コリアうめーや!!第218号

コリアうめーや!!第218号

<ごあいさつ>
4月になりました。
春にしては寒い日が続いておりましたが、
少しずつ桜の花もほころんできましたね。
ちょうど今週末が花見の最盛期でしょうか。
関東地方は雨の予報もあるようですが、
ぜひ満開の桜の下で、一献いきたいものです。
といいつつも、3日後の日曜日から、
韓国出張の予定が入っているんですけどね。
地方目掛けて4泊5日という日程なので、
戻ってきたら、桜はもう散っているかも。
韓国に行けるのは嬉しいですが、
桜を存分に楽しめないのは少しばかり残念です。
まあ、そんな話はともかく。
今号のコリアうめーや!!では、
ある料理と徹底的に向かい合いました。
今まではあまり深いお付き合いでなかったのですが、
今後はもっと仲良くできそうです。
コリアうめーや!!第218号。
穴の開くほど見つめて、スタートです。

<韓国料理のキャラ立ちを考える!!>

先日、96種類の韓国料理について、
それぞれ簡単な紹介記事を書く仕事を請け負った。

100でなく96種類というのが微妙に半端だが、
それは1ページ6種類×16ページという理由から。
デザイン上は、100より96のほうがしっくりくる。

この手の仕事はときおり来るので慣れているが、
これだけ数が多いとなると、けっこうな骨である。

しかも文字数が、各料理240字と微妙に多い。

100字程度なら料理の概要だけで済むが、
200字を超えると、ひとネタ盛り込む必要が出る。

料理の由来や、語源、または食べ方の特徴など。
単なる料理図鑑でなく、読み物の要素が加わるので、
そこをどうするか、少々考える部分が出てくる。

ひとつずつ悩むので作業効率はよくないが、
料理ごとの個性を見極める作業はけっこう楽しい。

ある料理は豪快な食べ方をアピールし、
またある料理は薬膳的な効果を説明に含ませる。
ユニークな由来の料理はその薀蓄を多めに加え、
歴史の古い料理はその格式を全面に出す。

そんな作業を黙々と続けていたら、

「ぬ、これはプロデュース業務に似ておるな!」

という事実に気がついた。
もちろん、実際にプロデュースなどしたことはないので、
なんとなく見知った情報でそう思っただけだ。

それぞれの長所を探し、業界、ユーザーにプッシュする。

芸能界での業界ならテレビ局などであろうし、
ユーザーとなるのは、その視聴者でありファンである。
僕の場合は文章を書くことで編集部にアピールをし、
記事を読んで、食べる人がユーザーとなる。

その構図はまことにそっくりではないか。

96人のタレントを預かる大手芸能事務所のようなもので、
いうなれば、AKB48ならぬ、KKR96である。

え、その場合のKKRは何かって?

それはもちろん、
韓(K)、国(K)、料理(R)
の略に決まっておろう。

むしろ唐辛子どっさりの料理だけを抽出し。
韓国料理界のAKB48としてもよいかもしれない。

え、その場合のAKBは何かって?

それはもちろん、
赤い(A)、韓国料理(K)、ばっかり(B)、48種類
の略に決まっておろう。

などとマヌケなことを考えていたら、
意外にもサクサク進んで、早く片付いた。

ちなみにこんなことを思いついたのは、
料理によって書きやすい、書きにくいがあるため。

メジャーな料理は薀蓄も豊富で240字はすぐ埋まるが、
マニアックな料理は文字数が埋まりきらずにけっこう困る。
すると、自分の知識が足りないのを棚にあげ、

「ちっ、キャラの立っていない料理め!」

などと、つい悪態をついてしまうのだ。
自宅でひとり作業をしているのでひとり言は多く、

「君はもっとキャラを立てなさい!」
「頑張らないと業界ではすぐに干されるよ!」
「君のアピールポイントはどこだね!」

などとぶつぶついっていたりする。
傍から見れば、ただの危ない人であるが、
そんなことを繰り返しながら原稿は仕上がる。

まあ、そんな僕の奇行はさておいて。

韓国料理も横並びで比べてみると個性の幅があり、
知名度はあるのに地味、という料理はけっこう出てくる。
美味しいけれども、それ以上の要素が見当たらず、
話題に乏しいので、僕のほうでも語ることが少ない。

