「奉化郡の料理」の版間の差分

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== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
利川市では米作をはじめとした農業や畜産業が盛んであり、全国で唯一とされるロバの飼育も行っている。
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山間部の地形を活かした特産品があり、中でも秋にとれるマツタケと川魚のアユが有名である。
  
 
=== マツタケ(송이버섯) ===
 
=== マツタケ(송이버섯) ===

2016年4月5日 (火) 01:10時点における版

この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

奉化郡(ポンファグン、봉화군)は慶尚北道に位置する地域。本ページでは奉化郡の料理、特産品について解説する。

利川市内の陶磁器店

地域概要

奉化郡は慶尚北道の栄州市、安東市、英陽郡、蔚珍郡、江原道の寧越郡、太白市、三陟市と接する。人口は3万3821人(2015年6月)[1]。面積の83%が山林であり、一帯が道立公園に指定される清涼山(청량산)をはじめ、青玉山(청옥산)、国立白頭大幹樹木園(국립백두대간수목원)、春陽木山林体験館(춘양목산림체험관)など自然を活かした観光地が多い。ソウル(東ソウルバスターミナル)から奉化共用バス停留所までは市外バスで約2時間40分の距離。

食文化の背景

南漢江の川魚を使った鍋料理

高麗時代後期より、奉化を本貫とする奉化琴氏(봉화금씨)、奉化鄭氏(봉화정씨)の一族が中央で要職を担うようになり、安東(アンドン、안동)地域の士族らが奉化へと移住するようになる。その代表的な人物が現在のタルシル村(달실마을)に移り住んだ権橃(クォン・ボル)である[2]。こうした地域では現在も古くからの伝統を守り、両班家の食文化を現在に伝えている。そのほか地域の基幹産業としては農業、畜産業があり、米や雑穀、リンゴ、ブルーベリー、イチゴ、スイカ、トマトなどの果物類、マツタケ、シイタケ、トウガラシ、ジャガイモ、アユ、韓牛(ハヌ、한우)、韓方材といった特産品がある。また、食品以外では鍮器(ユギ、유기)と呼ばれる真鍮食器や、麻布の産地としても有名。鍮器の技能保有者は慶尚北道無形文化財第22号に指定されている。

代表的な料理

特産品の韓方材を食べさせて飼育した韓薬牛の焼肉や、タルシル村の伝統菓子が有名である。

ハニャググイ(韓薬牛の焼肉/한약우구이)

1人前のサルバプチョンシク
奉化郡では韓方材の栽培が盛んであり、それを利用した韓牛の飼育も盛んである。これらを韓方材(韓薬)を食べさせた牛という意味で、韓薬牛(ハニャグ)、または奉化韓薬牛(ポンファハニャグ)と呼ぶ。ハニャググイのグイは焼き物の総称。韓薬牛と呼ばれるのは奉化郡で生まれた牛に、生後28ヶ月以上、専用の飼料を食べさせて育てたものを指し、また肉質は1等級以上に限る[3]。韓薬牛の飼料として使われる韓方材は6種類あり、当帰(トウキの根、당귀)、白朮(オオバオケラの根、백출)、陳皮(ミカンの皮、진피)、桔梗(キキョウの根、도라지)、芍薬(シャクヤクの根、작약)、黄耆(キバナオウギの根황기)を混ぜ合わせて作る。韓薬牛の飼育は1993年に始まった。
  • 飲食店での提供
奉化郡内の飲食店では、焼肉としてカルビサル(カルビ、갈비살)やトゥンシム(ロース、등심)などの部位を提供する。また韓薬牛を使ったユッケ(육회)、プルコギ(牛焼肉、불고기)などのメニューもある。

ハングァ(伝統菓子/한과)

郡内の酉谷里(ユゴンニ、유곡리)地区には安東権氏(안동권씨)の同族村であるタルシル村があり、朝鮮時代中期の官僚である権橃が開いた。山に囲まれたこの地域は金の鶏が村全体を抱いているようだと表現され、鶏谷との意味でタルシル、またそれを漢字で酉谷と表現する。この村には現在も安東権氏の末裔30余戸が暮らしており、先祖を祀った共同祭祀を行う。この祭祀膳に捧げられるのが伝統菓子のハングァ(韓菓)であり、現在は地域の特産品として販売もされている。その製法は安東権氏の家門に代々受け継がれた門外不出のものであり、嫁いできた女性以外は実の娘であっても教わることができない。実際の製造は村の女性たちが農作業の合間に集まってすべて手作業で行っている。なお、購入する場合は10日前までに予約が必要。
  • ユグァ(油菓)
現在は大きく分けて3種類のハングァを作っている。もち米の生地を油で揚げて蜜と炒り米(튀밥)をまぶしたものをユグァ(油菓、유과)と呼び、板状に作ったイムニュグァ(입유과)と、楕円型に作ったチャンニュグァ(잔유과)の2種類がある。このうちチャンニュグァには全体に黒ゴマをまぶした黒いものと、植物のムラサキ(지치)で色をつけた赤いものがあり、プレーンな白を含めて3つの色がある。かつては陰陽五行思想に照らし合わせて5色を作ったそうだが、現在は簡略化されている。また、チャンニュグァには炒り米と干しブドウを用いて、梅の花に見立てた飾りが加わる。
  • ヤックァ(薬菓)
ハングァのもう1種類はもち米の生地にショウガなどを加えて揚げたヤックァ(薬菓、약과)である。一般的なヤックァとは異なって油っぽさがほとんどなく、層状になった生地はクッキーのような食感でサクサクしている。
  • タクシル宗家伝統油菓(닭실종가 전통유과)
住所:慶尚北道奉化郡奉化邑沖斎キル6-1(酉谷里1016)
住所:경상북도 봉화군 봉화읍 충재길 6-1(유곡리 1016)
電話:054-674-0788

