旅行ツアー「韓国南部まんぷく4日間」後記(後編)

13121701.jpg

前編はコチラ
中編はコチラ

三進トラベルの「まんぷくツアー」は3日目に突入。

統営(トンヨン)での朝食は、いろいろ悩んだ結果、
いちばん定番といえるだろうこちらから始めました。

統営名物の忠武キムパプ(ひと口海苔巻き)。

忠武(チュンム)というのが統営の旧称です。
ひと口大に作った具なし、味なしの海苔巻きに添えられるのは、
オジンオムチム(イカの和え物)とカクトゥギ(大根の角切りキムチ)。
これらを長めの爪楊枝で、ぷすっぷすっと刺しながら食べます。

元祖とされている店が伝えるところによれば、
この料理が誕生したのは、1947年のこと。
当初は具ありの一般的なキムパプを売っていたものの、
どうしても暑い時期には傷みが早く……。

「じゃあ、具とごはんを分けよう!」

と思い至ったのがきっかけとか。

それが漁師の方や、旅行客に受けて定番化し、
いつしか統営地域の名物になったとのことです。

ただ、「まんぷくツアー」の朝食としてはやや軽めなので……。

13121702.jpg

ちょっと重めのオヤツを午前中に用意しました。

密度の詰まったずっしりみっちりのあんドーナツを、
さらに蜜でコーティングするというハイカロリーな一品。
それでも、必ず元祖の店で購入すること、という条件付きで、

「必食!」

の2文字を掲げておきたいと思います。
うまいんですよ、コレは。手がベタベタになりますけど。

13121703.jpg

その後、ケーブルカーに乗るなど一帯の観光を経つつ、
まだまだ統営に留まって、昼食もしっかり食べていきます。

「統営3泊4日でも充分成立するのではないか?」

という話を移動中にバスの中でもしたのですが、
この町は本当に食べるべき名物がどっさりあるのです。
その中から悩みに悩んでチョイスしたのが……。

「チャンオグイ(アナゴ焼き)!」

ぷりっぷりのアナゴに薬味ダレをかけて焼いたものですが、
店によっては、食卓で網焼きにする場合もあります。

そのままバクバク食べても充分美味しいですが、
エゴマの葉に包んで食べると、さらに味が引き立ちました。
個性のある素材だけに、力負けしないという感じですかね。

正直、焼肉も刺身も包まないほうが好きだったりするのですが、
このアナゴ焼きばかりは韓国式のよさを痛感しました。
生のニンニク、青唐辛子との相性も抜群です。

13121704.jpg

そのアナゴ焼きを食べながら、もうひとつのメインは、
これまた統営名物のカルチホバックッ(タチウオとカボチャのスープ)。
薄い味噌味ですが、ピリッと青唐辛子も効いています。

タチウオとカボチャの組み合わせは済州島にもありますが、
味付けに味噌を加えるというのが、大きな違いといえますね。

タチウオの鮮度を活かした済州島式の塩味スープに対し、
うっすら味噌を効かせる統営式はカボチャの甘味が引き立ちます。
このへんの微妙な地域差もたまらなく面白い部分かと。

13121705.jpg

その後、巨済島(コジェド)から船に乗って外島(ウェド)を観光。
あえて説明は省きますが、こんなレアな場所も訪問しました。

13121706.jpg

外島を出た後は、巨加大橋を通って昌原(チャンウォン)へ。

……という書き方をするとイマイチしっくりきませんが、
いわゆる馬山(マサン)が3日目夜の目的地でした。
2010年7月に馬山市は隣接する鎮海(チネ)郡とともに、
慶尚南道の道庁所在地である昌原市へと編入されています。

そんな馬山の名物といえば、何よりもアンコウ料理。

韓国では1960年代までアンコウを食べる習慣がなく、
この馬山において、その利用が始まったとされています。

上の写真はアグチム(アンコウの蒸し煮)ですが、
生アンコウでなく、乾燥アンコウを使うのが正当なる馬山式。
干しダラのような食感で、正直韓国でも好き嫌いは分かれるのですが、
にじみ出る旨味を楽しめるとの通好みな魅力もあります。

