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'''ソウル市'''(서울시)は韓国の北西部に位置する地域。本ページではソウルの料理、特産品について解説する。
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'''仁川市'''(インチョンシ、인천시)は韓国の北西部に位置する地域。本ページでは仁川市の料理、特産品について解説する。
  
[[ファイル:18121303.JPG|thumb|400px|昌徳宮の正殿である仁政殿]]
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== 地域概要 ==
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仁川市(インチョンシ、인천시)は韓国の北西部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。正式には仁川広域市(インチョンクァンヨクシ、인천광역시)と呼ぶ。北部は[[北朝鮮の料理|北朝鮮]]との軍事分界線に面し、東部と南部は[[京畿道の料理|京畿道]]と、東部の一部は[[ソウル市の料理|ソウル市]]と接する。西部は西海岸に面しており、数多くの島嶼を有する。韓国で5番目の面積を誇る[[江華郡の料理|江華島]](カンファド、강화도)をはじめ、仁川国際空港のある永宗島(ヨンジョンド、영종도)、韓国の最西端に位置する白翎島(ペンニョンド、백령도)といった島がある([[北朝鮮の料理|北朝鮮]]を含む場合は平安北道薪島郡の馬鞍島が最西端である)。人口は295万2476人(2018年4月)で、韓国の市としては[[ソウル市の料理|ソウル市]]、[[釜山市の料理|釜山市]]に次いで3番目に多い<ref>[http://www.mois.go.kr/frt/sub/a05/totStat/screen.do 주민등록 인구통계] 、行政安全部ウェブサイト、2018年5月11日閲覧</ref>。主要な観光地としては、仁川駅前に韓国最大の中華街があり、またそれに隣接して日本の租界跡も残る。前述の[[江華郡の料理|江華島]]は歴史的な魅力に富む観光地でもあり、ユネスコの世界文化遺産にも指定された支石墓群や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(전등사)などがある(「[[江華郡の料理]]」の項目も参照)。ソウルからのアクセスは、地下鉄1号線が仁川駅まで結ばれているほか、仁川市内を走る仁川都市鉄道1号線、2号線に、ソウルの地下鉄1号線や空港鉄道などが接続している。仁川国際空港までは空港鉄道のほか、リムジンバスが市内各地から往復している。[[江華郡の料理|江華島]]の市外バスターミナル「江華旅客自動車ターミナル」までは、ソウル(新村、弘大入口などの各バス停)から広域バスで約2時間の距離。
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=== 江華郡の料理 ===
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江華郡(カンファグン、강화군)は、仁川市の北部に位置する地域。江華郡の料理、特産品については「[[江華郡の料理]]」で扱う。
  
== 地域概要 ==
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=== 甕津郡の料理 ===
[[ファイル:18121304.JPG|thumb|300px|ソウル駅]]
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甕津郡(オンジングン、옹진군)は、仁川市の北東部に位置する地域。甕津郡の料理、特産品については「[[甕津郡の料理]]」で扱う。
ソウル市(ソウルシ、서울시)は韓国の北西部に位置する地域。正式にはソウル特別市(ソウルトゥッピョルシ、서울특별시)と呼ぶ。韓国の首都であり、唯一の特別市である。ソウル(서울)とは固有語で都を意味する。市全体を大きく囲むように[[京畿道の料理|京畿道]]と接しており、西部は[[仁川市の料理|仁川市]]と接する。人口は980万6538人(2018年7月)で、韓国の市としてはもっとも多い<ref>[http://www.mois.go.kr/frt/sub/a05/totStat/screen.do 주민등록 인구통계] 、行政安全部ウェブサイト、2018年8月6日閲覧</ref>。主要な観光地としては、朝鮮時代の王宮である景福宮(キョンボックン、경복궁)、徳寿宮(トクスグン、덕수궁)といった歴史的なスポットに加え、ソウルを一望できるNソウルタワー(エヌソウルタウォ、N서울타워)や、東大門市場(トンデムンシジャン、동대문시장)、南大門市場(ナムデムンシジャン、남대문시장)といったショッピングスポットもある。繁華街の明洞(ミョンドン、명동)、弘大(ホンデ、홍대)、梨泰院(イテウォン、이태원)、カロスキル(カロスキル、가로수길)といった地域の人気も高い。ソウルへのアクセスは金浦国際空港が市内にあるほか、仁川国際空港からも空港鉄道や地下鉄で結ばれている。また、国内交通の中心であるソウル駅や龍山駅からは高速鉄道が、ソウル高速バスターミナル、東ソウル総合ターミナル、ソウル南部ターミナルからは高速バスが地方都市とを結んでいる。
 
  
 
== 食文化の背景 ==
 
== 食文化の背景 ==
[[ファイル:18121305.JPG|thumb|300px|宮中料理の神仙炉]]
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現在の仁川市には[[ソウル市の料理|ソウル市]]の玄関口となる仁川国際空港や、釜山港に次いで韓国2位の規模を誇る仁川港があり、貿易や交通の拠点となる港湾都市として栄えている。しかし、その歴史は意外に浅く、1876年に締結された日朝修好条規を背景として、1883年に仁川港が開港したことに端を発する。それまでの仁川港は済物浦(チェムルポ、제물포)という小さな漁村であったが、開港によって日本や中国の租界が置かれ、多くの外国人が住むようになって大きく発展した。現在も仁川駅前には韓国最大の中華街が広がっており、[[チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)]]や、[[チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)]]など、コリアナイズされた[[:Category:中国料理の一覧|中国料理]]の本場として知られる。また、中華街の裏手には開港以降、外国人に向けて新鮮な野菜などを販売した新浦市場(シンポシジャン、신포시장)があり、[[マンドゥ(餃子/만두)]]、[[チンパン(あんまん/찐빵)]]、[[コンガルパン(中国式の大きなパン/공갈빵)]]といった中国由来の料理を現在も名物としている。一方で仁川市は港町としての魚介料理も豊富であり、旬のワタリガニを用いた[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]や、[[コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)]]、かつては「ムルトムボンイ(水に捨てる魚、물텀벙이)」と呼ばれていたアンコウを巧みに利用して作る[[アグタン(アンコウ鍋/아구탕)]]や、[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)]]、青魚のツマリエツを刺身にしたペンデンイフェ(ツマリエツの刺身、[[밴댕이회]])富平区富平洞(プピョング プピョンドン、부평구 부평동)に専門店の集まる[[ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)]]などが有名である。このほか、仁川市は[[チョルミョン(生野菜入りの和え麺/쫄면)]]や、[[ケランパン(目玉焼き入り今川焼き/계란빵)]]の発祥地としても知られる。
ソウル市は朝鮮時代(1392~1910年)に都が置かれ、長らく国の中心として栄えてきた。ソウル市の食文化を語るうえで、王宮において王や王族の食事として作られた[[:Category:宮中料理の一覧|宮中料理]]の存在は欠かせないものである。[[:Category:宮中料理の一覧|宮中料理]]は国家の催す宴会などを通じて両班(官僚を輩出する支配階級、양반)の家庭にも広まり、また1910年からの日本統治時代には、宮中の調理人が料亭に勤めたことで大衆化が進んだ。市内の鍾路区楽園洞(チョンノグ ナグォンドン、종로구 낙원동)には[[:Category:餅・菓子・甘味・軽食の一覧|伝統餅]]の専門店が集まっているが、これも宮中で働いていた尚宮(女官、[[상궁]])らが店を出したものである。現在のソウル市にはこうした流れを汲む、宮中料理店、韓定食店、伝統茶店などが営業をする。このほかソウル市を発祥とする料理としては、[[ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)]]や、[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]が有名である。また、各地域に特定料理の専門店が集まる通りが形成されており、中区奨忠洞(チュング チャンチュンドン、중구 장충동)の[[チョッパル(豚足の煮物/족발)]]や、中区新堂洞(チュング シンダンドン、중구 신당동)の[[シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)]]、冠岳区新林洞(クァナック シルリムドン、관악구 신림동)の[[スンデボックム(腸詰炒め/순대볶음)]]などが名物として知られる。
 
  
 
== 代表的な料理 ==
 
== 代表的な料理 ==
ソウルは朝鮮時代から国の都として栄え、各地からの進上品が集まってさまざまな食文化が育まれた。その粋と言えるものが朝鮮王朝宮中飲食(宮中料理)であり、ソウルを代表する食文化のひとつに数えられる。ソウルを発祥とする料理には、[[ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)]]、[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]、[[シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)]]があり、このほかソウルの各地にある専門店通りや市場名物などを指して、ソウル料理を特徴づけることができる。
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*カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)東春洞
 