だが、それではいかんのだ。

これまでは、キャラの立っていない料理を見ても、
まあ、仕方ないよな、という気分で放置していた。

だが、タレント事務所になぞらえてみたところ、
キャラが立たないのはプロデュース力のせいではと思えてきた。
プロデューサーがアピールポイントを見い出せないから、
いつまでも華やかな世界に立てないのではないか。

そんな思考経過から、ある料理のアピールを考えてみたい。

96種類の中でも、特に困った料理のひとつ。
メジャー料理であるはずの、キムチポックムパプだ。
いわゆる、キムチチャーハンのことである。

ただし、日本では充分人気の高い料理なので、
あくまでも韓国料理の中におけるポジションとしての話。
チャーハンのアレンジとしては存在感抜群なのに、
韓国料理の中では、妙に埋没してしまっている。

あまりにも身近すぎるうえ、自分でも簡単に作れる。
歴史を語られることも皆無だし、特別な食べ方もない。
韓国に名物通りがある訳でなく、イベントデーも存在しない。

有名なのに、語るべき要素がほとんどないのだ。

例えば、ざっと紹介文を書いて例にあげよう。
実際に書いた文章を転載する訳には行かないので、
似た雰囲気で、新しく書き起こしてみる。

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<キムチポックムパプ>
キムチチャーハン。ポックムパプが炒めごはんを意味する。
ざく切りにした白菜キムチをごはんをゴマ油で炒めて作る。
白菜キムチは熟成が進み、酸味の出たものが合うとされる。
具に豚肉やタマネギ、ピーマン、ニンジンなどを加えるほか、
好みで目玉焼きを載せたり、刻み海苔を振りかけてもよい。
家庭で手軽に作れる料理として親しまれているほか、
食堂、粉食店、カフェ、フードコートのメニューにも並ぶ。
=========================

ある程度、基礎的なことを並べて、これで187字。
240字の魔力がここにあり、何か要素をひとつ足さねばならない。
にもかかわらず、キムチポックムパプにはそれがないのだ。

例えば、先ほど掲げた

・歴史
・特別な食べ方
・発祥地、名物通りの有無
・イベントデー

の要素を再検討してみる。

キムチチャーハンの歴史ははっきりしておらず、
漠然と日本統治時代ではないかとされている。

1883年に仁川港が開港した後ぐらいから、
中国、西洋、日本の料理がどんどん入ってくる。
中華料理店のチャーハンが韓国の食文化と結びつき、
キムチポックムパプになったと推測される。

現在、もっともポピュラーなキムチである、
結球型白菜のキムチもちょうどこの時期から広まり始めた。
それ以前に存在しなかったであろうことは確定的だが、
いつ頃から食べられているかは明確にならない。

何を書いても憶測になるので原稿では微妙だ。

また、特別な食べ方というのもあまりなく、
せいぜいスプーンで全体を混ぜてから味わう程度。
とはいえビビンバほどのインパクトはないので、
あえて書くべきか、と考えると疑問が残る。