代表的な特産品

山間部の地形を活かした特産品があり、中でも秋にとれるマツタケと川魚のアユが有名である。

マツタケ(송이버섯)

飲食店で利川米のごはんを盛り付けているところ
米は利川市の特産品であり「紫彩サル(자채쌀)」という品種(極早生種)は朝鮮時代から長く栽培されてきた歴史がある[4]。第9代王である成宗の頃から進上米として使われるようになったとされ、利川市は1995年に自治体としては全国で初めて「王様印の利川米(임금님표 이천쌀)」として商標登録をしている。市内には利川米を用いたサルバプチョンシクの専門店がたくさんあるほか、それ以外の飲食店でも利川米を使用する場合が多い。
  • 韓国観光公社の記述
※この項目は原文に当たっておらず確認中です
韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。この逸話は利川府使である卜承貞の残した記録に典拠があるとされるが原文は未確認。
「この話の始まりは、成宗21年(1490年)にさかのぼります。成宗は、驪州にある世宗の英陵に墓参りを済ませた帰り道、食事の時間となりました。文武百官と女官が恐れ多い思いで利川近辺のご飯とおかずを献上すると、美食家であることを自負していた成宗は、米が他と違うということ気付き問い尋ね、これからこのご飯を献上するように命令しました。」[5]
  • 朝鮮無双新式料理製法(1924年)の記述
李用基によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法』には「ごはんは白飯がいちばんであり、利川の玉紫光や、通津の密多里がいちばんよい。最近は石抜米というものがあるが、石や籾、稲、砕け米をすべて手で取ったもので、その米がいちばんよい」(原文1)との記述がある[6]。ここで述べられている玉紫光は米の品種を指すものであり、この時期からブランド米として通っていたことが推測できる。なお、並び称されている通津とは京畿道金浦市通津邑を指し、密多里も同じく米の品種を表す。
【原文1】「밥은 흰밥이 제일이니 이천 옥자강이나 통진 밀다리가 제일 좋다. 요사이는 석발미라 하는 것이 있는데 돌과 뉘와 벼와 싸라기를 모두 손으로 고른 것으로 그 쌀이 매우 좋다.」。

アユ(은어)

焼肉用のロバ肉
利川市内の長湖院地区では日本統治時代からモモの栽培が盛んで、現在も長湖院モモとしてブランド化している。「美白桃(미백도)」「黄桃(황도)」の2種類が代表的で6~9月頃に旬を迎える。

代表的な酒類・飲料

奉化ワイン(봉화와인)

奉化郡のマッコリ

特産品の利川米を利用したマッコリなどが流通しており、利川醸造場(이천양조장)、夫鉢醸造場(부발양조장)、長湖院醸造場(장호원양조장)といった酒造会社がマッコリを造っている。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • 銀河スップル会館(은하숯불회관)
住所:慶尚北道奉化郡奉化邑乃城路129(乃城里352-2)
住所:경상북도 봉화군 봉화읍 내성로 129(내성리 352-2)
電話:054-673-1303
料理:韓薬牛の焼肉
  • 仁廈院(인하원)
住所:慶尚北道奉化郡奉化邑幼鹿キル20(石坪里713)
住所:경상북도 봉화군 봉화읍 유록길 20(석평리 713)
電話:054-672-8289
料理:マツタケ料理

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2015年10月に初めて奉化郡を訪れた。

脚注

  1. 행정구역 、奉化郡ウェブサイト、2016年3月28日閲覧
  2. 봉화군(경상북도) 、韓国民族文化大百科、2015年4月3日閲覧
  3. 安東奉化畜産業協同組合作成の奉化韓薬牛パンフレット
  4. 이천쌀 、利川市ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  5. 京畿道の味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  6. 李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P1

外部リンク

関連項目