コリアうめーや!!第251号

コリアうめーや!!第251号

<ごあいさつ>
8月15日になりました。
毎日、暑い日々が続いております。
ちょうど世間はお盆休みという時期ですが、
僕も人並みに今年は帰省をしております。
このメルマガも行きの新幹線で下書きをし、
帰省先でそれを推敲して配信という流れ。
出張先の韓国でメルマガを書くことは多いですが、
国内移動での配信はあまりなかったですね。
だからといって旬な話題が入る訳でもないですし、
あくまでも個人的な余談にすぎないのですが。
そして今号で語らせて頂くテーマも、
しばらくずっと続けている5月の訪韓話。
皆さんも飽きてくる頃かと思いますが、
もうすぐネタも尽きるのでご了承ください。
コリアうめーや!!第251号。
帰省先でスイカを食べつつ、スタートです。

<結果オーライで出会えた牛焼肉!!>

結果オーライという言葉がある。

何かの失敗が、うまく転がって見事成功。
経過として見れば褒められたことではないが、
そんなラッキーも人生にはままある。

遅刻をしたと思ったら相手も遅れてきたとか、
トラブルを通じて仲間同士の結束が固まったとか。
間違えて買った馬券が、万馬券だったりもするだろうし、
実験ミスがノーベル賞級の発明につながったりもする。

運命のあやといえばそれまでだが、
そんな偶然があるから人生は面白い。

ちなみに僕にとって最大の結果オーライとは、
韓国語を始めたことではないかと思う。

当時、大学に入りたてだった僕には、
同じクラスにちょっと気になる女の子がいた。
その子が必修の語学を選ぶ際、

「アタシ韓国語やろ~!」

といった瞬間、

「あ、俺もやろ~」

と反射的に乗ってしまったのが運のツキ。

女の子には5月3日の時点で早々とフラレたが、
その後も惰性ながら、韓国語を続けたことでいまがある。
5月の段階で女の子と一緒に韓国語も諦めていたら、
当然のごとく、このメルマガも存在しなかった。

これを結果オーライといわずして何といおう。

さて、そんな過去の恥をさらしたところで。

今年5月の訪韓時にもひとつ結果オーライがあった。
もしかすると、僕にとって5月というのは、
結果オーライを生む幸運期なのかもしれない。

舞台となったのはソウルの龍山駅。
全羅道方面に向かうKTXの発着地だ。

その日、僕は7時台のKTXで光州に向かい、
地元の郷土料理を2食続けて制覇するつもりだった。
夕方には光州を出て次の目的地へと移動するので、
光州到着は早ければ早いほどいい。

だが、僕は龍山駅で列車表を見上げ、

「あれっ、満席!?」

という迂闊な事態に遭遇する。

朝7時台で、しかも平日だったため、
まさか満席とは思わず予約を怠っていたのだ。

「これは、こ、困った……」

光州での2食を諦めて次の列車を確保するか、
あるいはそもそもの旅程を大幅に変更してみるか。
窓口で悩んでいると受付のお姉さんが、

「それなら光州松汀まで行かれたらどうですか?」

と助言をしてくれた。

聞くと、光州松汀駅と光州駅は地下鉄で結ばれており、
距離的にも30分かからないぐらいだという。
しかも、光州松汀行きはすぐの列車に空席があり、
30分の移動を含めても、次の光州行きよりよっぽど早い。

「じゃあ、光州松汀行きで!」

と頼んだところで、話は光州松汀到着後に急転直下。
紙幅の都合から、2時間40分の移動をすべて割愛し、
僕は晴天の光州松汀駅前に降り立った。

「んー、ここが光州松汀か!」
「そもそも地名が松汀洞っていうんだな!」
「松汀洞、松汀洞、松汀、洞……?」

「あ、あれっ!?」

その時点まで気付かなかったのは愚かだが、
松汀洞という地名には見覚えがあった。

事前に光州で何を食べるかリサーチしていた際、
光州駅から遠いという理由で泣く泣く諦めたのが松汀洞。
松汀トッカルビ通りのある町がまさにココである。

限られた時間の中で2食をクリアするには、
移動の効率というのもずいぶん影響してくる。

松汀トッカルビ通りまでは光州駅から往復1時間。

今回は無理、と結論を下したはずの松汀洞に、
なぜか僕はいま降り立っているのだ。
龍山駅で予定の列車に乗れなかったのが幸い。
これも模範的な結果オーライであろう。

改めて調べてみると、松汀トッカルビ通りは、
光州松汀駅から歩いて10分足らずの場所にあった。
これはもう神様が行けといっているのだろう。
予定を変更し、松汀トッカルビ通りに向かった。

