新大久保「テーハンミング」でニシンのクァメギほか慶尚道料理三昧。

 日曜日は新大久保「テーハンミング」にて「慶尚道料理の魅力」という話をしました。ひと口に慶尚道といっても、釜山、大邱、蔚山という大都市に加え、慶尚北道と慶尚南道があるので、60分という時間ではだいぶ駆け足でしたね。それでも楽しかったとおっしゃっていただいたみなさまに大感謝です。

 話で胃袋を刺激した後は「テーハンミング」のママさんが作る慶尚道料理を実食。ママさんというより韓国料理の先生でもあるので、朴賢子(パク・ヒョンジャ)先生と書くべきですね。1品目はチョンボッチュク(アワビ粥、전복죽)。済州島料理の印象が強いですが、慶尚北道浦項市の九龍浦港も有名です。

 同じく浦項の郷土料理、クァメギ(과메기)。生干しにしたサンマを海苔やワカメなどと一緒に食べる料理ですが、昔はニシンで作りました。この日は韓国でも珍しいニシンのクァメギ。生っぽさを残したニシンと香りのよい青海苔の相性が抜群でしたねぇ。冬の季節料理でもあるためその意味でも貴重でした。

 刺身の盛り合わせは、ヒラメ、カンパチ、タコ。ヒラメは釜山でとれたものだそうです。タコも慶尚道では祭祀膳によく上がる食材。内陸なのにタコが有名な栄州の話をした後だけに、こちらもタイムリーでした。カンパチは韓国語で「잿방어」。ブリやヒラマサはよく見ますが、カンパチは珍しいですね。

 サバを大根と煮付けにした、コドゥンオジョリム(고등어조림)。サバは全国的に食べられますが、名産地のひとつ釜山では「市の魚」に認定されています。サバの焼き魚を牛カルビに見立て「コカルビ」(고등어갈비の略)と呼ぶのも釜山発。サバも美味しかったですが、とろっとろの大根がまた美味でした。

 慶尚南道の馬山(現・昌原市)で生まれた、アグチム(アンコウの蒸し煮、아구찜)。アンコウは1960年代までとれても捨てられていた魚でしたが、馬山で蒸し煮する調理法が生み出され、それが全国に広まっていまや高級魚……なんて話を講座でした直後に、その料理が実際に出てくる流れはよかったですね。

 うっかり単体での写真を撮り忘れ、遠くにしか写っていなかったのですが、シグムチナムル(ホウレンソウのナムル、시금치나물)も美味しかったです。味噌で味付けをするのが慶尚道式とか。またホウレンソウで思い出しましたが、慶尚北道の浦項市が浦項草(포항초)と呼ばれるホウレンソウの産地ですね。

 どの料理も美味しかったですが、個人的にはこのポムナムルクッ(春山菜のスープ、봄나물국)がいちばん印象深かったです。慶尚道は東に太白山脈、西に小白山脈が伸びる山の多い地域。山間部では山菜料理も名物のひとつです。昨日はまだまだ風の冷たい日でしたが、ひと足早く春を感じられた瞬間でした。

 そして慶尚道料理とは別に昨年「マツコの知らない世界」で取り上げられ、すっかり「テーハンミング」の看板料理となったモドゥムジョン(チヂミ盛り合わせ、모듬전)も登場。白身魚、海鮮キムチ、エホバク(韓国カボチャ)という3種でしたが、中でもエホバクの甘味がよく出ていて美味しかったです。

 ほかにも副菜がずらり。それにしても地方料理でこれだけのコースで組み立てられる朴賢子先生はさすがですねぇ。ご自身は全羅道の出身ですが、他地域の食文化も本当によく研究なさっています。またお知らせを出しますが、次は4月頃にやろうかと相談中。珍しい料理を食べたい方はぜひご参加ください。

 余談ですが、食事会の席で「テーハンミング」の通りに名前が欲しいという話から、イケメン通りを基準に東西で考えて、東新宿駅側を「東イケメン通り(東メン通り)」、西大久保公園側を「西イケメン通り(西メン通り)」と呼ぶアイデアが生まれましたので、定着するかはともかく一案として報告します。

テーハンミング
東京都新宿区大久保1-12-27
03-5292-4448
http://daehanminguk.jacklist.jp/

 

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<八田靖史プロフィール・既刊著書一覧>
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