利川市の料理

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この記事はウィキペディアではありません。「韓食ペディア」はコリアン・フード・コラムニストの八田靖史が作る、韓国料理をより深く味わうためのWEB百科事典です。以下の内容は八田靖史の独自研究を含んでいます。

利川市(イチョンシ、이천시)は京畿道に位置する地域。本ページでは利川市の料理、特産品について解説する。

利川市内の陶磁器店

地域概要

利川市は京畿道の南部に位置し、同じ京畿道の安城市、龍仁市、広州市、驪州市、忠清北道の陰城郡と接する。人口は21万1347人(2015年8月)[1]。韓国を代表する陶磁器の生産地であり、市内には窯元やショップなどの集まる陶芸村がある。温泉地としても知られているほか、朝鮮時代からの米どころとしても有名。朝鮮時代には宮中への献上米を生産していたことから、利川米は今でもブランドとして全国に名を轟かせている。ソウル(東ソウルバスターミナル)から利川市外バスターミナルまでは市外バスで約1時間20分の距離。

食文化の背景

南漢江の川魚を使った鍋料理

利川という地名の語源となったのは易学にある利渉大川という言葉で、「たいせんをわたるによろし」と読む。高麗を建国した太祖王建が後百済と戦った際、川を渡れずに苦労をする一幕があったが、地元民の案内によって無事渡ることに成功した。これを喜んだ王建は利渉大川という言葉から2文字取って、その土地を利川と名付けたとの逸話が残る。南漢江の支流が走る利川は土地が肥沃であり、古くから米の名産地として栄えた。また、その川魚を使った料理も発達しており、市内には川魚料理の有名店もある。

代表的な料理

利川の特産品といえばまずは米であり、これを利用した定食店が市内にはたくさんある。

サルバプチョンシク(利川米の釜飯定食/쌀밥정식)

1人前のサルバプチョンシク

サルバプとは米飯の意味であり、1人前ずつ釜炊きしたごはんにたくさんの副菜を添えた定食をサルバプチョンシクと称している。副菜はハンジョンシク(韓定食/한정식)のようにテーブルを埋め尽くすほどに並べられ、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)プルコギ(牛焼肉/불고기)センソングイ(焼き魚/생선구이)といったごはんに合う料理が多い。多くの店では副菜の種類や品数によって価格を細分化している。釜のごはんは別の茶碗に取り分け、熱の残った釜には水やお茶を注いでヌルンジ(おこげ湯/누룽지)としても味わう。

センソングクス(淡水魚のスープ麺/생선국수)

センソングクス(생선국수)は、川魚のスープ麺。センソン(생선)が魚、グクス(=ククス、국수)が麺を意味する。コウライニゴイ、ナマズ、コイ、フナといった川魚が用いられる。季節ごとにとれる川魚を下煮し、どろどろにすりつぶしたうえで味噌仕立ての辛いスープに溶かし込み、茹でたうどんを加えて作る。スープには唐辛子、山椒を加えて雑味を取る。暮加面薪葛里(モガミョン シンガルリ、모가면 신갈리)に位置する「シンガルミ」が専門店として有名。

代表的な特産品

利川市では米作をはじめとした農業や畜産業が盛んであり、全国で唯一とされるロバの飼育も行っている。

イチョンサル(利川米/이천쌀)

飲食店で利川米のごはんを盛り付けているところ

イチョンサル(이천쌀)は、利川米。「紫彩サル(자채쌀)」という品種(極早生種)は朝鮮時代から長く栽培されてきた歴史がある[2]。第9代王である成宗の頃から進上米として使われるようになったとされ、利川市は1995年に自治体としては全国で初めて「王様印の利川米(イムグムニムピョ イチョンサル、임금님표 이천쌀)」として商標登録をしている。市内には利川米を用いたサルバプチョンシク(利川米の釜飯定食/쌀밥정식)の専門店がたくさんあるほか、それ以外の飲食店でも利川米を使用する場合が多い。

