旅行ツアー「江原道まんぷく4日間」後記(後編)

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前編からの続きです。

3日目の朝ごはんは江陵名物の草堂豆腐からスタート。
にがりのかわりに、海水を使って作る豆腐のことです。
名前の由来となった草堂洞に豆腐専門店が集まっています。

注文したのは写真のスンドゥブ。

一般的にスンドゥブというとチゲを想像しますが、
もともとは押し固めない段階での豆腐を表す単語です。
もろもろとした豆腐に、薬味醤油をかけて味わうのですが、
ほんのり塩気があるので、かけない状態でも充分美味。

むしろ豆の甘味を感じるという意味ではプレーンがベストですね。
段階的に薬味醤油や、古漬けキムチを足していくのがオススメです。

右奥に見えているコンビジチゲ(おからのチゲ)と、
切れてしまいましたが、その奥にあるテンジャンチゲ(味噌チゲ)。
あと青唐辛子のテンジャンチャンアチ(味噌漬け)で料理はすべて。
シンプルですが、いずれもの味が素晴らしく大好評でした。

その後、烏竹軒、船橋荘という史跡を見学し……。

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一路、東海岸沿いをひたすら北上し、到着したのが巨津港。

江原道でも最北に位置する高城郡の小さな港町です。
東海岸の中でももっとも有名なスケトウダラの産地であり、
冬場になると、スケトウダラ祭りも開催されるという地域ですね。

そんな巨津で味わうべきスケトウダラ料理の代表というのが、
写真の、ミョンテチリクク(スケトウダラの澄まし仕立て鍋)です。

スケトウダラの鍋というと、たいてい真っ赤に仕上げますが、
さすが産地だけあって、素材の味を全面に押し出した調理法。
冬場なので、もしかしたらな生のスケトウダラが、と期待したのですが、
わずかに早かったようで、まだ冷凍物のスケトウダラでした。

とはいえ、抜群の鮮度で急速冷凍したスケトウダラは新鮮そのもの。
ありがちなくさみは微塵もなく、身の旨さ、ダシの旨さを堪能しました。

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それと圧巻だったのが、パンチャン(副菜)の数々。

江原道はパンチャンを見ることで地域性がさらに感じられます。
山間部では山菜やキノコが、海岸部では魚介、干物、塩辛が活躍。
なんて話も、先日メルマガに書いていたりします。

第276号/江原道はパンチャン天国なのだ!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1431.html

ちなみに上に並んでいるパンチャンの数々は……。

・ミヨクムチム(ワカメの和え物)
・アガミカクトゥギ(スケトウダラのエラ入り大根キムチ)
・カジャミシッケ(カレイの馴れ寿司)
・オイムチム(キュウリの和え物)
・パギムチ(葉ネギのキムチ)
・ミョンナンジョッ(明太子)
・コンチジョリム(サンマの煮付け)
・コダリジョリム(生干しスケトウダラの煮付け)
・クァリコチュチム(シシトウの蒸し煮)
・カジャミグイ(カレイの焼き魚)
・チョンガクキムチ(小大根の角切りキムチ)
・オジンオジョッ(イカの塩辛)
・カムジャジョリム(ジャガイモの煮物)

ざっとこんな感じ。

一応、上段左から右、中段左から右、下段左から右と、
順番に並べてみましたので、それぞれ確認してみてください。
なお、カムジャジョリムだけ写真の外にハミ出ています。

いやはや、なんていうか江原道料理のオンパレードですし、
それ以前に、スケトウダラのオンパレードですよねぇ。

身の部分は鍋で食べるとして、エラを大根キムチに使い、
卵を塩辛(明太子)にして、生干しの煮付けも副菜の一品に。

そのほかにもイカ、カレイ、サンマは東海岸の象徴ですし、
ジャガイモなんかも、江原道の名産品ですからね。
改めて眺めても、なんとも贅沢な食卓といえましょう。

もし、みなさんも江原道に出かけることがあれば、
出てきたパンチャンのひとつひとつに注目してみてください。
江原道の食文化を、もう1歩深く体感できるはずです。

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お腹がいっぱいになったら、さらに海岸沿いを北上し、
北朝鮮を眺められる、高城統一展望台を見学しました。

南北関係の悪化でいまは交流が止まった状態ですが、
本来、高城といえば、金剛山観光の窓口となっている地域。
いずれ事態が好転すれば、大勢の観光客で賑わうはずです。

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北朝鮮を眺めた後は、進路を南に戻して束草に到着。

北朝鮮出身者の多く住む、アバイマウルをさらっと見学し、
アバイスンデ(腸詰め)とオジンオスンデ(イカの肉詰め)を味見。
さらにドラマ「秋の童話」に登場したケッペ(渡し船)に乗りました。
江原道観光では、絶対外せない象徴的なスポットですよね。

その後、束草観光水産市場をぶらぶらと散策しつつ、
名物である釜山、南浦洞式のホットク(蜜入りお焼き)のオヤツ。

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夕食は韓国人ブロガーが「レインボー」と称するムルフェでした。

