コリアうめーや!!第165号

コリアうめーや!!第165号

<ごあいさつ
1月15日になりました。
新年第2号は久し振りに韓国からの配信。
こういうことを書くのもいつぶりでしょうね。
数日前から取材仕事で韓国に来ており、
いまは済州島内のネットカフェです。
まわりはすべて韓国人で、韓国語の会話。
オンラインゲームの音が飛び交っています。
早速、訪韓中の話を書きたいのですが、
あくまでも仕事のため、いまの時点では不可。
帰国後に整理をして、仕事に影響ない部分のみ、
少しずつ報告できればと思っています。
とりあえずは年末に出会ったひとつの出来事。
その話題を紹介してみたいと思います。
コリアうめーや!!第165号。
韓国の空気を吸いながら、スタートです。

<韓国から来る嵐の考察(年末編)!!>

韓国の友人が旅行で日本にやってくる。
これを僕らの間では「嵐の到来」と表現します。

こんな書き出しでブログの記事を書いたことがある。
もう2年近く前なので、読んでいない人も多いだろう。
せっかくなので再度リンクを貼っておこう。

http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-112.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-113.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-115.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-114.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-116.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-117.html
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-118.html

途中でアドレスの数字が入れ違っているが問題ない。
全7回。ブログの記事にしては長期連載だ。

まず最初に誤解のないよう書いておくが、
「嵐の到来」という表現に不満や悪意は一切ない。

旅行中に発揮される甚大なエネルギー。
旅行先を駆け巡る猛烈なスピードと行動力。
期間内に出来るだけ旧交を温めようという気持ち。

その熱量を指して「嵐の到来」と呼ぶのだ。

突然、予告なしにやってくるとか、
問答無用でその渦に巻き込まれるとか、
嵐が吹き荒れている最中、何もできないとか。

そういったマイナス的な意味の言葉ではない。
「嵐の到来」という表現に不満や悪意はさほどない。

つい先日も、年末の涙が出るほど忙しい時期に、
韓国の友人が会社の人、5人を連れて東京にやってきた。
12月26日から30日までの4泊5日。
旅行ではなく、全員仕事での出張とのことだった。

なお、その友人は僕より少し年上である。
日本に在住経験があり、アテンド役で来ていた。
残りの5人は都市整備の専門家たちで、
目的は東京および近郊都市の景観視察である。

友人はガイドと通訳を兼ねる役割だったのだが、
住んでいたのが地方都市なので東京は不案内。
そのため、事前にこのような連絡をしてきた。

「5日間全部ガイドを手伝ってくれるかな?」
「スケジュールは全部もうこちらで組んであるから」
「ガイド料?俺の顔が見られるからそれでいいだろ」

繰り返すが、年末の途方もなく忙しい時期である。

だが、年下である僕にはそれに抗う術はない。
必死に頼み込んで5日を2日に減らしてもらった。
(本当はブチ切れてふざけるな!とメールを送った)

「嵐の到来」という表現に不満や悪意はたぶんない。

結局、僕がガイドを手伝ったのは初日と3日目。
地理に不慣れな初日と、横浜に遠征する予定の日。
全体を通してアテンドに苦労しそうな2日間を選んだ。

ちなみにこの2日間だけでも、もろもろエピソードは満載。
せっかくなので、せめてネタとして有効利用したい。

ただ、このメルマガは「コリアうめーや!!」なので、
ある程度、食に絞りつつ紹介したいと思う。
旅行中に見せる、韓国人の食への反応もろもろ。
そこから微妙な食意識が透けて見えれば幸いである。

と同時にアテンドのコツなども含みたい。
同じ苦労をする人への、せめてもの助言だ。

さて、まずは初日。
羽田空港から到着の連絡があり、新宿で合流。
友人を含む総勢6名と初めて顔を合わせた。

「おお、八田くん。久し振り!」

友人が笑顔で駆け寄ってくる。
まず挨拶を交わし、後ろに控える一行にも目をやる。

すると、そこに立っていた5人は、
明らかに友人よりも年上の模様であった。
確認してみると同僚がひとりと上司が3人。
さらにサポート役で大学教授がひとり同行していた。

