コリアうめーや!!第266号

コリアうめーや!!第266号

<ごあいさつ>
4月になりました。
今年も新学期、新年度の始まりです。
みなさんの周囲にも新入生や新入社員が、
緊張した面持ちで歩いているのでは。
所属先を持たない浮草稼業の僕にとっては、
そんなフレッシュな姿が眩しいですね。
せめて気持ちだけでもフレッシュにと思いつつ、
いつも通り自宅で仕事を頑張っております。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
最近さらに人気の新大久保を取り上げます。
寒い時期はさすがに人も減りがちだったのですが、
春休みに入った頃からはもう大混雑の様相。
マスコミの取材も大挙して入っており、
当面はまだまだ熱気が続いていきそうです。
そんな新大久保の状況を経験談をもとに、
少しアレンジして書き起こしてみます。
コリアうめーや!!第266号。
改札を抜けたところから、スタートです。

<新大久保の案内人はかく語りき!!>

JR山手線、新大久保駅の改札を出ると、
そこはすでに大勢の人でごったがえしていた。
見ると待ち合わせの人がほとんどのようで、
何人かのグループがそれぞれ輪を作っている。

「午前中からこの熱気か……」

噂には聞いていたが、正直予想以上だ。
身をよじりながら、人の間をすり抜けていく。
と同時に携帯をかけて目的の人を探すと、
ちょうど目の前の男性が電話を取った。

「あ、八田さんですか?」
「はい、八田です。はじめまして!」

雑踏の中で名刺を出そうか迷ったが、
ちょっとこの状況では難しそうであった。
それを見て、八田氏が口を開く。

「では、どうしましょう?」
「まず、町をざっとご案内しましょうか?」
「それとも喫茶店でも入りますか?」

せっかくなので街の案内から頼むことにする。
事前にある程度の下調べはしてきたつもりだが、
まずはこの熱気に触れておくのがよさそうだ。

八田氏に導かれて山手線の高架をくぐると、
そこからもうハングルの看板が折り重なっていた。

「新大久保はよくいらっしゃいますか?」
「いえ、最後に来たのは7~8年前だと思います」

「それだともうまったく違う町でしょう」
「そうですね、予想以上の変貌ぶりで……いやはや」

歩きながら、八田氏が解説をしてくれる。

「この目の前の通りが大久保通りです」
「これと並行して、新宿方面に職安通りが走っていまして」
「そこに挟まれたエリアをコリアンタウンと呼びます」

「東西は山手線の線路を基準とする場合もありますが」
「広く見るなら東は小滝橋通り、西は明治通りまでですね」
「職安通りを超えるとすぐ歌舞伎町になるのですが」
「ちょっと入ったあたりまでは韓国のお店も多いです」

「で、まず駅前のこのあたりがですね……」

八田氏がぐるっと指差したのは道の両脇。

「韓流グッズ店の集まる人気エリアです」
「韓流百貨店、芸能人ひろばなどが代表的ですが」
「最近はさらに店が増える傾向にありますね」

韓流ショップの前もすごい人だかりだが、
中をのぞいてみると、もっとすごい状態だった。
すれ違うのも難しいぐらいの大混雑である。

セブンイレブンを越えたところで、
いったん八田氏が足を止めた。

「コーヒープリンスはご存知ですか?」
「ああ、はい。イケメンの……」

イケメン韓国人スタッフのいるカフェがある。
その情報は事前に仕入れていたので、
デジカメを取り出して外観写真を撮った。

「さっき通り過ぎたあそこに1号店があって」
「ここに2、3、4号店が固まっています」
「隣にとんちゃんという人気の豚焼肉店があるので」
「この一帯はいつも行列ができていますね」

「新大久保で行列の絵を撮るならここか」
「またはこの先の路地を入った、おんどるのどちらかです」
「特に土日のランチタイムはすごい行列ですね」

「で、この先にビルが3つあるんですが……」

八田氏が道路の向かいを指差す。

「昨年末にオープンしたK-PLAZA1、2、3です」
「韓国系の商業ビルが3棟並んで一挙にオープンして」
「大久保通りの勢いがますます活発化しました」

「特に真ん中のビルは1階に韓国スーパーがあって」
「地下に韓流ショップ、2階がコスメショップ」
「いずれも規模が大きいので目立っています」

「奥のビルには飲食店が集まっているんですが」
「にっこりマッコリっていうお店の看板がありますよね」
「マッコリの販売会社が作ったコリアンダイニングで」
「自社のマッコリとそれに合う料理を出しています」

