コリアうめーや!!第62号

コリアうめーや!!第62号

<ごあいさつ>
10月になりました。
月の数字が2ケタになると、
今年もそろそろ終盤という気にさせられます。
10月、11月、12月……。
指を3本折ったら2003年はおしまい。
そう考えると、ちょっとはかない気もしますね。
ああ、今年が終わっていくう……。
2003年を悔いなく終えるためにも、
そろそろラストスパートの準備が必要です。
今年自分は何を為したのか。
胸を張って2004年を迎えたいところです。
さて、今号のコリアうめーや!!ですが、
ちょっと不思議な「韓国」料理の紹介です。
なんでカッコがついているのかはお楽しみ。
コリアうめーや!!第62号。
国境を越えるスタートです。

<僕は中華料理が大好きだあっ!!>

中華料理が好きだ!!

そうだ、声高らかに宣言してしまおう。
ビックリマークもいつもより奮発してしまおう。

僕は中華料理が大好きだあっ!!!!!!!!

ただしこの場合の中華料理とは極めて狭い範囲を示す。

チャーハンくんや、餃子さんあたりを中心とした、
いつでも気軽に会いに行ける中華料理たち。
顔なじみで気心のしれた中華料理が大好きだ。

ラーメン、餃子、チャーハンの3本柱に、
麻婆豆腐とホイコーローを加えた5品とその周辺。

広く見積もったとしても、
春巻、エビチリ、チンジャオロースあたり。
どんなに贅沢をしたとしても、
鶏肉とカシューナッツの炒め物、またはもち米焼売までを限度としたい。

まかり間違っても、北京ダックやフカヒレの姿煮、
ツバメの巣のスープなどの高級中華料理ではない。

というあたりから、ずーっと身近な中華について語ろうかと思ったが、
ふと冷静になって考えてみると、僕は韓国料理を語る人であった。
僕はあくまでもコリアン・フード・コラムニストであり、
このメルマガはコリアうめーや!!なのである。

てなわけで、ここから強引に軌道修正。

僕は「韓国の」中華料理が大好きだあっ!!!!!!!!

よーし、これなら文句はあるまい。
どこから見ても充分にコリアうめーや!!だ。
うしゃしゃ。語るぞ。語るぞ。「韓国の」中華料理。

なーんてカッコつきで無理矢理っぽく見せてはいるが、
「韓国の中華料理」というのはなかなか侮れないのだ。
きちんとした韓国料理の1ジャンルとしても問題ないくらい。
中華料理の範疇すら飛び越えた、韓国独自のオリジナル「中華」料理なのだ。

もちろん高級な中華料理に目を向けると、
本場のそれに限りなく近づいてしまうので、
ここでは日本同様、身近な「韓国の中華料理」に焦点を絞る。

チャーハンくんや、餃子さんあたりを中心とした中華料理。
だが、日本ではまずお目にかかれない、韓国ならではの中華料理だ。

さて、韓国の中華料理を語る上で、まず何よりも重要なこと。
ラーメン、餃子、チャーハンの3本柱はいとも簡単に崩れる。

それも日本では大将格のラーメンが完全に外れる。
3本柱はおろか、ベスト5の地位からも転げ落ちる。
韓国の大将格はラーメンではない。炸醤(ジャージャー)麺だ。

韓国語で発音するならばチャジャンミョン。

豚肉、タマネギなどを春醤(チュンジャン)という黒い味噌と炒め、
片栗粉でとろみをつけて、麺にどろりとかけた料理。
出前の代名詞でもあり、安くてうまい庶民の味方である。

本場のジャージャー麺とはだいぶ違うが、
韓国においてはチャジャンミョンこそが中華料理の王道。
日本のラーメンが中華の枠をも越えて独自の進化を遂げたように、
韓国のチャジャンミョンも我が道を進むオリジナル中華料理なのだ。

まずこれがベスト5の最右翼。

続いて日本では副将格の餃子とチャーハンだが、
こちらもまた韓国の中華料理においては、ガクンと格が落ちる。
むしろ副将格に躍り出るのはチャンポンなのだ。

チャジャンミョンが東の横綱なら、チャンポンは西の横綱。
韓国の中華料理を代表する、無敵のツートップなのである。

「は、チャンポン? それって長崎料理じゃないの?」

という鋭い疑問はむしろ大歓迎。

日本では長崎料理として知られるチャンポンだが、
韓国においては断固として中華料理なのである。

と豪語したところで、チャンポンの由来については諸説あり、
なぜ中華料理のひとつとして名を連ねているのかは、僕にもよくわからない。

中国から日本を経由して入ってきた中華料理と理解されており、
語源そのものも長崎のチャンポンに求めているようだが、
実際に韓国のチャンポンを食べてみるとずいぶん様相が異なる。