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*コンガルパン(中国パン/공갈빵)北城洞
=== 朝鮮王朝宮中飲食 ===
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*コッケタン(ワタリガニの鍋/꽃게탕)玉蓮洞
[[ファイル:18121306.JPG|thumb|300px|宮中料理店におけるコースの一部]]
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*タッカンジョン(鶏の蜜揚げ/닭강정)新浦洞
朝鮮王朝宮中飲食(チョソンワンジョ クンジュンウムシク、조선왕조 궁중음식)は、朝鮮時代(1392~1910年)に宮中で食べられていた料理、飲料の総称(「[[:Category:宮中料理の一覧|宮中飲食(宮中料理)]]」の項目も参照)。料理の中には新羅時代、高麗時代に完成されたものも含まれる。その調理方法と配膳方法は「朝鮮王朝宮中飲食」の名前で国の重要無形文化財第38号に指定されており、初代の技能保有者は宮中の尚宮(女官)であった韓煕順(ハン・ヒスン、한희순)氏が認定を受けた。以後、2代目を黄慧性(ファン・ヘソン、황혜성)氏、現在の3代目を韓福麗(ハン・ボンニョ、한복려)氏と、鄭吉子(チョン・ギルジャ、정길자)氏の2名が引き継いでいる。朝鮮王朝宮中飲食の伝承機関として、鍾路区苑西洞(チョンノグ ウォンソドン、종로구 원서동)に「宮中飲食研究院(궁중음식연구원)」がある。
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*タガルタン(鶏の内臓鍋/닭알탕)松林洞
 
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*マンドゥ(餃子/만두)新浦洞
*トク(餅/떡)
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*ムルトムボンイ(アンコウ/물텀벙이)龍現洞
:鍾路区楽園洞(チョンノグ ナグォンドン、종로구 낙원동)には伝統餅の専門店が多く、祭祀用、贈答用など種類豊富な餅を販売する。かつて宮中で働いた厨房女官や待令熟手(男性調理人)らがこの地で店を開いたのが始まりである。
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*パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)乙旺洞
 
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*ペンデンイフェムチム(ツマリエツの刺身和え/밴댕이회무침)港洞
=== ソルロンタン(牛スープ/설렁탕) ===
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*サムチグイ(サワラの焼き魚/삼치구이)銭洞
ソルロンタン(설렁탕)は、牛スープ。詳細は[[ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)]]を参照。
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*セスッテヤネンミョン(洗面器冷麺/세숫대야냉면)花平洞
 
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*チャジャンミョン(ジャージャー麺/자장면)北城洞
=== タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리) ===
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*チュングクホットク(中国式のお焼き/중국호떡)新浦洞
ソルロンタン(설렁탕)は、牛スープ。詳細は[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]を参照。
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*チョルミョン(生野菜との和え麺/쫄면)新浦洞
 
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*チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)雲宴洞
=== シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이) ===
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*ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)富平洞
ソルロンタン(설렁탕)は、新堂洞式の餅炒め。詳細は[[シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)]]を参照。
 
 
 
=== ペクスンデ(辛くない腸詰炒め/백순대) ===
 
ペクスンデは、辛くない腸詰炒め。[[スンデボックム(腸詰炒め/순대볶음)]]の一種であるが、辛い薬味ダレを用いずに、塩、コショウ、エゴマの粉などで味付けをするのが特徴である。冠岳区新林洞(クァナック シルリムドン)の名物であり、「元祖民俗スンデタウン(원조민속순대타운)」、「ヤンジスンデタウン(양지순대타운)」というふたつのビル内に小規模なスンデ専門店が多数集まっている。周辺にある店も含めて、一帯は「新林洞スンデタウン(신림동 순대타운)」と呼ばれる。もともとこの地域でスンデの専門店が増えたのは1970年代後半であり、露店として営業していた店が再開発によって移転を余儀なくされ、1992年に「元祖民俗スンデタウン」として建物の中に入ったのが始まりである。
 
 
 
=== ソウルの専門店通り ===
 
[[ファイル:18121308.JPG|thumb|300px|鍾路5街の[[センソングイ(焼き魚/생선구이)|センソングイ(焼き魚)]]通り]]
 
ソウルの各地域に専門店の集まった一角があり、これらはソウルの名物料理として扱われる。
 
*[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]瑞草区新沙洞
 
*[[カムジャタン(ジャガイモ鍋/감자탕)|カムジャクッ(豚の背骨とジャガイモの鍋/감자국)]]恩平区鷹岩洞、碌磻洞
 
*[[コルベンイムチム(ツブガイの和え物/골뱅이무침)]]中区苧洞2街
 
*[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]麻浦区孔徳洞
 
*[[センソングイ(焼き魚/생선구이)]]鍾路区鍾路5街
 
*[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)]]瑞草区新沙洞
 
*[[チョッパル(豚足の煮物/족발)]]中区奨忠洞
 
*[[ネンミョン(冷麺/냉면)|ハムンネンミョン(咸興冷麺/함흥냉면)]]中区五壮洞
 
 
 
=== ソウルの市場グルメ ===
 
[[ファイル:18121309.JPG|thumb|300px|広蔵市場の屋台]]
 
ソウルには各地域に伝統市場があり、市場ごとに名物となっている料理がある。
 
 
 
==== 広蔵市場(광장시장) ====
 
広蔵市場は、鍾路区礼智洞(チョンノグ イェジドン、종로구 예지동)に位置する市場。かつてソウルの3大市場と呼ばれた、梨峴市場(ペオゲ市場)、鐘楼市場(雲従街)、七牌市場のうち、梨峴市場を前身とする。梨峴市場は1905年に当時の漢城府から韓国初の常設市場として認可を受け、開設当初は東大門市場と呼ばれたのち、1960年代に入って広蔵市場と改称した。当初は農産物を中心とする食品市場であったが、1960年代に入って織物や衣類を扱う店が増え、これが現在にも引き続いて韓服などの伝統衣服、絨毯、カーテン、寝具、手工芸品などを多く販売する。1990年代以降は、市街地にあって韓国の伝統的な市場を見られるとして海外からの観光客が増加。屋台などのB級グルメが注目されるようになっている。主要な名物には、[[キムパプ(海苔巻き/김밥)|マヤッキムパプ(ひと口大の海苔巻き、마약김밥)]]、[[ピンデトク(緑豆のお焼き/빈대떡)]]、[[ポリパプ(麦飯の定食/보리밥)|ポリパプ(麦飯のビビンバ、보리밥)]]などがある。
 
*[[テグタン(マダラ(真鱈)の鍋/대구탕)|テグメウンタン(マダラの辛い鍋/대구매운탕)]]
 
*[[キムパプ(海苔巻き/김밥)|マヤッキムパプ(ひと口大の海苔巻き、마약김밥)]]
 
*[[ポリパプ(麦飯の定食/보리밥)|ポリパプ(麦飯のビビンバ、보리밥)]]
 
*ススブクミ(キビ餅/수수부꾸미)
 
*[[ピンデトク(緑豆のお焼き/빈대떡)]]
 
*[[ユッケ(牛刺身/육회)]]
 
 
 
==== 南大門市場(남대문시장)  ====
 
[[ファイル:18121310.JPG|thumb|300px|南大門市場のカルチジョリム]]
 
南大門市場は、中区南倉洞(チュング ナムチャンドン、중구 남창동)に位置する市場。朝鮮時代にソウル(漢陽)の正門である南大門(崇礼門)付近において商いの場として発達し、1414年には正式な許可を得て市場の形式となった。約2万坪の敷地に1万を超える店舗が集まっており、1日の訪問客は約30万人という巨大市場である<ref>[http://www.namdaemunmarket.co.kr/01_int/01.php 주요정보] 、南大門市場ウェブサイト、2018年12月6日閲覧</ref>。食料品、日用品、衣料品などを中心に、観光客向けのお土産なども多数扱う。代表的な名物としては、[[カルチジョリム(タチウオの煮付け/갈치조림)]]、[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]、[[チンパン(あんまん/찐빵)|ワンマンドゥ(肉まん、왕만두)]]などがある。[[ホットク(蜜入りのお焼き/호떡)]]の専門店も多く、中でも2番ゲート前に出ている屋台の[[ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)]]が有名である。
 
*[[カルチジョリム(タチウオの煮付け/갈치조림)]]
 
*[[ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)]]
 
*[[チンパン(あんまん/찐빵)|ワンマンドゥ(肉まん、왕만두)]]
 
*[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]
 
 
 
==== 通仁市場(통인시장)  ====
 
[[ファイル:18121311.JPG|thumb|300px|通仁市場にてオリジナルの弁当を作っている様子]]
 
