ライターにとって編集者がいるということ ~釜山で冷麺を食べながら

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 新刊『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』は好評発売中です。

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 僕の手元には早速、読んだ方からの感想が届いておりますが、やはりというか第5章「冷麺には未来があった」へのコメントが多いようです。北朝鮮ルポを兼ねつつ、冷麺という料理を通して日韓関係を考える全体のまとめとしました。苦労して何度も書き直した章でもあるので、ここを評価してくれるのは素直に嬉しいです。

 毎度、三五館の編集者さんは熱心に原稿を読み込んでくれるのですが、今回は「ここをもっと詳しく」とか、「もっと論を掘り下げて明確に」など、いつも以上にたくさんの指摘をいただいたように思います。なにしろタイトルがまがりなりにも「日韓論」ですから、その部分に一定の説得力がなければいけません。

 まえがきだけでも4回は書きましたかね。たぶんボツ原稿は過去最多。

 普段からライター任せという仕事も多く請け負いますが、書籍となると出版社のほうも売れるかどうかは死活問題です。担当編集者も読みますし、上の偉い人も読みます。多くの人からたくさんのダメ出しをされてヘコむことも確かにあるのですが、後からみるとやっぱりぐんぐんよくなるんですよ。どんなにキャリアを積んでも自分だけの視点では偏るし足りないのです。

 なので、仕事をすればするほど編集者の大事さが身に染みます。

 よくも悪くも表で評価を受けるのはライターですが、その裏にはきっちり仕事をした編集者がいるということをみなさんにもお伝えしたいです。そして感謝。

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 さて、そんな思い入れの深い第5章のP178には、

「韓国滞在時に隙間のような時間でもあれば老舗冷麺店を食べ歩き」

 といった文章があります。先日の釜山出張においても1953年創業の「元山麺屋」を訪問。釜山というといつも郷土料理のミルミョン(小麦粉麺の冷麺、밀면)を食べてしまうので、なかなかこの有名店も足を運ぶことがなかったんですよね。

 注文したのは平壌冷麺(そば麺の冷麺、평양냉면)。

 麺はそば粉とサツマイモのでんぷんで作り、スープは牛肉、豚肉、鶏肉を使っていると店内に書いてありました。このあたりは平壌で聞いてきた製法とだいぶ共通するものがあります。肉のうま味をベースとしたスープに、具は梨、キュウリ、白菜キムチ、大根キムチ、刻みネギ、そして薄切りにした茹で豚が雑然とした感じに載っていました。

 スープはちょっと強めの甘味が後に残る感じ。

 淡いところへ甘いので、そこのところは好みが分かれるかもしれませんね。麺はやや太めで、ハサミのいらないぐらいの食感。ここも本場平壌を思い起こさせます。

店名:元山麺屋(원산면옥)
住所:釜山市中区光復路56-8(昌善洞1街37-1)
住所:부산시 중구 광복로 56-8(창선동1가 37-1)
電話:051-245-2310

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 寒い中を2時間ぐらい歩いていたので、お茶がわりのユクス(牛スープ、육수)が染みました。冬に冷麺を食べる醍醐味のひとつです。

 今回、釜山は実に5年ぶりだったのですが、見知ったはずの繁華街も雰囲気が変わっていましたし、宿題として残っている有名店もずいぶんあります。久しぶりにまた釜山をじっくりと探索したいですね。釜山から「我らが慶尚北道!」へのルートも重要なので、そのあたりも研究したいと思います。

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