コリアうめーや!!第223号

コリアうめーや!!第223号

<ごあいさつ>
6月15日になりました。
いやあ、前日の興奮から冷めませんね。
まさか日本がカメルーンに勝ってしまうとは。
正直、なんの期待もしていなかったW杯でしたが、
途端にぐっとのめり込む対象になりました。
これは2002年以来の予選突破もあるかも。
オランダ戦、デンマーク戦も厳しい戦いですが、
なんとか奇跡を起こして欲しいものです。
韓国もギリシャを破って勢いがありますし、
これから試合の北朝鮮にも頑張って欲しいですね。
当分の間、テレビから目が離せません。
さてそんな中、こちらも負けずにホットな話題。
日本でのマッコリブームがいよいよ加熱し、
あちらこちらで盛り上がってきました。
その勢いに乗り、またさらに盛り上げるため、
国内初となるマッコリ専門のムック本を発売します。
コリアうめーや!!第223号。
時代の最先端に切り込む、スタートです。

<マッコリの近未来は明るいのだ!!>

なんだか、すごい本になった。

メルマガと同時進行でまだ作業中だが、
ずいぶんといい出来に仕上がったように思う。
自我自賛もいいとこだが、正直な本音。

普段であれば、

「いやー、いいですね。いい本ですね!」
「さすがは僕らってところですよね!」
「これは売れますよぉ、ばんばん増刷しましょう!」

などと景気のいいことをいいつつ、
結局はたいして売上が伸びなかったりする。
だが今回に限っては、その仕上がりをみた瞬間、

「な、なんかスゴイな……」

と思わず圧倒されてしまった。
自分で原稿を書いているにもかかわらず、
その本気具合がびんびん伝わってくる。

もちろんだからといって売れるとは限らないが、
ともかくも胸を張れる本が完成したので報告したい。
その本というのが6月26日発売予定の……。

『珠玉のマッコリ 徹底ガイド』

である。

僕個人としては「満を持して」という気持ちだが、
時代的にはかなり先端を行った内容だと思う。
すでに韓国のマッコリ事情を語った本は出ているが、
僕らは日本国内でのマッコリ事情に重きを置いた。

国内情報を充実させたマッコリガイドは史上初だ。

2010年、いよいよ花開いた感のあるマッコリブーム。
その勢いに乗りつつ、さらに盛り立ててゆくために、
いまある情報を徹底的にまとめるのが狙いであった。

僕自身は監修兼取材、執筆というポジションだが、
ほかにもマッコリ好きな編集者、ライターが参加。
総力をあげて立ち向かったことで、すごいものが出来た。

ページごとに企画はたくさんあるが、

・東京の美味しいマッコリを飲める店ガイド
・ソウルの美味しいマッコリを飲める店ガイド
・国内で飲める100種類のマッコリカタログ
・マッコリタウンで知られる全州のルポ

といったあたりが軸となる。

中でも100種類のマッコリカタログは圧巻。
僕らもこの本を作るに当たって初めて調べたのだが、
日本で飲めるマッコリはすでに100種類以上あるのだ。

正直、普段から浴びるように飲んでいる僕でも、

「そんなに!?」

という素直な驚きがあった。

本を作っている間にも、どんどん新商品が増えていき、
いまもリアルタイムで増え続けていることだろう。

これは韓国から輸入されてくるものだけでなく、
国内生産分もかなり増えてきているのが一因。
まだまだ日本酒や焼酎に比べれば微々たる量ではあるが、
時代の流れとしては業界でも注目されている。

ある日本酒メーカーの方から聞いた話だが、
マッコリのブームは日本酒業界にとっても光明らしい。
まだ積極的にマッコリを造っているところは少ないが、
マッコリ風清酒も含め、少しずつ商品が増えている。

僕が確認をしただけでも、

・有賀醸造(福島)
・末廣酒造(福島)
・麻原酒造(埼玉)
・中埜酒造(愛知)
・西田酒造(奈良)
・千代むすび酒造(鳥取)

といった酒造会社が、マッコリないし、
マッコリ風清酒の名前で商品を作っている。
また、古くから造られていた発泡性の清酒を、

「マッコリのような……」

という表現で紹介しているケースもある。
日本酒業界とマッコリの距離は確実に縮まりつつある。

その背景にあるのは日本酒の伸び悩みだ。

最近の日本料理は昔に比べて脂っこい料理が多く、
相対的に日本酒と合いにくくなっている。
もちろん辛口の酒や、どっしり重厚感のある酒もあるが、
需要を焼酎など、他の酒に奪われているのも事実。