大久保通りの混雑度はさらに増してきた。
ほとんどが女性だが、カップルや家族連れの姿もある。
ちょうど春休みだからか中高生の姿も多い。

「若い子たちがずいぶん多いですね」
「前からこんな雰囲気でしたか?」

私の質問に八田氏が答える。

「若い子が増えたのは2010年の夏頃からです」
「夏休みに地上波で韓国ドラマが放送され……」
「また、その秋にKARAや少女時代がデビューしました」
「相乗効果で若い韓国ファンがぐんと増えましたね」

「それ以前は、主婦の方々がほとんどでした」
「前は新大久保を『原宿と巣鴨の間』っていったんです」
「地理的にもそうですが、主に年齢層を指してですね」
「いまはもう原宿から巣鴨までって感じですが」

「あとは時間帯でも少しずつ年齢層が変わります」
「土日は別ですが、平日の午前から夕方までは主婦の方」
「夕方になると制服姿の女子高生が目立ち始めて」
「その後は仕事が終わったOLさんの時間です」

「全年齢の女性が入れ替わり立ち替わりでやってきて」
「新大久保を盛り上げているイメージですね」

なるほど、そして土日はその全世代がやってきて、
そこにカップルや家族連れがさらに加わるということか。

「こちらも人気店のソウル市場です」
「韓国スーパーはここと職安通りの韓国広場」
「向かいのK-PLAZAにあるチョンガーネ」
「いまのところこの3つが代表的ですね」

「食品系で人気なのは、白いスープの辛いラーメン」
「そして赤いお酢、紅酢(ホンチョ)ですね」
「あとトウモロコシのひげ茶。このあたりは鉄板」
「菓子類もみんな買っていかれます」

「最近は総菜系に力を入れる店も増えました」
「このソウル市場も冷凍のサムゲタンが人気ですし」
「飲食店でもデリカの店を併設する店がちらほら」
「みなさん晩のおかずを買って行かれますね」

そこまで語って、また八田氏が止まる。

「えーと、大久保通りはまだまだ続くんですが」
「ほとんどの人が、ここのスリーエフで曲がります」
「職安通りとつながる、この路地に店が増えていてですね」
「しばらく前からメインストリート化しています」

車1台通れればやっとという細い路地だが、
そこに大勢の観光客が集まって行き来している。
道の両側からは呼び込みの声も激しい。

「韓国人イケメンのいる店がたくさんあることから」
「最近はイケメン通りって呼ばれることが多いですね」
「あとはドン・キホーテがあるので、ドンキ脇通りとか」
「新大久保の竹下通りなんて呼ばれ方もします」

「以前は飲食店が目立っていたんですが」
「昨年の春頃から、一気にコスメショップが増えました」
「人が多いので、屋台料理も充実してきましたね」
「いまはワゴン車での販売なども増えています」

「そして、カントンの思い出を過ぎたこのへんが」
「ちょうどコリアンタウンの中心になります」
「雑踏の絵が欲しいときはここがベストですね」
「いつ来ても賑やかで活気が伝わります」

「それで、あそこの屋台で売っているのがホットク」

目を向けると大勢の女性が屋台に集まっている。
その場でかじっているのは、お焼きのようなものか。

「ホットクは中に黒砂糖の蜜が入ったお焼きです」
「韓国では蜜だけなんですが、新大久保は具も増えまして」
「チーズ、アンコ、キムチ、チョコレート……」
「もう、独自の進化を遂げている感じですね」

「それとこちらのわくわく広場で販売している」
「ケランパンという屋台料理も最近評判です」
「今川焼きの中に、アンコではなく目玉焼きが入っていて」
「昨年11月の発売以来、人気急上昇中です」

