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ソウルで名前のない麺料理が流行り始めているのではないかという一考察。

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 先日の韓国出張よりひとりメシの写真。

 最近の定宿である「剛の家」に帰る途中で、見つけた小さな定食店に入りました。厚岩市場(フアムシジャン)のすぐ近所。ソウル駅からも徒歩圏ですが、このあたりはどちらかというとローカルな住宅地です。

 お店の名前が「モイ情(모이정)」で、料理名はモイグクス(모이국수)。

 グクス(국수)は麺という意味なので、モイ麺。モイにどのような意味があるのかは確認しませんでしたが、お店の名前を冠する麺料理ということで、間違いないだろうとは思います。

 つまりオリジナルの麺料理。

 店頭にあったメニュー説明によれば、「果物と野菜でダシをとった淡白なスープに多様な野菜と肉を添えた新しい味の麺料理」ということで、僕が食べたのは温かい麺ですが、冷やしでも注文ができるようです。

 薄切りの牛肉に、春菊、長ネギ、キクラゲ、シイタケ、おでんの練り物などが入っており……。

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 麺は細みの小麦麺。というかラーメンに近いですね。

 いや、なんか全体にラーメンなんですよ。

 油の気配がかなり控え目であるのと、スープに青唐辛子のピリッとした刺激があるものの、食べていて連想するのはラーメン。韓国では外食としてもインスタントラーメンが主流派であり、最近でこそ日本式のラーメン店も増えましたが……。

「韓国式ラーメンとしてこれはすでにアリだな」

 というのが正直な感想。意図したものか、そうでないのかは取材をしていないので不明ですが、日本のラーメンとは別物の新たなラーメンが誕生しているとの印象がありました。

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 で、翌日のランチにも足を運んだのですが、むしろこの「モイ情」という店は、周辺の会社員らが日替わり定食を食べに来る店なんですね。僕のようなひとり客はおらず、女性3人組とか、男性4人組とか、いかにも仕事仲間という感じの店で座席が埋まっています。

 といっても座席数自体が20席ほどと小さいので、すごく地元感があります。

 この日の日替わり定食は、ウゴジトゥンカルビチム(菜っ葉と豚バックリブの煮込み、우거지등갈비찜)でしたが、ほとんどすべての人がそれを食べていました。

 むしろ席に座った瞬間に、

「オヌレメニュ トゥリルカヨ?(今日のメニューにしますか?)」

 と聞かれたぐらい。

 僕は昨日の麺料理が謎で仕方なかったがために、モイピビムグクス(모이비빔국수)を注文。モイが店名で、ピビムグクスは混ぜ麺のことなので、モイ情スタイルの混ぜ麺ということですね。それが上の写真なのですが……。

「すげぇ、冷やし中華だ!」

 というのが感想のほぼすべて。

 千切りのハムや、錦糸卵はなく、かわりに牛肉、春菊、キクラゲ、キュウリ、ミニトマトという具のラインナップ。そこに昨日と同じラーメン風の麺が入って、醤油をベースとした酸味のあるタレ。

 真っ赤なヤンニョム(薬味ダレ)は入っていません。

 味は本当に冷やし中華。

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 単品メニューにたこわさびがあったり、サーモンの刺身があったり、日本風な要素が入っているのも気になるところですが、ほかはカムジャジョン(ジャガイモのチヂミ/감자전)とか、プルコギパジョン(牛肉とネギのチヂミ、불고기파전)とか、それなりに韓国テイストな感じ。

 ランチはともかく、夜は居酒屋風な使い方ができて、ひとりでもけっこう大丈夫そうで、ラーメン的な麺料理でシメられるって、ずいぶん幸せな話だと思いませんか。

 ますます徒歩で帰れる「剛の家」に入り浸りそうな。

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 ただ、そこでふと思うのが同じく「剛の家」から歩ける別の店。

 名前を「トドンチプ(도동집)」というのですが、牛肉、春菊、長ネギ、キクラゲなどが入ったオリジナルの麺料理を自慢としており……。

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 これがまたやっぱり限りなくラーメン的なのです。

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 卓上にはコショウと食卓塩まであるし。

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 興味深いのはメニュー名がトドンタンミョン(도동탕면)といって、トドンは店の名前で、タンミョンは漢字で「湯麺」と書いて温かな麺料理のこと。前述の「モイ情」と同じく、店名+麺の図式で共通するネーミングということになります。

