コリアうめーや!!第232号

コリアうめーや!!第232号

<ごあいさつ>
11月になりました。
いつの間にやらという感じですが、
ここ数日の寒さも、いつの間にやらです。
前号で「ようやく秋の気配」と書いたにもかかわらず、
わずか2週間で、もう冬の気配が濃厚。
長かった夏の残暑もさることながら、
冬の到来が早すぎて、秋が霧散しています。
本当に秋の風情なんか楽しむ暇もなかったですね。
吹き荒れる木枯らしに身をすくめながら、
熱燗、熱燗とつぶやく日々がもうすぐです。
さて、そんな中のメルマガですが、
今号ではちょっとした調査を行いました。
過去にも2度ほど行ったものの続編ですが、
それを2010年度版として報告します。
細かいデータが続く、難解な話題ではありますが、
興味のある人は過去の記事も含めてもご覧ください。
コリアうめーや!!第232号。
眉間にしわを寄せて、スタートです。

<韓国料理認知度チェック2010!!>

ふむ、ネタがない。

このメルマガを書くにあたって、
ときおりないし、しばしば出会う問題である。
特に韓国ブランクが長い時期に訪れる。

僕が今年、韓国に出かけたのは4月が最後。
すでに半年以上も経過した計算になる。

韓国に行けば、その目的が仕事であっても、
なんらかの収穫があって、メルマガに書ける。
あるいはその仕事で得た情報であっても、
記事の発表後に、切り口を変えてまとめることもある。

国内で得た情報をテーマにすることもあるが、
基本的には韓国に軸足を置いて書いてきた。
2005年末にブログを始めた当時、

・国内の情報はブログで
・韓国の情報はメルマガで

という一応の住み分けを考えたからだ。

そのため、しばらく韓国に行かないと、
あっという間に、ネタが枯渇し汲々としてしまうのだ。
とはいえ、これまでのメルマガを振り返っても、
汲々としている時期はけっこう多い。

なので、自分なりにいくつかの対策は得ている。
例えばこんな手段でネタ不足を補ってきた。

・過去の思い出話を発掘
・特定の料理を無理やりに掘り下げる
・ブログ的な国内情報を流用
・独自視点で韓国料理の分析を行う

だいたいこんなところである。

購読歴の長い読者諸氏であれば、
うん、あるあると共感して頂けるかもしれない。

本音をいえば、1年に何度も韓国へ行き、
そのときごとの瑞々しい情報を配信したい。

だが、仕事で行くチャンスも限られているし、
最近はプライベートで行く時間も少ない。
どうしても、ネタは枯渇気味にならざるを得ず、
苦肉の策として執筆される内容が多い。

あ、そうそう、あともうひとつあった。

・無関係な話で行数を稼いで内容を薄くする

あまりに言い訳がましい今回の冒頭も、
そういった背景が生んだものとご容赦頂きたい。

でも、ひとつだけ言わせてもらえば、
今回の企画は、ずいぶんと僕なりに頑張った。
上の分類でいけば、

・独自視点で韓国料理の分析を行う

に該当するが、この手のものは時間がかかるのだ。
今回も軽い気持ちで始めて、結局ドツボにハマった。
普段のメルマガよりも、よっぽど時間をかけた成果である。

一応、きちんと趣旨を説明すると、

「韓国料理は世間にどれだけ知られているか?」

というものを自分なりに分析するものだ。
この調査は2003年、2005年にも実施しており、
その成果はホームページに記録が残っている。

韓国料理認知度チェック2003
http://www.koparis.com/~hatta/ume/ume035.htm
韓国料理認知度チェック2005 
http://www.koparis.com/~hatta/ume/ume137.htm

いつも発作的に行うので5年も間が開いてしまったが、
そのぶんだけ面白い結果が出たようにも思う。

まずは分析に関する手法を紹介しよう。

・グーグルで有名韓国料理を検索する
・得られた検索件数を多い順に並べる
・表記揺れのある料理は検索結果を合計する
・類義語のある料理は「韓国」を加えて検索する

この手法は2003年から変わっていないが、
より正確を期すために、下記の条件を追加した。

・完全一致検索で結果を求める
・表記揺れを積極的に拾う
・新たに数件の料理を追加

完全一致検索は語句をダブルクォーテーションで囲み、
無関係な語句をできるだけ排除するテクニックだ。

例えば「神仙炉」という語句を検索する場合、
一般の検索では「神仙」という単語も拾ってしまう。
一般検索における「神仙炉」のヒット数は600万件以上。
それに対し、完全一致では2万7000件と減る。