13121707.jpg

せっかくなので一緒にアグタン(アンコウ鍋)も注文。
こちらはぷるぷるの生アンコウを使っています。

13121708.jpg

翌朝。

3泊4日って、あっという間なんですよねぇ。
こんなに食べられるのかとか、何キロ太るのかと心配しつつも、
けっこうペロッと食べ切れてしまうのが不思議です。

馬山のアンコウ通りから、少し歩くとフグ通り。
馬山における朝食といえばポックッ(フグのスープ)です。

フグは値段によって種類を選べるのですが、
今回は東海岸産のミルボク(クロサバフグ)をチョイス。
僕らの行った店では、

「トラフグとクロサバフグのみ白子が入る!」

というスペシャルなサービスがあるのでした。

まあ、高価なトラフグを食べられればいちばんですが、
値段が倍近くになるというジレンマはありますね。

「安いフグのほうが身が大きく食べ応えもある!」

という言い訳のような本音もあったりします。

13121710.jpg

その後、馬山の市場で最後の買い物をして、
金海(キメ)での観光を経て、最後の食事は昌原名物のソクセプルコギ。
この場合の昌原とは、馬山、鎮海と合併する前の昌原です。

ソクセというのが網を意味するので、すなわち牛肉の網焼き。
この料理が名物となったのは1970年代、南海高速道路の建設当時で、
労働者が仕事の後に、焼肉で鋭気を養ったのが始まりといいます。

甘い醤油ダレと肉汁、炭火焼きの香ばしい風味が入り混じり、
この料理もみなさんの感想では評価が高かったですね。

地元の方は、この網焼きプルコギで焼酎を飲み……。

13121709.jpg

ソクッパプ(牛スープごはん)でシメるのが定番。
僕らもそれにならって、両方のメニューを楽しみました。

以上をもって3泊4日の「まんぷくツアー」が終了。
ご参加いただいたみなさま、本当にお疲れさまでした。

一覧にするとこんな感じですね。

=========================
<1日目>
昼食:特注弁当(KTX車内)
間食:柿ワイン(清道)
夕食:清道韓牛の焼肉(清道)

<2日目>
朝食:清道式のドジョウ汁(清道)
昼食:マツタケ鍋、マツタケごはん、マツタケの刺身(昌寧)
間食:ユッケビビンバ(晋州)
夕食:牡蠣のフルコース(統営)

<3日目>
朝食:忠武キムパプ(統営)
間食:蜜がけあんドーナツ(統営)
昼食:アナゴ焼き、タチウオとカボチャのスープ(統営)
夕食:アンコウの蒸し煮、アンコウ鍋(馬山)

<4日目>
朝食:フグのスープ(馬山)
昼食:網焼きプルコギ、牛肉のスープごはん(昌原)
=========================

そのほかにも細々としたオヤツがあったりもしましたが、
とりあえずこんな面々をずらり食べてきました。

事前の宣伝文句では、

「韓牛、マツタケ、牡蠣、アンコウ、フグ!」

といった高級食材をアピールしましたが、
いずれも地元に密着した食材であり、地域性を反映するもの。
決して贅沢なだけのツアーではないのが伝わるかと思います。

韓国内の評価は決して高くない慶尚道地域の料理ですが、
実際に食べれば、それがまったくの偏見であるのがわかるはず。

「慶尚道の料理は美味しい!」

ということを最後にアピールしつつ、
以上で、前、中、後編にまたがっての報告を終わりにします。

各記事の最後にも書きましたが、次回のツアーは2月。
女優、黒田福美さんとのコラボでソウル近郊を食べ歩きます。
食欲をくすぐられた方は、下記の詳細をご覧ください。

黒田福美&八田靖史と行くミステリーツアー ぐるぐるグルメ感謝ツアー
http://www.sanshin-travel.com/tour/detail.php?sid=1528

この記事のタグ:



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

 

 
 
previous next