通仁市場は、鍾路区通仁洞(チョンノグ トンインドン)に位置する市場。日本統治時代の1941年に、近隣に住む日本人のための公設市場として開かれたのが始まりである<ref>[http://tonginmarket.co.kr/mall/m_page.php?ps_pname=page_company2 시장연혁 및 현황] 、通仁市場ウェブサイト、2018年12月7日閲覧</ref>。朝鮮時代の正宮である景福宮の西側に位置するという意味から、西村(ソチョン、서촌)と呼ばれるエリアにある。西村地域は朝鮮時代に通訳、医師といった専門職の人たちが多く住んでおり、一帯には当時の伝統家屋が残っていることから、近年は観光地として注目を集めるようになった。それまでは住宅街の中にある在来市場であったが、観光客の増加を受けて2012年1月に「弁当カフェ(도시락카페)」というプロジェクトを開始。空の弁当箱を持って市場内の加盟店を練り歩き、好みのおかずを少量ずつ購入して、自分だけのオリジナル弁当を作るという企画であった。これがおおいに好評を得たことから、現在は市場を象徴する名物として人気を集めている。そのほか鉄板で餅を炒めて作る、[[トッポッキ(餅炒め/떡볶이)|キルムトッポッキ(餅炒め/기름떡볶이)]]が市場の名物として知られる。
 
*[[トッポッキ(餅炒め/떡볶이)|キルムトッポッキ(餅炒め/기름떡볶이)]]
 
*トシラクカペ(弁当カフェ、도시락카페)
 
 
 
==== 馬場畜産物市場(마장축산물시장) ====
 
[[ファイル:18121312.JPG|thumb|300px|馬場畜産物市場の焼肉]]
 
馬場畜産物市場は、城東区馬場洞(ソンドング マジャンドン、마장동)に位置する畜産物市場。1958年に家畜市場として設立されたのち、1961年に屠畜場が開場して本格的な畜産物市場となった(屠畜場は1998年に閉鎖)<ref>[http://www.mjmm.co.kr/new/pdm_second_2.html 조합유래] 、馬場畜産物市場ウェブサイト、2018年12月6日閲覧</ref>。1988年に周辺で営業していた焼肉店が北門付近に集まると、質の高い焼肉をリーズナブルに楽しめる場所として人気を集めるようになった。現在も10数軒が集まって営業しており、希少部位や鮮度のよい内臓肉などを楽しむことができる。また、2011年8月には市場の振興事業協同組合が安全行政部、ソウル市、城東区の支援を得て「コギインヌンマウル(고기있는마을)」という焼肉店の運営を開始。市場内の加盟店で購入した肉を持ち込んで食べられることができるようになった。
 
*トゥンコル(脊髄刺し/등골)
 
*ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)
 
 
 
==== 鷺梁津水産物卸売市場(노량진수산물도매시장) ====
 
鷺梁津水産物卸売市場は、銅雀区鷺梁津洞(トンジャック ノリャンジンドン、동작구 노량진동)に位置する水産市場。1927年に韓国初の水産市場として開場した京城水産市場を前身とし、1971年に韓国冷蔵株式会社として鷺梁津洞へと移転している<ref>[http://www.susansijang.co.kr/nsis/miw/ko/mrkt/miw1400 연혁] 、鷺梁津水産物卸売市場ウェブサイト、2018年12月7日閲覧</ref>。2015年10月には建物を全面的にリニューアルした。市場内では新鮮な水産物を購入できるほか、飲食店も揃っており、[[センソンフェ(刺身/생선회)]]や、[[メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)]]などの魚介料理を味わうことができる。
 
*[[センソンフェ(刺身/생선회)]]
 
*[[メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)]]
 
 
 
==== 孔徳市場(공덕시장) ====
 
孔徳市場は、麻浦区孔徳洞(マポグ コンドクトン)に位置する市場。1949年に設立された漢興市場(ハヌンシジャン、한흥시장)を前身とする。[[チョッパル(豚足の煮物/족발)]]や、[[チョン(チヂミ/전)]]、[[ティギム(天ぷら/튀김)]]の専門店が集まっている。また、市場周辺には[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]、[[チュムルロク(揉みダレ牛焼肉/주물럭)]]の専門店も多い。
 
*[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]
 
*[[チョン(チヂミ/전)]]
 
*[[チョッパル(豚足の煮物/족발)]]
 
*[[チュムルロク(揉みダレ牛焼肉/주물럭)]]
 
*[[ティギム(天ぷら/튀김)]]
 
  
 
== 代表的な特産品 ==
 
== 代表的な特産品 ==
首都のソウルは都市化が進んでおり、農地は少ないながらも景福宮米、モッコル梨といった特産品がある。
 
 
=== キョンボックンサル(景福宮米/경복궁쌀) ===
 
江西区(カンソグ、강서구)の開花洞(ケファドン、개화동)、五谷洞(オゴクトン、오곡동)一帯で栽培されている米。キョンボックンとはソウルにある朝鮮王朝の王宮名に由来する。
 
 
=== モッコルベ(モッコル梨/먹골배) ===
 
中浪区(チュンナング、중랑구)の墨洞(ムクトン、묵동)一帯で栽培されている梨。ファンシルベ(黄実梨、황실배)とも呼ぶ。モッコルは地域名を指し、直訳すると「墨の谷」という意味である。日本統治時代に栽培が始まり、宮中へも進上された歴史を持つが、近年は都市化が進んだことで生産量は減少している。現在、モッコルベは[[京畿道の料理|京畿道]][[南楊州市の料理|南楊州市]]での生産が盛んである。
 
  
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
 
== 代表的な酒類・飲料 ==
ソウル市には大手酒造メーカーの本社が多く、その主力製品がソウル市を代表する酒として扱われることが多い。また、伝統酒やマッコリ、クラフトビールにおいては小規模な醸造場も存在する。
 
[[ファイル:18121313.JPG|thumb|300px|長寿マッコリ]]
 
=== マッコリ ===
 
ソウル市では「ソウル濁酒製造協会」の生産する「長寿マッコリ(チャンスマッコルリ、장수막걸리)」が地域を代表するマッコリとして親しまれている。2009年頃からのマッコリブーム以降は、既存の伝統酒メーカーや、小規模なマッコリ醸造場の新規参入も増えている。
 
  
:;長寿マッコリ
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== 老舗 ==
::長寿マッコリは、麻浦区望遠洞(マポグ マンウォンドン、마포구 망원동)に本社を置く「ソウル濁酒製造協会(서울탁주제조협회)」が生産するマッコリ。「ソウル濁酒製造協会」は1962年2月に設立された韓国でもっとも古く、また最大規模を誇る濁酒製造業団体であり、ソウルおよび近郊で操業していた51ヶ所の醸造場が集まってできた<ref>[http://www.koreawine.co.kr/2011/c4/page1.php 연혁] 、ソウル濁酒製造協会ウェブサイト、2018年12月8日閲覧</ref>。現在に至るまでマッコリのシェア1位を誇る人気ブランドである。日本へも輸出されており、2011年2月からはサントリーが「ソウルマッコリ」として販売している(2月より業務用の扱いが正式に始まり、一般向けの缶入りタイプは同3月22日より発売された)<ref>[https://www.suntory.co.jp/news/2011/11011.html 「ソウルマッコリ」新発売 ―  微炭酸タイプの缶入りマッコリが新登場  ―] 、サントリーニュースリリース(2011.2.10)、2018年12月8日閲覧</ref>。
 
  
:;ヌリンマウルマッコリ
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== 飲食店情報 ==
::ヌリンマウルマッコリ(느린마을막걸리)は、瑞草区良才洞(ソギョグ ヤンジェドン、서초구 양재동)に本社を置く「ペサンミョン酒家(배상면주가)」が生産するマッコリ。銘柄名のヌリンマウルとは、ゆっくりとした村という意味である。「ペサンミョン酒家」は1996年に創業した伝統酒メーカーであり、サンザシ酒の「山査春(산사춘)」や、タンポポを原料に加えた「ミンドゥルレデポ(민들레대포)」といった銘柄がよく知られている。2010年6月に本社の1階を醸造場として改装し、ヌリンマウルマッコリの生産をスタートさせた。当初は試飲、販売のみを行っていたが、後にマッコリダイニングとしてリニューアルした。人工甘味料や保存料などを使用しない自然な味わいを売りにしており、また店舗では搾ってからの日数を四季に例えて、フレッシュな1~3日目のものを春、4~6日目を夏、7~9日目を秋、熟成が進んだ10日以上のものを冬と名付けている。
+
以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
  