2005年の8位から、37位にランクダウンしたが、
感覚的なメジャー度からするとより妥当に思える。
2005年当時はチャングム人気と理解したが、
サムゲタンを上回る数字には、やはり信憑性がない。

また、表記揺れを徹底的に拾うというのは、

・サムギョプサル → 28万5000件
・サンギョプサル → 9万3320件
・サンギョッサル → 6620件

という要素を合算するもの。

発音上の問題によって表記の統一されていない料理は、
実際の感覚よりも、順位が低く出る傾向にあった。

また、僕が普段使っている表記が一般的でない場合もある。

・トッポッキ → 6万700件
・トッポギ → 12万6000件

いまでも「トッポギ」という表記に違和感はあるが、
検索数がより多いとなると、自己表記だけでは不公平。

今回はピビンネンミョンを「ピビン冷麺」で検索したり、
キムチポックムパプを「キムチチャーハン」でも検索した。
その効果もあり、よりイメージに即した結果が出た。

また料理ではないが、人気のマッコリも順位に加えてみた。
そのほか、いくつかの料理を新規に追加している。

さて、それではいよいよ詳細な分析に入る。

メルマガとして列挙するのは不可能な量なので、
元のデータは、エクセルファイルにまとめてある。
下記よりダウンロードし、一緒に眺めて欲しい。

http://www.koparis.com/~hatta/koriume232date.xls

まず、順位の上下から。

従来の1位キムチ、2位カルビという流れが崩れ、
両者共に879万件でトップというミラクルが発生。
グーグルの検索結果はタイミングによっても違うのだが、
これも結果ということで、同点1位と認定したい。

以下、ベスト10圏内には妥当な名前が並ぶ。

個人的なワガママで加えたマッコリは4位にランクイン。
3位ビビンバと、5位冷麺の間に挟まる健闘を見せた。
その後は、ユッケ、チヂミ、サムゲタン、石焼きビビンバと、
メジャーどころの名前が順当に続いていく。

最初の番狂わせとしては、10位のサムギョプサルが、
「21位→10位」とずいぶんなジャンプアップを見せた。
上でも書いたように、表記揺れをうまく反映した形だが、
サムギョプサルの表記だけでも14位に入る。

10位より上にいるのは、昔からの有名料理ばかりで、
そこに食い込んできたのは、近年知名度をあげた結果だ。
韓国料理の新たな顔に成長してきたと考えていい。

同様に、11位プルコギ、12位ユッケジャンに続く、
13位スンドゥブの「41位→13位」という躍進もすごい。
スンドゥブは2006年から急激に知名度を高めた料理。
専門店も増えて、一挙にメジャーな韓国料理となった。

なお、この料理については、

・スンドゥブ → 19万6000件
・スンドゥブチゲ → 16万4000件

と表記は揺れたが、あえて合算はせず。
スンドゥブを検索すると、スンドゥブチゲも引っかかるので、
スンドゥブのほうを優先して順位に反映した。

ほかにも、

・九折板「52位→18位」
・キムチポックンパプ「89位→22位」
・コプチャンジョンゴル「77位→34位」
・ピビンネンミョン「56位→35位」

といったジャンプアップ料理があるが、
これらは単純に表記揺れを拾った結果であろう。

むしろ驚くべきは、

・プゴクッ「94位→27位」

という驚異的なジャンプアップ。
これはプゴクでの検索結果がもっとも多く、
プゴク単体でも順位に変動はない。

突然、知名度をあげたのは昨年の秋に、
ダイエットに効果があるとテレビで紹介されたため。
そこから、あっという間にブームが沸き起こり、
有名料理として定着するに至った。

逆にもっとも順位を下げたのは、

・アルタン「25位→61位」

で大幅なランクダウン。

これは2005年時にも指摘していたのだが、
韓国料理以外の検索結果を一緒に拾ってしまう料理がある。
普通にアルタンを検索すると、会社名などの固有名詞が、
韓国料理とは無関係に引っかかってくるのだ。