韓国のチャンポンも、長崎チャンポンと同様に
野菜、魚介類をたっぷり加えた麺料理ではあるのだが、
ある1点において長崎チャンポンとは大いに異なるのだ。

そう、韓国のチャンポンは見るからに赤いのだ。

「はーい、お待ちどうさまー」

と目の前にチャンポンを出された瞬間。
いきなり目が充血してしまうほど、ストロングな赤色をしている。

これは全部食べると賞金でも出るのだろうか……という赤。
明日トイレ行くとき大丈夫かなあ……という赤。
いっそ長崎チャンポンと並べて紅白歌合戦でも開催するか……という赤である。

当然、赤いだけでなく、加虐的かつ暴力的に辛い。

少なくとも日本では白いチャンポンが、
なぜ韓国に渡って真っ赤になってしまったのか。
そしてなぜ名前はそのまま残っているのか。

韓国のチャンポンは謎だらけだが、
ともかく現在の韓国において、チャンポンは中華料理の代表なのだ。

真っ黒なチャジャンミョンに、真っ赤なチャンポン。
ここにチャーハン、餃子、そして酢豚を加えた5品を、
僕は独断と偏見の名のもとに「韓国の中華料理ベスト5」と認定したい。

「日本人が選ぶ韓国の中華料理ベスト5!!」

日韓中が入り乱れ、何がなんだかよくわからない認定だが、
ともかく問答無用でベスト5なのである。

ちなみにこの最後に加えた酢豚というのが非常に重要。

実は酢豚という料理。
この混戦模様を一気にまとめる影の実力者なのである。

一般的に韓国料理はメインの料理に加え、
キムチやナムルなど、たくさんの副食がついてくることで知られる。
細々とした皿が全部オマケであり、おかわりし放題。
この大盤振る舞いが韓国料理における重要な魅力のひとつだ。

ところが韓国式中華においては、
なんとも悲しいことに、この副食の大盤振る舞いがない。

せいぜい生タマネギを春醤(チャジャンミョンの味噌)につけてかじるか、
あるいは薄く切ったたくあんに酢をぶっかけてつまむかのどちらかである。

大盤振る舞いが当たり前の韓国において、
皿数の乏しい食卓はなんともさびしい。

白菜キムチをひとかじりして、もやしナムルをひとつまみ。
メインのチゲをひとすすりした後に、韓国ノリとともにごはんを食べる。
そんなバリエーション豊かな楽しみ方ができないのだ。

そこで活躍するのが大皿料理の酢豚である。

身悶えしそうなほど、お腹グウグウの午後1時。
みんなでワイワイと韓国の中華料理を食べに行ったとしよう。

それぞれがまず自分の好きな1品を頼む。
チャジャンミョンでもいいし、チャンポンでもいい。
ついでに水餃子なんかも頼むともっといい。

ともかくも、それぞれが思い思いの1品を選び、
そこに加えて「みんなの酢豚」を頼むのである。
この「みんなの酢豚」で食卓がぐっと賑やかになり、かつ豪華になる。

真っ黒なチャジャンミョンを箸でグルグルとかき混ぜ、
真っ赤なチャンポンをすすって、辛さにゲホゲホとむせる。
大皿の酢豚に手を伸ばし、そのついでに隣の人の水餃子も失敬。
あちこちに箸やレンゲが伸び、食卓は加速度的に盛り上がっていく。

皿数の大盤振る舞いはないが、
全体として、幸せな食卓を演出することができる。
賑やかにワイワイ食べるほうがうまいというのは、
日本も韓国も関係ない中華料理の魅力である。

これほどまでに魅力的な韓国の中華料理。
ただただ「好きなんですよねえ」と呑気に呟いてはいられない。

僕は韓国の中華料理が大好きだ。

本場の中華料理とは違う。
もちろん舌に馴染んだ日本の中華料理とも違う。

そんな個性的な韓国の中華料理が大好きだ。

だからこそ大声で叫ぼう。
ビックリマークもいつもより奮発しよう。

僕は韓国の中華料理が大好きだあっ!!!!!!!!

わあっはっはっ。
あー、すっきりした。

<おまけ>
韓国の中華料理ではチャーハン、餃子においても若干の違いが見られます。すべての店でというわけではありませんが、韓国のチャーハンにはチャジャンミョンの黒いソースがどろりとかけられています。一見色を間違えたカレーライスのようで、最初は違和感を感じますが、これがけっこううまいです。また餃子のほうは中華料理としてでなく、むしろ屋台料理として活躍しています。中の具も工夫されており、キムチ餃子などという韓国ならではの餃子も一般的です。

<お知らせ>
韓国の中華料理の写真がホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
『八田式「イキのいい韓国語あります。」韓国語を勉強しないで勉強した気になる本』は大好評発売中です。コリアうめーや!!では、本を読んだ皆様からの感想をアップしています。まだご購入されていないかたは、ぜひ参考下さい。
http://www.koparis.com/~hatta/news/news_000.htm

<八田氏の独り言>
韓国で酢豚を頼むとニンジン、キュウリが生なんだよね。
そこらへんをなんとかしてほしいなあ……と小声で呟いてみる。

コリアうめーや!!第62号
2003年10月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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