:;トンネバンネ醸造場
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*共和春(공화춘)
::トンネバンネ醸造場(トンネバンネ ヤンジョジャン、동네방네 양조장)は、伝統酒メーカーの「ペサンミョン酒家(배상면주가)」が主導する小規模な地域マッコリを育成するプロジェクト。2017年4月開始。トンネバンネとは「村じゅう」、または「あの村、この村」という意味である。各醸造場は地域名を掲げたマッコリを生産し、その地域内でのみ販売を行う。ソウル市においては、麻浦区孔徳洞(マポグ コンドクドン、마포구 공덕동)を地盤とする「孔徳洞マッコリ(공덕동막걸리)と、城東区聖水洞(ソンドング ソンスドン、성동구 성수동)を地盤とする「聖水洞マッコリ(성수동막걸리)」の2種類がある。
+
:住所:仁川市中区チャイナタウン路43(北城洞3街5-6)
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:住所:인천시 중구 차이나타운로 43(북성동3가 5-6)
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:電話:032-765-0571
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:料理:[[チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)|チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺)]]、中華料理全般
  
=== 伝統酒 ===
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*クァジャクムヌンチプ(과자굽는집)
[[ファイル:18121314.JPG|thumb|300px|三亥酒]]
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:住所:仁川市東区松林路109番キル5(松林洞50-127)
ソウル市には市の無形文化財に指定されている伝統酒が3種類ある。
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:住所:인천시 동구 송림로109번길 5(송림동 50-127)
:;松節酒
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:電話:032-764-3314
::松節酒(ソンジョルジュ、송절주)は、うるち米やもち米を原料として造る醸造酒。朝鮮時代から造られてきた伝統酒のひとつであり、松節と呼ばれる松の木の枝分かれした部分を煎じた水を用いることから、松節酒という名前がつけられている。松節のほかにも松葉や、当帰([[당귀]])、豨薟([[희렴]])といった韓方材を一緒に煎じたり、ツツジ、菊といった花を加えることもある。1989年にソウル市の無形文化財第2号に指定されており、技能保有者は瑞草区(ソチョグ、서초구)在住の李成子(イ・ソンジャ、이성자)氏である<ref>[http://www.seoulmaster.co.kr/02022.php 송절주장 이성자] 、ソウル無形文化財教育展示場ウェブサイト、2018年12月9日閲覧</ref>。
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:料理:菓子店
  
:;三亥酒
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*金メダルチュオタン(금메달 추어탕)
::三亥酒(サメジュ、삼해주)は、もち米を原料とした醸造酒および焼酎。焼酎は三亥焼酒(サメソジュ、삼해소주)とも呼ぶ。その歴史は高麗時代までさかのぼり、宮中酒として造られてきたものを、朝鮮時代に純祖(第23代王)の次女、福温公主が安東金氏の家系に嫁いだことから民間に伝えられた。1993年にソウル市の無形文化財第8号に指定されており、三亥酒の技能保有者は瑞草区(ソチョグ、서초구)在住の権熙子(クォン・ヒジャ、권희자)氏、三亥焼酒は鍾路区苑西洞(チョンノグ ウォンソドン、종로구 원서동)に醸造場を構えるキム・テクサン(김택상)氏である<ref>[http://www.seoulmaster.co.kr/0202.php 삼해약주장 권희자] 、ソウル無形文化財教育展示場ウェブサイト、2018年12月8日閲覧</ref><ref>[http://www.seoulmaster.co.kr/02024.php 삼해소주장 김택상] 、ソウル無形文化財教育展示場ウェブサイト、2018年12月8日閲覧</ref>。三亥酒とは旧正月が明けて最初の亥の日に仕込みを始め、次の亥の日、その次の亥の日と3度作業をすることから名付けられた。なお、韓国では亥はイノシシではなく豚を指し、豚(돈)とお金(돈)が同音異義語であることから、三亥酒は富の象徴として縁起のよい酒とされる。
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:住所:仁川市南洞区宴楽コル路26(雲宴洞32-3)
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:住所:인천시 남동구 연락골로 26(운연동 32-3)
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:電話:032-465-6703
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:料理:[[チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)|チュオタン(ドジョウ汁)]]
  
:;香醞酒
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*クムサン食堂(금산식당)
::香醞酒(ヒャンオンジュ、향온주)は、うるち米やもち米を原料として造る蒸留酒。朝鮮時代から造られてきた伝統酒のひとつであり、かつては宮中にて王が臣下に下賜をしたり、外国からの賓客をもてなすために用いられた酒である。1993年にソウル市の無形文化財第9号に指定されており、技能保有者は松坡区(ソンパグ、송파구)在住の朴賢淑(パク・ヒョンスク、박현숙)氏である<ref>[http://www.seoulmaster.co.kr/02023.php 향온주장 박현숙] 、ソウル無形文化財教育展示場ウェブサイト、2018年12月9日閲覧</ref>。
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:住所:仁川市中区沿岸埠頭路24-1(港洞7街60)
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:住所:인천시 중구 연안부두로 24-1(항동7가 60)
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:電話:032-884-1324
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:料理:ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身)、[[センソンフェ(刺身/생선회)|刺身全般]]
  
=== 焼酎 ===
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*東海ヘムルタン(동해해물탕)
1973年より韓国では地域の焼酎メーカーを保護、育成するとの名目で、ひとつの地域に対してひとつの企業と限定する制度を設けた。これを「自道酒義務購買制度(자도주의무구매제도)」と呼び、卸売業者は50%以上を地元企業から購入しなければならないとの規制であった。この規制は1996年に廃止されるまで続き、結果として各地域ごとに巨大メーカーをもたらした。ソウル市、[[京畿道の料理|京畿道]]、[[仁川市の料理|仁川市]]を地盤としたのは、現在の「ハイト眞露(하이트진로)」である。
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:住所:仁川市富平区富平文化路108(富平洞527-24)
:;チャミスル(참이슬)
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:住所:인천시 부평구 부평문화로 108(부평동 527-24)
::チャミスル(참이슬)は、江南区清潭洞(カンナムグ チョンダムドン、강남구 청담동)に本社を置く「ハイト眞露(하이트진로)」が生産する焼酎。銘柄名のチャミスルとは、社名の眞露を固有語読みしたものである(眞=참、露=이슬)。酒精に水を加えて造る希釈式焼酎(희석식소주)であり、日本の甲類焼酎に相当する。1998年10月に発売されると、既存銘柄よりもアルコール度数を下げて飲みやすさを強調したことから人気を集め、希釈式焼酎としては長らく不動のシェア1位を誇っている。2018年12月現在、アルコール度数が17.2度のチャミスルfresh(참이슬 fresh)、20.1度のチャミスルオリジナル(참이슬 오리지널)、16.9度のチャミスル16.9度(참이슬 16.9도)という3銘柄が販売されている。
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:電話:032-514-5649
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:料理:[[ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)|ヘムルタン(海鮮鍋)]]
  
=== ビール ===
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*灯台軽洋食(등대경양식)
[[ファイル:18121315.JPG|thumb|300px|江西ビール]]
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:住所:仁川市中区済物梁路190(海岸洞4街3-3)
大手ビールメーカーの本社はソウル市に位置する。「hite(하이트)」、「Max(맥스)」、「Dry d(드라이d)」などを生産する「ハイト眞露(하이트진로)」は江南区清潭洞に、「Cass(카스)」、「OB Premier(OB 프리미어)」などを生産する「OBビール(오비맥주)」は江南区三成洞(カンナムグ サムソンドン、강남구 삼성동)に、「Kloud(클라우드)」を生産する「ロッテ酒類(롯데주류)」は松坡区新川洞(ソンパグ  シンチョンドン、송파구 신천동)にそれぞれ位置する。そのほかクラフトビールを生産する小規模なブルワリーもある。
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:住所:인천시 중구 제물량로 190(해안동4가 3-3)
:;江西ビール
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:電話:032-773-3473
::江西ビール(カンソメクチュ、강서맥주)は、[[江原道の料理|江原道]][[横城郡の料理|横城郡]]に本社を置く「セブンブロイビール(Sevenbrau beer、세븐브로이맥주)」が生産するビール。正式名は「江西マイルドエール(강서마일드에일)」である。「セブンブロイビール」は2011年10月にソウル市の江西区加陽洞(カンソグ カヤンドン、강서구 가양동)にて、ハウスビールの専門店としてビール醸造の免許を取得した。既存の大手ビールメーカー2社は日本統治時代に免許を取得した企業であるため、大韓民国としては第1号だとして話題になった。同社の主力銘柄である「江西ビール」は、発足当初の地域名に由来したものであり、2016年10月に大手スーパーの「ホームプラス」との共同開発で実現した。ラベルには江西区に位置する金浦国際空港の管制塔がデザインされているなど、地域性を前面に出してアピールしている。同時に発売された「達西ビール(달서맥주)」は[[大邱市の料理|大邱市]]の達西郡(タルソグン、달서군)を表しており、これらのヒットがその後に続く地域銘柄ビールの火付け役となった。
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:料理:[[トンカス(トンカツ/돈가스)|トンカス(トンカツ)]]
  
