忠清南道に行って「百済」を食べるにはどうすればよいのか(後編)。

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 前編から続きます。

 忠清南道に行って「百済」を食べるにはどうすればよいのか。

 このミッションに対して、内陸部においては「農作物」「新名物」というふたつのキーワードを提案してみました。後編では海岸部の料理に目を向けつつ、さらなる百済について考察してみたいと思います。

 冒頭の写真は「百済の微笑み」と紹介される瑞山龍賢里磨崖如来三尊像。

 漢字がいっぱい並んでややこしいですが、忠清南道の瑞山(ソサン)市、龍賢里(ヨンヒョンニ)にある磨崖仏(崖に彫られた仏様)です。造られた年代は6世紀の末から7世紀の初めにかけて。百済が滅亡に向かうちょっと前ぐらいの時期ですね。

 忠清南道を旅するうえでは、扶余(プヨ)、公州(コンジュ)と並ぶ人気スポット。

 ただ、どうしても場所が不便なので、扶余、公州に比べると知名度の点で落ちるのはもったいないところです。百済の都も「ソウル(漢城)→公州(熊津)→扶余(泗沘)」と移動していることから、なんとなくそのルートが定番のようになっているのも惜しい気がします。

 今回の取材では瑞山、礼山(イェサン)といった地域も巡ったのですが、このあたりの人たちから本当によく聞いたのが海からのルートという視点。

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 当時の先進国である中国からの文化は海を渡ってきました。

 上の地図は僕がざっくり作ったイメージですが、北に高句麗、東に新羅があった時代、百済が外国とのやり取りをするのは当然西海岸経由。泰安(テアン)や唐津(タンジン)を入口として、瑞山、礼山、公州と向かうルートには、さまざまな百済時代の史跡が残ります。

 冒頭の磨崖仏しかり、百済時代から続く唯一の寺院である礼山の修徳寺(スドクサ)しかり。また、今回は見られなかったのですが、泰安には瑞山よりももっと古い時代の磨崖仏があります。

 これらの仏さまに守られながら都を目指して長い旅路を行く。

 そんな姿に思いをはせるとき、扶余、公州にとどまらず、西海岸から連なる町々がひときわ魅力的に感じられてきます。それもまた忠清南道を旅する面白さのひとつですね。

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 従って、忠清南道に行くなら1度は海を見ていくべきでしょう。

 取材時はあいにくの曇天でしたが、それでも遠くまで潮の引いた広大な干潟を眺めることはできました。山がなだらかだというのは、そこから連なる海もなだらかであるということ。いきなり深い東海岸とは違って、遠浅の海が西海岸の特徴です。

 忠清南道で食べる「百済」その3は、文化の入口ともなった海の幸。

 秋のまんぷくツアーでも、後半戦は西海岸沿いの町を巡りながら海の幸を満喫していこうと思っています。

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 瑞山をはじめとした西海岸でまず食べるべきはカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け、간장게장)ですね。今回はターメリックライスとセットで味わえる店を見つけました。

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 そこへ郷土料理のウロクチョックッ(クロソイの干物鍋、우럭젓국)を添えて贅沢に。干物だけにダシがよく出ているのはもちろん、瑞山の特産品であるニンニクと、西海岸の各地で生産されるアミの塩辛がガツンとパンチを効かせています。

 ここでアミの塩辛を味わっておきつつ……。

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 ツアーの最終日には生産地まで足を伸ばして買い物に。

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 また、今回はこちらの会社にもご協力いただきました。

 日本で韓国海苔を買うなら僕のオススメは、五星コーポレーションの「宗家一品」。韓国でも海苔の名産地として名高い、忠清南道洪城(ホンソン)郡の広川(クァンチョン)地区で生産されています。

 しかもその生産元というのが、広川海苔といえばココというぐらいたいへん有名なところ。五星コーポレーションのはからいによって、特別に見学をさせていただけることになりましたので、韓国海苔もおみやげに買って帰ろうと思います。

 そのほか保寧(ポリョン)の牡蠣定食ですとか、アサリ粥ですとか、あるいは人間国宝の愛したカルビタン(牛カルビのスープ、갈비탕)などなど、今回のツアーでも美味しいものを山ほど用意しました。9月9日(金)までの申し込みで早割サービスもあり。ぜひお早目にご検討ください。

