コリアうめーや!!第69号

コリアうめーや!!第69号

<ごあいさつ>
今日1月15日は成人の日。
と思ったら、もう3日前に終わっていました。
祝日が変更になってずいぶんになるのに、
まだまだ感覚のズレが消えません。
本当に3連休、増えましたよね。
そしてその3連休が増えたぶん、
出費も増えているような気がします。
3連休のたびに八田氏のフトコロは火の車。
今月も経済危機に瀕しています。
さて、今号のコリアうめーや!!ですが、
韓国ファーストフード界に異変が起きています。
もともと韓国は、ファーストフード界のバルカン半島と呼ばれるほど、
各企業が火花を散らしてぶつかる激戦地です。
これは新たなる戦争の始まりか。
コリアうめーや!!第69号。
戦い前夜のスタートです。

<さらなる火種かチャジャンバーガー!!>

韓国ファーストフード界における史上最悪の事件といえば、
2001年秋に勃発したキムチバーガー戦争であろう。
あの凄惨なる戦いは、今も人々の脳裏に焼き付いて消えない。

事件の発端は2001年8月。
世界初というふれこみで、ロッテリアがキムチバーガーを発売。
キムチチャーハンを思わせるような真っ赤なライスバーガーで、
メンチカツのようなキムチパテを挟んでいた。

韓国人の魂ともいうべきキムチの入ったバーガー。
今にしてみれば、それまで存在しなかったのが不思議なくらいである。
ロッテリアが道を切り開いた業績は大きい。

ところが事件はここから始まる。

キムチバーガーで注目を集めたロッテリアに対し、
ライバルであるマクドナルドが真っ向から勝負を挑んだ。
ロッテリアから遅れること3ヶ月。
なんとまったく同名のキムチバーガーを発売したのである。

一転、俄かに風雲急を告げる、韓国ファーストフード業界。

先陣を切って名を売ったロッテリアに対し、
マクドナルドも負けじと猛烈なフェアを展開する。
熾烈な宣伝合戦の中、客は間に挟まれて右往左往し、
さながらナベカマをガンガン叩く田舎の選挙のようになった。

これは総力戦になるな……。

ファーストフード業界のみならず、マスコミや、
一般の人たちをも巻き込んで、キムチバーガー戦争は拡大していった。

だが、話題になったのもここまで。

注目度の高さに反比例するかのように、
キムチバーガー戦争はいとも簡単にケリがついた。

「おい、マクドナルドのキムチバーガー買ってきたぞ!」
「おお、ついに出たか。食べよう食べよう」

ガサ、ガサガサ、ガサガサガサガサ……。

「うん、見た目は普通のハンバーガーだな」
「いや、よく見ろ。ハンバーグが2枚になっている」
「ふむ、そうか。むしろダブルバーガーに近いということだな」

「ところでキムチはどこに入っているんだ?」
「うーん、中に挟まれているんじゃないか。分解してみろ」

ロッテリアのキムチバーガーとは異なり、
マクドナルドのキムチバーガーは見た目ごくごく普通であった。

「じゃあ、バンズをどけてみるぞ」
「おお……」

生唾をごくりとひとつ飲み込んで、バンズをはがす。
そして、そこに現れたのは……!!

「なんだよ、これ」
「う、うん……」

ハンバーグの上にはレタスが敷き詰められ、
その中央に、一口大に刻まれた白菜キムチがそのまま乗っていた。

「これ、レタス半分にして、キムチ乗せただけじゃないか?」
「うむ……。そのようにしか見えないな……」

勝負はあっという間だった。

マクドナルドのキムチバーガーはほどなくして消え、
ロッテリアのキムチバーガーはレギュラーメニューとして残った。
どこからどう見てもロッテリアの圧勝であった。

日本ではマクドナルドの影に隠れて存在感の薄いロッテリアだが、
韓国ではまだまだファーストフードの元祖としての地位を保っている。

その歴史も、マクドナルドの1988年1号店オープンに対し、
ロッテリアは1979年に1号店オープンとはるかに先輩なのだ。
店舗数もロッテリアが896店舗、マクドナルドが343店舗と、
ロッテリアが倍以上を占めている。(2004年1月現在)

世界的に見ればマクドナルドのほうがはるかに強大だが、
韓国に限れば、まだまだロッテリアの牙城が高くそびえている。
そのため、ロッテリアの新規戦略、新商品に対してマクドナルドは、
ある種、過敏に見えてしまうほど、激しい反応をみせるのだ。