== 老舗 ==
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*レヒネヤンプニメウンタン(래희네 양푼이매운탕)
ソウルには多数の老舗がある。鍾路区堅志洞(チョンノグ キョンジドン、종로구 견지동)に位置する「里門ソルロンタン」は1904年創業とされ、韓国に現存するもっとも古い飲食店として知られる。以下には1950年代までに創業した店を列挙する。
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:住所:仁川市東区花水埠頭路17-1(花水洞7-260)
*1904年:里門ソルロンタン(이문설농탕)鍾路区堅志洞
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:住所:인천시 동구 화수부두로 17-1(화수동 7-260)
*1926年:兄弟チュオタン(형제추어탕)鍾路区平倉洞
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:電話:010-2838-2218
*1932年:湧金屋(용금옥)中区茶洞
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:料理:[[センソンフェ(刺身/생선회)|センソンフェ(刺身)]]、[[メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)|メウンタン(魚入りの辛い鍋)]]
*1932年:ウノ食堂(은호식당)中区南倉洞
 
*1933年:コムボチュタン(곰보추탕)東大門区龍新洞
 
*1933年:チェムベオク(잼배옥)中区西小門洞
 
*1937年:朝鮮屋(조선옥)中区乙支路3街
 
*1937年:清進屋(청진옥)鍾路区鍾路1街
 
*1939年:河東館(하동관)中区明洞1街
 
*1939年:韓一館(한일관)江南区新沙洞
 
*1941年:沃川屋(옥천옥)東大門区新設洞
 
*1942年:迎春屋(영춘옥)鍾路区敦義洞
 
*1946年:又来屋(우래옥)中区舟橋洞
 
*1947年:扶余チプ(부여집)永登浦区堂山洞2街
 
*1948年:江西麺屋(강서면옥)中区西小門洞
 
*1948年:オクトルチプ(옥돌집)城北区吉音洞
 
*1949年:麻浦屋(마포옥)麻浦区龍江洞
 
*1950年:明洞ハルメナクチ(명동할매낙지)中区明洞2街
 
*1950年:晋州チプ(진주집)中区南倉洞
 
*1952年:文化屋(문화옥)中区舟橋洞
 
*1953年:マボンニムハルモニトッポッキ(마복림할머니떡볶이)中区新堂洞
 
*1953年:ヨンナムソ食堂(연남서식당)麻浦区老古山洞
 
*1953年:五壮洞興南チプ(오장동흥남집)中区五壮洞
 
*1954年:美進(미진)鍾路区鍾路街
 
*1956年:麻浦チンチャ元祖チェデポ(마포진짜원조최대포)麻浦区孔徳洞
 
*1956年:ヨルチャチプ(열차집)鍾路区公平洞
 
*1957年:サムゴリモンジマクスンデクク(삼거리먼지막순대국)永登浦区大林1洞
 
*1957年:安城家(안성집)中区乙支路3街
 
*1958年:五壮洞咸興冷麺(오장동함흥냉면)中区五壮洞
 
*1958年:テジョカムジャグク(태조감자국)城北区東小門洞
 
*1959年:全州中央会館(전주중앙회관)中区忠武路1街
 
  
== 飲食店情報 ==
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*萬多福(만다복)
詳細は[[ソウル市の飲食店]]を参照。
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:住所:仁川市中区チャイナタウン路36(北城洞2街9-11)
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:住所:인천시 중구 차이나타운로 36(북성동2가 9-11)
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:電話:032-773-3838
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:料理:[[チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)|チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺)]]、中華料理全般
  
上記ページには韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。
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*ミョンウォルチプ(명월집)
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:住所:仁川市中区新浦路23番キル43(中央洞3街4-49)
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:住所:인천시 중구 신포로23번길 43(중앙동3가 4-49)
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:電話:032-773-7890
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:料理:[[キムチチゲ(キムチ鍋/김치찌개)|キムチチゲ(キムチ鍋)]]、[[メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)|メウンタン(魚入りの辛い鍋)]]
  
== 各地域の料理 ==
+
*ソンジンムルトムボン(성진물텀벙)
=== 江南区(강남구) ===
+
:住所:仁川市南区トッペ路403番キル10(龍現2洞509-17)
=== 江東区(강동구) ===
+
:住所:인천시 남구 독배로403번길 10(용현도2동 509-17)
*カムジャタン(豚の背骨とジャガイモの鍋/감자탕)千戸洞
+
:電話:032-883-1771
=== 江北区(강북구) ===
+
:料理:[[アグタン(アンコウ鍋/아구탕)|アグタン(アンコウ鍋)]]、[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)|アグチム(アンコウの蒸し煮)]]
=== 江西区(강서구) ===
 
*キョンボックンサル(景福宮米/경복궁쌀)
 
  
=== 冠岳区(관악구) ===
+
*オンジン栄養チャルバプ・ソンカルグクス(옹진영양찰밥 손칼국수)
*ペクスンデ(辛くない腸詰炒め/백순대)新林洞
+
:住所:仁川市中区済物梁路306番キル45(北城洞2街12-145)
*スンデボックム(腸詰炒め/순대볶음)新林洞
+
:住所:인천시 중구 제물량로306번길 45(북성동2가 12-145)
 +
:電話:032-765-2773
 +
:料理:ヨンヤンチャルバプ(もち米ごはん)、[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|カルグクス(韓国式の手打ちうどん)]]
  
=== 広津区(광진구) ===
+
*元祖トンケラン栄養パン(원조 통계란영양빵)
*ヤンコチ(羊肉の串焼き/양꼬치)紫陽洞
+
:住所:仁川市南区仁荷路77(龍峴洞191-1)
 +
:住所:인천시 남구 인하로 77(용현동 191-1)
 +
:電話:なし
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:料理:[[ケランパン(目玉焼き入り今川焼き/계란빵)|ケランパン(目玉焼き入り今川焼き)]]
  
=== 九老区(구로구) ===
+
*元祖ハルモニ冷麺(원조할머니냉면)
=== 衿川区(금천구) ===
+
:住所:仁川市東区花平路24-2(花平洞263-1)
=== 芦原区(노원구) ===
+
:住所:인천시 동구 화평로 24-2(화평동 263-1)
=== 道峰区(도봉구) ===
+
:電話:032-766-5616
=== 東大門区(동대문구) ===
+
:料理:[[ネンミョン(冷麺/냉면)|ネンミョン(冷麺)]]
=== 銅雀区(동작구) ===
 
*メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)鷺梁津洞
 
*センソンフェ(刺身/생선회)鷺梁津洞
 
  
=== 麻浦区(마포구) ===
+
*イナエチプ(인하의집)
*カルメギサル(豚ハラミ焼き/갈매기살)桃花洞
+
:住所:仁川市中区又玄路67番キル57(銭洞19-2)
*カルメギサル(豚ハラミ焼き/갈매기살)敦義洞
+
:住所:인천시 중구 우현로67번길 57(전동 19-2)
*テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)孔徳洞
+
:電話:032-773-8384
*ソグムグイ(豚肉の塩焼き/소금구이)西橋洞
+
:料理:[[サムチグイ(サワラの焼き魚/삼치구이)|サムチグイ(サワラの焼き魚)]]
*チョン(チヂミ/전)孔徳洞
 
*チョッパル(豚足/족발)孔徳洞
 
*チュムルロク(揉みダレ牛焼肉/주물럭)龍江洞
 
*ティギム(天ぷら/튀김)孔徳洞
 
  
=== 西大門区(서대문구) ===
+
*チョンウンジョン(정운정)
*コプテギ(豚皮の焼肉/껍데기)滄川洞
+
:住所:仁川市延寿区東春洞清涼路46番キル4(東春洞783-16)
*シンゲチ(卵チーズ入りラーメン/신계치)滄川洞
+
:住所:인천시 연수구 청량로46번길 4(동춘동 783-16)
 +
:電話:032-834-1634
 +
:料理:[[ケッチャンオデチムフェ(ハモのしゃぶしゃぶ/갯장어데침회)|ケッチャンオデチムフェ(ハモのしゃぶしゃぶ)]]、セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ)
  