また、若い世代は強い酒を敬遠するため、
割らずに14度前後で飲む日本酒はやや強い。
割って飲めるチューハイ系や、甘いカクテル類が主流で、
市販品のアルコール度数も下がる一方である。

時代のトレンドは油の強い料理にもしっかり合って、
かつアルコール度数が高すぎず、飲みやすい酒。

すると、ほどよい微発泡感があり、6~8度前後のマッコリは、
韓国業界のみならず、時代が求める酒でもあるのだ。

加えて、マッコリは醸造にかかる日数が10日程度。

もともと家庭で造ったような手軽な酒であり、
原材料や造り方については、日本酒とほぼ共通する。
その気になれば、日本酒メーカーはいつでも参入できる状態。
今後、一気に国産マッコリが増える可能性は充分にある。

また、こうした動きは日本酒業界に限らない。
3月に眞露ジャパンがマッコリを全国発売したことで、
大手メーカーの動きが活発になってきた。

「なんか、マッコリがブームらしいよ」
「ウチもそろそろ始めたほうがいいんじゃない?」
「実は少しずつ準備しているんだけどね」

といった感じの声が漏れ聞こえてくる。

まだ正式な公表こそなされていないものの、
水面下の情報では、あちこちの企業が動いているようだ。
大手飲料メーカーを中心に、商社、流通、外食、食品などなど。
韓国各地のマッコリ醸造場で商品を探している。

本来であれば、こうした情報もガイドに組み込みたかったが、
あちこちの企業に接触したところ、若干、時期が早かった。

日本企業が参入するとなると、基準がかなり厳格になる。

輸送中にマッコリが噴き出してはならないし、
飲むたびに味にばらつきがあっても問題になる。
それをクリアするまでは表に出せないのだ。

生のマッコリであれば発酵が止まっていない状態なので、
少しずつ味が変わっていくのは、むしろ持ち味。
だが、そんな常識は日本市場では敬遠されてしまう。

安全はともかく、安定はマッコリの苦手分野だが、
日本企業の手が入ることで、それも変わっていくだろう。
マッコリガイドの取材でマッコリ工場を見学してきたが、
ずいぶん機械化されており、近代的な姿だった。

古きよき姿が失われていく一面もあるが、
マッコリにとっては、新たなステージへの飛躍である。

そんな現状を踏まえて。

いま僕の頭の中には、各所からの情報があり、
マッコリ業界における無限の可能性を感じている。

その大半は、根拠のない妄想でもあるのだが、
流れに乗れば、予想を超えてブームは膨らむかもしれない。
取材の中で、いろいろな関係者と話をしつつ、

「今後のマッコリってどうなりますかね」

と語った雑談を以下にまとめてみた。
あくまでも無責任な個人の予想ということで、
今後の盛り上がりを期待とともに夢想してみる。

一緒にそれが実現するパーセンテージも書いてみるが、
これまたさらに、個人の勝手な解釈である。

1、国内大手飲料メーカーの参入
(年内に実現する可能性は70%)

すでに韓国内ではメーカー名まで報道が出ている。
大手ビールメーカーの参入が噂されており、
韓国企業との提携で大規模な戦略が描けそうだ。

手元に入った情報では2社が先行しているが、
安全と安定の面で多少準備が難航しているらしい。
実現すれば先行する二東ジャパン、眞露ジャパンと、
真正面からぶつかってのシェア争い必至。

既存メーカーは外食産業に太いパイプがあるので、
マッコリのすそ野がさらに拡大すると期待される。

2、マッコリのコンビニ販売拡大
(年内に実現する可能性は30%)

すでに一部コンビニでの販売は始まった。
大手スーパーでも、複数銘柄を揃える店や、
独自に商品を引っ張るところも出てきている。
コンビニにも大きな可能性があるだろう。

期待したいのは、おつまみとのコラボ企画など。
いまのところ、いちばん熱心なのがセブンイレブンなので、
オリジナルマッコリもぜひ実現して欲しいところ。

3、韓流コラボマッコリの登場
(年内に実現する可能性は70%)

すでに「冬のソナタマッコリ」が発売待ち。
正式発売はまだ先のようだが、サンプルが出回っていた。
このジャンルは「高矢禮マッコリ」が先陣を切っているが、
ほかにも韓流スターがらみの銘柄は増えそう。