すなわちアテンド役の友人はほぼいちばん下っ端。

ここでまず非常に重要なこと。
韓国的な常識で考えれば彼に決定権はなく、
アテンドを手伝う僕にも、それ相応の覚悟が必要となる。

具体的には新宿でホテルにチェックインした直後。

友人とその日のスケジュールを確認しあい、
あらかたの道筋が決まったところで上司が一言。

「まず何か腹に入れてから行動しよう」

これで決まったスケジュールは霧散し再検討となる。

教訓1、アテンド時はメンバーの力関係をまず確認
教訓2、予定は鶴の一声で随時変わることを覚悟

遅い時間のランチであり、場所もホテルの近辺。
簡単に食べられて、かつ日本的なメニュー。
その難問にしばし悩んだ後、近場のラーメン店に入った。

店に入る直前、やや年配の上司さんが……。

「前に来たときラーメンだけは食べられなかった」

とつぶやいていたのは聞かなかったことにした。
脂気の多いラーメンは苦手とする韓国人が多いのも事実。
基本的には受けのよくないメニューである。

案の定、その上司さんは口に合わなかったようだった。
申し訳ないことだが、あの時点では仕方なかった。

ちなみにこのラーメンの苦手な上司さんは、
日程中、「ザ・韓国人」ともいうべきセリフを連発。

最近は韓国も国際化してグローバルな人が増え、
他国文化への理解や順応も急速に進んでしまった。
それだけにこの上司さんのセリフは、

「あー、韓国人ってこうだったな」

という妙に懐かしい感慨を僕にもたらした。

夕食に何を食べるかという話になると……。

「夕食はサムギョプサルがいいだろう」
「韓国人なんだから韓国料理を食べなきゃいかん」
「韓国料理がいちばん口に合う」

と主張。

また、街歩きの途中でひと休みをすると、
その上司さんはナップザックから水と菓子を取り出し……。

「さ、みんなひとつずつ食べよう」
「韓国から持ってきたやつだぞ。国産だ!」

と嬉しそうに配っていく。
韓国人の国産を愛する意識も最近薄れがちなだけに、
こういうセリフはやはり新鮮に映った。

僕自身、1年ほど韓国に行っておらず、
韓国的なものの考え方に鈍くなっていた気がする。

連発される上司さんの韓国人らしいセリフは、
僕の中で眠っていた韓国的思考をいっぺんに揺り動かした。
年末の忙しい時期にやって来たと怒っていたのも、
それも韓国的な常識で考えればごく普通の行為。

「韓国の空気から遠ざかりすぎていたな……」

と初日の日程中、僕はひとり反省するに至った。
同時に自分の中の思考パターンが少しずつ変わり、
彼らの行動ひとつひとつへの対応が早くなる。

臨機応変を主軸に予定もコントロールできる。
こうなってくるとアテンドもずいぶん楽なのだ。

教訓3、韓国人は外国に来ても韓国的思考を遵守
教訓4、年配の人は日程のどこかに韓国料理が必要
教訓5、スケジュールはすべて予定で臨機応変に確定

そんな感じで初日の日程は無事終了。
夕食はホテル近くの居酒屋に入って簡単な宴会。
比較的、受けのよい焼きとり、おでんを中心に、
メジャーな居酒屋料理をいくつか頼んだ。

なお、居酒屋で僕が注文した料理は以下の通り。

「焼きとり20本とおでん盛り合わせを3皿」
「鶏レバーの炙り焼きを人数分」
「あと大根サラダを3つください」

総勢7人なので、2皿ずつでもよいのだが、
テーブルに並ぶどっさり感を演出したかった。

そのどっさり感がないと、

「え、これっぽっちしかくれないのか」
「韓国ではどんな料理でもいっぱい出るんだけどな」
「ここは日本だ。これで食べよう」

といった会話を聞くハメになる。

日本的な感覚だと、いろいろな料理を頼み、
少しずつつまんで食べるのはごく普通の行為。

だが、韓国は専門店が多く一品の量も多い。

その感覚で日本の居酒屋料理を見ると、
量が少なく、何を食べたかが伝わりにくい。
いろいろなメニューがある居酒屋でも種類を絞り、
食べて欲しい料理をどっさり頼むほうがよい。