=== 瑞草区(서초구) ===
+
*パダル(팟알)
*カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)方背洞
+
:住所:仁川市中区新浦路27番キル96-2(官洞1街17)
*カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)新沙洞
+
:住所:인천시 중구 신포로27번길 96-2(관동1가 17)
*コプチャングイ(牛ホルモン焼き/곱창구이)端草洞
+
:電話:032-777-8686
*サメジュ(三亥酒、삼해주)方背洞
+
:料理:カフェ、[[パッピンス(氷アズキ/팥빙수)|パッピンス(氷アズキ)]]
*ソンジョルジュ(松節酒、송절주)良才洞
 
*アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)方背洞
 
*アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)新沙洞
 
  
=== 城東区(성동구) ===
+
*平壌屋(평양옥)
*トゥンコル(脊髄刺し/등골)馬場洞
+
:住所:仁川市中区桃源路8番キル68(新興洞3街18)
*ソゴギグイ(牛焼肉/소고기구이)馬場洞
+
:住所:인천시 중구 도원로8번길 68(신흥동3가 18)
 +
:電話:032-882-4646
 +
:料理:[[カルビタン(牛カルビのスープ/갈비탕)|カルビタン(牛カルビのスープ)]]
  
=== 城北区(성북구) ===
+
*紅豆餅(홍두변)
=== 松坡区(송파구) ===
+
:住所:仁川市中区チャイナタウン路48(北城洞2街10-13)
*ヒャンオンジュ(香醞酒、향온주)風納洞
+
:住所:인천시 중구 차이나타운로 48(북성동2가 10-13)
 +
:電話:032-773-7888
 +
:料理:今川焼き
  
=== 陽川区(양천구) ===
+
*黄海ヘムルカルグクス(황해해물칼국수)
=== 永登浦区(영등포구) ===
+
:住所:仁川市中区マシラン路24(徳橋洞128-15)
=== 竜山区(용산구) ===
+
:住所:인천시 중구 마시란로 24(덕교동 128-15)
*カムジャタン(豚の背骨とジャガイモの鍋/감자탕)漢江路2街 ※再開発により専門店通りは消失
+
:電話:032-746-3017
*ステイク(牛肉とソーセージ炒め/스테이크)南営洞
+
:料理:[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)|カルグクス(韓国式の手打ちうどん)]]
  
=== 恩平区(은평구) ===
+
== 各地域の料理 ==
*カムジャクッ(豚の背骨とジャガイモの鍋/감자국)鷹岩洞、碌磻洞
+
=== 江華郡(강화군) ===
=== 鍾路区(종로구) ===
+
詳細は[[江華郡の料理]]を参照。
*キルムトッポッキ(餅炒め/기름떡볶이)通仁洞
 
*クルタレ(糸飴/꿀타래)仁寺洞
 
*タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)鍾路5街
 
*テグメウンタン(マダラの辛い鍋/대구매운탕)礼智洞
 
*トシラクカペ(弁当カフェ、도시락카페)通仁洞
 
*テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)恵化洞
 
*テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)鍾路6街
 
*トク(餅/떡)楽園洞
 
*トンパン(ウンコ型お焼き/똥빵)仁寺洞
 
*マヤッキムパプ(ひと口大の海苔巻き/마약김밥)礼智洞
 
*ポリパプ(麦飯のビビンバ/보리밥)礼智洞
 
*ピンデトク(緑豆のチヂミ/빈대떡)礼智洞
 
*サメソジュ(三亥焼酒、삼해소주)苑西洞
 
*センソングイ(焼き魚/생선구이)鍾路5街
 
*ススブクミ(キビ餅/수수부꾸미)礼智洞
 
*ユッケ(牛刺身/육회)礼智洞
 
*チパンイクァジャ(杖状の菓子/지팡이과자)仁寺洞
 
*カルグクス(手打ちウドン/칼국수)楽園洞
 
*ヘジャンクッ(牛の血のスープごはん/해장국)清進洞
 
  
=== 中区 (중구) ===
+
*コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)内可面外浦里
*カルチジョリム(タチウオの煮物/갈치조림)南倉洞
+
*トンオグイ(ボラの稚魚の焼き魚/동어구이)
*コルベンイムチム(ツブ貝の和え物/골뱅이무침)苧洞2街
+
*メンジャンクク(ボラのスープ/맹장국)
*ナクチボックム(テナガダコの炒め物/낙지볶음)武橋洞、端林洞
+
*ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)
*トンカス(とんかつ/돈가스)南山洞2街、芸場洞
+
*ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)華道面内里
*テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)新堂洞
+
*セウジョッ(アミの塩辛/새우젓)
*テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)黄鶴洞
+
*セウティギム(すり身エビの天ぷら/새우튀김)三山面煤音里
*テジコプチャン(豚ホルモン焼き/돼지곱창)乙支路6街
+
*ソンノランコグマ(サツマイモ/속노란고구마)
*シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)新堂洞
+
*スンムギムチ(カブのキムチ/순무김치)
*ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)南倉洞
+
*スッマッコルリ(ヨモギマッコリ/쑥막걸리)
*ワンマンドゥ(肉まん/왕만두)南倉洞
+
*インサム(高麗人参/인삼)
*チョッパル(豚足/족발)奨忠洞
+
*インサムマッコルリ(高麗人参マッコリ/인삼막걸리)
*チムタク(北部式鶏の丸茹で/찜닭)新堂洞
+
*チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)仙源面
*カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)南倉洞
+
*チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비)
*ハムンネンミョン(咸興冷麺/함흥냉면)五壮洞
+
*ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회)河岾面倉後里
  
=== 中浪区(중랑구) ===
+
=== 桂陽区(계양구)  ===
*モッコルベ(モッコル梨/먹골배)
+
=== 南区(남구) ===
 +
*ムルトムボンイ(アンコウ/물텀벙이)龍現洞
 +
=== 南洞区(남동구) ===
 +
*チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)雲宴洞
 +
=== 東区(동구)  ===
 +
*タガルタン(鶏の内臓鍋/닭알탕)松林洞
  
=== 全域 ===
+
=== 富平区(부평구) ===
*ムルネンミョン(冷麺/물냉면)
+
*ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)富平洞
*ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)
+
=== 西区(서구)  ===
*チョソンワンジョ クンジュンウムシク(朝鮮王朝宮中料理/조선왕조 궁중음식)
+
=== 延寿区(연수구) ===
 +
*カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)東春洞
 +
*コッケタン(ワタリガニの鍋/꽃게탕)玉蓮洞
 +
=== 甕津郡(옹진군) ===
 +
*カナリエッチョッ(イカナゴ醤油/까나리액젓)白翎面
 +
*ネンミョン(冷麺/냉면)白翎面
 +
*メミルカルグクス(平打ちのそば麺/메밀칼국수)白翎面
 +
*ピットゥリ(巻貝/삐뚜리)白翎面
 +
*ソンゲ(ウニ/성게)白翎面
 +
*ウロクペクスク(クロソイの澄まし鍋/우럭백숙)白翎面
 +
*チャンジトク(キムチと牡蠣の餃子/짠지떡)白翎面
 +
*ハスオペクスク(丸鶏とアワビの水炊き/하수오백숙)白翎面
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=== 中区(중구) ===
 +
*コンガルパン(中国パン/공갈빵)北城洞
 +
*タッカンジョン(鶏の蜜揚げ/닭강정)新浦洞
 +
*マンドゥ(餃子/만두)新浦洞
 +
*パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)乙旺洞
 +
*ペンデンイフェムチム(ツマリエツの刺身和え/밴댕이회무침)港洞
 +
*サムチグイ(サワラの焼き魚/삼치구이)銭洞
 +
*セスッテヤネンミョン(洗面器冷麺/세숫대야냉면)花平洞
 +
*チャジャンミョン(ジャージャー麺/자장면)北城洞
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*チュングクホットク(中国式のお焼き/중국호떡)新浦洞
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*チョルミョン(生野菜との和え麺/쫄면)新浦洞
  
 
== エピソード ==
 
== エピソード ==
韓食ペディアの執筆者である八田靖史は1997年2月に初めてソウルを訪れた。当時は大学2年生であり、日韓交流のプログラムに参加するのが目的であった。プログラムの終了後もしばらくソウルに滞在し、[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]][[スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋/순두부찌개)]]、[[スジェビ(韓国式のすいとん/수제비)]]などを食べ歩いた。中でも印象的だったのが、当時のソウルで流行していた[[タッカルビ(鶏肉の鉄板焼き/닭갈비)]]であった。そこにまつわる淡い恋物語は当時配信していたメールマガジン「コリアうめーや!!第25号」に記されている<ref>[http://www.kansyoku-life.com/2000/02/1856.html コリアうめーや!!第25号 あの日あの時あの人と……] 、韓食生活、2018年12月1日閲覧</ref>。
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韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて仁川市を訪れた。中華街で[[チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)]]を食べるのが目的であったが、それとともに当時閉店していながらも看板だけ残していた、1905年創業の「共和春」跡地を直接見られたのが何よりの収穫であった。その後「共和春」はオーナーを代えて2004年に復活。旧跡地は2012年4月に[[チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)|チャジャンミョン]]博物館として生まれ変わった。
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
 
