コリアうめーや!!第4号

コリアうめーや!!第4号

<ごあいさつ>
待ちに待ったゴールデンウィークがやってまいりました。
会社、学校が休みで喜び全開のそこのあなたも。
人が休みだからこそ、かきいれどきで働き詰めのそこのあなたも。
年がら年中休みっぱなしでゴールデンもへったくれもないそこのあなたも。
すがすがしい5月のスタートに、にっこり笑ってみてはいかがでしょうか。
でも、いきなりにっこり笑えったって、それも無理な話。
そこでこんなに素敵で素晴らしい、
思わずにっこり微笑んじゃう極上のメルマガを用意しました。
その名も「コリアうめーや!!第4号」。
自我自賛もここまでくればいい度胸。
開いた口すらふさいでしまう問答無用のはじまりはじまり。

<石焼きビビンバの真実>

韓国料理の中でも石焼きビビンバはかなりメジャーなほうだ。
日本人に「韓国料理といえば何?」なんてアンケートを取ったら、
5本の指には確実に入ると思われる。

はるか遠くに冷麺を抜き去り、プルコギと競り合ったあげく、
おしくもキムチ、カルビの後塵を拝すが、
なだれ込んで3着といったくらいだろうか。
実際、韓国の旅行記や雑誌記事などで紹介されるケースも多い。

ただそんな紹介記事に不満がひとつ。

石焼きビビンバの魅力を語る上で、ほとんどの場合「混ぜる」という事に重点が置かれているという点である。
いや韓国語で「ビビンバ」とは「混ぜご飯」の意であるからそれ自体は必ずしも悪くない。
だが「混ぜる」という独特の行動に目を奪われ、真に語られるべき「石焼き」の部分を軽視してしまいがちだということが問題なのである。

石焼きビビンバの真の魅力は「石焼き」にあり、
その点こそを褒め称えるべきだと八田氏は強く主張したい。

八田氏は留学時代ビビンバをよく食べた。
しかしお金のない貧しい留学生だったため、
石焼きビビンバではなく500ウォン安い普通のビビンバを食べることが多かった。

普通のビビンバは中身、量こそ石焼きビビンバと変わりないが、
器がプラスチック、ないしステンレス製というところに500ウォンの差がある。

ビビンバは食べる前に全体をよく混ぜる。
上に乗った各種ナムルや牛肉、そして味付けのヤンニョム(コチュジャン)。
これらが渾然一体となり、全体がムラのないきれいなオレンジ色になってから食べるのが正しい作法であり、おいしい食べ方である。

しかしそれによって、ほかほかだったご飯は空気と攪拌され休息に冷めていく。
それを防ぐために石焼きという優れた器が用いられるのだが、
普通のビビンバでは保温ができない。

食べ始めこそ輝きにあふれているが、
中盤に差し掛かる当たりで、だんだん喜びが失われ、
終盤ともなれば、冷え切ってしまったご飯をわびしくかきこむだけとなる。
さっきまで心地よかったモヤシの歯ごたえが途端に恨めしくなり、すっかり存在を忘れていた脇役のスープが心の支えとなる。
うっかり冬に普通のビビンバを注文してしまった日には背筋が凍りそうになったものだ。

石の器の底の部分に張り付いているおこげをこそげとって、
バリバリと食べる喜びもなければ、食べている途中でうっかり器に触れてしまい、
あちいっ!!と騒ぎ立てる楽しさもない。
たかだか500ウォンが雲泥の差なのである。

もともとビビンバは大晦日の日に余ったナムルなどを新年に持ち越さないよう、
ご飯にぶち込んで消費するという料理だった。
それが今では地方の名物料理となり、観光の目玉となり、海外進出するまで至った。
韓国を代表する立派なごちそうであるが、これもひとえに石の器のおかげである。

石焼きビビンバを「混ぜる」だけの料理と思ってはいけない。

石焼きビビンバの真実は器にある。
それを実感するために一度は石焼きでないビビンバを食べてほしい。
石焼きのありがたさに、きっと涙することだろう。

<八田氏の独り言>
キリンの生茶とアサヒの旨茶。
どちらを買うか悩んで結局2つとも買ってしまうこともあります。
半分づつ飲んだら残りを混ぜて、
「旨い生茶」にして飲んだりもします。
けっこういけます。

コリアうめーや!!第4号
2001年5月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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