忠清南道まんぷくツアー4日間(三進トラベル)
https://www.kansyoku-life.com/calendars/manpuku008

 また、前編でも書きましたが、これらの取材成果は忠清南道を紹介する観光冊子「CN-Story」としてツーリズムEXPOジャパンの会場で無料配布を予定しています。9月24日(土)には14時から韓国ブースで、同じく執筆者の加来紗緒里(ジャヨンミ)さんと忠清南道を語るトークイベントも実施(こちらも無料)。また、慶尚北道を紹介する姉妹編の観光冊子「GB-Story Vol.2」の取材発表会も9月22日(木、祝)に行います。

 ぜひ、まんぷくツアーに先立ってご来場ください。

 

<お知らせ>
1月22日(金)に新刊が発売されました。『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』(三五館)。全体としては日韓の未来を考察するものですが、話のひとつひとつはグルメルポや地方の旅エッセイの形を取っています。詳細はコチラAmazonなどでも予約受付が始まっています。

 

<お知らせ2>
江原道の絶品グルメを紹介する動画に出演しました。下記よりご視聴ください。
http://www.konest.com/contents/gourmet_hot_report_detail.html?id=10550

<八田靖史プロフィール・既刊著書一覧>
https://www.kansyoku-life.com/profile

<最近のお仕事>
るるぶソウル’17』(原稿執筆)  ←NEW
JTBパブリッシング/1080円/2016.9.9
るるぶソウル’17 ちいサイズ』(原稿執筆)  ←NEW
JTBパブリッシング/1080円/2016.9.9

<日々のお仕事>
韓国語学習ジャーナルhana Vol.15』(FOOD連載)
→最新記事「Vol.15 農家マッチプ」 ←2016.9.1発売
地球の歩き方 旅いさら』(「旅コラム」執筆)
→最新記事「ランチタイムに煙の誘惑 ~国道44号線と豚バラ肉のコチュジャン焼き」 ←2016.9.6UP

<イベント&オフ会情報>
9月10日(土):第8回「日本国内の韓国・朝鮮を訪ねる旅(東京編)」 ←残席僅少
 ※主催:三進トラベル
9月13日(火):講座「韓国の済州島料理を味わう」 ←残席僅少 ←NEW
 ※主催:朝日カルチャーセンター横浜教室
9月22日(木、祝):第2回「慶尚北道広報大使による『GB-Story Vol.2』取材報告会」 ←残席僅少 ←NEW
 ※主催:有限会社プランネット
9月24日(土):トークイベント「観光冊子『CN-Story』取材報告会」 ←自由参加
 ※会場:ツーリズムEXPOジャパン韓国ブース(14~15時)
10月8~10日(土~月)グルメツアー「八田靖史と行く済州島グルメを味わう旅」 ←残席僅少
 ※主催:中日ツアーズ
10月15日(土):第27回「オレカテ」 ←残席僅少
 ※講師:田代親世さん タイトル「韓国ミュージカルの楽しみ方」
 ※主催:オレカテ事務局韓食生活
10月16~19日(日~水):グルメツアー「韓国食の贅沢 松茸と高麗人参を味わう旅」 ←催行中止 ←NEW
 ※主催:朝日旅行
10月21~24日(金~月):ツアー「栄州で楽しむウォーキング大会参加と豊基高麗人参祭り見学の旅」 ←募集中
 ※受託販売:三進トラベル
11月5日(土):第9回「日本国内の韓国・朝鮮を訪ねる旅(京都編)」 ←日程確定
 ※受託販売:三進トラベル
11月9~12日(木~日)、11月20~24日(日~水):グルメツアー「第8回まんぷくツアー(忠清南道編)」 ←募集中
 ※受託販売:三進トラベル
11月26日(土):第6回「ハリアナコリア」 ←日程確定
 ※主催:ハリアナコリア事務局、韓食生活
12月3日(土):第28回「オレカテ」 ←日程確定
 ※主催:オレカテ事務局韓食生活
12月10日(土):第10回「日本国内の韓国・朝鮮を訪ねる旅(福島編)」 ←日程確定
 ※受託販売:三進トラベル

 

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