;関連サイト
 
;関連サイト
*[http://japanese.visitseoul.net/ Visit Seoul(ソウル市観光公式サイト)]
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*[http://www.travelicn.or.kr/open_content/japanese/ 仁川観光公社]
 
;制作者関連サイト
 
;制作者関連サイト
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
 
*[http://kansyoku-life.com/ 韓食生活](韓食ペディアの執筆者である八田靖史の公式サイト)
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
{{DEFAULTSORT:そうるしのりようり}}
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{{DEFAULTSORT:いんちよんしのりようり}}
 
[[Category:韓食ペディア]]
 
[[Category:韓食ペディア]]
[[Category:ソウル市の料理]]
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[[Category:京畿道・仁川市の料理]]
*[[カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)]]
 
*[[カルチジョリム(タチウオの煮付け/갈치조림)]]
 
*[[カムジャタン(ジャガイモ鍋/감자탕)]]
 
*[[コルベンイムチム(ツブガイの和え物/골뱅이무침)]]
 
*[[キムパプ(海苔巻き/김밥)]]
 
*[[ネンミョン(冷麺/냉면)]]
 
*[[タッカンマリ(丸鶏の鍋/닭한마리)]]
 
*[[テジカルビ(豚カルビ焼き/돼지갈비)]]
 
*[[トッポッキ(餅炒め/떡볶이)]]
 
*[[メウンタン(魚入りの辛い鍋/매운탕)]]
 
*[[ポリパプ(麦飯の定食/보리밥)]]
 
*[[ピンデトク(緑豆のお焼き/빈대떡)]]
 
*[[センソングイ(焼き魚/생선구이)]]
 
*[[センソンフェ(刺身/생선회)]]
 
*[[ソルロンタン(牛スープ/설렁탕)]]
 
*[[スンデボックム(腸詰炒め/순대볶음)]]
 
*[[シンダンドントッポッキ(新堂洞式の餅炒め/신당동떡볶이)]]
 
*[[アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)]]
 
*[[ヤチェホットク(春雨入りのお焼き/야채호떡)]]
 
*[[ユッケ(牛刺身/육회)]]
 
*[[チョン(チヂミ/전)]]
 
*[[チョッパル(豚足の煮物/족발)]]
 
*[[チュムルロク(揉みダレ牛焼肉/주물럭)]]
 
*[[チンパン(あんまん/찐빵)]]
 
*[[カルグクス(韓国式の手打ちうどん/칼국수)]]
 
*[[ティギム(天ぷら/튀김)]]
 
*[[京畿道の料理]]
 
*[[南楊州市の料理]]
 
*[[江原道の料理]]
 
*[[横城郡の料理]]
 
*[[大邱市の料理]]
 

2018年12月13日 (木) 23:12時点における版

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この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。掲載されている情報によって被った損害、損失に対して一切の責任を負いません。また、内容は随時修正されます。

仁川市(インチョンシ、인천시)は韓国の北西部に位置する地域。本ページでは仁川市の料理、特産品について解説する。

地域概要

仁川市(インチョンシ、인천시)は韓国の北西部に位置する広域市(韓国に6ヶ所ある上級地方自治体)。正式には仁川広域市(インチョンクァンヨクシ、인천광역시)と呼ぶ。北部は北朝鮮との軍事分界線に面し、東部と南部は京畿道と、東部の一部はソウル市と接する。西部は西海岸に面しており、数多くの島嶼を有する。韓国で5番目の面積を誇る江華島(カンファド、강화도)をはじめ、仁川国際空港のある永宗島(ヨンジョンド、영종도)、韓国の最西端に位置する白翎島(ペンニョンド、백령도)といった島がある(北朝鮮を含む場合は平安北道薪島郡の馬鞍島が最西端である)。人口は295万2476人(2018年4月)で、韓国の市としてはソウル市釜山市に次いで3番目に多い[1]。主要な観光地としては、仁川駅前に韓国最大の中華街があり、またそれに隣接して日本の租界跡も残る。前述の江華島は歴史的な魅力に富む観光地でもあり、ユネスコの世界文化遺産にも指定された支石墓群や、神話上の始祖である檀君が天に祭祀を行った摩尼山(마니산)、高句麗時代の381年に創建されたとされる伝燈寺(전등사)などがある(「江華郡の料理」の項目も参照)。ソウルからのアクセスは、地下鉄1号線が仁川駅まで結ばれているほか、仁川市内を走る仁川都市鉄道1号線、2号線に、ソウルの地下鉄1号線や空港鉄道などが接続している。仁川国際空港までは空港鉄道のほか、リムジンバスが市内各地から往復している。江華島の市外バスターミナル「江華旅客自動車ターミナル」までは、ソウル(新村、弘大入口などの各バス停)から広域バスで約2時間の距離。

江華郡の料理

江華郡(カンファグン、강화군)は、仁川市の北部に位置する地域。江華郡の料理、特産品については「江華郡の料理」で扱う。

甕津郡の料理

甕津郡(オンジングン、옹진군)は、仁川市の北東部に位置する地域。甕津郡の料理、特産品については「甕津郡の料理」で扱う。

食文化の背景

現在の仁川市にはソウル市の玄関口となる仁川国際空港や、釜山港に次いで韓国2位の規模を誇る仁川港があり、貿易や交通の拠点となる港湾都市として栄えている。しかし、その歴史は意外に浅く、1876年に締結された日朝修好条規を背景として、1883年に仁川港が開港したことに端を発する。それまでの仁川港は済物浦(チェムルポ、제물포)という小さな漁村であったが、開港によって日本や中国の租界が置かれ、多くの外国人が住むようになって大きく発展した。現在も仁川駅前には韓国最大の中華街が広がっており、チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)や、チャンポン(激辛スープの海鮮麺/짬뽕)など、コリアナイズされた中国料理の本場として知られる。また、中華街の裏手には開港以降、外国人に向けて新鮮な野菜などを販売した新浦市場(シンポシジャン、신포시장)があり、マンドゥ(餃子/만두)チンパン(あんまん/찐빵)コンガルパン(中国式の大きなパン/공갈빵)といった中国由来の料理を現在も名物としている。一方で仁川市は港町としての魚介料理も豊富であり、旬のワタリガニを用いたカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)や、コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)、かつては「ムルトムボンイ(水に捨てる魚、물텀벙이)」と呼ばれていたアンコウを巧みに利用して作るアグタン(アンコウ鍋/아구탕)や、アグチム(アンコウの蒸し煮/아구찜)、青魚のツマリエツを刺身にしたペンデンイフェ(ツマリエツの刺身、밴댕이회)富平区富平洞(プピョング プピョンドン、부평구 부평동)に専門店の集まるヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)などが有名である。このほか、仁川市はチョルミョン(生野菜入りの和え麺/쫄면)や、ケランパン(目玉焼き入り今川焼き/계란빵)の発祥地としても知られる。

代表的な料理

  • カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)東春洞
  • コンガルパン(中国パン/공갈빵)北城洞
  • コッケタン(ワタリガニの鍋/꽃게탕)玉蓮洞
  • タッカンジョン(鶏の蜜揚げ/닭강정)新浦洞
  • タガルタン(鶏の内臓鍋/닭알탕)松林洞
  • マンドゥ(餃子/만두)新浦洞
  • ムルトムボンイ(アンコウ/물텀벙이)龍現洞
  • パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)乙旺洞
  • ペンデンイフェムチム(ツマリエツの刺身和え/밴댕이회무침)港洞
  • サムチグイ(サワラの焼き魚/삼치구이)銭洞
  • セスッテヤネンミョン(洗面器冷麺/세숫대야냉면)花平洞
  • チャジャンミョン(ジャージャー麺/자장면)北城洞
  • チュングクホットク(中国式のお焼き/중국호떡)新浦洞
  • チョルミョン(生野菜との和え麺/쫄면)新浦洞
  • チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)雲宴洞
  • ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)富平洞