コチュジャン、酢などで味付けをした氷水に、
たっぷりの生野菜と、旬の刺身を盛り付けた料理です。
韓国版冷や汁、などと表現すればわかりやすいですかね。

僕が夏に食べたときは、刺身は全部で8種類。

ナマコ、ホヤ、ウニ、スルメイカ、サザエ、ユムシ、
カレイ、ヒラマサというラインナップでした。

それが冬バージョンになっており、刺身が12種類に増量。

カレイ、ヒラメ、クロソイ、ブリ、アワビ、サザエ、
ウニ、ホヤ、ユムシ、スルメイカ、ワカメ、ボラ……。

で、12種類全部ありますよね。
ここでもまた、旬の姿が顕著に表れています。

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一緒にソプチュクと呼ばれるムール貝のお粥も賞味。

標準語ではホンハプ(紅蛤)と呼ばれるムール貝ですが、
襄陽を中心として、東海岸沿いではソプと方言で呼ばれます。
お粥のほか、ソプクク(ムール貝のスープ)も有名らしいですね。
菜っ葉を入れて、味噌仕立てにするスープだそうです。

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そしてこちらは束草観光水産市場で買ったタッカンジョン。
フライドチキンに甘辛い蜜を絡めた、子どもに人気の料理です。

市場の一角に、タッカンジョンの専門店がずらり並んでおり、
いわゆるB級グルメのような感じで、名物になっているんですよね。
これもまた話のタネとして、皆様に召し上がって頂きました。

なお、この日のマッコリはオクスス生マッコリ。

江原道の特産品である、トウモロコシを原料にしたマッコリです。
マッコリの飲みごたえと、コーンスープのような甘い風味。
そのコントラストは、なかなかに衝撃的な体験です。

3日目の宿泊先は雪岳パークホテルでした。

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そして早くも最終日。

あっという間でしたが、4日目の朝食は襄陽の五色薬水へ移動。
薬水(炭酸を含む湧水)で炊いたごはんと山菜料理の定食なのですが、
バタバタしていて、ここだけ料理の写真を撮り損ないました。

薬水で炊いた「釜炊きのごはん」をリクエストしていたのですが、
それがうまく伝わっておらず、普通の茶碗で出てきたのがその理由。

「釜じゃないじゃん!」
「釜じゃなくても、薬水で炊いているから一緒よ!」
「前来たときは釜で炊いていたじゃん!」
「釜は10個しかないのよ!」

というような予想外のハプニングに見舞われたのが裏事情です。

毎度、予想外の事態というのは必ずあるのですが、
最終日に来てやっぱり来たか、と思えるような展開でした。

まあ、そんなやり取りがあったせいか、
料理は山ほどおかわりが出てきましたけどね。

料理の一覧はこんな感じ。

・ヤクスパプ(薬水で炊いたごはん)
・テンジャンチゲ(味噌チゲ)
・ナムル(ワラビ、アザミ、シイタケ、シラヤマギクのナムル)
・コムチィチャンアチ(オタカラコウの醤油漬け)
・サンマヌルチャンアチ(行者ニンニクの醤油漬け)
・ムマルレンイチャンアチ(干し大根の醤油漬け)
・チャムナムル(ミツバのナムル)
・タンコンジョリム(ピーナッツの煮付け)
・モギポソッムチム(キクラゲの和え物)
・トラジムチム(キキョウの根の和え物)
・オイムチム(キュウリの和え物)
・ペチュギムチ(白菜キムチ)
・カリビジョッ(ホタテの塩辛)
・ミョルチボックム(ジャコの炒め物)

先ほどのスケトウダラオンパレードと比べると、
圧倒的に「山!」という姿が見えてくるかと思います。

海と山の距離が近く、その両方を楽しめる江原道では、
こうした海と山の対比が、食卓にくっきりと現れてきます。
それを同時に楽しめるのが、何よりの魅力ですね。

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最後の昼食は、春川名物のタッカルビ(鶏肉と野菜の鉄板炒め)。

繁華街の「明洞タッカルビ通り」が有名ですが、
今回は地元人気の高い、後坪洞エリアを目指してみました。
他の料理と比べると、郷土色は若干薄いかと思いきや……。

「タッカルビってこんなに美味しい料理だったんだ!」

と目からウロコの方がいらしたのは嬉しかったですね。
どんな料理でも本場で食べれば、やっぱり別物。
そういった意味でも、最後に加えてよかった一品でした。

なお、最後のマッコリは、五色薬水で買ったアザミのマッコリ。
また、ほんの少量ずつでしたが、山ブドウのジュースと、
三枝九葉草酒(イカリソウ酒)も、みんなで味見をしました。

ということで、以上が江原道ツアーの報告。

3泊4日で全9食+さまざまなオヤツということで、
ずいぶんバラエティに富んだ郷土の味覚を楽しめたと思います。
まだまだ、江原道にはたくさんの美食が眠っておりますが、
なんとか、その片鱗ぐらいは手を伸ばすことができたかなと。

山と海のコラボ、そして短期間でガラッとかわる旬の味覚。
そんなところを、感じて頂けたなら幸いです。

ご参加頂いた皆様、そして三進トラベルサービスの皆様、
今年も美味しいツアーを、本当にありがとうございました。
ツアー中から早くも、

「来年はどこ?」

という声があったので、頑張って準備したいと思います。
現段階では、慶尚道方面とぼんやり考えておりますが、
具体的に決まるのは、まあ来年の夏ぐらいでしょうね。

それまでしっかり食べ歩いて、いいところを探すつもりです。
また来年、まんぷくツアーでお会いしましょう!

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