 トドンタンミョンを食べたのが昨年6月で「モイ情」よりも早かったのですが、時期的に見ると「トドンチプ」のほうが始めたのも早そうですね。

 看板料理の見た目としてはよく似ていますし、位置的にはちょっと離れていますが、充分に歩いて行ける距離。「トドンチプ」のほうも単品メニューには揚げ出し豆腐や、明太子入り卵焼きなどがあって、これまた居酒屋として使えそうな雰囲気です。

 コンセプトは明らかに似ている訳で、じゃあ「トドンチプ」が元祖かというと……。

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 麺料理自体の本家はこっちじゃないかなぁと。

 狎鴎亭洞にある「トゥレグクス(두레국수)」という店のオリジナル麺料理で、料理名も店名と同じくトゥレグクスです。牛肉、春菊、長ネギ、キクラゲといった具のラインナップが共通しており、麺はこれまでの2店ほどラーメンっぽくはないものの自家製麺。

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 食べたときの感想は、

「韓国式の肉うどんだな」

 というものでしたが、これをもう少しラーメン方面に近付けると、「モイ情」「トドンチプ」の麺料理になるだろうなという感じ。料理名を「店名+麺」にしているのも、たぶんここの「トゥレグクス」から始まってのではないかと想像するのです。

 検索してみると、同じような評価をしている人もいるようですしね。

 ただ、それが「剛の家」近くの厚岩洞でのみ起こっている現象なのか、その他の地域でも、こうした店が増えているのかがわからないのです。なにせ、共通した料理名というのがないので検索のしようがないんですよね。ソウルによく行くみなさまや、むしろソウル在住のみなさまで、ご存じの類似店があったらぜひ教えてください。

 こっそりと、でも着実に、ブームが来ているように感じています。

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 もっとルーツを探ると韓国料理の範疇ではこれが近い感じ。

 1人前の麺料理ではありませんが、鍋料理のククスジョンゴル(牛肉と麺の鍋料理、국수전골)は具の構成がほぼ共通します。

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 あるいはこっちの要素もあるかなぁとも。

 ソウルのベトナム料理店で食べたフォーですが、米麺と小麦麺の違いはあるにしても、ビジュアルからこのへんの影響もあるような気がしてなりません。

 きちんと取材をして正式に話を聞けば、謎も解けていくのかもしれませんが、いまのところはこうしていろいろ妄想するのが楽しいです。どの店がルーツであるにせよ、あるいはまったく無関係にせよ(だったら失礼な決めつけなので申し訳ありませんが)、個人的には3店舗すべて超おすすめ。

 特に在住者の方におすすめしたい店ばかりです。

 日本から進出したラーメン店も増えて、以前ほどに渇望したラーメン欲はないかもしれませんが、少し切り口の違う新機軸の韓国ラーメンとしてなら魅力的に映るかなとも。

 そそられる方はぜひ探索してみてください。

 また同様の店が拡大しているような情報がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

店名:モイ情(모이정)
住所:ソウル市龍山区漢江大路104キル59(東子洞19-110)
住所:서울시 용산구 한강대로104길 59(동자동 19-110)
電話:02-3789-7319

店名:トドンチプ(도동집)
住所:ソウル市龍山区厚岩路80(厚岩洞439-13)
住所:서울시 용산구 후암로 80(후암동 439-13)
電話:02-772-9463

店名:トゥレグクス(두레국수)
住所:ソウル市江南区島山大路37キル28(新沙洞626-79)
住所:서울시 강남구 도산대로37길 28(신사동 626-79)
電話:02-3444-1421

 

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One Response to ソウルで名前のない麺料理が流行り始めているのではないかという一考察。

  1. daddy こと 宮川恒一

    モイジョンやトドンチプは牛肉入りラーメンに近いのかな~と見ましたが、私はラーメンを食べたくなると中華料理店へ行って辛くないチャンポン(サムソンチャンポン)を良く注文して食べています。
    辛くしないチャンポンと注文すると不思議な(不審そうな)顔を
    されますが、一般の店でインスタント麺を使用したラーメンよりは
    日本の生麺に近い感じで美味しく食べられます。

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