告
 
 
*キム・チャンビョルの報告
 
 
:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文1)と述べている。
 
:キム・チャンビョルは著書『韓国料理、その美味しい誕生(한국음식 그 맛있는 탄생)』の中でサムギョプサルの発祥年代を考察し、「70年代後半であってもサムギョプサルは人気のある部位ではなかった。当時の外食、または家庭における焼肉の主要メニューは大部分がプルコギか、または豚ロースに塩を振って焼いたソグムグイ(別名ロースグイ)だった。サムギョプサルを初めて食べた時期について何人かにアンケートをしてみた。大部分の人はサムギョプサルを初めて食べたのは80年代前半であると回答した。この頃に家で、または食堂でサムギョプサルを焼いて食べたというのが彼らに共通する記憶だ」(原文1)と述べている。
  
 
:【原文1】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
 
:【原文1】「70년대 후반까지도 삼겹살은 인기 있는 부위 아니었다. 당시의 외식 또는 가정식 고기구이의 주요 메뉴는 대부분 육수 불고기 아니면 돼지 등심에 소금을 뿌려 굽는 소금구이(일명 로스구이)였다. 삼겹살을 처음 먹어본 시점에 대해 여러 사람들에게 설문을 해 보았다. 대부분의 사람들이 삼겹살을 처음 먹어본 것은 80년대 초반이라고 응답했다. 이맘때 집에서 또는 식당에서 삼겹살을 구워먹었다는 것이 여러 사람들의 공통된 기억이다.」<ref>김찬별, 2008, 『한국음식 그 맛있는 탄생』, 로크미디어, P87</ref>
  
*『B級グルメが見た韓国』の記述
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;『B級グルメが見た韓国』の記述
 
:1989年に発行された文藝春秋編『B級グルメが見た韓国』にはサムギョプサルに関する記述がある。本書ではソウルの忠武路にある「忠武路テジチプ(충무로돼지집)」という豚焼肉店を取材したうえで、[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]とともにサムギョプサルを紹介し、「大衆焼き肉のもうひとつの代表格ともいえる人気メニューとなっている」と述べている。本書のデータは1988年12月現在となっており、当時の価格でテジカルビが1人前3000ウォン、サムギョプサルは1人前2500ウォンであった<ref>文藝春秋編, 1989, 『B級グルメが見た韓国』, 文藝春秋, P158</ref>。
 
:1989年に発行された文藝春秋編『B級グルメが見た韓国』にはサムギョプサルに関する記述がある。本書ではソウルの忠武路にある「忠武路テジチプ(충무로돼지집)」という豚焼肉店を取材したうえで、[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]とともにサムギョプサルを紹介し、「大衆焼き肉のもうひとつの代表格ともいえる人気メニューとなっている」と述べている。本書のデータは1988年12月現在となっており、当時の価格でテジカルビが1人前3000ウォン、サムギョプサルは1人前2500ウォンであった<ref>文藝春秋編, 1989, 『B級グルメが見た韓国』, 文藝春秋, P158</ref>。
  
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