代表的な特産品

代表的な酒類・飲料

老舗

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • 共和春(공화춘)
住所:仁川市中区チャイナタウン路43(北城洞3街5-6)
住所:인천시 중구 차이나타운로 43(북성동3가 5-6)
電話:032-765-0571
料理:チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺)、中華料理全般
  • クァジャクムヌンチプ(과자굽는집)
住所:仁川市東区松林路109番キル5(松林洞50-127)
住所:인천시 동구 송림로109번길 5(송림동 50-127)
電話:032-764-3314
料理:菓子店
  • 金メダルチュオタン(금메달 추어탕)
住所:仁川市南洞区宴楽コル路26(雲宴洞32-3)
住所:인천시 남동구 연락골로 26(운연동 32-3)
電話:032-465-6703
料理:チュオタン(ドジョウ汁)
  • クムサン食堂(금산식당)
住所:仁川市中区沿岸埠頭路24-1(港洞7街60)
住所:인천시 중구 연안부두로 24-1(항동7가 60)
電話:032-884-1324
料理:ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身)、刺身全般
  • 東海ヘムルタン(동해해물탕)
住所:仁川市富平区富平文化路108(富平洞527-24)
住所:인천시 부평구 부평문화로 108(부평동 527-24)
電話:032-514-5649
料理:ヘムルタン(海鮮鍋)
  • 灯台軽洋食(등대경양식)
住所:仁川市中区済物梁路190(海岸洞4街3-3)
住所:인천시 중구 제물량로 190(해안동4가 3-3)
電話:032-773-3473
料理:トンカス(トンカツ)
  • レヒネヤンプニメウンタン(래희네 양푼이매운탕)
住所:仁川市東区花水埠頭路17-1(花水洞7-260)
住所:인천시 동구 화수부두로 17-1(화수동 7-260)
電話:010-2838-2218
料理:センソンフェ(刺身)メウンタン(魚入りの辛い鍋)
  • 萬多福(만다복)
住所:仁川市中区チャイナタウン路36(北城洞2街9-11)
住所:인천시 중구 차이나타운로 36(북성동2가 9-11)
電話:032-773-3838
料理:チャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺)、中華料理全般
  • ミョンウォルチプ(명월집)
住所:仁川市中区新浦路23番キル43(中央洞3街4-49)
住所:인천시 중구 신포로23번길 43(중앙동3가 4-49)
電話:032-773-7890
料理:キムチチゲ(キムチ鍋)メウンタン(魚入りの辛い鍋)
  • ソンジンムルトムボン(성진물텀벙)
住所:仁川市南区トッペ路403番キル10(龍現2洞509-17)
住所:인천시 남구 독배로403번길 10(용현도2동 509-17)
電話:032-883-1771
料理:アグタン(アンコウ鍋)アグチム(アンコウの蒸し煮)
  • オンジン栄養チャルバプ・ソンカルグクス(옹진영양찰밥 손칼국수)
住所:仁川市中区済物梁路306番キル45(北城洞2街12-145)
住所:인천시 중구 제물량로306번길 45(북성동2가 12-145)
電話:032-765-2773
料理:ヨンヤンチャルバプ(もち米ごはん)、カルグクス(韓国式の手打ちうどん)
  • 元祖トンケラン栄養パン(원조 통계란영양빵)
住所:仁川市南区仁荷路77(龍峴洞191-1)
住所:인천시 남구 인하로 77(용현동 191-1)
電話:なし
料理:ケランパン(目玉焼き入り今川焼き)
  • 元祖ハルモニ冷麺(원조할머니냉면)
住所:仁川市東区花平路24-2(花平洞263-1)
住所:인천시 동구 화평로 24-2(화평동 263-1)
電話:032-766-5616
料理:ネンミョン(冷麺)
  • イナエチプ(인하의집)
住所:仁川市中区又玄路67番キル57(銭洞19-2)
住所:인천시 중구 우현로67번길 57(전동 19-2)
電話:032-773-8384
料理:サムチグイ(サワラの焼き魚)
  • チョンウンジョン(정운정)
住所:仁川市延寿区東春洞清涼路46番キル4(東春洞783-16)
住所:인천시 연수구 청량로46번길 4(동춘동 783-16)
電話:032-834-1634
料理:ケッチャンオデチムフェ(ハモのしゃぶしゃぶ)、セジョゲシャブシャブ(トリガイのしゃぶしゃぶ)
  • パダル(팟알)
住所:仁川市中区新浦路27番キル96-2(官洞1街17)
住所:인천시 중구 신포로27번길 96-2(관동1가 17)
電話:032-777-8686
料理:カフェ、パッピンス(氷アズキ)
  • 平壌屋(평양옥)
住所:仁川市中区桃源路8番キル68(新興洞3街18)
住所:인천시 중구 도원로8번길 68(신흥동3가 18)
電話:032-882-4646
料理:カルビタン(牛カルビのスープ)
  • 紅豆餅(홍두변)
住所:仁川市中区チャイナタウン路48(北城洞2街10-13)
住所:인천시 중구 차이나타운로 48(북성동2가 10-13)
電話:032-773-7888
料理:今川焼き
  • 黄海ヘムルカルグクス(황해해물칼국수)
住所:仁川市中区マシラン路24(徳橋洞128-15)
住所:인천시 중구 마시란로 24(덕교동 128-15)
電話:032-746-3017
料理:カルグクス(韓国式の手打ちうどん)

各地域の料理

江華郡(강화군)

詳細は江華郡の料理を参照。

  • コッケタン(ワタリガニ鍋/꽃게탕)内可面外浦里
  • トンオグイ(ボラの稚魚の焼き魚/동어구이)
  • メンジャンクク(ボラのスープ/맹장국)
  • ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)
  • ペンデンイフェ(ツマリエツの刺身/밴댕이회)華道面内里
  • セウジョッ(アミの塩辛/새우젓)
  • セウティギム(すり身エビの天ぷら/새우튀김)三山面煤音里
  • ソンノランコグマ(サツマイモ/속노란고구마)
  • スンムギムチ(カブのキムチ/순무김치)
  • スッマッコルリ(ヨモギマッコリ/쑥막걸리)
  • インサム(高麗人参/인삼)
  • インサムマッコルリ(高麗人参マッコリ/인삼막걸리)
  • チャンオグイ(ウナギ焼き/장어구이)仙源面
  • チョックッカルビ(豚カルビの塩辛鍋/젓국갈비)
  • ファンボクフェ(メフグの刺身/황복회)河岾面倉後里

桂陽区(계양구)

南区(남구)

  • ムルトムボンイ(アンコウ/물텀벙이)龍現洞

南洞区(남동구)

  • チュオタン(ドジョウ汁/추어탕)雲宴洞

東区(동구)

  • タガルタン(鶏の内臓鍋/닭알탕)松林洞

富平区(부평구)

  • ヘムルタン(海鮮鍋/해물탕)富平洞

西区(서구)

延寿区(연수구)

  • カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)東春洞
  • コッケタン(ワタリガニの鍋/꽃게탕)玉蓮洞

甕津郡(옹진군)

  • カナリエッチョッ(イカナゴ醤油/까나리액젓)白翎面
  • ネンミョン(冷麺/냉면)白翎面
  • メミルカルグクス(平打ちのそば麺/메밀칼국수)白翎面
  • ピットゥリ(巻貝/삐뚜리)白翎面
  • ソンゲ(ウニ/성게)白翎面
  • ウロクペクスク(クロソイの澄まし鍋/우럭백숙)白翎面
  • チャンジトク(キムチと牡蠣の餃子/짠지떡)白翎面
  • ハスオペクスク(丸鶏とアワビの水炊き/하수오백숙)白翎面

中区(중구)

  • コンガルパン(中国パン/공갈빵)北城洞
  • タッカンジョン(鶏の蜜揚げ/닭강정)新浦洞
  • マンドゥ(餃子/만두)新浦洞
  • パジラッカルグクス(アサリウドン/바지락칼국수)乙旺洞
  • ペンデンイフェムチム(ツマリエツの刺身和え/밴댕이회무침)港洞
  • サムチグイ(サワラの焼き魚/삼치구이)銭洞
  • セスッテヤネンミョン(洗面器冷麺/세숫대야냉면)花平洞
  • チャジャンミョン(ジャージャー麺/자장면)北城洞
  • チュングクホットク(中国式のお焼き/중국호떡)新浦洞
  • チョルミョン(生野菜との和え麺/쫄면)新浦洞

エピソード

韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて仁川市を訪れた。中華街でチャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺/짜장면)を食べるのが目的であったが、それとともに当時閉店していながらも看板だけ残していた、1905年創業の「共和春」跡地を直接見られたのが何よりの収穫であった。その後「共和春」はオーナーを代えて2004年に復活。旧跡地は2012年4月にチャジャンミョン博物館として生まれ変わった。

脚注

  1. 주민등록 인구통계 、行政安全部ウェブサイト、2018年5月11日閲覧

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目