大久保通りの喧騒も目を見張る思いだったが、
この路地の盛り上がりと店舗数はそれ以上。
しかも、あちこち工事をしているところを見ると、
現在進行形で店が増えているのだろう。

路地の出口で八田氏が振り返る。

「路地を出たところの大通りが職安通りで」
「越えると向こうの住所は歌舞伎町です」

職安通りの姿は、少しだけ昔の印象に近かった。
夜中にタクシーを走らせて韓国料理店を目指した頃は、
職安通りこそがコリアンタウンの入口だった。

「昔はコリアンタウンというと職安通りでしたよね」

八田氏は頷いてさらに語る。

「新大久保は歌舞伎町のすぐ裏にありますからね」
「歌舞伎町で働く韓国人たちのベッドタウンが新大久保」
「ちょうどその境目になったのが職安通りです」
「ここからコリアンタウンの歴史が始まりました」

「1988年にソウル五輪が開催された頃は」
「まだ韓国料理店も10軒ほどだったと聞いています」
「新大久保で生活する韓国人相手の店がほとんどで」
「増えていったのは90年代に入ってからですね」

「1989年に海外渡航が自由化されたのと」
「90年代後半の経済危機が大きかったみたいです」
「新天地を求めて日本に来た人が新大久保で商売を始め」
「コリアンタウン化が加速度的に進みました」

「そこに2002年のサッカー日韓共催W杯があり」
「2003~4年からの冬ソナブームで観光地化が進行」
「チャングムの誓いで韓国料理店がぐんと増えて」
「そこにいまのK-POPブームが重なった感じです」

八田氏の話を聞きながら職安通りを歩く。

人の流れはいくらか穏やかになったものの、
今度は観光バスの一団が目に飛び込んできた。
名札をつけた観光客が、先ほどの路地に入っていく。
後ろではガイドが、再集合の時間を叫んでいる。

「道路の向かいが韓国広場というスーパーです」
「この店のオープンが1994年だったのですが」
「それを機に韓国食材の入手がぐんと容易になりました」
「店を始めるインフラが整ったような感じですね」

「新大久保がコリアンタウンとして広がったのは」
「韓国広場ができたから、という人もいるぐらいです」

そこで八田氏は足を止める。

「えーと、これで主要な通りは以上です」
「もう少し街をご覧になるなら、別の路地に入るか」
「外れのほうにもいいお店はありますが……」

そういって八田氏が私を見る。

「そうですね、もう街歩きはこれで大丈夫なので」
「あとはどこかで座って、もう少し話を伺えますか」
「教えて頂いた情報も整理させて頂いて……」

「じゃあ、いったん大久保通りに戻りますか」
「はい、どこか適当なところへ……」

「……」
「……」
「……」

舞台はこのあと新大久保のカフェへと移り、
企画に沿った、新大久保情報をさらに詰めていく。
場合によってはお店のオーナーを紹介し、
またある時は一緒に飲食店を巡る。

僕は新大久保の案内人。

必要であればいつでもお声かけください。
街の魅力を誠心誠意、お伝え致します。

<案内人からの提案>
新大久保を訪れる人が格段に増えたことで、
最近は観光客のマナーも問われるようになりました。
もともと新大久保はごく普通の住宅地であり、
多くの人が韓国とは無関係に生活をしています。

・そのへんにゴミを捨てない!
・夜中に住宅地で大声を出さない!

といった基本的なマナーは大前提ですが、
大久保通りの歩道も、イケメン通りと呼ばれる路地も、
混雑によって、いろいろな問題が出てきています。

・韓国とは関係ない店の入口を塞いでいないか
・車椅子の方や、お年寄りの歩く道を塞いでいないか
・スペースを求めて、私有地に立ち入っていないか
・何人かで固まって歩いて、後ろが詰まっていないか

そんなことを頭の片隅に置いておくだけでも、
だいぶ違うのではないかなと思います。
自分自身への戒めと反省でもあるんですけどね。
よかったら周囲の新大久保仲間にも声をかけてみてください。

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
僕のしゃべっている部分はほぼ実録。
一緒に歩くと、まったく同じ話を聞けます。

コリアうめーや!!第266号
2012年4月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

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