教訓6、飲食店では種類よりも量を優先して頼む
教訓7、記憶が残るようにメイン料理をひとつ設定

ちなみに、僕が一緒にいなかった翌2日目の夜は、
上司さんの主張が通り、韓国料理店に出かけたとのこと。
サムギョプサルを食べながら、焼酎をたっぷり飲んだらしい。

従って、横浜に遠征する3日目。
待ち合わせた新宿に行ってみると、
一行のうち、何人かはしっかり2日酔いだった。

中華街での昼食を持ちかけてみたが……。

「中華街?なら辛いチャンポンだな!」
「ん?中華街にはチャンポンがないって!?」
「んじゃ、中華街に用はない。別のところにしよう」

という話になり、結局はメニューの多い食堂に確定。
ランドマークタワーの中でショーケースを見ながら、
それぞれ好みのものを注文して食べた。

教訓8、朝食、昼食は2日酔いを考慮

横浜の視察自体は比較的スムーズに進み、
予定していた各ポイントをほぼ網羅しつつ回った。

ランドマークタワーから汽車道を通って赤レンガ倉庫。
山下公園を経て、中華街へと抜けるコースを取った。
景観視察という意味でも、充実した成果があがったようだ。

肝心の夕食は回転寿司が希望されていた。

横浜では土地勘がないので新宿へと戻る。
事前に評判のよい回転寿司店を調べて行ってみたが、
そこは評判がよすぎたようで大行列だった。

しかも値段を確認すると微妙に高い。
となると韓国人の反応はたいていこうなる。

「それなら別の店に行こう」

ちょうどホテルの近くに別の店を発見していた。
なんと店の入口に韓国語での貼り紙があり、

「サゴマシッソヨ(安くてうまい)」

と大書してあった。
どうやら韓国からの観光客が多いらしい。

ただ行ってみると、寿司だけがぐるぐる回っており、
寿司を握る職人は、店内にいないというシステム。
どうやら厨房ですべてを準備しているらしい。

回転寿司店としてはやや魅力に欠ける気もするが、
確かに値段を見ると、だいぶ安く設定してある。
また運のいいことにアルバイトのひとりが韓国人だった。

味の面で期待値は少ないものの、
条件面で外国だというアウェイ感が薄い。

韓国的な思考では美味しいものを食べるのも重要だが、
食べることにまつわるストレスを極力減らすことも重要。
長時間並ぶ、値段に配慮が必要、注文方法が難解、
などの要素は、基本的に好まれない。

気を使いながら美味しいものを食べるよりも、
気がねなく、ほどほどに美味しいものが喜ばれる

これもまたアテンド経験からの真実である。

教訓9、味の魅力よりもリラックスできる場が吉

といったところまでで僕は任務からお役御免。
残りの日程は友人がしっかりとアテンドをし、
無事に視察を終えて、韓国に帰っていった。

充実した視察になったのかはわからないが、
ともかく2日間のアテンドは喜んでくれたようだ。

僕にとっても年末の仕事はバタバタになったが、
久し振りに韓国的な空気を味わえて楽しかった。

精神的、肉体的にはずいぶん疲労するが、
それ以上に得るものが大きいのもアテンドの魅力。
韓国から誰かがくるたびにブツブツこぼしつつも、
きちんと付き合ってしまうのはそんな理由からだ。

そういった意味から再度冒頭の比喩表現。

「嵐の到来」という表現に不満や悪意は本当にない。

<お知らせ>
ようやくこれまでの更新ができました。
過去のメルマガも写真をアップしてあります。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
東京の韓国料理店ガイドが発売されました。
本当にいい店だけを厳選し180店舗を紹介。
新大久保、赤坂、銀座、麻布、六本木、上野などなど。
本場をもしのぐ名店揃いの1冊です。

タイトルは『東京 本気の韓国料理店』(実業之日本社)。

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飲食店だけでなく食材店、韓流グッズ店も含まれているので、
すべての韓国ファンみなさまにオススメです。

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楽天
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僕にとっては長年の夢がついにかなった気分です。
魂のこもった1冊をぜひご購入ください!

<八田氏の独り言>
もちろん韓国人も千差万別。
これらの教訓はあくまでも一例です。

コリアうめーや!!第165号
2008年1月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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