マッコリ醸造場を経営している中堅俳優もおり、
ブームに乗ったサイドビジネスとして注目されている。
ドラマや映画とコラボしたマッコリも面白そうだし。
あるいはマッコリをテーマにしたドラマも可能性はあるかも。

4、独自性の高いマッコリの増加
(年内に実現する可能性は80%)

マッコリを飲み比べるスタイルの定着によって、
飲食店、小売店では銘柄の選択が重要になっている。
他店では飲めない独自性の高いマッコリは、
その店を訪れる、大きな理由のひとつになる。

すでに複数の飲食店で独占輸入を実施しており、
大規模店では酒造会社との共同開発も行っている。
その典型が「TORAJIマッコリ」や「牛角マッコリ」。
こういった流れはどんどん拡大していきそうだ。

5、プレミアムマッコリの登場
(年内に実現する可能性は40%)

韓国ではマッコリの高級化に力を注いでいる。
世界に発信する固有の文化コンテンツとして、
高級マッコリの存在は不可欠と考えているようだ。

すでに有機コシヒカリを使ったマッコリや、
高麗時代の伝統酒を復元した「梨花酒」が流通。
今後、日本に入ってくる可能性はおおいにあるし、
国産マッコリのプレミアム化も考えられる。

6、缶入りマッコリの流通拡大
(年内に実現する可能性は30%)
7、缶入りカクテルマッコリの発売
(年内に実現する可能性は10%)

国内での販売が活気づいていくとしたら、
流通に便利な缶マッコリもメリットが見直されるはず。
すでにソウル濁酒や麹醇堂から販売されているが、
スーパー、コンビニでの販売が伸びれば需要が出てくる。

そして缶マッコリならカクテル系も合いそう。
チューハイ感覚で家呑みできるマッコリは人気が出ると思う。
ビールメーカーが参入するなら、ビールと混ぜた、
通称「もっこり」の缶生産にも期待がかかる。

8、国内の地域おこしとの融合
(年内に実現する可能性は10%)

国内生産が伸びていくことを考えると、
マッコリを地域おこしに活用することも考えられる。
青森リンゴマッコリや、鳥取二十世紀梨マッコリなど。
地元産フルーツとの融合はかなりいけそうだ。

地元の日本酒メーカーとコラボができれば、
地場企業の振興にもつながるので一挙両得。
キムチで地域おこしをするエリアの第2弾としても。

9、マッコリが流行語大賞にノミネート
(年内に実現する可能性は20%)

ここまでいろいろ盛り上がったらもう流行語対象。
誰が授賞すればよいのか、という問題は残るものの、
みなが遠慮するのであれば、僕がもらいに行ってもいい。

日経のヒット商品番付入りも期待したいし、
今年の漢字には、ぜひとも「濁」を推薦したい。

10、マッコリ検定の実施
(年内に実現する可能性は5%)

ファンが増えたら、検定などを作っても面白い。
ソムリエに対抗すべく、「マッコリエ」の称号を作り、
基礎知識や、利きマッコリの技術を体系化する。
当然、マッコリエは韓国の文化に精通せねばならず、

「夏の済州島に降り注ぐ太陽の味わい」
「南海を睨む李舜臣将軍のような雄々しき香り」
「厳寒の鬱陵島で弾ける白波のごとき発泡感」

といった表現でマッコリを語ることが望ましい。
もちろん料理に合わせて銘柄を選ぶ技術も必要だ。

といった感じに最後はギャグも混じったが、
マッコリの近未来を真剣に予想してみた。

年内に実現する可能性、ということを前提にしたが、
急ぐ必要はなく、むしろ数年かけてじっくりでもいいと思う。
一過性のブームで終えず、文化的な定着が理想だ。

とりあえず半年後か、または1年後にでも、
どれだけ当たったかを振り返ってみよう。

個人的には5割を超える数字は当たって欲しいところ。

まるで当たらなかったら、その時は……。
自己責任として、自らマッコリ検定でも作ってみようか。
なんの権威もないお遊び企画になるかもだけどね。

<書籍情報>
書名:珠玉のマッコリ 徹底ガイド
版元:シンコーミュージック・エンタテイメント
発売:2010年6月26日
価格:980円
http://www.amazon.co.jp/dp/4401634349/

<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
原稿のためにマッコリ100本飲みました。
それでもまだ飲めていないマッコリがあります。

コリアうめーや!!第223号
2010年6月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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