  • 韓国観光公社の記述
※この項目は原文に当たっておらず確認中です
韓国観光公社が配布する『韓国の味紀行』という冊子(WEBでも閲覧可)では以下のように紹介されている。この逸話は利川府使である卜承貞の残した記録に典拠があるとされるが原文は未確認。
「この話の始まりは、成宗21年(1490年)にさかのぼります。成宗は、驪州にある世宗の英陵に墓参りを済ませた帰り道、食事の時間となりました。文武百官と女官が恐れ多い思いで利川近辺のご飯とおかずを献上すると、美食家であることを自負していた成宗は、米が他と違うということ気付き問い尋ね、これからこのご飯を献上するように命令しました。」[3]
  • 朝鮮無双新式料理製法(1924年)の記述
李用基によって1924年に書かれた『朝鮮無双新式料理製法』には「ごはんは白飯がいちばんであり、利川の玉紫光や、通津の密多里がいちばんよい。最近は石抜米というものがあるが、石や籾、稲、砕け米をすべて手で取ったもので、その米がいちばんよい」(原文1)との記述がある[4]。ここで述べられている玉紫光は米の品種を指すものであり、この時期からブランド米として通っていたことが推測できる。なお、並び称されている通津とは京畿道金浦市通津邑を指し、密多里も同じく米の品種を表す。
【原文1】「밥은 흰밥이 제일이니 이천 옥자강이나 통진 밀다리가 제일 좋다. 요사이는 석발미라 하는 것이 있는데 돌과 뉘와 벼와 싸라기를 모두 손으로 고른 것으로 그 쌀이 매우 좋다.」。

チャンホウォン ポクスンア(長湖院モモ/장호원 복숭아)

チャンホウォン ポクスンア(장호원 복숭아)は、市内の長湖院邑(チャンホウォンウプ、장호원읍)一帯で栽培されているモモ(복숭아)。この地域は日本統治時代からモモの栽培が盛んで、現在もチャンホウォン ポクスンアとしてブランド化している。「美白桃(ミベクト、미백도)」「黄桃(ファンド、황도)」の2種類が代表的で6~9月頃に旬を迎える。

タンナグィゴギ(당나귀고기/ロバ肉)

焼肉用のロバ肉

タンナグィゴギ(당나귀고기)は、ロバ肉。利川市ではロバの飼育が行われており、ロバ肉を食用とする飲食店もある。農場と同経営の飲食店「ナグィダングィ」では、ロバ肉の焼肉や、ユッケ(刺身/육회)、鍋料理などを味わうことができる。韓国においてロバ肉を提供する飲食店はたいへん珍しい。

代表的な酒類・飲料

利川市のマッコリ

特産品の利川米を利用したマッコリなどが流通しており、利川醸造場(이천양조장)、夫鉢醸造場(부발양조장)、長湖院醸造場(장호원양조장)といった酒造会社がマッコリを造っている。

飲食店情報

以下は韓食ペディアの執筆者である八田靖史が実際に訪れた店を列挙している。

  • ナグィダングィ(나귀당귀)
住所:京畿道利川市徐熙路7-19(中里洞450-3)
住所:경기도 이천시 서희로 7-19(중리동 450-3)
電話:031-771-9250
料理:ロバ料理
  • 蟾津江硫黄オリ(섬진강유황오리)
住所:京畿道利川市利涉大川路1131(中里洞59-4)
住所:경기도 이천시 이섭대천로 1131(중리동 59-4)
電話:031-638-1073
料理:アヒル料理
  • クァンチョンスンドゥブ(관촌순두부)
住所:京畿道利川市京忠大路2934(沙音洞192-1)
住所:경기도 이천시 경충대로 2934(사음동 192-1)
電話:031-635-6561
料理:スンドゥブチゲ
  • シンガルミチュオタンセンソングクス(신갈미추어탕생선국수)
住所:京畿道利川市暮加面サシル路1063番キル36(薪葛里143-2)
住所:경기도 이천시 모가면 사실로1063번길 36(신갈리 143-2)
電話:031-634-0453
料理:チュオタン、センソングクス

エピソード

  • 韓食ペディアの執筆者である八田靖史は2003年1月に初めて利川市を訪れた。以後、2008年10月、2014年11月、12月、2015年2月の計5度訪問している。
  • 2014年12月に八田靖史が利川市を訪れた際、サギマッコル陶芸村に店を構える「現代工芸社」のご夫婦にたいへん世話になった。ここに改めて謝意を示したい。

脚注

  1. 주민등록인구 、利川市ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  2. 이천쌀 、利川市ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  3. 京畿道の味紀行 、韓国観光公社ウェブサイト、2015年9月19日閲覧
  4. 李用基, 1924, 『朝鮮無双新式料理製法』, 永昌書館, P1

外部リンク

関連サイト
制作者関連サイト

関連項目