こうした単語はほかにも、

・ポッサム(同名の動物がヒット)
・マンドゥ(地名のカトマンドゥがヒット)

という事例がある。
これらは「韓国」のキーワードを足して対応しており、
今回からアルタンもその対象に加えることとした。
その結果、検索結果が減り、順位は大幅に下がった。

ただ、不思議なことにコムタンの場合は、
同じく「韓国」を足したのに順位を7つ上げた。
一概に不利な条件追加ともいえないようだ。

といったところで順位に関する考察は以上。

それ以外の料理は、多少の変動こそあるものの、
常識的な範囲で順位を上げ下げしている。

今回の調査では、

・サムギョプサル
・スンドゥブ
・プゴク

という3料理の躍進を強調しておきたい。

さて、今回はそれにもうひとつ調査を加えた。
シートを分けているので、そちらも見て欲しい。

昨年、グーグルが追加したサービスに、
「insights for search」というものがある。

Google Insights for Search
http://www.google.com/insights/search/?hl=ja#

このサービスは検索語句を2004年までさかのぼり、
時系列に沿って、検索数を分析できるツール。
月ごとの結果を折れ線グラフで表示をしてくれるため、
検索数の推移をひと目で判断することができる。

例えば、サムギョプサルを検索すると、
2007年頃からゆるやかにグラフが上昇していく。
ネット上のワード数と、検索語句が同じ結果を導いており、
上の調査で得た結果を裏付けている形だ。

また、スンドゥブにおいては2006年末から上昇。
プゴクについては2009年秋に急上昇しており、
その料理がいつから知名度を上げてきたかが判断できる。

その料理がいつ注目を浴びたかが判断できるうえ、
トレンド傾向にあるのか、衰退しているかも一目瞭然。

あるいは夏場にだけ、冬場にだけ上昇する語句もあり、
例えば、キムチ、キムチチゲは明らかに冬場上昇組。
反対に冷麺、パッピンスは夏場に上昇している。

季節を反映した結果で、納得がゆく一方、
サムゲタンが冬場に上昇という興味深いデータもあった。
韓国では夏のスタミナ料理としての印象が強いが、
日本では単純に、鶏の鍋料理ととらえられているのだろう。

韓国料理の情報を発信する立場としては、
この折れ線グラフを、平坦にする努力をしたい。

「韓国料理は夏のスタミナ料理!」

とより力強く語っていく所存である。

さらにこのサービスは都道府県別の結果も得られ、
その語句がどの都道府県で検索されているかもわかる。

中間的な知名度の料理は大都市に集中しているが、
上位の有名料理は、むしろ地方に分散している。
全国的な知名度を得た料理と判断していいだろう。

また、料理によって特殊な結果が出るものもある。

例えば、冷麺は1位が岩手で、2位が大分。
これは盛岡冷麺、別府冷麺というご当地冷麺の影響が、
検索数というデータによって示されている。

さらにスンドゥブは1位が岡山になっているが、
これも調べてみたところ、県内に専門店ができていた。
岡山の地で着実に、普及が進んでいるのであろう。

一方で、キムチの1位は高知、マッコリの1位は栃木と、
なぜそんな結果が出たのかわからないケースもある。
高知県民のキムチ好きと、栃木県民のマッコリ好きは、
いずれ何かの形で検証してみる必要があるだろう。

といったところで、今回の調査は以上。

都道府県別のデータは、まだ未知数の部分が多いので、
いずれまた、同じ手法でデータを積み重ねてみたい。

次回、いつ同じ調査を行うかはまだ未定だが、
それもおそらく、ネタに詰まったときになる気がする。

今月半ばには、ようやく韓国に行ける予定。
次号は出張の真っただ中で、報告ができるか微妙だが、
次々号では、きちんと内容のあるメルマガを書けるはずだ。

乞うご期待!

と力強く叫ぶとともに、
次号のネタを、どうするか激しく思案中である。

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
データ整理に丸2日かかりました。
リアルな仕事に支障をきたしております。

コリアうめーや!!第232号
2010年11月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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