また、発祥地、名物通りの有無、イベントデーも、
念の為、調べたてみたが有力情報はヒットしなかった。

従って、僕がよく書くサブ情報のカテゴリでは、
キムチポックムパプの魅力を伝えきれないのである。

ならば、その固定観念から外れるべし。

キムチポックムパプならではの特別な魅力を、
敏腕プロデューサーの視点で見つけるのだ。

ということで以下。

キムチポックムパプをあらゆる角度から見つめ直し、
特徴と呼べそうな部分を列挙してみた。

・具にツナを入れたキムチポックムパプもある
・隠し味としてコチュジャン、バターを使用することがある
・キムチの漬け汁を味付けに加えてコクを出すことも多い
・石焼きビビンバの器に盛り付け、おこげを楽しむこともある
・フライパンでなく鉄板で炒めて提供する専門店も存在する
・専門店では海産物を具に加えたり、チーズを載せる工夫も見られる
・豚焼肉店では肉を焼いた後の鉄板でキムチポックムパプを作る
・鍋の店では残った煮汁でキムチやごはんを炒め、キムチポックムパプ風にする
・目玉焼きなど、具が加わる場合もスプーンで全体を混ぜて味わう
・唐辛子のカプサイシンによる脂肪燃焼効果でダイエットも期待できる
・家庭用に調理済の冷凍食品としても販売されている
・コンビニでキムチポックムパプおにぎりが販売されている

うん、探してみるとけっこうあったね。

具や味付けの部分は、さらに膨らませることができるし、
具体例をあげた記述にしていけば文字数も稼げる。

だが、それ以上に重要なのは、

・豚焼肉店では肉を焼いた後の鉄板でキムチポックムパプを作る
・鍋の店では残った煮汁でキムチやごはんを炒め、キムチポックムパプ風にする

この2点を忘れていたこと。
後者をキムチポックムパプに含むのはやや強引だが、
前者とのセットなら、文脈状も自然になる。

例えば、こんな感じの文章を付け加えてはどうだろう。

=========================
一部の豚焼肉店では肉を焼いた後の鉄板を利用して、
豚肉や豚肉の脂と絡めたキムチポックムパプを提供する。
その際、ハート型、月形に成形するサービスを行う店もある。
また、韓国では鍋料理を食べた後に、残った煮汁でごはんを炒めるが、
キムチや卵も投入するため、仕上がりはキムチチャーハンに似る。
=========================

なんと、これだけでも140字!

先ほど書いた、基礎的な要素の187字と足せば、
あっという間に327字となって規定文字数をオーバーする。
足りないどころか、削るという贅沢な作業が必要となる。

キムチポックムパプのあまりにも大事な要素だが、
別の料理に付随する部分だけに、盲点となってしまった。
また次回、キムチポックムパプの原稿を書くときは、
ぜひ、この焼肉、鍋料理情報を追加することにしよう。

ちなみに僕は本来の原稿を書いた当時、
以下のようなネタをひねり出して加えた。

=========================
韓国のファストフード店ではかつて、キムチポックムパプを
ライスバーガーとして用いたキムチバーガーも発売されていた。
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同じく、文章は適度に変更させてあるが、
この情報を加えて56字。先の文章と合計して243字。
ほぼ指定された通りの文字数に仕上がる。

このサブ情報を思いついたときは、

「お、これは意外にいいかも!」
「かなり予想外の角度から情報が加わった!」
「なかなかやるじゃないか俺!」

と大喜びしたが、
よくよく考えるとキムチバーガーは過去の話。
読み物としてはよいが、実用性にやや欠ける気がする。

時おりしも、ちょうどその原稿の校正中。

このメルマガを書き終えて、ホッとする暇もなく、
キムチポックムパプのプロデュースを再検討せねばならない。
プロデューサーの力量が試される場であり、
キムチポックムパプが世に羽ばたくかの瀬戸際である。

どうする俺!

この結果は、今月下旬に発売予定の、
韓国料理店紹介ムック本をご参照のこと。

「なーんだ、宣伝か」

と思ったアナタ。
はい正解です。

<お知らせ1>
韓国料理店紹介のムック本に原稿を書きました。
書店で見かけたらぜひ手にとってみてください。

書名:韓国スターが訪れる店&美味しい韓食(仮)
版元:インフォレスト株式会社
発売:2010年4月21日(予定)

<お知らせ2>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
エイプリルフール用に偽マッコリのラベルを作成。
締切地獄の中で2時間もかけてしまいました。

コリアうめーや!!第218号
2010年4月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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