キムチバーガーはそのもっとも顕著な例であるが、
同じ年の2月に、マクドナルドがエビバーガーを発売しているのにも注目したい。

エビバーガーといえば、
日本でも韓国でもロッテリアを象徴するメニュー。
それをあえてマクドナルドが販売するというのは、
ロッテリアへのライバル意識にほかあるまい。

韓国においてロッテリアとマクドナルドは、
常に戦闘状態にあるといって過言ではないのだ。

そして、2003年12月、
ロッテリアがまたも衝撃の新メニューを発表。

登場したのは、なんと真っ黒なライスバーガーである。

それだけではない。真っ黒なバーガーとともに、
黄色いバーガー、赤いバーガーまでをセットにして発売。
3種、3色という、まさに異色のトリオで攻め込んだのだ。

ロッテリアはこの3色のライスバーガーを、
バーガーチャン(チャンは最高という意味を表す俗語)と名付け、
韓国ファーストフード界に、また新たな波紋を呼び起こしたのである。

街を歩いていれば、否が応にも目に飛び込んでくる派手な色のバーガー。
ある店の店頭には、ポップを手に持ったサンタクロースまで登場していた。
ものすごい宣伝、ものすごいアピールぶりである。

これだけ派手な先制パンチを受けて、
あのマクドナルドが何も反応しないということは考えられない。
今のところまだ情報は入ってきていないが、
きっと近いうちに、なんらかの反撃バーガーを出してくるはずである。

これは新たなる戦争の始まりか……。

そう思ったら、いてもたってもいられなくなり、
韓国まで行って3つのバーガーを試食してきた。
以下、簡単ではあるが、そのレポートである。

注目の黒いバーガーは、チャジャンバーガー。

チャジャンとはチャジャンミョン(炸醤麺)のソースのこと。
春醤という中華風の黒味噌を野菜などとともに油で炒めたもので、
ほのかな甘味と味噌のコクが、老若男女を問わず好まれている。

それをライスバーガーにアレンジしたのがチャジャンバーガー。
チャジャンソースを利用し、ライスを真っ黒に染め上げたのだ。

黒いライスバーガーというのは、見た目かなりのインパクトだが、
味は想像したよりもはるかに普通だった。ちょっと甘めのライスバーガー。
ハンバーグとの相性も悪くないが、味の鮮烈さにはやや欠けた。

黄色いバーガーは、カレーバーガー。

ドライカレーをライスバーガーに仕立てたような印象。
包みをはがすと、カレーの強烈な香りが漂ってくる。

ハンバーグカレーというものが存在する以上、
この組み合わせで相性は悪いはずがない。
間にはさまれているスライスしたタマネギが、
よりカレーらしさをアピールしている。

難を言えば、意外性がないこと。
見た目の想像と、食べたときの感想にまったく差がない。
予想した通りの味だった。

最後が赤い、キムチバーガー。

レギュラーメニューのキムチバーガーとは異なり、
真ん中に普通のハンバーグを挟んでいる。
真っ赤な外見と、キムチの香りはいかにも韓国らしいが、
味の面でいえば、従来のキムチバーガーのほうがおいしい。

他の2種と足並みを揃えるためにハンバーグを使ったのだろうが、
そのぶん、いまいちパッとしない味になった。

総合的に評価するならば、1度は食べてみるべきでも、
2度は食べないだろうという印象であった。

もちろん、あくまでも個人的な感想であり、
人によってはまったく違う評価を下すかもしれない。
だが、まわりの客をしばらく観察してみたが、
このバーガーチャンシリーズを食べている客は皆無であった。

味うんぬんはさておくとしても、韓国ファーストフード業界に、
このバーガーチャン企画がどう影響を与えていくのか楽しみである。

マクドナルドはきっと近いうちに反撃に出るはずである。
いったいどんなバーガーで対抗してくるのか。
期待を込めて、待とうではないか。

<お知らせ>
バーガーチャンの写真がホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
『八田式「イキのいい韓国語あります。」韓国語を勉強しないで勉強した気になる本』は好評発売中です。ホームページでは裏話、ブックレビューなどを紹介しています。
http://www.koparis.com/~hatta/news/news_000.htm

<八田氏の独り言>
マクドナルドからも出たりして。
チャジャンバーガーとカレーバーガー。

コリアうめーや!!第69号
2004年1月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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