さて、そのトッカルビ。

少し説明をしておくと、牛焼肉の一種である。
トッカルビの「トッ」が餅を表しており、
直訳すると「餅カルビ」という意味になる。

その語源については諸説あるものの、

・餅のように柔らかいカルビ
・餅のように成形したカルビ

という2種が代表的に語られる。

牛カルビを包丁で叩いてミンチ手前の状態にし、
焼肉風のタレで味付けをして焼いた料理。
コリアンハンバーグと訳されることも多いが、
味わいは焼肉そのものというのが特徴だ。

なぜ叩くのか、という点にも諸説があり、
宮中で王様に献上する際、肉の柔らかさを求めたとの説。
あるいは歯の弱い老人を気遣っての工夫からとの説。
餅型に成形することで高級感を出したとの説などがある。

いずれにせよ高級料理の部類に入るものであり、
現在も宮中料理店、韓定食店の主菜になっている。

一方で、大衆化もぐんぐん進んでおり、
レトルトのトッカルビがスーパーでも売られている。
お弁当のおかずにしたり、パンに挟んでみたり、
棒に刺したトッカルビを屋台で売っていることもある。

飲食店でも豚肉を混ぜて安価に作るケースが多々あり、
高級料理との概念は、だいぶ崩れているようだ。

むしろ、日本ではトッカルビ丼なども登場しているので、
コリアンハンバーグ路線は、それはそれでよいかもしれない。
日本における可能性もずいぶん広がりそうだ。

といったことを考えつつ、松汀トッカルビ通りに到着。

さすが一帯にはトッカルビの専門店が並んでおり、
トッカルビの町を見た目からしてアピールしている。
ざっとひとしきり町の様子を散策してみたのち、
元祖格とされる1976年創業の店に入った。

店名はズバリ「松汀トッカルビ」である。

店のメニューを見ると韓牛トッカルビと、
普通のトッカルビの2種類があった。
せっかくなので韓牛トッカルビのほうを注文し、
一緒にユッケビビンバも頼んでみる。

両者はほぼ同時のタイミングで運ばれてきて、
たくさんの副菜とともにテーブルを埋め尽くした。

全羅道を訪れる魅力のひとつが食の豊かさ。
メイン料理についてくる副菜の量が他地域より多く、
また、ひとつひとつの料理が丁寧に作られている。
食への期待をまったく裏切らない地域である。

ただ、そういった全羅道の平均値から考えると、
トッカルビとユッケビビンバの印象はやや平凡だった。

もちろん全羅道レベルでの平凡であるから、
全国的に見れば、充分に見事な料理ではある。
事実、韓牛のトッカルビは期待通りにに柔らかく、
肉汁もほとばしるようにジューシーではあった。

ユッケビビンバも、最初からごはんに下味がついており、
そのコチュジャンから独特の香ばしさが漂ってくる。
これが全羅道でなければ、よい印象で終わったはずである。

「だが、ここは全羅道!」

という思いが僕の中にあったのだろうか。
無難に美味しいトッカルビとユッケビビンバを食べつつ、

「全羅道の底力はこんなものではない!」

との気持ちが芽生えた。

心の片隅が妙に埋まらないような感覚で、
満足ではあっても、感動にまでは至らなかった。
なんとも贅沢な話で、むしろ傲慢な感想だが、
それが平凡という印象につながったのかもしれない。

5月の結果オーライは虚像だったのか!

そう思いかけた直後。
僕の前に意外な伏兵が現れた。

それはトッカルビ、ユッケビビンバとともに、
付随の汁物として運ばれてきたスープ。
一帯ではピョクッと呼ばれている料理であった。

直訳すると骨のスープ。

文字通り、澄んだスープの中には、
げんこつほどの大きな骨がごろごろ沈んでいた。
そして、この骨には見覚えがある。

「これは、カムジャタンの骨!?」

カムジャタンは豚の背骨とジャガイモの鍋。
豚の背骨からはいいダシが出るとともに、
まわりについた肉を、かぶりつくように味わえる。

焼酎との相性がよい無骨な印象の料理だが、
松汀のピョクッは上品なまでに澄んだスープであった。
実際に飲んでみても、

「カルビタン(牛カルビのスープ)じゃないの!?」

と思わせる味わい。
よほど丹念に脂やアクをすくって煮込んだのだろう。
飲んだ瞬間に驚きで身体が固まるような味わいであった。

かくして、ようやく埋まった心のピース。

結果オーライで訪れた松汀トッカルビ通りで、
これまた脇役の頑張りによる結果オーライがあった。

やはり5月は幸運の月なのかもしれない。

<店舗情報>
店名:松汀トッカルビ
住所:光州市光山区松汀2洞826-3
電話:062-944-1439

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
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FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
5月の結果オーライ。
来年は何が起こるか楽しみです。

コリアうめーや!!第251号
2011年8月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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