コリアうめーや!!第41号

コリアうめーや!!第41号

<ごあいさつ>
まだ韓国にいます。
慶州を離れ、釜山からメルマガを配信です。
今日の夜にソウルへ向かい、友人の結婚式に参加して、
17日に日本に帰る予定です。
ちょうど1ヶ月間の韓国滞在。
うまいものをたくさん食べました。
いろいろ楽しいこともやりました。
あ、そうそう。
14日は釜山国際映画祭のオープニングデー。
会場までいってきたのですが……。
なんとチャン・ドンゴン見ちゃいました。
映画『チング~友へ』などで有名な韓国の俳優チャン・ドンゴン。
緑色のマフラーをなびかせて歩く姿は実にカッコよかったですねえ。
『JSA』のイ・ビョンホンも見ました。
ちょっとラッキーな1日です。
さて、コリアうめーや!!第41号。
慶州ネタといえばやっぱりこれしかありません。
慶州を代表するお菓子、皇南(ファンナム)パン。
甘さとろけるスタートです。

<慶州名物、皇南パンは本当にうまいのか!!>

「普段は甘いもの食べない僕だけど、これはバクバク食べられるね。」
「牛乳と一緒に食べると最高。いつも買って帰ります。」
「甘みがさっぱりとしていてしつこくない。いいね、これ。」

大の大人が子供のように目を輝かせて言う。
甘いものが似合いそうにない男性からの賞賛も多い。
むくつけき男たちが口元をほころばせて手を伸ばす。

皇南パンとは小麦粉の生地を薄く延ばしアンコを包んだもの。
パンというよりはむしろ饅頭に近い。
菊の模様をつけ卵黄を塗り、こんがりと焼いた甘いお菓子だ。

慶州といえば皇南パン。皇南パンといえば慶州。
皇南パンは慶州を代表するうまいものである。

慶州に到着したその日。
早速ガイドブックを片手に行ってみた。

バス通りに面した皇南パンの店。
入るやいなや小麦粉の焼ける香ばしいにおい。
そしてアンコの甘い香りが漂ってきた。

カウンターの向こうでは大勢の人が作業を続けている。
すごい人数が、すごい勢いで、すごい量の皇南パンを作っている。

それだけでも壮観だが、カウンターの手前。
買いに来た人の行列もまたすごい。
すごい人数が、すごい勢いで、すごい量の皇南パンを買っている。

めまぐるしい勢いで皇南パンは作られ売れていく。
大人気だ。ものすごい売れ行きだ。

負けてはなるまいと八田氏も行列に参加した。

ううむ。これはすごい人気だ。
味見で1個食べようと思っただけだけど、やっぱり2個にしておこう。
歩きながらちょっと食べるだけだから2個でいいな。

「2個ください。」
「2個ですね。」

といったお姉さんは、
紙袋に20個入りの箱をふたつ詰めて差し出した。

「げ!」

慌てる八田氏。
20個入りが2個だと合わせて40個。
とてもじゃないが1人で食べきれる量ではない。
まして歩きながら食べられる訳がない。
なんと、あまりに売れすぎる皇南パンはたくさん買うのが常識なのであった。

「2個です。2個。1個、2個の2個。」

慌てているから説明になっていない。
箱で数えたって1個、2個の2個にすぎない。

それでもお姉さんはすっと奥から2個持ってきてくれた。
1個500ウォン(約50円)。2個で1000ウォン。

店を出て歩きながらひとつほおばってみる。
コンビニを出てあんまんにかぶりついたような熱い熱いアンコ感。
口をついて出る「熱い」が「あくい」もしくは「あふい」になる。

焼き立てのアツアツ。
さっくりした皮の中にはアンコがぎっしりと詰まっている。
なめらかなこしあん。さらりとした食感。

徐々に舌が味の感覚をつかみ始め、やがてにじみ出る上品な甘さ。
しっとりと溶けるクセのない甘さだ。

「こ、これは凄くうまい!」

あっという間に1個、2個が消えてなくなった。
と同時に口の中の甘さもさらりと消えてなくなった。
べとつかない。口に残らない後味さわやかな甘みだった。

かくして「これはバクバク食べられるね」という感想に至る。

さて、ここからは余談。
皇南パンの周辺には実に多くの類似品が出ている。
慶州パン、慶州皇南パン、本家慶州パン、慶州新羅パンなどなど。

見た目はまったく同じ。
どこからどう見てもまったく同じ。
まずもって素人では見分けはつかないだろう。

八田氏は皇南パンとこれらの類似品を詳細に検証してみた。
果たして皇南パンは本当にうまいのか?
シンプルな饅頭だけに類似品を買っても似たようなものなのではないか。

そう考えた八田氏は、
皇南パンを含め全部で8軒の店でパンを買ってきて食べ比べてみた。

普通にかじったときはまったく違いを感じなかった。
正直にいうと違いなどあるわけないと思っていた。

こんなん全部いっしょだ。
これで違いがわかったらソムリエにだってなれるだろう。
そんな言い訳を考えながら味見をしていた。

だが驚くべきことに。
やはり皇南パンと類似品には明らかな違いがあるのだった。

アンコがまったく違った。
類似品はあきらかに普通のこしあん。
皇南パンはソフトクリームのようになめらかなこしあん。

舌でアンコだけ舐めると抵抗感なしにすくいとれる。
類似品は塊になったアンコがぼろっと舌に落ちてくる。
断然、皇南パンのほうが舌触りがやさしいのである。

「うーむ。これはすごい。」

慶州の皇南パン。
目からウロコが落ちる旨さである。
皇南パンは慶州でしか食べられない。
みんな慶州に行こう。

<お知らせ>
韓国にいるのでホームページの更新作業ができません。
皇南パンの写真は帰国後にアップします。
帰国は17日の日曜日。その翌日までにはなんとかしたいです。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
プサンナビで済州島日記を書いています。
8日に第3話がアップされました。
http://www.pusannavi.com/communi/c_r_t_list.html

<八田氏の独り言>
類似品を探していて、もみじ饅頭屋を発見しました。
むしろ潔いと感じるのは八田氏だけでしょうか。

コリアうめーや!!第41号
2002年11月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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